タイム (エレクトリック・ライト・オーケストラのアルバム)

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タイム
エレクトリック・ライト・オーケストラスタジオ・アルバム
リリース
録音 ミュンヘン、ミュージックランドスタジオ
1981年前半
ジャンル ロック
時間
レーベル Jet/Epic/Sony
プロデュース ジェフ・リン
専門評論家によるレビュー
エレクトリック・ライト・オーケストラ アルバム 年表
ディスカバリー
(1979)
タイム
(1981)
シークレット・メッセージ
(1983)
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タイム(Time)は、1981年に発表されたエレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)のアルバム。前作「Discovery」(1979年)、映画のサウンドトラックを担当した「Xanadu」(1980年)のヒットを受け、人気、知名度の絶頂期にあった時期に発表された。全英アルバムチャート第1位を獲得。しかしながら全米チャートでは、ツアーの不調もあり、Billboard POP Albums最高位16位に留まり、米国での人気に翳りが差す結果となった。

このアルバムは、「時間」をテーマにしたコンセプト・アルバムで、当初は二枚組での発売を企画していた。しかし、レコード会社(JET Records)の強い希望によりシングルアルバムとして発売された[1]。全曲ジェフ・リンが作詞、作曲、プロデュースを担当しており、エレクトリックPOP的な要素を強めたPOPな楽曲が目白押しの作品である。主人公が2095年の世界に生きる未来人という設定で、過度のテクノロジーが発達した未来の世界の「21st Century Man」が古き良き時代(アルバム発表時の1981年当時)を振り返る内容の楽曲も収録されており、決して未来は明るくないという英国的なシニカルなニュアンスが込められている。

日本国内ではとても人気の高い「トワイライト」が収録されている。しかし、今までのELOのトレードマークであったストリングス・オーケストラサウンドを大幅に排除し、シンセサイザー中心の完全なポップ・バンドに変貌してしまったことに対して、発売当時、「過度の商業主義に成り下がった」という批判も強かった[2]

本作品は、これまで以上にレコード会社やマネージメント(Don Arden)の干渉が強くなったにも関わらず、米国において期待したほどのセールス結果を残すことができなかった。このことは、その後のELO(特にジェフ・リン)の活動に大きな影を落とすことになっていく。

2001年にはリマスター盤が発売され、アルバム未収録だった楽曲3曲が新たに収められた。

収録曲

  1. プロローグ - Prologue
  2. トワイライト - Twilight
    • シングルカットされた。リチャード・タンディーによるキーボードソロが聞き所。
      DAICON4オープニングアニメ、CX系ドラマ『電車男』オープニングテーマ、トヨタ「セリカ・ダブルエックス」CF曲、Lばんスーパーニュース初代オープニングテーマの原曲などと、日本におけるタイアップが多い。
  3. ロスト・ワールド2095 - Yours Truly, 2095
    • アルバム内でも随一のテクノサウンド。恋人を現代に残し2095年に旅立った青年が、恋人にそっくりのロボットと恋をするという歌詞。
  4. チケット・トゥ・ザ・ムーン - Ticket To The Moon
    • 「ヒア・イズ・ザ・ニュース」と両A面でシングルリリースされた。歌詞では、この曲が発表された80年代を懐かしんでいる。
  5. タイム・トラベラー - The Way Life's Meant To Be
    • シングルカットされた。
  6. 孤独のスペース・シップ - Another Heart Breaks
  7. さらばロンリー・レイン - Rain Is Falling
    • シングルカットされたが、チャートインしなかった。をテーマにしたバラードナンバー。
      曲中には童謡である「Rain Rain Go Away」と「It's Raining, It's Pouring」が挿入されている。
  8. エンド・オブ・ザ・ワールド - From The End Of The World
    • ディスコナンバー。前曲及び次曲とはメドレー。
  9. ライツ・ゴー・ダウン - The Lights Go Down
  10. ヒア・イズ・ザ・ニュース - Here Is The News
    • 「チケット・トゥ・ザ・ムーン」と両A面でシングルリリースされた。
  11. 21世紀の男 - 21st Century Man
  12. ホールド・オン・タイト - Hold On Tight
    • レコード会社からの「ニューアルバムには、次の『Don't Bring Me Down』となるようなヒット曲を必ず収録するように」という強う要望に応える形で、アルバム完成後に急遽ジェフ・リンが書き下ろして追加したものである[3]。本アルバムでのリンの意向に沿った曲ではないため、プロデューサー ジェフ・リンとしては完成したコンセプトアルバムのどこにこの曲を入れたらいいのか相当悩み、アルバムの最後に唐突に始まるような形で入れることにした。当初リンは、レコード会社の圧力に負けてこの曲をアルバムに無理矢理入れたことに対し、かなり不満を持っていたようだが、結果的に前向きな曲でコンセプトアルバムのストーリーが完結することとなったことや、また曲も目論見通りヒットしたことから、現在は一応納得していると言われている。
  13. エピローグ - Epilogue


リマスター盤のボーナス・トラック

  1. バウンサー  The Bouncer
  2. ホエン・タイム・ストゥッド・スティル  When Time Stood Still
    • シングル「ホールド・オン・タイト(Hold On Tight)」B面。元々アルバムに収録予定であった。
  3. ジュリー・ドント・リヴ・ヒア  Julie Don't Live Here
    • シングル「トワイライト(Twilight)」B面。

注釈

  1. ^ 二枚組の予定を途中から一枚にしたため、Timeレコーディングセッションでのアウトテイクは数多く残っており、その一部はその後ボーナストラックなどとして発表されている。
  2. ^ もっともジェフ・リンの制作する楽曲は、特に英国においては、1975年の「Face The Music」の頃より「商業的すぎる音楽性」という批判を浴びていたため、当時は「ついに来るところまで来たか」というニュアンスだった。
  3. ^ 故に、歌詞が1コーラス分しかなく、2番はフランス語訳という苦肉の策になっている