ダガーラ
ダガーラは、東宝の特撮映画『モスラ2 海底の大決戦』に登場する架空の怪獣。
概要
ニライカナイの古代文明で毒を食べるバクテリアなどから合成され、生体海洋浄化システムとして誕生したが、体内で取りこんだ海洋汚染物質を濃縮してベーレムを大量に生み出し、汚染を拡散させてニライカナイ文明を滅ぼした。海洋が汚染されたため、現代に復活する。
外観は半魚獣[1]。水棲に適した形態であり、四肢、特に脚部は鰭であり、背面のマンタのような鰭で空を飛び、口からは猛毒を視覚化した光線を吐く。水中戦が得意で、モスラを水鳥を捕らえた猟犬のように海へ引きずり込み、海から崖に激突させるなどして絶体絶命のピンチにまで追い込む。また、両肩の口状の器官からベーレムを吐き出すが、ニライカナイ遺跡の2度目の襲撃直前に両肩の突起が大型化した強化型へ変貌する。その後、水中モードに変身したモスラと戦い、水中戦の末にミクロ化したモスラに体内のベーレム発生器官を破壊されて倒され、最後にはニライカナイの遺跡(ピラミッド)とともに消滅する。
- 名称は脚本の末谷真澄によって、アッシリア神話のダゴンからつけられた。
- スーツアクターは吉田瑞穂。
- 造形はMONSTERS。着ぐるみは1体のみで、水中撮影が多いためにメンテナンスでは苦労させられたという[2]。水中から頭を出す場面では、頭部だけのギニョールも使用された[2]。強化後の肩の角は、MONSTERSにより撮影中のスタジオ内で制作された[3]。
- モスラとの体内での戦いは、『ゴジラvsモスラ』との原型になった『ゴジラの逆襲』→『ゴジラ対メカニコング』→→『マイクロユニバース イン ゴジラ』のゴジラとメカニコングの戦いで検討された内容である[4]。
データ
武器
- 超重龍爆炎 - 強化後、両肩から放つ破壊光線
- 噴灼毒撃波 - 光線化したベーレム毒素
- 縦列毒撃砲弾 - 背中から連続して毒を撃ち出す
- 轟渦赤猛毒弾 - ベーレムを含んだ巨大竜巻
- 爆龍赤塊光波 - 高速回転してそのエネルギーを射出
漫画版
『月刊コロコロコミック』に掲載された坂井孝行による漫画版では、「ダガーラ」とは古代ニライカナイ語で掃除機を意味する単語であり、ダガーラの正体は汚染された海を浄化するために生体改造された1匹の小さな魚だった。モスラに敗れた後、ダガーラはベルベラに対し、「母親に再会する夢を諦めてモスラを助けた航平のような人間がニライカナイにいれば、自分が改造されることはなかっただろう」と言い残して息絶える。ベルベラの手には1粒の魚卵が遺され、彼女はその卵にイードゥ(親友)という新たな名を与えた。
作中では超重龍爆炎を放つ際に、肩の2つの棘が開く描写がある。
商品化
- 東宝怪獣としては久しぶりの既存キャラクターを元にしていない全くの新怪獣であるが、ダガーラのソフビ人形が単品売りされたことがない。また、レトロ風ソフビやカプセルトイでの商品化もない。
- 『ハイパーホビー』誌[要文献特定詳細情報]のソフビ化して欲しい怪獣のアンケートで、ウルトラ怪獣に混ざってバランと共にランクインしたことがある。
脚注
- ^ シナリオ表記より。
- ^ a b 『東宝特撮映画大全集』ヴィレッジブックス、2012年、256 - 259頁。ISBN 9784864910132。
- ^ 「モスラ2 海底の大決戦 特撮川北組写真館」『宇宙船YEAR BOOK 1998』朝日ソノラマ〈宇宙船別冊〉、1998年4月10日、7頁。雑誌コード:01844-04。
- ^ 監修:川北紘一『平成ゴジラパーフェクション』アスキー・メディアワークス〈DENGEKI HOBBY BOOKS〉、2012年2月10日、131-135頁。ISBN 978-4-04-886119-9。"川北紘一が振り返る 幻の平成ゴジラストーリー"。