トリオ・ソナタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。しまあじ (会話 | 投稿記録) による 2011年11月6日 (日) 06:29個人設定で未設定ならUTC)時点の版 ({{出典の明記}}と{{要出典}}で分類されているメンテナンス用の隠しカテゴリがあるので + DEFAULTSORT)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

トリオ・ソナタ: trio sonata: Triosonate)は、17世紀末から18世紀初めにかけて特に人気のあった音楽形式。2つの旋律楽器と1つの通奏低音のために作曲され、3つの声部を形成するところから、「トリオ・ソナタ」の名称がある。しかしながら、当時の演奏習慣では、通奏低音を担当する楽器が2つ以上になることが普通だったため(チェロヴィオラ・ダ・ガンバファゴットなどの低音旋律楽器にチェンバロ、小型オルガンリュートテオルボ、キタローネなど和音を演奏できる楽器を組み合わせる事が多い)、演奏者数は3人を超えるのがむしろ一般的であった[要出典]

旋律楽器は、ヴァイオリン2挺が多く用いられる他、リコーダーフルートオーボエシャリュモーなどの旋律楽器を各種組み合わせたものも多い。ヴィオラ・ダ・ガンバのような中低音楽器を用いた例も見られる。バッハの《音楽の捧げもの》の有名なトリオ・ソナタではヴァイオリンとフルートが用いられている。

またバッハは、オルガンのために6つのトリオ・ソナタを作曲し(BWV 525-530)、3つの声部を右手、左手、ペダルに割り振り、一つの楽器にまとめて演奏させている(近年では古楽奏者の間で、この作品を通常のトリオ・ソナタの編成に編曲して演奏することも人気がある)。


  • コレッリの作品1~作品4の48曲のトリオソナタは、殆どが2挺のヴァイオリンと通奏低音のために書かれている。これらはトリオソナタの教科書的な存在で、ヨーロッパ各国の作曲家に多大な影響を与えた。
  • ブクステフーデの《6つのトリオ・ソナタ》作品1と《7つのトリオ・ソナタ》作品2は、この二つだけが作曲者の生前に出版された。
  • パッヘルベルの《音楽の歓び Musikalische Ergötzung》は、スコルダトゥーラされた2つのヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ集(6曲)である。
  • ゼレンカの《ソナタ集》ZWV181は、オーボエとファゴット、通奏低音のための曲集で、オーボエが2本使われカルテット・ソナタになることもある。ファゴットに超絶技巧が要求されるなど、難度が高い作品集である。
  • テレマンは種々の楽器編成による多数のトリオ・ソナタを残しているが、そのなかでも室内楽曲集「音楽の練習帳」には旋律楽器+チェンバロ+通奏低音という編成の作品が4曲含まれている。
  • バッハのトリオ・ソナタは《音楽の捧げもの》以外に4曲あるが(BWV 1036-1039)、偽作の疑いもある。このうち2本のフルートが旋律楽器として使われているBWV1039は、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ第1番BWV1027とほぼ同じ曲である。バッハは典型的なトリオ・ソナタよりも、旋律楽器とチェンバロ(右手と左手を独立した声部として扱う)で三声部をなす形式を好んで用いた。むしろ、バッハの息子たちの方が、伝統的な通奏低音付のトリオ・ソナタやソロ・ソナタ(1つの旋律楽器+通奏低音)を多数作曲している。