ダイエット
ダイエット(diet)とは、規定食という意味である[1][2]
概説
ダイエットは、「規定食」という意味であり、美容や健康保持のために、食事の量や種類を制限することである[1]。
先進国の人々は統計的に見ると栄養過多の傾向があり、(たとえば腎臓病患者数などと比較して)肥満に陥ってしまっている人の数が非常に多く、結果として diet を行う人の比率を見ると痩せるために行っている人が多いので、「diet」が "痩せるための規定食"、という意味で使われている比率が多い。だがダイエット(規定食)は、肥満対策以外に、健康のためにも行われることがあるので、それらについても併せて解説する。
痩せるための諸活動全般に関しては「痩身」の項に譲り、本項では、正しく、運動を除いて、規定食(食事)のみを扱う。[注 2]
原語の定義と語源
「ダイエット」は、英語の diet の音訳。現代英語では1.a「規則的に(=regularly)用意されたり食べられる飲食物」、b「habitual nourishment 習慣的な栄養摂取。(食習慣)」、c 特定の理由で行われる食事の種類や量の規定(規制)2. 徐々に体重を減らすための 飲食による療法(治療指示、治療計画) [5]。
語源については、古代ギリシア語の δίαιτα (diaita ディアイタ、「生活様式(生活習慣)」「生き方」)がある。このdiaitaという語はdiaitasthai(生活を導く、リードする)やdiaitan(分離する、(飲食物を)選ぶ)という語と関係がある。このギリシャ語diaitaがラテン語の diaeta、 中世ラテン語のdieta(日々の仕事、食事の許容(量))、古フランス語の13世紀ころのdieteを経て、英語に入った[6]。
英語の diet には、同綴異義語があり、「(現代ではデンマーク・スウェーデン・日本などの)国会」(通例 the Diet と綴る)等の意味もある。これは、「日程」「日々の勤め」等を意味するラテン語 dieta に由来する。dieta は、ラテン語 dies(「日」の意)の派生語として扱われていたが、実際には、前掲のギリシア語に由来する diaeta のヴァリアントであって、従って、英語の二つの diet は同根の語源を持つ[6]。
ダイエットの一例
総摂取生理的熱量を制限する
- 目的は概説で説明したように、美容のため、健康のため[注 3][注 4]など、人ごとに様々であるが、ともかく、「摂取カロリー<消費カロリー」の状態を保つことで徐々に体脂肪が減り、体重が減り、美容的にも良い結果をもたらし(外見的にも引き締まり)、健康にも良い。
種類(成分)をコントロールする
- 過大な成分を減らす
- 肥満の人
- 特に脂質(油脂や油を含んだ食品)を減らす。[注 5]
- 「油脂」と漠然と呼ばず、それを飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸にしっかり区別して、血管内壁に付着し健康への害が大きいとされる飽和脂肪酸のほうを極力避ける。
- 脂質および糖分を ともに制限する。
- 脂肪や炭水化物の摂取を制限する。
- 食品全般の量を減らし、代わりに非常に低カロリーで食物繊維質を多く含む食品(たっぷりの水・湯で戻したわかめ、こんにゃく、キャベツ、豆腐 等)に置き換える。[注 6]
- 食品全般の量を減らし、代わりに水をたっぷり摂る(例えば一日あたり2 - 5リットル程度。フランスのモデル育成所などが定番的に用いているdiet手法)
- 時間的な制限を行う(例、就寝3時間前以降は水以外は摂らない。夜9時(7時)以降は口にものを入れず水だけにする、等々)
- 現在の食事習慣では、身体的に朝、昼に摂った炭水化物や脂肪で十分であることが多く、運動量が収束に向かう夕方以降に摂取された炭水化物や脂肪は消費されにくいため、これらを制限することにより糖尿病や肥満の防止につながるという考えに基づく。
- 脂肪や炭水化物を控え、代わりにタンパク質を摂る
- 炭水化物を減らす。
- 低炭水化物ダイエット
- アトキンスダイエットでは、通常200 - 300 gである炭水化物の摂取量を20 - 40 gと非常に少なくし、糖分の代わりに脂肪がエネルギーとして使われる状態に誘導する、と考え、2003 - 2004年ごろに流行したが、その後様々な問題があることが明らかになった。
- 高血圧の人 - 塩分の制限。
- 糖尿病の人 - 砂糖の制限。(代替の人工甘味料を用いる場合もある。前述「総カロリーの制限」も併用する。)
- 高脂血症の人 - 油分・油脂の制限
- 腎臓病の人 - 塩分やタンパク質の制限を行うことがある。
該当疾病の病状増悪防止や予防、治療効率の向上を目的として行う。
ダイエットとサプリメント
痩せるために役立つなどとして「ダイエット」という言葉を使いつつ、健康補助食品サプリメント(「ダイエットサプリメント」などと)が売られている。こうしたサプリメントに含まれている成分はL-カルニチン、ギムネマ・シルベスタ、ギャバ、など商品により様々である。脂肪燃焼を促すとされるものや、吸収されるカロリーを抑えるとされるもので、効果の程度は様々である。医薬品とは異なり処方箋無しで購入することができる。まず生活習慣をしっかりと改めた上で、そこに補助的にサプリメントも導入することによってより効果が得られる。
脚注
- 注
- ^ 広辞苑第六版でも、意味が規定食だということに触れたあと「美容・健康保持のために、食事の量・種類を制限すること」と明記してある。あくまで制限である。増量ではない。
- ^ 運動の効果を否定しているわけではない。その反対で、痩せるためには食事の制限とともに適度に運動を行って筋肉も増やし基礎代謝を増やすことが非常に重要であることが、様々な科学的な調査によって明らかになっている。
- ^ 生活習慣病全般の予防を含む。
- ^ 肥満によって関節の負担が増え関節症の症状がある人は、「関節症の症状を和らげるため」に行う人もいる。だが、このようなケースは、肥満になっても気にせず放置したり逃避を続け、「痛み」という感覚、嫌でも知覚しなければならないものが出てようやく対応し、痛みから逃げるため(だけ)に策を講じるわけで、このタイプの人は一般に、肥満によって(関節痛だけでなく)生活習慣病全般に関しても潜在的に危険な状態になっていることが多いので、意識改革が必要で、肥満がもたらす害全般や生活習慣病の起こるしくみやその結果の重大性についてしっかり学ぶ必要がある。
- ^ ダイエットの非常に一般的な入り口としては、揚げ物、フライもの(コロッケ、カツ、から揚げ、天ぷら 等々)を食べない、という方法である。また、脂質を規制するには、洋菓子を食べる習慣がある人の場合、それも和菓子に置き換える、という方法がとられる。
- ^ それぞれ「わかめダイエット」「こんにゃくダイエット」「きゃべつダイエット」…などと名付けられていることがある。ただし、わかめ、こんにゃく、きゃべつ、豆腐…等は、この中から一種類に限定するのではなく、毎食いくつか組み合わせて用意するのが賢明な方法である。複数にすることで味や見た目に変化が生まれ、過度に悲観的な気分になることを回避できる。
キャベツは、たとえ総カロリー制限中でも摂ったほうが良いとされているビタミンを含んでいる。
- 出典
参考文献
- Robert C. Atkins (2003). Dr. Atkins' New Diet Revolution: The No-hunger, Luxurious Weight Loss Plan That Really Works!. Vermilion. ISBN 0-09-188948-0
- ロバート・アトキンス『アトキンス式低炭水化物ダイエット』橋本三四郎 日本語版監修、荒井稔 訳、河出書房新社、2005年6月21日。ISBN 4-309-28014-5 。
- Walter C. Willett; P. J. Skerrett (2001-07-31). Eat, Drink, and Be Healthy: The Harvard Medical School Guide to Healthy Eating. Free Press. ISBN 0-684-86337-5
- ウォルター・C・ウィレット『太らない、病気にならない、おいしいダイエット ハーバード・メディカル・スクール公式ガイド』前田和久 訳、光文社、2003年5月。ISBN 4-334-97396-5。
- Batterham, Rachel L. et al. (1 September 2006). “Critical role for peptide YY in protein-mediated satiation and body-weight regulation”. Cell Metabolism (Elsevier Inc.) 4 (3): 223-233. doi:10.1016/j.cmet.2006.08.001 .
関連項目
- 肥満
- ボディマス指数(BMI)
- 痩身、美容
- メタボリックシンドローム
- 過食症 / 拒食症
- 生活習慣病
- 食生活指針
- 日本食品標準成分表
- 健康管理システム
- 国立病院ダイエット
- グリセミック指数
- アトキンスダイエット
- ダイエット商法
- フードファディズム
外部リンク
- 金本めぐみ、横沢民男、金本益男 「思春期女性の身体意識と食行動に関する研究」、上智大学体育 38, 1-9, 2005-03-01
- 健康食品・サプリメントによる健康被害の現状と患者背景の特徴] 医薬品情報学 Vol. 14 (2012) No. 4 2月 p. 134-143 doi:10.11256/jjdi.14.134