ソングス・オブ・イノセンス (U2のアルバム)
『ソングス・オブ・イノセンス』 | ||||
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U2 の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
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ジャンル | ロック | |||
時間 | ||||
レーベル |
アイランド・レコード[1] ユニバーサルミュージック | |||
プロデュース | デンジャー・マウス, ポール・エプワース, ライアン・テダー, ディクラン・ギャフニー, フラッド | |||
U2 アルバム 年表 | ||||
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ソングス・オブ・イノセンス(Songs of Innocence)は、アイルランドのロックバンド、U2のスタジオ・アルバム。
概要
2009年の『ノー・ライン・オン・ザ・ホライゾン』以来5年7ヶ月ぶりのアルバム。プロデューサーにデンジャー・マウス、ポール・エプワース、ライアン・テダーらを迎え、レコーディングを行った。 また、本作は2015年に延期となる予定だったが、代理人が否定した。
アルバム・ジャケットはグレン・ラッチフォードが担当し、ラリー・マレン・ジュニアとその息子が写っている。初期の『ボーイ』『WAR』のような作風になっている。
2014年9月10日、急遽、iTunesにアルバムが公開。10月13日まで無料でダウンロード可能となった。
「今度の楽曲はどれも書かれる運命にあった曲なんだけど、でも、次第に姿を現わすようなものでもなければ、方法論的に書かれたものでもなくて、俺たちにとって本当に驚いてしまうような形の取り方をしてるんだよ。だから、俺としてはいつも禅アート(水墨画)の絵師のようだと思ってて、1日中ただ墨を擦り続けて、最後の数分間だけで創作のすべてが行われて、作業のすべてが記録されて、俺たちのアルバムっていうのも、いつだってそうやって作られてきたものなんだよ」 - ボノ
iTunes先行配信に関する問題
2014年9月にiTunesで先行配信されたが、この件については賛否両論となっている。
新譜はアップルのデバイスに自動的にダウンロードされ、知らないうちにメモリーが使われてしまうという[2]。苦情を受けたアップルは、16日までにU2のアルバムをiTunesのアカウントから消去するためのウェブサイトを設けている[3]。
これに対し、ボノは「削除したいって人達もいる。でも、この5年間でU2以上にU2の曲を削除した人はいないよ。これだけ多くの人達が曲を聴いてくれた。それには本当にワクワクする。僕が言えるのは、このジャンク・メールの中には血と涙と汗が詰まってるってことだけだ」とコメント[4]。しかし後日、ファンとのQ&Aに応える形で「素晴らしいアイデアに思えて、舞い上がってしまった。自分たちの楽曲が聴かれないかもしれないという恐怖感があった。どうやら私達がうるさくやりすぎてしまったのかもしれない」と謝罪の旨を表明した[5]。
シャロン・オズボーンはU2に対しTwitterで「中年の政治グルーピーの集まりに過ぎないわね」などと綴り、U2やiTunes、ジミー・アイオヴィンを強く批判していた[6]が、後に撤回している[7]。オジー・オズボーンは「U2はフリーでアルバムを配る余裕はある。しかし他のバンドはそんなことはできない。だから新人バンドには難しくなるんだ。ありえないくらい自分勝手だ」と、イギー・ポップも「『俺たちに強制しないでくれ』と言おうとしていた彼らの意見は正しい」と発言し、それぞれ批判した[8]。
逆にメタリカのラーズ・ウルリッヒは、「俺にとってはこの試みは成功するかどうかが問題なんじゃないんだ。これだけ過激なことを俺たちに投げつけてみるだけの根性がU2には備わっていたこと、それとそれだけ先を見ていたという事実が俺には重要なんだよ」と賞賛するコメントをした[9]。またノエル・ギャラガーは、「音楽をタダで配ったりするのには、同意できないね。アルバムというのは、作るのにかなりのコストがかかるものなんだからさ。まあ、当然U2はこれ以上、金はいらないのかもしれないし、それは良かったですね、という感じだけど、俺はこの先も、絶対に無料配信とかはないね」としつつも、「1つ確実に言えるのは、U2はファンを2人増やした。アルバムが無料配信されてから、俺の息子2人とも、今じゃU2の大ファンだからね」と発言した[10]。メガデスのデイヴィッド・エレフソン[11]、トレント・レズナーも肯定のコメントをしている。
Innocence + Experience Tour
アルバムリリース後のツアーは「Innocence + Experience Tour」(オフィシャルポスターはiNNOCENCE + eXPERIENCE)というタイトルで、2015年5月14日のバンクーバー公演からスタート。前回の「360°Tour」とは異なり、マディソン・スクエア・ガーデンやO2アリーナといったアリーナがメインとなった。上述のような問題とは裏腹にアメリカ、カナダ公演のチケットはソールドアウトするなど、成功を収めている。ツアーでは初日にエッジがステージから落ちて怪我をしたり[12]、ツアー中にマネジメントが心臓発作で他界[13]するなどのトラブルも起きた一方、マディソン公演ではレディー・ガガやポール・サイモン、ブルース・スプリングスティーンなどがゲストで参加するなど大きな話題を呼んだ。
同年9月からはイタリアのパラスポーツ・オリンピコ公演からヨーロッパツアーがスタートした。10月26日にはノエルが、29日にはパティ・スミスがゲストで参加した。
「俺が舞台袖に立ってる時、U2が俺を紹介したんだ。俺はその時『今本当にこんなことが起こってるなんて、すごいじゃないか』と思ったんだ」「U2は俺の好きなバンドのひとつだし、“I Still Haven't Found What I'm Looking For”は今まで書かれた中でベストな曲のひとつだ。素晴らしい体験だったし、本当に光栄だったよ」 -
ノエル・ギャラガー
収録曲
全作詞: ボノ, ジ・エッジ、全作曲: U2。 | |||
# | タイトル | Producer(s) | 時間 |
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1. | 「ザ・ミラクル(オブ・ジョーイ・ラモーン) - The Miracle (Of Joey Ramone)」 | Danger Mouse, Paul Epworth, Ryan Tedder | |
2. | 「エヴリー・ブレイキング・ウェィヴ - Every Breaking Wave」 | Danger Mouse, Tedder, Declan Gaffney[a] | |
3. | 「カリフォルニア(ゼア・イズ・ノー・エンド・トゥ・ラヴ) - California (There Is No End to Love)」 | Gaffney, Epworth, Danger Mouse | |
4. | 「ソングス・フォー・サムワン - Song for Someone」 | Tedder, Flood | |
5. | 「アイリス(ホールド・ミー・クローズ) - Iris (Hold Me Close)」 | Epworth, Tedder, Danger Mouse[a] | |
6. | 「ヴォルケーノ - Volcano」 | Gaffney, Epworth[a] | |
7. | 「ライズド・バイ・ウルヴス - Raised by Wolves」 | Gaffney, Danger Mouse | |
8. | 「シダーウッド・ロード - Cedarwood Road」 | Danger Mouse, Epworth | |
9. | 「スリープ・ライク・ア・ベイビー・トゥナイト - Sleep Like a Baby Tonight」 | Danger Mouse | |
10. | 「ディス・イズ・ホエア・ユー・キャン・リーチ・ミー・ナウ - This Is Where You Can Reach Me Now」 | Danger Mouse | |
11. | 「ザ・トラブルズ - The Troubles」 | Danger Mouse, Gaffney[a] | |
合計時間: |
# | タイトル | 時間 |
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1. | 「ルシファーズ・ハンズ - Lucifer's Hands」 | |
2. | 「ザ・クリスタル・ボールルーム - The Crystal Ballroom」 | |
3. | 「アコースティック・セッションズ - Acoustic Sessions[b]」 | |
4. | 「ザ・トラブルズ(オルタナティヴ・ヴァージョン)- The Troubles」(Alternative Version) | |
5. | 「スリープ・ライク・ア・ベイビー・トゥナイト - Sleep Like a Baby Tonight」(オルタナティヴ・パースペクティヴ・ミックス by チャド・ブレイク - Alternative Perspective Mix by Tchad Blake) | |
6. | 「インヴィジブル - Invisible」 | |
合計時間: |
# | タイトル | 時間 |
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7. | 「ザ・クリスタル・ボールルーム(12インチ・ミックス) - The Crystal Ballroom」(12″ mix[c]) |
- Notes
- ^[a] signifies an additional producer
- ^[b] 以下の6曲が収録されている
- 1. "Every Breaking Wave"
- 2. "California (There is No End to Love)"
- 3. "Raised By Wolves"
- 4. "Cedarwood Road"
- 5. "Song For Someone"
- 6. "The Miracle (of Joey Ramone)" (Busker Version)
- ^[c] 海外アナログ盤収録曲
脚注
- ^ “Songs of Innocence by U2”. iTunes. 2014年9月9日閲覧。
- ^ ただし、ユーザーの設定にもよる。
- ^ U2って誰だよ…無料配信に苦情殺到 「削除してくれよ」「こんなのいらない」 ただし、削除すると有料配信されるまで利用不可になる。
- ^ 賛否両論の無料配信に、U2「騒ぎを起こすのが僕らの役目」
- ^ U2のボノ、新作『ソングス・オブ・イノセンス』の無料一括配信について「ごめん」
- ^ シャロン・オズボーン、U2を攻撃
- ^ [シャロン・オズボーン、U2の態度に自己嫌悪]
- ^ イギー・ポップやオジー・オズボーン、ザ・ブラック・キーズらがU2の無料配信戦略を批判
- ^ メタリカのラーズ・ウルリッヒ、U2の新作リリース方法は称賛に値すると語る
- ^ ノエル、U2の無料配信にちなみコールドプレイ新作のリリース形態を大胆予測
- ^ メガデスのD・エレフソン、U2の新作無料配信を「尊敬の念しかない」と擁護
- ^ U2のジ・エッジ、ツアー初日にステージから転落
- ^ U2のツアー・マネージャーのデニス・シーハンがツアー中に心臓発作で他界
- ^ http://ro69.jp/news/detail/133209 ノエル・ギャラガー、U2との共演に「夢が叶った」と語る
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