タイワンウチワヤンマ

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タイワンウチワヤンマ
タイワンウチワヤンマ
タイワンウチワヤンマ Ictinogomphus pertinax
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: トンボ目 Odonata
亜目 : トンボ亜目 Epiprocta
下目 : Anisoptera
上科 : ヤンマ上科 Aeshnoidea
: サナエトンボ科 Gomphidae
亜科 : ウチワヤンマ亜科 Lindeniinae
: タイワンウチワヤンマ属 Ictinogomphus
: タイワンウチワヤンマ I. pertinax
学名
Ictinogomphus pertinax
(Selys1854)
和名
タイワンウチワヤンマ

タイワンウチワヤンマ(台湾団扇蜻蜒、学名: Ictinogomphus pertinax[2])は、トンボ目サナエトンボ科昆虫の一種。

分布[編集]

中国香港ラオスミャンマーベトナム台湾日本に分布する[1]

日本では以前は九州南部、四国南部、南西諸島で見られていたが[3]、北東方向に分布域が拡大している[4]

形態[編集]

全長70-81mm、腹長48-56mm、後翅長38-46mmになる[5]

ウチワヤンマと比較して、細い形状で腹部後方のうちわ状の広がりは小さく黒い[3]。また、脚に黄斑が無く、全体が黒い[5]

生態[編集]

海岸に近い平地の池などに生息している[4]。少し汚れた水質の環境にも生息している[3]。成熟したオスは、水辺の植物の上に静止してなわばりを占有し、時々飛び回りながらパトロールを行う。そして、同種のオスや外見の似たトンボがやってくると、激しく追い払う行動を見せる。メスがなわばりに入ってくると、すぐに追尾して連結し、空中で交尾を行う。交尾は数秒で終わる。交尾をしたメスは単独で産卵し、粘着質の糸でつながった卵塊を水面の浮遊物などに間欠的に腹端を打ち付ける。[5]

保全状況評価[編集]

国際自然保護連合(IUCN)により、軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]神奈川県レッドリストで、情報不足の指定を受けている[6]

近縁種[編集]

ウチワヤンマ Sinictinogomphus clavatus
ウチワヤンマ

タイワンウチワヤンマ属[編集]

タイワンウチワヤンマ属学名: Ictinogomphus)には、以下の種が知られている。

脚注[編集]

  1. ^ a b c IUCN 2012. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2012.1. (Ictinogomphus pertinax)” (英語). IUCN. 2012年8月1日閲覧。
  2. ^ 日本産昆虫学名和名辞書(DJI)”. 昆虫学データベース KONCHU. 九州大学大学院農学研究院昆虫学教室. 2011年8月24日閲覧。
  3. ^ a b c トンボのすべて (1999)、52頁
  4. ^ a b トンボのすべて (1999)、134-135頁
  5. ^ a b c 日本のトンボ(2012)
  6. ^ トンボ類 神奈川県レッドリスト(2006)”. 神奈川県 (2006年). 2012年8月1日閲覧。

参考文献[編集]

  • 井上清、谷幸三『トンボのすべて』トンボ出版、1999年6月1日。ISBN 4887161123 
  • 杉村光俊ほか『中国・四国のトンボ図鑑』ミナミヤンマ・クラブ、2008年、132頁。ISBN 978-4-87051-240-5 
  • 福田晴夫ほか『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方 : 野山の宝石たち』(増補改訂版)南方新社、2009年、105頁。ISBN 978-4-86124-168-0 
  • 尾園 暁、川島逸郎・二橋 亮『日本のトンボ』文一総合出版〈ネイチャーガイド〉、2012年、222頁。ISBN 978-4-8299-0119-9 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]