ティロ・ザラツィン
ティロ・ザラツィン Thilo Sarrazin | |
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2009年6月のティロ・ザラツィン | |
生年月日 | 1945年2月12日(79歳) |
出生地 | ドイツ国、ゲーラ |
出身校 | ボン大学 |
所属政党 | ドイツ社会民主党 |
ドイツ連邦銀行理事 | |
在任期間 | 2009年4月30日 - 2010年9月30日 |
連邦大統領 |
ホルスト・ケーラー クリスティアン・ヴルフ |
ティロ・ザラツィン(Thilo Sarrazin、1945年2月12日 - )は、ドイツの政治家。ドイツ連邦銀行の理事会のメンバーを2010年9月30日まで務めた。下記にみられる移民に対する強硬な発言から右派政党の一員に思われるが、ザラツィンは移民受け入れを推奨してきた中道左派のSPDの所属である。
経歴
1945年にドイツテューリンゲン州ゲーラに、医者の父と西プロイセン(en:West Prussian)の地主の娘との間に生まれた。父親の家系はブルゴーニュ地方に起源を持つユグノーのフランス系で、祖母はイングランド系とイタリア系であった。『ザラツィン』という名前は『サラセン人』(イスラム教徒)を起源に持つ名前であるが、中世のアラブ系の海賊から取られた南フランスでは一般的な名字であるとザラツィン自身が説明している。彼の母親はポーランド系である[1][2]。
ザラツィンは2002年1月からベルリン州の金融を担当する議員を務め、2009年4月にドイツ連邦銀行の理事に任命されたが、自著の中でトルコ人など近年ドイツ社会で増加するムスリム移民に対して人種差別的な発言をしたため、クリスティアン・ヴルフ大統領により理事の職を解任させられた。
問題発言
ザラツィンは自著『Deutschland schafft sich ab』(ドイツが消える、といった意)の中で、イスラム教徒の移民によりドイツが貧困化すると主張した。また、すべてのユダヤ人はある特定の遺伝子を持っており、その特性はスペイン北部のバスク人と共通するとの自説を展開するなどしたため国内の反発を呼び、アンゲラ・メルケル独首相や欧州中央銀行のジャン=クロード・トリシェなどもザラツィンの一連の発言を批判した[3]。
その一方でザラツィンの考えを支持する意見も少なくなく[3]、著書自体は専門書であるにもかかわらず発売後3ヶ月で100万部以上のベストセラーとなり、ドイツ国内で賛否両論を巻き起こしている[4]。
脚注
- ^ Koch, Tanit (2009年10月11日). “Thilo Sarrazin ist ein großer Integrationserfolg” (German). Die Welt 2010年9月5日閲覧。
- ^ en:Thilo Sarrazin.19:50, 11 October 2010版
- ^ a b “人種差別発言でドイツ中銀理事解任へ、タブーに踏み込んだとの評価も” (日本語). AFPBB News (フランス通信社). (2010年9月3日) 2010年12月2日閲覧。
- ^ “イスラム移民が増え、国が消える?独で移民論争” (日本語). 読売新聞. (2010年12月2日) 2010年12月2日閲覧。