ドクターカー

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日本医科大学付属病院の高機能型ドクターカー。

ドクターカーとは、患者監視装置等の医療機械を搭載し、医師看護師 などが同乗して 医療機関搬送前の現場などへ直接出動する 救急車の一種 である。
「医師派遣用自動車」や、「ラピッド・レスポンス・カー」などとも言う。

日本

概要

救急現場に一刻も早く医師が駆けつけて初期診療を行い、救命率を向上させることを目的としている。

  • 日本では、救急車によって救急医療機関に搬送して医師により診察を受ける救急医療体制が長い間続いていた。救急隊救急救命士にも一部の医療行為は許されているが限られるため、医師による治療開始までの時間が長くなり救命率の低下につながっていた。一部の救命センターでは、救急ヘリに搭乗し、現場への医師派遣、広域救急搬送を行ってきた。しかしながら、ヘリが飛べない悪天候時等やヘリの降りる場所が近くにない場合には、救急車による陸路の輸送しか手段がなく、治療開始までに時間がかかっていた。
また、交通事故などの外傷で救出に時間がかかるようなケースでは、現場への医師派遣は初期治療のうえでさらに必要性が高かった。そのため、少しでも早く傷病者が医師と接触できる手段の1つとして、救急現場等に医師や看護師を運ぶドクターカーが導入されるようになった。
救急現場や搬送途中から救命治療を開始する体制を整備し、治療開始までの時間をほぼ半減させることで救命率の向上を図ろうとしている。
  • 従来、ドクターカーと言えば2通りの方式があり、すなわち
  1. 消防機関が提供した救急車を病院の救急ワークステーションという出張所形式を取り消防職員(救急隊員)が常に救命救急センターに常駐する形でドクターカーとして活用しているパターン
  2. 医療機関等が独自で救急車を調達し、システムを独自に構築し医師を派遣するパターン
である。
しかし自前で高規格救急車を調達するにも予算が掛かり過ぎるなど資金力の無い医療機関にとってはドクターカー事業に参入するにはハードルが高く、簡易的な車輌でも運用できるよう有志で国に嘆願を続けていたところ2008年4月25日公布の道路交通法施行令改正によって、「(道路交通法施行令第13条1の5)医療機関が、傷病者の緊急搬送をしようとする都道府県又は市町村の要請を受けて、当該傷病者が医療機関に緊急搬送をされるまでの間における応急の治療を行う医師を当該傷病者の所在する場所にまで運搬するために使用する自動車」が緊急自動車として認められるようになった。
これにより傷病者搬送は消防機関の救急車で行い、医師搬送のみを行うという乗用車ベースのドクターカー(欧州型ドクターカー)が日本でも見られるようになった。
救急車型ドクターカー
  • 既存の高規格救急車をベースにしたものやマイクロバスを特装したもの等、バリエーションは多岐に渡る。
    また、車体に 露骨に「ドクターカーだ」 と表示していない車両も多くあり、医療機関の救急車との違いは外見だけでは判別困難である。
近年では消防の救急車と差別化を図ろうとしたのか、車体にずいぶんと派手で奇抜なマーキングを施した車輌が、一部の地域で流行しているようである。
  • 一般的に医師が同乗するとドクターカーとなるので車輌表記がDOCTOR CARと記載される場合があるが、本稿で触れるドクターカーとは意味が違うもので、転院搬送の為だけに保有する場合は正確にはドクターカーとはいわない。しかし近年稀にみる災害が多発し、未曾有の被害が度々出る事から通常は転院搬送のみに用いるが、有事の際はDMAT車輌として運用するケースもある。
  • 消防機関より廃車になった高規格救急車をドクターカーとして再利用するケースもある。一例としては弘前大学医学部附属病院救命救急センターのドクターカーは2012年に弘前地区消防事務組合より耐用年数を超えたトヨタ・ハイメディックを無償譲渡してもらい塗装等 細部を変更した後ドクターカーとして運用している。
乗用車型ドクターカー
鹿児島市立病院 ドクターカー
(日産 JUKE)
  • ベース車種はセダン、ステーションワゴン、軽自動車、SUVと幅広く、実際活動を想定している地域の地理的な特徴や医療機関のニーズに合わせてバラエティに富んでいる[1]
  • 乗用車型ドクターカーは、緊急自動車であるが3ナンバーまたは5ナンバー登録となっているものが多い。乗用車型の多くは医師の搬送が目的であり、患者搬送は消防の救急車に医師も同乗して行けば良いために、近年は乗用車型の導入も増えているようである。
  • ドクターカーは、主として救命救急センターをはじめとする三次救急医療機関、またはこれに準ずる二次救急医療機関などが保有している。

24時間現場直行式・ドッキング方式運用を行っている医療機関

大阪府立中河内救命救急センター(大阪府東大阪市)
運用開始は1998年(平成8年)5月。独立型救命救急センターで東大阪市立総合病院に併設された大阪府立のセンター。活動エリアは東大阪市八尾市柏原市の3市で構成される中河内医療圏であるが、柏原市を管轄するのが柏原羽曳野藤井寺消防組合である事から医療圏を越え羽曳野市藤井寺市に赴く事もある。稀に松原市に出動する事もある。使用車輌は札幌ボデー・トライハート
社会福祉法人恩賜財団大阪府済生会千里病院千里救命救急センター(大阪府吹田市)
運用開始は1993年(平成5年)1月。当初は大阪府立の独立型救命救急センターとして運営されていたが、2006年(平成18年)4月1日より所管が大阪府より済生会に移管された。「積極的な攻めの医療」を言葉に国内のプレホスピタルケア(病院前救護活動)の先駆けとして、現在も年間2500回を超える国内でも屈指の現場出場回数を誇る。活動エリアは吹田市豊中市箕面市池田市豊能郡豊能町豊能郡能勢町の6市町で構成される豊能医療圏が管轄区域であるが要請があれば兵庫県域である川西市川辺郡猪名川町等へも出向く事がある。最近では2013年(平成25年)に京都府福知山市で発生した2013年福知山花火大会露店爆発事故にも出動する等、活動実績は枚挙にいとまがない。他には阪神・淡路大震災を始め国内で起こった様々な大災害にも派遣される。使用車輌は日産・パラメディック予備車を含め2台。
船橋市立医療センター(千葉県船橋市)
運用開始は1992年(平成4年)国内に於ける現場出場型ドクターカーの元祖。救急ワークステーション方式を採用。船橋市消防局直轄部隊として運用している。近年の救急ワークステーション方式に於けるドクターカーシステム構築の草分け的存在。使用車輌はトヨタ・ハイメディック
地方独立行政法人りんくう総合医療センター大阪府泉州救命救急センター(大阪府泉佐野市)
運用開始は1994年(平成6年)10月3日。独立型救命救急センターでりんくう総合医療センターに併設されている。2013年(平成25年)4月1日より所管が大阪府より地方独立行政法人に移管された。関西国際空港での航空機災害を念頭に置いた出動が主である。活動エリアは広範囲で泉佐野市泉南郡熊取町泉南郡田尻町阪南市泉南市泉南郡岬町貝塚市岸和田市泉大津市和泉市泉北郡忠岡町の7市町で構成される泉州医療圏であるが、要請があれば堺市高石市にも出動する事がある。2014年(平成26年度)より消防本部指令室による通報キーワードでの覚知同時要請が始まり従来よりもさらに迅速な出動態勢を構築している。重症外傷診療に於いては全国的にも有名で特に力を入れている分野。使用車輌は日野・リエッセⅡ標準ボデー。
公益財団法人三島救急医療センター大阪府三島救命救急センター)(大阪府高槻市)
独立型救命救急センターで救急ワークステーション方式を採用。高槻市消防本部特別救急隊と連携し、ドクターカーの本格運用(365日24時間)を行っている。2002年(平成14年)10月から試験運用を開始。当初は土曜・日曜・祝日を除く月曜日 - 金曜日の9時 - 17時までであったが次第に運行時間を拡大。2003年(平成15年)1月からは、週1回(月曜日)のみ24時間当直体制で運用。2004年(平成16年)10月から週3回(月・水・金曜日)24時間運用を実施。段階的に運行時間を拡大し、結果としてドクターカーシステムが効果的と認められた事から2006年(平成18年)10月5日より本格運用開始。使用車輌はトヨタ・ハイメディック
一般財団法人温知会会津中央病院救命救急センター(福島県会津若松市)
ドクターカーの運行開始は1986年(昭和61年)と国内でも古く東北地方でのプレホスピタルケア(病院前救護活動)の先駆けとして全国にも名が知れている。直接現場に出向く事もあるが、会津若松地方は面積が非常に広大な事から病院への搬送まで2時間程度掛かる事も珍しく無く、処置を開始する時間を短縮する為に始められたシステムである。従って、直接現場に出場するというよりもドッキングポイントで救急隊とドッキングするケースが圧倒的に多い。使用車輌は札幌ボデー・トライハート予備車を含め2台。
兵庫県立兵庫県災害医療センター(兵庫県神戸市中央区)
独立型救命救急センターで神戸赤十字病院に併設された兵庫県立のセンター。運行開始は2004年(平成16年)。活動エリアは広範囲で神戸市全域・尼崎市西宮市芦屋市の3市で構成される阪神南県民センター管内・伊丹市宝塚市川西市三田市川辺郡猪名川町の5市町で構成される阪神北県民局管内・東播磨県民局管内の明石市に於いて運用される。日中時間帯は神戸市立医療センター中央市民病院のドクターカーが運行している事から日中時間帯は神戸市外への出場が多くなる。使用車輌は日産・パラメディック予備車を含め2台。消防無線実装。
医療法人医仁会さくら総合病院(愛知県丹羽郡大口町)
1982年(昭和62年)頃より運用開始。365日24時間運用。活動エリアは広範囲で愛知県(江南市犬山市小牧市岩倉市西春日井郡豊山町丹羽郡大口町丹羽郡扶桑町) , 岐阜県(多治見市各務原市)。使用車輌はトヨタ・ハイメディック3台・メルセデス・ベンツ2台。EクラスGクラスの2台はラピッドドクターカーである。
社会医療法人財団慈泉会相澤病院救命救急センター(長野県松本市)
2008年(平成20年)3月より24時間運行を開始。活動エリアは松本広域消防局管内であるが、北アルプス広域連合消防本部とはドッキング方式で運行している。拠点の松本市に隣接する日本でも屈指の規模を誇る北アルプスでの遭難や滑落などの事故にも出動している。冬シーズンになると白馬村栂池高原方面でのウインタースポーツでの事故や災害等も度々発生する事からこちら方面への出動実績もある。使用車輌はトヨタ・ハイメディック・トヨタ・アンビュランスの計2台。
独立行政法人国立病院機構災害医療センター(東京都立川市)
東京消防庁多摩指令室からの出動要請により出動する。主な活動エリアは立川市昭島市東大和市国立市日野市国分寺市武蔵村山市福生市であるが状況によって青梅市瑞穂町八王子市羽村市あきる野市東村山市にも出動する。使用車輌は日産・パラメディック
国立大学法人東京医科歯科大学東京医科歯科大学医学部附属病院救命救急センター(東京都文京区)
2009年(平成21年)3月より運用開始。活動エリアは千代田区文京区中央区東日本大震災では宮城県岩手県福島県に現地入りし福島第一原子力発電所事故にも出動した。拠点病院である文京区周辺は地下鉄駅が多いために人身事故現場に出動する機会が非常に多い。使用車輌はレクサス・IS(この他に東京DMATカーとして日産・パラメディックも保有)。
学校法人日本医科大学日本医科大学付属病院高度救命救急センター[2](東京都文京区)
活動エリアは東京23区全域。トヨタ・エスティマのドクターカーを配備し秋葉原通り魔事件等でも活躍。後にトヨタ・ハリアーに更新した。現在はハリアードクターカー・東京DMATカー、さらにCBRNEに対する除染機能のほか、衛星携帯電話・TV・FAX・ノートパソコン等を搭載し、災害現場でDMATを始めとする各医療スタッフの指揮車としての機能を有している高機能ドクターカーを配備し同車は東日本大震災でも活躍した。
学校法人藤田学園藤田保健衛生大学病院救命救急センター(愛知県豊明市)
2013年(平成25年)4月22日から運用開始。運用開始当初は土曜・日曜・祝日を除く月曜日 - 金曜日の9時 - 17時までであったが、同年12月1日より365日24時間運用を開始した。活動エリアは豊明市日進市愛知郡東郷町刈谷市大府市みよし市一部地域と伊勢湾岸自動車道知多半島道路。将来的には現在よりも活動エリアも拡大予定で名古屋市の一部市域も視野に入れている。使用車輌はトヨタ・ハイメディック
社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷三方原病院救命救急センター(静岡県浜松市北区)
ドクターヘリ基幹病院であるが、悪天候時・夜間の場合はドクターカーにて出場する。日中帯は病院所有のドクターカーにて出動するが、夜間は当直人員の関係から浜松市消防局の救急車にピックアップしてもらい出動する。活動エリアは浜松市全域。2005年(平成17年)の市町村合併に伴い市の面積が大幅に拡大した事から出動範囲も非常に広範囲となった。使用車輌は日産・パラメディック
新潟市民病院救命救急センター(新潟県新潟市中央区)
2007年(平成19年)11月1日から運用を開始。救急ワークステーション方式を採用。新潟市消防局警防課高度救急隊と連携し、ドクターカーの運用を行っている。使用車輌は日産・パラメディックと病院所有のDMAT車輌として札幌ボデー・トライハートロングボデーの2台。
東京都
東日本大震災で浮き彫りになった数々の反省点を教訓に東京都福祉保健局が主導し東京DMATに指定する25病院に東京DMAT専用車輌(災害時医療支援車)として配備した。特筆すべき点は従来の車内で治療行為を行うという事よりもDMATスタッフの完全自己完結型に重きを置いた事である。先述した日本医科大学附属病院高度救命救急センターに配備されていた高機能ドクターカーを参考に製作された。その為車内には様々な各種情報通信機器や野営資器材を搭載している。平成23年度に日産・パラメディックベースの車輌を10台配備。平成24年度にトヨタ・ハイメディックベースの車輌を15台配備した[3]
中津川市民病院病院前救急診療科(岐阜県中津川市)
2014年1月31日から運用開始。乗用車型でベースはスバル・フォレスター。愛称はNEMAC(Nakatsugawa Emergency Medical Assistance Car)。かつて岐阜県立多治見病院で日本初の乗用車型のドクターカーや医師自らがハンドルを握り現場まで緊急走行するシステムが取り入れた間渕則文医師によって、2013年9月に日本で初めてのドクターカー専属の「病院前救急診療科」が中津川市民病院に創設された。専属の医師看護師が24時間365日医師宿舎か病院で待機して出動できる体制を取っている[4]。基本的には医師と看護師が2人1組であるが、夜間帯は医師が自ら運転して1名で出動する。スタッフ全員が第三級陸上特殊無線技士や一般緊急自動車運転技能者課程を受講している。

日中時間帯・不定期運用で現場直行方式・ドッキング方式運用を行っている医療機関

岐阜県立多治見病院救命救急センター(岐阜県多治見市)
国内で初めてとなる乗用車型ラピッドドクターカーの先駆けとしてだけでなく従来のドクターカーでは無かった医師自らがハンドルを握り現場まで緊急走行するという新しい試みで全国の医療関係者から注目を集めた。2013年(平成25年)まで365日24時間運行をしていたが、医師の退職に伴いドクターカー自体の運行休止を余儀なくされた。現在は不定期での運行になっている。使用車輌はトヨタ・プリウス。消防無線実装。愛称はDMERC(Doctor driven Medical Emergency Response Car)。
学校法人日本医科大学日本医科大学千葉北総病院救命救急センター(千葉県印西市)
運用開始は2010年(平成22年)6月7日。ドクターヘリ基幹病院で、当時日本ではまだ馴染みが無かったヘリコプターを使ってのプレホスピタルケア(病院前救護活動)の普及に努めて来た事で国内ではよく知られた存在。悪天候時・夜間等ドクターヘリが飛行出来ない時間帯が生じる事から、それらの補完としてドクターカーを導入した。現在の運行時間は365日ドクターヘリ運行終了時 - 23時までだが、将来的にはドクターヘリ運行終了時 - ドクターヘリ運行開始時までの運用を目指している。使用車輌はスバル・レガシィアウトバック。消防無線実装。
公立豊岡病院組合立但馬救命救急センター(兵庫県豊岡市)
2010年(平成22年)12月5日より運用開始。ドクターヘリ基幹病院であるが悪天候時・夜間・重複要請が掛かった場合はドクターカーで出動する。運行開始当初は365日8時30分 - 日没30分前までであったが、現在は6時 - 23時まで拡大された。活動エリアは豊岡市美方郡新温泉町香美町養父市朝来市の5市町で構成される但馬県民局管内。使用車輌はスバル・フォレスター。消防無線実装。
社会医療法人生長会ベルランド総合病院病院(大阪府堺市中区)
2006年(平成18年)1月9日より運用開始。出動は月~土の9時~17時。活動エリアは堺市中区南区東区美原区西区である。堺市消防局よりの覚知同時要請での出動であり、医師2名、看護師1名が基本であるが、小児疾患に関しては小児科医の同乗も行っている。また現在はドクターカーに同乗する院内救急救命士の養成を行っている。2013年は250件、2014年は309件の出動。使用車輌はトヨタ・ハイメディック
地方独立行政法人堺市立総合医療センター(大阪府堺市西区)
運用開始は2011年(平成23年)6月1日。以前は二次医療施設であるが、2015年の新病院開院に伴い堺市救命救急センターとして三次救命救急センターが開設した。現在は日中時間帯での運用であるが、将来的には365日24時間運用を目指している。活動エリアは堺区西区北区。使用車輌は日産・シビリアン短尺ボデー。
学校法人北里研究所北里大学病院救命救急センター(神奈川県相模原市南区)
2011年(平成23年)より運行開始。活動エリアは相模原市・座間市大和市綾瀬市。2014年(平成26年)6月28日に開通した圏央道(首都圏中央連絡自動車道)相模原愛川IC-高尾山IC間開通に伴い相模原市緑区藤野地域エリアからのドッキング搬送等今後ますますの活躍が期待されている。使用車輌はトヨタ・ハイメディック
地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(兵庫県神戸市中央区)
運行時間は日中時間帯のみ。活動エリアは神戸市全域。ドライバー等のスタッフは神戸市消防局水上消防署の大規模災害対応救急隊(BLUE-CAT)の救急隊員が努めており、救急救命士の病院研修・実習も兼ねている。使用車輌は神戸市消防局から無償譲渡されたトヨタ・ハイメディックであったが、2014年(平成26年)4月1日に更新された。消防無線実装。
医療法人豊田会刈谷豊田総合病院(愛知県刈谷市)
2014年(平成26年)1月より運行開始。活動エリアは刈谷市高浜市知立市安城市碧南市西尾市の6市で構成される西三河南部西医療圏。使用車輌はトヨタ・ランドクルーザープラド。特筆すべき点として、この車輌は医療法人豊田会の理事会社8社(株式会社豊田自動織機愛知製鋼株式会社・株式会社ジェイテクトトヨタ車体株式会社・豊田通商株式会社・アイシン精機株式会社・株式会社デンソー豊田紡織株式会社)から寄贈を受けた車輌である。
八戸市立市民病院救命救急センター(青森県八戸市)
本州最北端で活動するドクターカー。運用開始は2009年(平成21年)ドクターヘリ基幹病院であるが、悪天候時・夜間・重複要請が掛かった場合はドクターカーにて出場する。運行時間は365日午前8時 - 午後11時まで。活動エリアは非常に広範囲で八戸市三戸郡三戸町五戸町田子町南部町階上町新郷村上北郡おいらせ町の8市町村で構成される八戸圏域定住自立圏の他十和田市上北郡六戸町三沢市岩手県九戸郡洋野町岩手県久慈市。発足当初は1台のみであったが2010年](平成22年)11月に地元企業であるスズキアリーナ八戸が1台を寄贈し現在は2台体制で稼動している。平成25年度の出動実績は1214件。使用車輌はトヨタ・RAV4スズキ・エスクードの2台。消防無線実装。
社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 救命救急センター(沖縄県浦添市)
ドクターヘリ基幹病院であるが、悪天候時・病院の近隣での要請の場合はドクターカーにて出場する。日本最南端のドクターカー。2012年(平成24年)4月2日から運用開始。運行時間は2013年(平成25年)6月より365日9時から17時までを運行時間として設定し、活動エリアは主に浦添市・宜野湾市・那覇市など7消防本部と協定を締結。拠点病院から15分圏内の各市町村もカバーしている。使用車輌はスバル・フォレスター。消防無線実装、医療福祉無線実装。全国に先駆けて院内救命士を養成しており、現在専従の救急救命士4名がドクターカー業務に従事している。この病院のドクターカーシステムの要として彼らが活躍しており、救急医療のエキスパートとしての視点、消防サイドの専門的知識とスキルを持つ救急救命士としての視点。両方を持ち、現場活動の中心的立場に立って、地域の救急医療をリードしている。今後の、消防無線のデジタル化対応や、位置情報動態監視システムなど先駆的な取り組みが注目されている。スタッフ全員が第三級陸上特殊無線技士を取得している。

また、ドクターカー担当の主任救急救命士が中心となり、沖縄県内で市民向けの心肺蘇生講習システム(PUSUプロジェクト)を構築した。

麻生グループ飯塚病院救命救急センター(福岡県飯塚市)
2012年(平成24年)8月より運用開始。運用開始直後の活動エリアは飯塚地区(飯塚市嘉麻市嘉穂郡)で運行時間も土曜・日曜・祝日を除く月曜日 - 金曜日の8時30分 - 17時までであったが、2013年(平成25年)6月には前述の飯塚地区よりも広域の筑豊地方(鞍手郡田川市田川郡直方市宮若市)に拡大。但し田川地区への出動は外傷症例のみ。運行時間も365日体制となり、2014年(平成26年)6月9日より従来よりも運行時間を1時間拡大し8時30分 - 18時までとなった。今後の方針としては365日24時間運行も見据えている。2014年(平成26年)5月には総出動件数1000件を突破。使用車輌はトヨタ・アイシストヨタ・ハイメディックの2台。通常、現場出動には乗用車タイプの車輌(トヨタ・アイシス)で出動する。
国立病院機構高崎総合医療センター(群馬県高崎市)
2013年(平成23年)9月9日より運用開始。運行時間は土曜・日曜・祝日を除く月曜日 - 金曜日までの9時 - 17時。将来的には365日24時間運行を目指している。活動エリアは高崎市安中市の高崎・安中医療圏。センターの院長である石原 弘氏により車輌の愛称は「衆善」と名付けられた。これは仏教用語で「万人に善をほどこす」という意味であるが、語源は一休宗純による「諸悪莫作衆善奉行」という書から引用された。使用車輌はトヨタ・ハイメディック消防無線実装。
半田市立半田病院救命救急センター(愛知県半田市)
2013年(平成25年)4月8日より運用開始。活動エリアはの半田市知多郡阿久比町東浦町武豊町の1市3町で構成される知多中部広域事務組合消防本部管内。運行時間は土曜・日曜・祝日を除く月曜日 - 金曜日までの8時30分 - 17時。使用車輌は日産・パラメディック
足利赤十字病院救命救急センター(栃木県足利市)
栃木県初のドクターカーとして2009年(平成21年)8月19日より運用開始。運行時間は土曜・日曜・祝日を除く月曜日 - 金曜日の9時 - 17時。活動エリアは足利市佐野市太田市館林市桐生市みどり市の6市で構成される両毛医療圏。使用車輌は日産・エクストレイル
特定医療法人中部徳洲会病院(沖縄県沖縄市)
2008年(平成18年)6月より運用開始。活動エリアは原則沖縄市内。他の市町村からの要請に関しては臨機応変に対応。運行時間は土曜・日曜・祝日を除く月曜日 - 金曜日の平日9時 - 18時。沖縄県内初のドクターカー運用で県内各方面より注目を浴びた。使用車輌は日産・エルグランド消防無線実装。

新生児搬送用

熊本大学病院  NICU/GCU

主に中・小規模の産婦人科病院からの要請で、新生児集中治療室 (NICU) での処置が必要とされる場合(超早産等でハイリスクを伴う出産時)に、総合周産期母子医療センターに指定された病院から医師と看護師が同乗し、新生児に医療行為をしながら病院へ搬送する際に使用される。
新生児搬送用ドクターカーは大型保育器などの医療機器を多数積載する為、医療機器を安定して動かす電源と車内スペースを多く確保する観点からトラックやマイクロバスをベースにした大型の車両が多い。
最近では車両へ搭載する医療機器や発電機の性能向上・小型化などにより、商用ワンボックスカーベースでも運用が可能な車両が登場している。従来のトラック・マイクロバスベースタイプよりも車両の取り回しが良く、車両導入コストを安く抑えられることから今後商用ワンボックスカーベースの車両が徐々に増えていくものと思われる。

新生児搬送用ドクターカーは主に総合周産期母子医療センター指定病院が所有している。

など

循環器専用(モービルCCU)

大学病院 循環器科のモービルCCU

心筋梗塞などの緊急でカテーテル治療や循環器疾患集中治療室(CCU)での治療が必要な患者の転院搬送などに使われる。

など

日本国外

写真

脚注

関連項目