デインヒル

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デインヒル
ハーリド・ビン・アブドゥッラーの勝負服
品種 サラブレッド
性別
毛色 鹿毛
生誕 1986年3月26日
死没 2003年5月13日(17歳没)
Danzig
Razyana
母の父 His Majesty
生国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
生産者 Michael Vincent O'Brien
馬主 Khalid Abdulla
調教師 A.Jeremy Tree(イギリス
競走成績
生涯成績 9戦4勝
獲得賞金 175,923ポンド
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デインヒル (英語: Danehill) とはアメリカ産の競走馬サラブレッド)、種牡馬である。競走馬としては短距離戦で実績を残したが、種牡馬としては距離を問わず多数の活躍馬を輩出して大成功を収めた。さらに後継種牡馬も育っており、世界中でデインヒル系が形成されつつある。北半球と南半球を渡るシャトルサイアーの先駆であり、世界でも勢いのある系統の祖であるといえる。2003年に放牧中に転倒し死亡した。

現役時代[編集]

現役時代はイギリスフランスアイルランドで走り9戦4勝の成績を収めた。G1競走の勝利は1989年に開催されたスプリントカップの1勝のみ。クラシック2000ギニーナシュワンの3着、アイリッシュ2000ギニーでシャーディーの4着。そのほかの勝ち鞍はコーク&オラリーステークス(G3)、ヨーロピアンフリーハンデキャップ(LR)。

種牡馬時代[編集]

引退後はアイルランドの大牧場であるクールモアスタッドで種牡馬生活を送り、北半球がオフシーズン(秋・冬)の時はオーストラリアで種付けを行った。ここでオーストラリア2歳チャンピオンのフライングスパーが出る。その後本国アイルランドでアイリッシュダービー優勝馬デザートキングを出すなどの成功を収めた。2005年にはイギリスにおいて、長らくリーディングサイアーに君臨し続けていたサドラーズウェルズを破るという快挙を成し遂げた。こうした功績により、北半球に本拠地をおく種牡馬がオフシーズンには南半球(オーストラリア・ニュージーランド等)で種付けを行なう「シャトル種牡馬」という畜産ビジネスが確立した。

産駒もまた種牡馬として活躍し、北半球ではデインヒルダンサー2009年イギリス・アイルランドリーディングサイアー、ダンシリ2007年フランスリーディングサイアーに、南半球ではフライングスパーが2006-2007年、リダウツチョイスが2005-2006年と2009-2010年、ファストネットロックが2011-2012年と2014-2015年にオーストラリアリーディングサイアーになっている。

日本では1996年に1年だけリース種牡馬としてイーストスタッドで種牡馬生活を送った。産駒としてフサイチソニック神戸新聞杯)やブレイクタイム京成杯オータムハンデキャップ2回・安田記念2着)などの活躍馬を出したが、当初の期待ほどの大物産駒は現れなかった(ただし、1997年生まれの生産年別統計ではサンデーサイレンストニービンに次ぐ3位で、ブライアンズタイムなどよりは上位の成績を残してはいた)。その他外国産馬としてではあるが、秋華賞およびエリザベス女王杯を優勝したファインモーションエプソムカップ勝ち馬のツクバシンフォニーなどを出している。その後も産駒が何頭か輸入されていたが、海外における実績と比較してやや小粒な印象は否めなかった。

母の父としても良績を残しており、凱旋門賞優勝馬デインドリームなどのほか、日本でもエイジアンウインズヴィクトリアマイル)、フェノーメノ天皇賞(春)2回)といったGI馬を出した。特に父ガリレオとの配合には顕著な実績を挙げ、歴代最高レーティングを獲得したフランケルを代表として多くの活躍馬を輩出している。

種牡馬成績[編集]

  • イギリス・アイルランドリーディングサイアー - 3回(2005年-2007年) 
  • オーストラリアリーディングサイアー - 9回(1994/95年-1996/97年、1999/00年-2004/05年) 
  • フランスリーディングサイアー - 2回(2001年、2007年)

主な産駒[編集]

そのほか日本調教馬[編集]

母の父としての主な産駒[編集]

血統表[編集]

デインヒル血統 (血統表の出典)
父系 ダンジグ系

Danzig
1977 鹿毛
父の父
Northern Dancer
1961 鹿毛
Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
父の母
Pas de Nom
1968 黒鹿毛
Admiral's Voyage Crafty Admiral
Olympia Lou
Petitioner Petition
Steady Aim

Razyana
1981 鹿毛
His Majesty
1968 鹿毛
Ribot Tenerani
Romanella
Flower Bowl Alibhai
Flower Bed
母の母
Spring Adieu
1974 鹿毛
Buckpasser Tom Fool
Busanda
Natalma Native Dancer
Almahmoud F-No.2-d
5代内の近親交配 Natalma 3×3、Hyperion 5×5


外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. ^ レッドキングダム - JBIS 2015年4月1日閲覧
先代
アイルランドの旗ラストタイクーン
ニュージーランドの旗ザビール
リーディングサイアー
(オーストラリア)
1994-95年 - 1996-97年
1999-00年 - 2004-05年
次代
ニュージーランドの旗ザビール
オーストラリアの旗リダウツチョイス
先代
アメリカ合衆国の旗サドラーズウェルズ
リーディングサイアー
(イギリス&アイルランド)
2005年 - 2007年
次代
アイルランドの旗ガリレオ