スタンダード・オイル

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スタンダード・オイル
Standard Oil Company
Standard Oil Company logo c. 1911
種類 オハイオ州会社 (1870–1882)
ビジネス・トラスト (1882–1892)
ニュージャージー州持株会社 (1899–1911)[1]
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
オハイオ州クリーブランド (1870–1885)
ニューヨーク州ニューヨーク (1885–1911)[2]
設立 1870年
業種 石油・石炭製品
事業内容 燃料油潤滑油石油化学製品
従業員数 60000人(1909年)
関係する人物 ジョン・ロックフェラー(創業者)
ジョン・オルドリッチ
ウィリアム・ロックフェラー
ヘンリー・H・ロジャーズ
チャールズ・プラット
特記事項:※ 1911年に反トラスト法により解散
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オハイオ州クリーブランドにあったスタンダード・オイルの第1製油所(1899年

スタンダード・オイル: Standard Oil Company)は、アメリカ合衆国石油会社である。ジョン・ロックフェラーとそのパートナーによって1863年に設立されたオハイオ州組合パートナーシップ)を前身として、1870年に設立された。 1911年アメリカ連邦最高裁の命令によって34の新会社に分割された。

概説

ロックフェラーは事業の拡大を行い、ヘンリー・M・フラグラー英語版が所有していた石油精製所を含む5つの精製所を所有する会社(パートナーシップ)、ロックフェラー・アンドリュース・アンド・フラグラー社英語版を経営した。会社は1868年までに世界最大の製油所を所有するまでになった。

1870年1月10日、ロックフェラーはオハイオ州法に基づく株式会社コーポレーション)として、スタンダード・オイル・オブ・オハイオ(オハイオ・スタンダード)を創設した。彼は買収によって競争を勝ち抜き、ペンシルバニア鉄道と共にサウス・インプルーブメント社(South Improvement Company)による製油所の統合戦略を進めたが、この行為はのちにアイダ・ターベルらに批判される結果となった。

1874年チャールズ・プラット・アンド・カンパニー英語版を買収、創立者のチャールズ・プラットヘンリー・H・ロジャーズは買収と同時にオハイオ・スタンダードに加わった。

1878年までに、スタンダード・オイルはアメリカ合衆国内における石油精製能力の90 %を保持していたが、州法によって会社の規模を制限する各州の動きに対応して、1882年信託ビジネス・トラスト)を企業形態とするスタンダード・オイル・トラストが、傘下の企業を支配する体制に再編成された。同社における重要人物は、ヘンリー・H・ロジャーズ、ウィリアム・ロックフェラー英語版、そしてジョン・ロックフェラーの3人であった。

この独占による弊害を防ぐため、1890年連邦議会シャーマン法を制定、これに基づき1892年にオハイオ州最高裁からトラストの破棄命令が下された。しかし、ジョン・ロックフェラーは1897年、規制の緩いニュージャージー州法に基づく株式会社「スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー」(ジャージー・スタンダード)を親会社とする持株会社方式によって再編し、独占を維持した。それでも反トラストの流れは防げず、1911年に連邦最高裁から解体命令が出され、スタンダード・オイルは34の新会社に分割された。なお、シャーマン法はアメリカで最初に制定された独占禁止法であり、クレイトン法連邦取引委員会法英語版とともに反トラスト法の中心をなす法律である。

また、1900年に開発されたばかりのドラム缶を、1902年から量産している。

後継

スタンダード・オイルの後継会社:

  • スタンダード・オイル・オブ・オハイオ(ソハイオ)- 現在BPの一部。
  • スタンダード・オイル・オブ・インディアナ(スタノリンド、後にアモコに改名)- 現在BPの一部。
  • スタンダード・オイル・オブ・ニューヨーク(ソコニー、その後ヴァキューム・オイルと合併)- モービルに改名後、現在エクソンモービルの一部。
  • スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(エッソ、S.O.)- エクソンに改名後、現在エクソンモービルの一部。
  • スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア(ソーカル)- シェブロンに改名後、現在シェブロンの一部。
  • アトランティック・オイル - リッチフィールド石油と合併しアトランティック・リッチフィールド(アーコ en:ARCO)を形成、現在BPの一部。アトランティック部門は離脱しスノコに買収された。
  • スタンダード・オイル・オブ・ケンタッキー(ケイソ)- ソーカルによって買収され、現在シェブロンの一部。
  • コンチネンタル・オイル・カンパニー(コノコ) - フィリップス石油と合併してコノコフィリップスを形成、下流部門は離脱して現在フィリップス66の一部。

他のスタンダード・オイル:

  • スタンダード・オイル・オブ・アイオワ(1911年以前) - スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニアになる
  • スタンダード・オイル・オブ・ミネソタ(1911年以前) - スタンダード・オイル・オブ・インディアナによって買収
  • スタンダード・オイル・オブ・イリノイ(1911年以前) - スタンダード・オイル・オブ・インディアナによって買収
  • スタンダード・オイル・オブ・カンザス(精製のみ) - スタンダード・オイル・オブ・インディアナによって買収
  • スタンダード・オイル・オブ・ミズーリ(1911年以前) - 解散
  • スタンダード・オイル・オブ・ネブラスカ - スタンダード・オイル・オブ・インディアナによって買収
  • スタンダード・オイル・オブ・ルイジアナ - スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(エッソ)が所有
  • スタンダード・オイル・オブ・ブラジル - スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(エッソ)が所有
  • スタンダード・オイル・オブ・コロラド - 1930年代にスタンダード・オイルの商標を用いた詐欺で使用された実態のない会社
  • スタンダード・オイル・オブ・コネチカット - ロックフェラーの会社とは関係の無い燃料油販売業者

1911年の解散で売却された他の企業:

  • アングロアメリカン・オイル社 - 1930年にジャージー・スタンダード社に買収され、現在のエッソUK
  • バックアイ・パイプ・ライン 株式会社ボルネスクライマー
  • ボルネスクライマー株式会社 (化学製品)
  • チェゼブラ・マニュファクチャリングユニリーバが買収)
  • コロニアルオイル
  • クレセント・パイプライン社
  • カンバーランド・パイプライン社(買収先はアシュランド[3])
  • ユーレカパイプライン株式会社
  • ガレナシグナル石油株式会社
  • インディアナパイプライン社
  • ナショナル・トランジット社
  • ニューヨーク・トランジット社
  • ノーザンパイプライン社
  • プレーリーオイル&ガス
  • ソーラーリファイニング
  • サザンパイプライン社
  • サウス・ペン・オイル社 - 最終的にはペンゾイルとなり、現在はシェルの一部となっている。
  • サウスウェストペンシルバニアパイプライン社
  • スワン・アンド・フィンチ
  • ユニオン・タンク・ラインズ
  • ワシントン・オイル社
  • ウォーターズピアース

脚注

  1. ^ John D. and Standard Oil”. Bowling Green State University. 2008年5月7日閲覧。
  2. ^ Rockefellers Timeline”. PBS. 2008年5月7日閲覧。
  3. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「z6bIl」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません

関連項目

外部リンク