テオフィリン
テオフィリン | |
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IUPAC名 | 1,3-ジメチルキサンチン |
別名 | 1,3-ジメチル-7H-プリン-2,6-ジオン |
分子式 | C7H8N4O2 |
分子量 | 180.16 |
CAS登録番号 | 58-55-9 |
形状 | 白色結晶 |
融点 | 272 °C |
SMILES | n1(C)c(=O)n(C)c2nc[nH]c2c1=O |
出典 | ICSC |
テオフィリン (theophylline) は茶葉に含まれる苦味成分である。アルカロイドの一種で、キサンチン誘導体に分類される。また医薬品として、気管支喘息や慢性気管支炎などの呼吸器系疾患の治療に用いられる。茶葉に含まれる量は、医薬品として用いられる量に比べて非常に少ない。
日本における商品名は「テオドール」(田辺三菱製薬)、「ユニフィル」(大塚製薬)などがあるが、この他に現在は後発医薬品が各社から販売されている。
歴史
1859年 Salterは濃いコーヒーが喘息治療に有効であることを報告。 1888年 ドイツ人生物学者アルブレヒト・コッセルが、カフェインよりも気管支平滑筋拡張作用がはるかに強力であるテオフィリンを茶葉から抽出単離。 1896年には構造が決定され、ドイツ人の化学者ヴィルヘルム・トラウベによって化学合成がなされた。 1937年 Herrmannらが気管支喘息の急性発作に対するテオフィリン(アミノフィリン)の臨床的有用性を報告。 1950年代に入ると、呼吸器系疾患の治療に用いられるようになった。
構造
テオフィリンはキサンチンの誘導体の一つであり、上図の構造の中でR1とR2がメチル基で置換された構造をしている。R2とR3がメチル基で置換されたテオブロミン(3,7-ジメチルキサンチン)とは位置異性体の関係にある。
生理作用
テオフィリンは強力な気管支拡張作用があり、喘息や気管支炎の治療薬として使われている。しかしその際に、副作用で痙攣を起こすことがあり問題になっている。
作用機序
テオフィリンの作用は主として、ホスホジエステラーゼの阻害によるセカンドメッセンジャーとしての細胞内cAMP濃度の増大によるものである。心筋や気管支平滑筋などに存在するアドレナリンβ受容体はアデニル酸シクラーゼと共役しているため、テオフィリンの摂取・服用はアドレナリンβ作用を強め、気管支平滑筋を弛緩させ、喘息等に効果を示す。
合成経路
テオフィリンは、1,3-ジメチル尿素とシアノ酢酸エチルから始め、1,3-ジメチル-6-アミノウラシル、1,3-ジメチル-5-ニトロソ-6-アミノウラシル、1,3-ジメチル-5,6-ジアミノウラシルを経て人工的に合成される。
効能・効果
気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫合成経路
用法・用量
成人には 1回200mgを、小児には1回100~200mgを、 1日2回、朝及び就寝前に経口投与する。