ドラえもん のび太の南海大冒険
ドラえもん のび太の南海大冒険 | |
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監督 | 芝山努 |
脚本 | 岸間信明 |
原作 | 藤子・F・不二雄 |
製作 | シンエイ動画、テレビ朝日、小学館 |
出演者 |
レギュラー 大山のぶ代 小原乃梨子 野村道子 たてかべ和也 肝付兼太 ゲスト マッハ文朱 早見優 江守徹 |
音楽 | 堀井勝美 |
主題歌 | ホットミルク/吉川ひなの |
編集 | 岡安肇 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1998年3月7日 |
上映時間 | 91分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 21億円 |
前作 | ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記 |
次作 | ドラえもん のび太の宇宙漂流記 |
『ドラえもん のび太の南海大冒険』(ドラえもん のびたのなんかいだいぼうけん)は、1998年3月7日に公開されたドラえもん映画作品。および、藤子・F・不二雄プロによって漫画化され、月刊コロコロコミック1997年10月号から1998年3月号に掲載された大長編ドラえもんシリーズの作品。映画シリーズ第19作。大長編シリーズ第18作(まんが版映画シリーズ1)。てんとう虫コミックス45巻収録の短編『南海の大冒険』、同じく41巻収録『無人島の大怪物』が原案となっている[1]。
同時上映は『ザ☆ドラえもんズ ムシムシぴょんぴょん大作戦!』と『帰ってきたドラえもん』。
第53回(1998年度)毎日映画コンクールアニメーション映画賞、第16回ゴールデングロス賞優秀銀賞、第2回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞作品。
概要
作品の原案はてんとう虫コミックス45巻収録の短編『南海の大冒険』、同じく41巻収録『無人島の大怪物』が原案となっている。原作者である藤子・F・不二雄没後の第1作であり、原作漫画は藤子・F・不二雄プロダクションが担当。また、タレントや落語家など、多くの有名人がゲスト声優を担当している。
序盤は原案である短編作品のコマをそのまま引用している部分が多く、財宝を目当てにジャイアンやスネ夫たちと「ほどほど海賊船」で出来レースを演じるくだりなどもそのままである。なお、大長編ドラえもんvol.18「のび太の南海大冒険」は当時のチーフアシスタント、萩原伸一(むぎわらしんたろう)が手掛けている。
配給収入は前作『のび太のねじ巻き都市冒険記』も含め、当時の歴代最高額を記録した。
エンディングテーマに加え、オープニングテーマ「ドラえもんのうた」も吉川ひなのが歌唱している。『のび太の恐竜』より音楽を担当していた菊池俊輔の降板(テレビ版は引き続き担当)により、本作から旧来のテレビ版の音源が一切使用されることがなくなり、映画ドラえもんシリーズで唯一単作でのサウンドトラックが発売された作品である。また本作より、撮影時の画面アスペクト比が16:9になった。
本作の音楽は大江千里が担当。編曲には、2005年4月からのテレビアニメおよび劇場版の音楽を担当している沢田完が参加している。
序盤でのび太がドラえもんたちとはぐれて行方不明となり、仲間とは行動を他にするという点で異色の作品である。しかも話の展開は無人島に漂着したのび太よりドラえもんたちが乗り込んだ海賊船の方が主となっているため、映画で主役の多いのび太よりジャイアンやしずか、ドラえもんの活躍が目立っている。一方、スネ夫は泣き言を喚いたりとかなりの意気地無しとして扱われている(後半ではそれなりに活躍する)。のび太は、大長編で登場する女性キャラクターと仲良くなったり、互いに名前を呼び合ったりするが、ここで登場するベティとのび太の会話は一切なく、むしろベティはジャイアンとの絡みが強い。
あらすじ
スティーヴンソンの小説「宝島」を読んで宝探しに憧れたのび太は、ドラえもんのひみつ道具「宝さがし地図」で宝島の在処を一回で突き止め、海への冒険に出発する。
いつものみんなも加わって冒険を楽しんでいたのも束の間、突然時空に異変が起き、のび太たちは17世紀のカリブ海へ転移。海賊の戦いに巻き込まれ、のび太はドラえもんたちとはぐれ、ドラえもんはポケットを失う。
ピンク色のイルカ「ルフィン」に助けられたのび太は無人島へ流れ着き、島で1人で暮していた少年ジャックと知り合う。一方ドラえもんたちは海賊キャプテン・キッドに助けられ、のび太を助けるために共に宝島のトモス島を目指すが、そこは謎の生物に満ちた未知の島だった。
舞台
声の出演
ゲストキャラクター
- ジャック
- 声 - マッハ文朱
- キャプテン・コルトの息子。父たちとはぐれ、トモス島で1人で暮していた。島に流れ着いたのび太と出会い、友達となる。原作ではのび太とほんやくコンニャクで喋るようになってとても喜んだ。のび太のことを「ノビー」と呼び、親しくなる。
- ベティ
- 声 - 早見優
- ジャックの姉で、消息を絶った父と弟の身を案じている。海賊育ちなためか気性が荒く、激しい攻撃的な性格であり、相手が男であろうが容赦はないが、ジャイアンと親しくなったり、風呂に困っていたしずかにタルで作った仮のシャワーを貸してあげるなど、優しい一面もある。ドラえもんの道具を使わずしてジャイアンの歌に素で聞き惚れた特異なキャラクターでもある[2]。最後はジャイアンに「ここに残って一緒に海賊やろう」と誘ったが、断られた。
- ルフィン
- 声 - 麻上洋子
- ジャックの友達であるピンク色をしたイルカ。テレパシー能力で人間と意思の疎通ができる。その正体はタイムパトロールの隊員であり、キャッシュの基地を探すために行動していた。のび太の持っていた地図を見たことでキャッシュの基地を発見することができた。
- キャプテン・キッド
- 声 - 江守徹
- 7つの海を駆ける海賊の船長。右目につけている眼帯が特徴。いくつもの修羅場をくぐり抜けてきた船長で、がっちりした体で体が大きく、見るからに海賊といった雰囲気の男で、戦うととても強い。強面であり、睨むと思わずたじろいてしまうほど怖いが、同じ海賊であり父の身を案ずるベティに気をつかうなど、仲間思いな面がある。船長としての威厳があり、むやみにトモス島に上陸しようとしたジャイアンを船長命令で静止した[3]。道具を失ったも同然のドラえもんたちに力を貸し、トモス島へ向かう。ラストシーンではコルトと共に財宝を手に入れて帰還した。そして終盤でドラえもんやのび太たちを帰してくれた。
- ゴンザレス
- 声 - 林家木久蔵(現・林家木久扇)
- キッドの部下。原作では巨漢だが、映画ではひょろ長の体格。語尾に「レス」とつけるのが特徴。中盤でパンチョとと共にドラえもんやキッドたちとはぐれ、半魚人の服をつけて敵を欺く役目を果たす。
- パンチョ
- 声 - 林家こぶ平(現・9代目林家正蔵)
- キッドの部下。ゴンザレスとコンビを組んでいる。原作・映画共に小柄な体格で、映画では更に太っている。一人称は「オレ」。
- キャプテン・コルト
- 声 - 阪脩
- ジャックとベティの父で、キッドの兄貴分。トモス島へ宝探しに行き、消息を絶つ。キャッシュ等に強制労働を強いられていたが、キッドたちに助けられた。
- Mr.キャッシュ
- 声 - 上條恒彦
- 未来から17世紀へやって来た時間犯罪者。トモス島に秘密基地を築き、Dr.クロンにペット用や軍用の改造生物を作らせ、高額で売りさばいていた(不当な目的で改造生物を作ることは違法と劇中で言及されている)。改造生物を様々な時代へ売ることが夢。労働力を集めるため、宝の地図を大量にばらまき、海賊たちを引き寄せて捕らえ、強制労働をさせていた。ドラえもん共々リバイアサンに飲み込まれたが、ドラえもんの持っていた「夢たしかめ機」により、吐き出される。最後はタイムパトロールに逮捕された。
- Dr.クロン
- 声 - 富田耕生
- キャッシュに協力する科学者で、彼も未来から来た時間犯罪者。バイオテクノロジーで新生物を作り出すマッドサイエンティストであり、それが原因で未来の学会から追放されたと原作では語られている。30年かけて生物の改造装置を開発しており、リバイアサンの他、海坊主、クラーケン、グレンデル、バニップなどの伝説上の生物や、様々な合成生物を生み出していた。人質にしたルフィンを改造生物にしようとしたが、ドラえもんたちに阻止されたと同時にプログラム装置が破壊される。最後はタイムパトロールに逮捕された。
- リバイアサン
- 声 - 茶風林
- クロンが作り出した究極の改造生物(生物兵器)。巨大な海蛇のような姿をしている。本編のラストで改造生物の大半がタイムパトロールに回収された中、リバイサン自身だけは行方不明となる。しかし、キャッシュが操作しない限り凶暴性を発揮することは無いとされ、そのまま放置されることとなった。その後は伝説動物として語り継がれ、劇場版のスタッフロールにてのび太が図書館から借りてきた文献に記載されていることが確認できる。劇場版では赤くなっているが、それ以前の予告では緑であった。
- TVアナウンサー
- 声 - 小杉十郎太、飛田展男
- コンピューター
- 声 - 長沢直美
- 海賊
- 声 - 中嶋聡彦、千葉一伸、ピーター・ストーン、ポール・ルーカス、デニス・フォルト、パトリック・ハーラン(パックン)
- 半魚人
- 声 - 広瀬正志、藤原啓治、関智一、中博史、松本大
- 半魚人のような服を着たキャッシュの部下。いわゆる戦闘員で、海賊達を捕らえている。正体は普通の人で、彼らも未来から来た時間犯罪者である。最後は描かれてないが、キャッシュとクロン同様にタイムパトロールに逮捕された模様。
なお、『ほんやくコンニャク』によって全てのセリフが日本語に切り替わる前に海賊サイドのキャラクターが発していた言語は全て英語である[4]。
登場するひみつ道具
- インディラジョンソンの冒険(原作のみ)
- 宝探し地図
- 夢確かめ機
- タケコプター
- どこでもドア
- 宝船型モーターボート
- ほどほど嵐
- ほどほど海賊船
- 着せかえカメラ
- 変身リングとカード
- キャンピングカプセル
- 伝説復元機
- キューピットの矢
- 翻訳コンニャク
- お尻印のきび団子
- 無生物催眠メガフォン
- ジャック豆
- 携帯カラオケマイク
スタッフ
- 原作 - 藤子・F・不二雄
- 脚本 - 岸間信明
- 作画監督 - 富永貞義
- 原作作画 - 萩原伸一(藤子プロ)
- 美術設定 - 沼井信朗
- 美術監督 - 川口正明
- 撮影監督 - 梅田俊之
- 編集 - 岡安肇
- 監修 - 楠部大吉郎
- 録音監督 - 浦上靖夫
- 音楽 - 大江千里
- 効果 - 柏原満
- プロデューサー - 山田俊秀、木村純一、梶淳
- 監督 - 芝山努
- 演出 - 善聡一郎、パクキョンスン
- 作画監督補佐 - 渡辺歩
- 動画検査 - 原鐵夫、江野沢柚美
- 色彩設計 - 松谷早苗、稲村智子
- 仕上検査 - 森田晋次
- 特殊効果 - 土井通明
- サウンドプロデュース - 大江千里
- 編曲 - 中村暢之、沢田完
- 演奏 - スロヴァキア・国立管弦楽団、ドラえもんフィル・ハーモニー・オーケストラ
- 音楽制作協力 - 株式会社イズム、吉岡隆
- 基本設定 - 川本征平
- OPコンテ・演出 - 小林常夫
- OP原画 - 関根昌之、木村文代、市来剛
- 文芸 - 滝原弥生
- 制作事務 - 杉野友紀
- 制作進行 - 星野匡章、石田博、廣川浩二、八田陽子、大橋永晴
- 制作デスク - 大澤正享、大金修一
- 制作担当 - 小倉久美
- 制作協力 - 藤子プロ、ASATSU
- 制作 - シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
主題歌
- オープニングテーマ「ドラえもんのうた」
- 作詞 - 楠部工 / 作曲 - 菊池俊輔 / 編曲 - 鴨宮諒 / 歌 - 吉川ひなの
- エンディングテーマ「ホットミルク」
- 作詞 - 岩城由美・HINANO / 作曲・編曲 - 鴨宮諒 / コーラスアレンジ - 高浪敬太郎 / 歌 - 吉川ひなの
キャッチコピー
- 宝島発見!? ドラマチックですこし不思議な、マリン・アドベンチャー!!
脚注
- ^ 「映画ドラえもんタイムシアター 1998年「のび太の南海大冒険」」『ぼく、ドラえもん』第11号、小学館、2004年、13頁、雑誌 28821-8/5。
- ^ 映画では「歌が上手だね」とサラッというだけだが、原作ではジャイアンに抱きついて「感動した、しびれが止まらない」と泣きながら言う。
- ^ トモス島に到着したのが夕方であり、「日が沈む時に未開な島に乗りこむのは危険」と判断したため。
- ^ ジャックがのび太の目の前で毒蜘蛛を小剣で殺した時のセリフが「It's poisonous spider」(毒蜘蛛だよ)であったり、ドラえもんたちがキッドと出会った直後にキッドが発した台詞が「Thank you for Bravery.Thank you」(君たちの勇気には感謝するよ。ありがとう)など劇中で英語が頻出している。
関連項目
外部リンク
- 漫 - 原作漫画、大長編漫画等の執筆者の頭の1文字または略記号。藤=藤子不二雄。F=藤子・F・不二雄。1987年の独立前のみ「藤」と記載した(ただし『ドラえもん』は連載開始時から藤本単独作)。FP=藤子プロ。それ以外は作画者を記載。括弧付きは藤本以外が執筆した外伝、短編など。詳細は大長編ドラえもん#作品一覧(併映作品は各作品のページ)を参照。