チョウジガマズミ

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チョウジガマズミ
東京大学小石川植物園 2013年4月
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : キク亜綱 Asteridae
: マツムシソウ目 Dipsacales
: レンプクソウ科 Adoxaceae
: ガマズミ属 Viburnum
: オオチョウジガマズミ V. carlesii
変種 : チョウジガマズミ V. c var. bitchiuense
学名
Viburnum carlesii Hemsl. var. bitchiuense (Makino) Nakai[1]
和名
チョウジガマズミ

チョウジガマズミ(学名:Viburnum carlesii var. bitchiuense )は、レンプクソウ科(旧分類ではスイカズラ科ガマズミ属落葉低木オオチョウジガマズミ(学名:Viburnum carlesii var. carlesii )を分類上の基本種とする変種[2][3]。別名、チュウゴクガマズミ[1][2]

新しいAPG植物分類体系ではガマズミ属は、ニワトコ属とともに、スイカズラ科からレンプクソウ科に移されている[4]

特徴[編集]

落葉低木。樹高は1-3mになり、まばらに分枝する。の樹皮は灰褐色で、縦に裂け目が入る。若いは紫褐色で、ごく細かい星状毛が生える。は対生し、葉柄は長さ3-9mmになり、ごく細かい星状毛が生え、托葉はない。葉身は長さ3-10cm、幅1.5-7cm、形は広卵形から狭楕円形、まれに心形で、先端は鋭頭または短い鋭尖頭で、基部は円形でときに心形になり、縁には鋸歯がある。葉の表面は分岐毛か短い開出毛があり、裏面には褐色の粉状の細かい星状毛と1-7放射状の星状毛が密生する。側脈は4-6対あり、わずかに曲がって葉の縁まで伸び、表面はへこみ裏面に突き出る[2][3]

花期は4月下旬-5月。枝先に径3-6cmになる集散花序をつけ、まばらに多数の花をつける。総花柄は長さ2-4cm、花序枝は4-6個が放射状に伸び、星状毛が生える。と小苞があり、長さ3-5mmの卵形から楕円形で、細かい星状毛があり、苞は早く落ちる。は5裂し、裂片は長さ0.7-1mmの小さな扁平な卵形で毛はない。花冠は高杯状、径10-15mm、花冠筒部は長さ8-10mmの狭円筒形で、花冠の先は5裂して平開し、裂片は長さ5-6mmの広卵形、白色で花冠外側はピンク色を帯び、つぼみ時は赤紫色で、花に芳香がある。雄蕊は5個あり、花糸の下部は花筒と合着し、花糸の離生部の長さ2-4mm、葯は長楕円形で長さ1.6-2mmになり、黄色。子房は長さ2.5-4mmで無毛、花柱は長さ1-1.3mmで緑色、柱頭は円盤状で赤色になる。果期は6-10月。果実は長さ7-10mmになる扁平な長楕円形の核果で、黒く熟す。中に種子1個が入る核は、長さ6-8mm、厚さ約2mmになる楕円形で、核の背側に3本、腹側に2本の浅い溝がある[2][3]

分布と生育環境[編集]

日本では、本州の中国地方、四国の香川県・愛媛県、九州の福岡県に分布し、標高20-500mの山地にまれに生育し、石灰岩質の急な斜面や海岸の岩場にもみられる[2]。岡山県、香川県、福岡県の各一部地域にややまとまった分布域が知られる。日本以外では朝鮮半島に分布する[3]

保全状況評価[編集]

準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト

ギャラリー[編集]

基本変種[編集]

  • オオチョウジガマズミ Viburnum carlesii Hemsl. var. carlesii [5] - チョウジガマズミの分類上の基本種で、チョウジガマズミより葉にまるみがあり、花が密につき、花が大きい。日本では対馬のみに分布し、日本以外では朝鮮半島に分布する[2][3]。環境省の絶滅危惧IB類(EN)に選定されている。

脚注[編集]

  1. ^ a b チョウジガマズミ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e f 『日本の野生植物 木本II』pp.229-230
  3. ^ a b c d e f 『樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)山溪ハンディ図鑑5』pp.456-457
  4. ^ 大場『植物分類表』p.225
  5. ^ オオチョウジガマズミ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献[編集]