セアト・レオン

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レオンLEON)は、セアトが製造・販売している(Cセグメントハッチバックおよびステーションワゴンである。

初代 (1998-2005年)[編集]

レオン
1M型
レース仕様
概要
製造国 スペインの旗 スペイン
ベルギーの旗 ベルギー
販売期間 1998-2005年
デザイン ジョルジェット・ジウジアーロ
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドアハッチバック
駆動方式 FF
AWD
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.4/1.6/1.8L I4
2.8L VR6
ディーゼル:
1.9L I4
変速機 4AT
5/6MT
車両寸法
ホイールベース 2,515mm
全長 4,185mm
全幅 1,740mm
全高 1,440mm
車両重量 1,210–1,628kg
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1998年発表。フォルクスワーゲングループの傘下であるセアトの二代目トレドが、4ドアセダンの車名となり(先代トレドは5ドアのハッチバックセダンであった)トレドのハッチバック版にレオンの名前をつけたことで初代レオンが誕生した。これにより、二代目からのトレドと初代レオンは共にフォルクスワーゲングループのAプラットフォーム使用し、トレドからの派生車種であったため初代レオンと二代目トレド(A4/PQ34)は形式番号が同一の「1M」である。

この車種はセアトの初めてのCセグメントモデルであるが、VWグループ傘下セアトにはゴルフのノウハウや共通部品があり、技術的未成熟な点は特に見当たらない車種であった。販売戦略的に同一セグメントのフォルクスワーゲン・ゴルフなどよりスポーティなイメージを前面に押し出している。後述の「Cupra R」等のモデルが有るように、エンジンラインナップも多岐に渡り、ディーゼルエンジンモデルも用意されている。また131馬力以上の車には6速MTが標準装備され「Cupra R」などの上級グレード車にはマルチリンク式サスペンションが装備されている(その他の通常モデルはトーションビーム)。デザインはジョルジェット・ジウジアーロによるもの。

2006年5月に生産を終了した。

グレード[編集]

Cupra R (2002年-2006年)

  • 元々ターボ無しである 直4 1.8L 125馬力 のエンジンを改良し、ターボ化した 179馬力 の上級モデルである「Cupra」(1999年-2005年)(クプラ:CUP RAcingの意)のエンジンを更に改良したモデル。1.8Lターボは変わらず、前期モデル(02年5月-03年5月)では209馬力、後期モデル(03年5月-06年6月)では224馬力までエンジンを改良している。専用の外装・アルミホイールを装着し、足回りはバックドア右下には「cupura」の小さいエンブレムと、チェッカーフラッグをモチーフにした大きめの「R」のエンブレムが装着されている。

Cupra 4 (2000年-2004年)

その他に、150馬力を発揮する、1.9L ディーゼルエンジンTDIを装備した「Cupra 4 TDI」というモデルも存在したが、販売後わずか一年でこの名前のグレードが販売されなくなった。このモデルのTDIを装備した車自体は存在したが、名前が「Evolution」、「Top Sport」などの名前に変わって販売されていたが、その後「FR("Formula Racing"の意)」として統一され「Cupra」に次ぐスポーツモデルとして、後の二代目レオンのグレード名に使用されることとなる。

2代目 (2005-2012年)[編集]

レオン
1P型
レオン(改良型)
概要
製造国 スペインの旗 スペイン
販売期間 2005-2012年
デザイン ワルテル・デ・シルヴァ
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドアハッチバック
駆動方式 FF
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.2/1.4/1.6/1.8/2.0L I4
ディーゼル:
1.6/1.9/2.0L I4
変速機 5/6MT
車両寸法
ホイールベース 2,580mm
全長 4,315mm
全幅 1,770mm
全高 1,460mm
車両重量 1,176–1,375kg
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2005年5月より生産開始。引き続きVWグループのAプラットフォーム使用しているが、二代目レオンと三代目トレド(A5/PQ35)では形式番号が別(レオンが1P、トレドが5P)である。これは三代目トレドがアルテアからの派生車種であることが理由である。

デザインは元アルファロメオチーフデザイナーのワルテル・デ・シルヴァが行った。デザインの方向性はアルテアからとなっており、特徴的な部分として、フロントに黒いワイパーモール、リアピラーにあるドアハンドル(このスタイルはシルヴァがいたアルファロメオの車にもあった)などが挙げられる。

グレード[編集]

FR (2006年-)

  • 初代レオンからのグレードであるが、二代目での位置づけは「Cupra」に次ぐスポーツモデルとしての役割が大きい。特徴としてマフラーには二つの排気口を備え、エンジンは2.0L TSI 200馬力(2006年-2009年) 209馬力(2009年-)とディーゼルエンジン 2.0L TDI 170馬力のユニットインジェクター式(2006年-2009年) コモンレール式(2009年-)のディーゼルエンジンとガソリンエンジン両方を選べる。トランスミッションは両者とも6速MTであるが、ガソリンエンジンのみ7速DSGを装備可能。

Cupra (2006年-)

  • 初代レオンからの上級グレード。2.0L TSI 241馬力のエンジンを特色とし、0-100kmの加速は6.4秒[1]。純正ホイールは18インチの5スポークを装備し、赤いブレーキ・キャリパー、マフラーは楕円形の一つの排気口を備え、専用塗装や専用内装を装備し、バックドアには通常は「LEON」とネームエンブレムが装着されているが、「CUPRA」と装着されている。2009年には内外装が変更された[2]。また、2009年に「Cupra R」が登場し、同型の2.0L TSI 265馬力に更に改良された[3]。このモデルは、0-100kmの加速は6.2秒。その強靭なスペック故、250キロメートルのリミッター付きである。アウディS3、ゴルフおよびシロッコ Rにも同型のエンジンが装備された。

Copa Edition

  • ドイツセアトが50台限定で発売したモデル。2.0L TFSI 286馬力のエンジンを装備し、最高速は255キロメートルで、0-100kmの加速は5.9秒を記録し、Cupra・Cupra Rをも上回る。足回りはレオンのレース用車両である「Supercopa」に使用されているサスペンションを装備し、大きなエアーインテークやスポイラー、専用ホイール・キセノンヘッドライトを装備している。専用塗装はオレンジにフロントからリヤに2本の黒い縦縞が施されている。なおメキシコで同様の車種が100台限定生産された。メキシコ版のCopa Editionにはドイツセアトには装備がないサンルーフが装備されている。

Streetcopa limited edition

  • 2008年スイスのジュネーブ・オートショーで発表。スイス向けのCopa Editionで、200台の限定車種である。後に200台の限定でWorld Champion Editionと言うフェイスリフト版も販売された。

Cupra 310 Limited Edition

  • オランダセアトが100台限定で発売したモデル。2.0L TFSI 310馬力のエンジンを装備し、最高速は259キロメートルを有する。開発はen:Abt_Sportslineによって行われ、専用塗装にCandy white とInfiri blackのどれかが施され、専用ホイール・盗難防止装置・フロントドアフレームには専用のバッチが装備されている。

3代目 (2012-2020年)[編集]

レオン
5F型
レオンST
概要
製造国 スペインの旗 スペイン
販売期間 2012-2020年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
5ドアステーションワゴン
プラットフォーム MQBプラットフォーム
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.2/1.4/1.8/2.0L I4
ディーゼル:
1.6/2.0L I4
車両寸法
ホイールベース 2,635mm
全長 4,230/4,265mm (3/5ドアハッチバック)
4,550mm (ワゴン)
全幅 1,810mm
全高 1,445mm (ハッチバック)
1,515mm (ワゴン)
車両重量 1,193–1,261kg
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2012年9月、パリモーターショーにおいて3代目モデルを発表。車体骨格にモジュールプラットフォーム「MQB(:Modulen Quer Baukasten)」をアウディ・A3フォルクスワーゲン・ゴルフと同様に採用する[4]

2013年3月5日、3ドアハッチバックモデル「SC」を追加[5]。ホイールベースを5ドアモデルに比べ35mm短縮した。

2013年9月、フランクフルトモーターショーにおいてワゴンモデルの「ST」を発表した[6]。車両重量を5ドアモデルに比べ45kg増の1,233kgとした。

2014年6月、「ST」をベースとしたクロスオーバーSUVモデルの「X-ペリエンス」を欧州で発表した[7]。駆動方式は4WDで車高を若干引き上げている。

2015年9月14日、フランクフルトモーターショーにて「レオン クロススポーツ」を初公開[8]。「レオンSC」の高性能グレード、「クプラ」をベースにクロスオーバー車らしい装備が装着、最低地上高を41mm引き上げた。搭載される2.0L直列4気筒直噴ガソリンターボエンジンは最高出力300ps、最大トルク38.7kgmを発揮する。トランスミッションは6速DSGで駆動方式は4WD、0-100km/h加速は4.9秒である。

2017年1月、マイナーチェンジを実施[9]。エクステリアの変更はグリルの40mm拡大など、小規模な変更に留めた。新たなパワートレインとして1.0L3気筒ターボエンジンと1.6Lディーゼルエンジンが導入された。

2018年8月、3ドアモデル「SC」を廃止[10]

レオン クプラ[編集]

2014年3月、ジュネーヴモーターショーにて高性能モデル「クプラ」「クプラ280」を公開[11]。「クプラ」は2.0L直列4気筒直噴ガソリンターボエンジンを搭載し、最高出力265ps、最大トルク35.7kgm。「クプラ280」はクプラと同じエンジンを搭載しながらも、最高出力が280psへ引き上げられ、0-100km/h加速は5.7秒、最高速度250km/h(リミッター作動)である。また、これらのモデルの初公開と同時に「クプラ280」のニュルブルクリンク北コースにおけるラップタイムについて、7分58秒44の記録を打ち立てたと発表[12]。これまで、量産FF車でのニュルブルクリンク北コースにおける最速ラップタイムは、ルノー・メガーヌR.S.トロフィが2011年6月に打ち立てた8分7秒97で、今回はその記録を9秒以上短縮した。その後、2014年にはルノー・メガーヌRS.275トロフィーRが記録を塗り替えた[13]

2015年3月3日、ステーションワゴン版「ST」における「クプラ」「クプラ280」を初公開した[14]

2015年9月15日、フランクフルトモーターショーにて「クプラ290」を初公開[15]。3ドア、5ドア、ステーションワゴンそれぞれに設定される。「クプラ280」のパワーアップ版で最高出力が290psへ10ps引き上げられた。

2017年よりリリースされた「クプラ300」は最高出力を300psに引き上げ、0-100km/h加速は5.8秒[16]。1,984cc直列4気筒エンジンに6速MTまたは6速DCTを組み合わせ、駆動方式はFFのみ[17]。ただし、ステーションワゴン版の「ST」のみ4WDとDCTを組み合わせている。

2017年後半にリリースされた「クプラR」は799台限定でそのうち300台は最高出力300psを発揮する2.0LTSIエンジンに6速DSGを組み合わせる[18]。残りの499台は最高出力を10ps引き上げ310psとなっており、6速MTを組み合わせている。

4代目 (2020年- )[編集]

レオン(4代目)
KL型
レオン
レオン ST
概要
製造国 スペインの旗 スペイン
販売期間 2020年-
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドアハッチバック
5ドアステーションワゴン
プラットフォーム フォルクスワーゲン・MQB Evo
パワートレイン
エンジン ガソリン
1.0L直列3気筒 TSI
1.5L直列4気筒 TSI
2.0L直列4気筒 TSI
ディーゼル
2.0L直列4気筒 TDI
CNG
1.5L直列4気筒 TGI
マイルドハイブリッド
1.0L直列3気筒 eTSI
1.5L直列4気筒 eTSI
PHEV
1.4L直列4気筒 TSI
変速機 6速MT
7速DSG
6速DSG (PHEV)
車両寸法
ホイールベース 2,686mm
全長 4,368mm
全幅 1,800mm
全高 1,456mm
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2020年1月28日、発表[19]。基本骨格には8代目フォルクスワーゲン・ゴルフや4代目アウディ・A3、4代目シュコダ・オクタヴィアなどフォルクスワーゲングループで広く用いられる「MQB Evo」プラットフォームが採用されている[20]。ヘッドライトはフルLEDを、テールランプは横一文字に結んだデザインを採用した[21]

パワートレインはガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、CNGマイルドハイブリッドプラグインハイブリッドが用意された[22]。1.0L直列3気筒ターボガソリンエンジンには最高出力90psと110psの2種類を、1.5L直列4気筒ターボガソリンエンジンには最高出力130psと150psの2種類を設定した。また、最高出力190psを発揮する2.0Lガソリンエンジンも設定される。マイルドハイブリッドモデルには48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載されている。プラグインハイブリッドモデルは「e-HYBRID」と呼ばれ、5ドアモデルとステーションワゴン(ST)両方に設定される。1.4Lガソリンエンジンに13kWhリチウムイオン電池、6速DSGを組み合わせ、システム全体で最高出力204ps、最大トルク350Nmを発揮する[23]

クプラ・レオン[編集]

2018年、クプラはブランド独立したため、当モデルからは「クプラ・レオン」と呼ばれる。

2020年2月20日、発表[24]。プラグインハイブリッドモデル「e-HYBRID」は1.4Lガソリンエンジンに13kWhリチウムイオン電池を組み合わせ、システム全体で最高出力245ps、最大トルク400Nmを発揮する。ガソリンモデルは全て2.0LTSIを搭載し、最高出力245ps、300ps、310psの3種類。310ps仕様は「ST」のみ選択できる。

車名[編集]

「LEON (レオン)」は、スペイン北部カンタブリカ山脈の麓にある都市「レオン (León)」に由来する。

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 【ロンドンモーターショー06】セアトのWTCCモデル…レオン クプラ”. Response. (2006年7月21日). 2021年3月16日閲覧。
  2. ^ セアト レオン クプラ…WTCCイメージのスポーツグレード”. Response. (2009年4月17日). 2021年3月16日閲覧。
  3. ^ 【フランクフルトモーターショー09】史上最強のセアト…レオン クプラR”. Response. (2009年9月17日). 2021年3月16日閲覧。
  4. ^ Paris 2012: All-New Seat Leon” (英語). autoevolution (2012年9月28日). 2021年3月16日閲覧。
  5. ^ 【ジュネーブモーターショー13】セアト レオン 新型にSC…ショートホイールベースの3ドア”. Response. (2013年3月12日). 2021年3月16日閲覧。
  6. ^ 【フランクフルトモーターショー13】セアト レオン 新型、ワゴンの ST 追加…ゴルフ/A3と車台共用 (レスポンス/2013年9月10日掲載/2020年1月1日閲覧)
  7. ^ セアト レオン 新型に「X-ペリエンス」…クロスオーバー派生 (レスポンス/2014年6月24日掲載/2020年1月1日閲覧)
  8. ^ 【フランクフルトモーターショー15】セアト レオン に「クロススポーツ」…300psターボの小型クロスオーバー”. Response. (2015年9月15日). 2021年3月16日閲覧。
  9. ^ New 2017 SEAT Leon facelift brings big tech upgrades” (英語). AutoEXPRESS (2016年10月20日). 2021年3月17日閲覧。
  10. ^ Seat drops remaining three-door models” (英語). autocar (2018年8月9日). 2021年3月16日閲覧。
  11. ^ 【ジュネーブモーターショー14】セアト レオン 新型に「クプラ」…セアト最強の280psターボ搭載”. Response. (2014年3月3日). 2021年3月16日閲覧。
  12. ^ 【ジュネーブモーターショー14】セアトレオン新型、FF車でニュル最速ラップ…次期 シビック タイプRを牽制”. Response. (2014年3月5日). 2021年3月16日閲覧。
  13. ^ ルノー メガーヌ R.S. 「275トロフィー」、ニュル市販FF車最速に…7分54秒36”. Response. (2014年6月17日). 2021年3月16日閲覧。
  14. ^ 【ジュネーブモーターショー15】セアト レオン 新型に280psターボの「クプラ」…ワゴンにも設定”. Response. (2015年3月11日). 2021年3月16日閲覧。
  15. ^ 【フランクフルトモーターショー15】セアト レオン、「クプラ」を強化…セアト最強の290psターボ”. Response. (2015年9月13日). 2021年3月16日閲覧。
  16. ^ セアト・レオン最強モデル「クプラ300」に試乗 ゴルフRとフォーカスRSは要覚悟”. AUTOCAR JAPAN (2017年2月24日). 2021年3月17日閲覧。
  17. ^ Seat Leon Cupra 300 (2017) review” (英語). carmagazine (2017年2月16日). 2021年3月17日閲覧。
  18. ^ "The new SEAT Leon CUPRA R" (Press release) (英語). seat mediacenter. 22 November 2017. 2021年3月17日閲覧
  19. ^ NOUVELLE SEAT LEON 2020 : NOS 1ÈRES PHOTOS DE LA COMPACTE À BARCELONE” (フランス語). AUTONEWS (2020年1月28日). 2021年3月13日閲覧。
  20. ^ 新型アウディA3スポーツバックに先行試乗。ゴルフより硬目だがアウディらしい走りやマイルドHVのパワー感がある”. carview! (2020年4月2日). 2020年11月2日閲覧。
  21. ^ 2020 SEAT LEON: ENGINES, TECH, PRICE, IMAGES AND UK ON SALE DATE” (英語). DRIVING (2020年1月28日). 2021年3月13日閲覧。
  22. ^ "SEAT launches the all-new SEAT Leon with an investment of more than 1.1 billion euros" (Press release) (英語). seat mediacenter. 28 January 2020. 2021年3月17日閲覧
  23. ^ "New SEAT Leon e-HYBRID: the brand's first plug-in hybrid model reaches the market" (Press release) (英語). seat mediacenter. 18 November 2020. 2021年3月17日閲覧
  24. ^ "New CUPRA Leon charges into the market with electrifying performance" (Press release) (英語). seat mediacenter. 20 February 2020. 2021年3月18日閲覧

関連項目[編集]

外部リンク[編集]