スズキ・スペーシア

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スズキ・スペーシア
MK32S/42S型
後期型 X
前期型 X (FF)
前期型 カスタムTS
概要
販売期間 2013年3月 -
ボディ
乗車定員 4人
ボディタイプ 5ドア軽トールワゴン
駆動方式 FF/4WD
パワートレイン
エンジン R06A型 658cc 直3 DOHC 吸排気VVT
R06A型 658cc 直3 DOHC VVT インタークーラーターボ
モーター WA04A型 直流同期電動機
変速機 CVT
前:ストラット
後:I.T.L.
前:ストラット
後:I.T.L.
車両寸法
ホイールベース 2425mm
全長 3395mm
全幅 1475mm
全高 1735-1740mm
車両重量 840-950kg
系譜
先代 スズキ・パレット
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スペーシアSpacia)は、スズキが生産・販売する軽トールワゴン(軽スーパーハイトワゴン)である。

概要

2008年1月から販売されていた「パレット」に替わる実質的後継車として発表された。車種名を変えて新型車として発売される背景として、室内寸法、軽量化、燃費性能などに大きな進歩があったからとされている[1]。そのため、パレットの特徴であった両側スライドドア副変速機構CVTはスペーシアにも継承されており、車両型式もパレットの「MK」を引き継いでいる。

機構・メカニズム

本車種は5代目ワゴンRで初採用された「スズキグリーンテクノロジー」を導入しており、「パレット」の一部グレードで既に導入されていたアイドリングストップシステムは全車標準装備した上で改良を行い、停車前の減速時にアクセルペダルを離した段階からガソリンの供給をカットし、ブレーキペダルを踏んで時速が13km以下になると自動でエンジンを停止することでアイドリングストップ時間を延長し、低燃費に貢献する。ブレーキペダルを離す、ステアリングを操作する、「アイドリングストップOFFスイッチ」を押すのいずれかの動作でエンジンを再始動できるのでスムーズな発進も可能にしている。併せて、坂道発進時には後退を抑制するヒルスタートアシストも装備される。

また、元々アイドリングストップシステムに搭載している鉛バッテリーに加えて高効率リチウムイオンバッテリーを搭載し、オルタネーターを高効率・高出力化したことで減速時に発生するエネルギーを発電・充電し、蓄えた電力をオーディオやメーターなどの電装品に供給することで発電に使用するガソリン使用量を最小限に抑える「ENE-CHARGE(エネチャージ)」や空調ユニットに冷房運転時に凍る蓄冷材を搭載することでアイドリングストップ中により送風運転に切り替わっても冷たい風を送ることができ、室温上昇によるエンジン再始動を抑える効果もある蓄冷技術「ECO-COOL(エコクール)」も搭載する。

エンジンは「パレット」に採用していたK6A型から小型・軽量設計のR06A型(「T」・カスタム「TS」は同仕様のインタークーラーターボ)に置換し、ボディに最高1180MPa級の高張力鋼板を全体の約42%に採用。さらに、ドアパネルやシートフレーム、ルーフ、ラジエーター(16 mm 厚→11.5 mm 厚)、サスペンションなど徹底した軽量化が行なわれ[2]、特に「G」の2WD車は全高1,700mm以上の軽トールワゴンでは最軽量となる840kgを実現した。なおフロアサイドメンバーは、新日鐵住金高張力鋼板である[3]

これらにより、JC08モード燃費で、NA・2WD車は29.0km/L[注釈 1]、ターボ・2WD車は26.0km/Lの優れた低燃費を実現し、ターボ車を含む全車、駆動方式を問わず、「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」および「平成27年度燃費基準+20%」を達成している。

後期型では、NA車において、これまで搭載していた「エネチャージ」に替わり、5代目・後期型ワゴンRやハスラーの一部グレードに装備されている「S-エネチャージ」を新たに搭載。スペーシア用の「S-エネチャージ」はハスラー用と同じく、ISG(Integrated Starter Generator、モーター機能付発電機)のモーターアシスト時間を最長30秒間に、モーターアシストの速度域を発進後〜約85km/hに向上してモーターアシストの時間と頻度を向上した改良型を搭載している。同時に、エンジンも8代目アルトから採用されている、11.5の高圧縮比エキゾーストマニホールド一体型シリンダーヘッドの採用、触媒ケースの簡素化などを行い、ISGの搭載に合わせて補機ベルトシステムを変更した改良型を採用した。これらにより、JC08モード燃費がNA・2WD車で32.0km/L[注釈 2]、NA・4WD車は29.0km/Lにそれぞれ向上した。

プラットフォームは3代目MRワゴンや5代目ワゴンRと同じ2,425mmのロングホイールベースが特徴の新プラットフォームを採用しており、インパネの内部構造やレイアウトの工夫により、室内長は2,215mmを実現した。「G」は13インチタイヤを採用したことで、ロングホイールベースながら最小回転半径4.2m[注釈 3]をとしたことで取り回しの良さも実現している。

歴史

初代(MK32S/42S型 2013年 - )

2013年2月26日
公式発表(同年3月15日より販売開始)[4]。なお、公式発表の場では後述の「スペーシア カスタム」も展示されたが、この段階では詳細が明らかにされていなかった[5][6]
フロントデザインはボディ同色のフロントグリルを採用するなどシンプルで親しみやすいデザインとし、全てのピラーをブラックアウト化してガラスエリアを連続して見せることで開放感を演出。インパネは上面を低くした上下2段構造とし、上部はブラウン、下部を明るいベージュの2トーンカラーとした。
リアシートは左右独立ダイブダウンリアシートを採用。2回の操作で簡単に格納でき、フラットな荷室スペースを実現するうえ、リアシートを両席格納すると27インチ自転車も積載可能なフラットで広い荷室スペースになるほか、170mmのスライド量がある左右独立スライド機構や5段階のリクライニング機構も備えている。さらに、「X」と「T」には助手席側スライドドアのアウタードアハンドルにワンアクションスイッチを装備し、スイッチ一つで開錠と自動開閉ができる後席左側(助手席側)ワンアクションパワースライドドアやリアドアトリムに直射日光を遮る引き出し式ロールサンシェードを装備(いずれも軽自動車では初採用)。さらに、市販の箱入りティッシュもそのまま収納できるフロントオーバーヘッドコンソールやリモコンスイッチ・携帯キーで施錠すると自動でドアミラーを格納するリモート格納ミラーも装備している。
グレード体系はベーシックグレード「G」、充実グレード「X」、ターボ車「T」の3グレードを設定。ボディカラーは「キャンドルオレンジメタリック」や「フォレストアクアメタリック」を含む7色を設定するが、「X」と「T」にはアルトラパン同様にホワイト2トーンルーフ仕様車が設定されている(本仕様車では前述の新色を含む4色を設定)。
また、全車オーディオレス仕様が基本だが、マルチタッチ対応6.2インチディスプレイやバックモニターを搭載し、BluetoothMHL対応HDMI端子搭載によりiPhoneAndroidスマートフォンなどと接続できるスマートフォン連携ナビゲーションをメーカーオプションに設定している(本装着車ではハンズフリーマイクと外部端子が追加装備され、ウレタンステアリングホイールはオーディオスイッチ付一部シルバー塗装仕様となる)。
パレットと異なり、日産自動車へのOEM供給はされない(理由は日産・ルークスおよび日産・デイズルークスの項目を参照のこと)。
なお、パレットでは廉価グレードを除く全車にサイドエアバッグが標準となっていたが、前述の軽量化の都合に伴い全廃されている。
2013年4月25日
マツダへ2代目フレアワゴンとしてOEM供給を開始。
2013年6月12日
スペーシアの公式発表時に展示されていた「パレットSW」後継車のスポーティモデル「スペーシア カスタムSpacia Custom)」を公式発表し、同日より販売開始[7]
ヘッドランプは鋭い眼光をイメージする形状のディスチャージヘッドランプを採用し、リング状のLEDポジションランプを内蔵。フロントグリルはLEDイルミネーションを内蔵したスケルトンタイプを、LEDリアコンビネーションランプはスモークタイプのクリアレンズを採用。さらに、エアロタイプのバンパーやスポイラー(サイドアンダー、ルーフエンド)を採用し、精進で力強い印象とした。内装はブラックをベースとし、3連スピードメーター、エアコンルーバーリング、インサイドドアハンドルにシルバー加飾を施した。さらに、ノーマルタイプとなるスペーシアに比べて装備内容を充実させており、解錠時のアンサーバック機能はハザードランプの点滅に加え、LEDポジションランプとフロントグリルのLEDイルミネーションが15秒間点灯する機能を追加。フロントガラスには眩しさを軽減するトップシェードが追加されたほか、マルチリフレクターフロントフォグランプ、LEDサイドターンランプ付ドアミラー、フロントスタビライザー、フロントベンチレーテッドディスクブレーキを追加。さらに、「XS」・「TS」には運転席・助手席照明付バニティミラーや本革巻ステアリングホイールを装備し、「TS」には後席両側ワンアクションパワースライドドアも装備した(「XS」のワンアクションパワースライドドアは後席左側(助手席側)のみ標準装備で、後席右側(運転席側)はメーカーオプション設定)。
グレート体系はNA車の「GS」・「XS」とターボ車の「TS」の3グレードを設定。ボディカラーは新色の「スチールシルバーメタリック(オプションカラー)」と「クールカーキパールメタリック」を含む7色を設定(「ブルーイッシュブラックパール3」と「パールホワイト(オプションカラー)」を除いてスペーシアと異なるカラーバリエーションとなる)。
なお、スペーシア カスタムの発売に合わせ、スペーシアの「X」と「T」には後席右側(運転席側)ワンアクションパワースライドドアのオプション設定を追加した。
2013年7月18日
マツダにフレアワゴンカスタムスタイルとして、スペーシアカスタムのOEM供給を開始。
2013年8月26日
スペーシア・スペーシアカスタム全グレードに、レーダーブレーキサポート(衝突被害軽減ブレーキ、レーザーレーダーはフロントガラス内側の上部に配置しており、ワイパー作動域内のため雨天時でも作動する)、誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、ESPをセットにした「レーダーブレーキサポート装着車」を新たに設定(9月17日販売開始)。スペーシアの「レーダーブレーキサポート装着車」は全グレードでフロントグリル下部にメッキを施したフロントメッキグリルとなり、さらに、「G」は14インチタイヤにサイズアップし、フロントスタビライザーを追加装備した[8]。また、販売店アクセサリーの純正カーナビゲーションには、スズキ初のワイドDINサイズ(幅200mm)のワイドナビ4機種が設定された[注釈 4]。なお、市販のワイドDINサイズカーナビゲーションも、インパネのオーディオガーニッシュを販売店アクセサリーのオーディオ交換ガーニッシュ(ワイドDIN対応)に変えることで装着可能である。
2013年10月28日
福祉車両「ウィズシリーズ」の新ラインナップとして、「車いす移動車」を発売[9]。ヘッドレストを付けたまま折りたためるリアシートを採用することでベース車同様に4名乗車も可能。また、解除ノブを引き上げながらゆっくり手前に引いて接地させるだけのワンアクションでスムーズに準備ができるテールゲート一体型スロープを採用し、ベルトをすばやく引き出せるフリーモード付電動ウインチとワイヤレスリモコンを装備。また、手すりと車いす乗員用3点式シートベルトを装備し、車いすを固定するための固定ベルトは4点固定とした。グレード体系は「G」と「X」の2グレードで、「G」にはリアシート無車も設定される。ボディカラーは「シルキーシルバーメタリック」、「パールホワイト(オプションカラー)」、「X」専用色の「フィズブルーパールメタリック」の3色を設定する。
2013年11月23日
「2013-2014日本カー・オブ・ザ・イヤー」において、最も優れた軽自動車に与えられる「スモールモビリティ部門賞」を受賞した[10](フレアワゴンも同時受賞)。
2014年5月
仕様変更。スペーシアカスタムのボディカラー「ルナグレーパールメタリック」、スペーシア「T」のホワイト2トーンルーフ車を廃止。なお、「ルナグレーパールメタリック」は同時にワゴンR(スティングレーも含む)からも廃止されている。
2014年6月12日
特別仕様車「Xリミテッド」・「カスタム XSリミテッド」を発売[11]
「X レーダーブレーキサポート装着車」・「カスタム XS レーダーブレーキサポート装着車」をベースに、共通装備として、ワンアクションパワースライドドアをベース車に標準装備している後席左側(助手席側)に加え、ベース車ではオプション設定となっている後席右側(運転席側)も特別装備して後席両側にグレードアップするとともに、プレミアムUV&IRカットガラス(フロントドア)、ステアリングオーディオスイッチ(スマートフォン連携ナビゲーション装着車の場合はベース車に標準装備)、運転席&助手席シートヒーター(4WD車はベース車に標準装備されている運転席シートヒーターに加え、助手席シートヒーターを追加装備)、リアヒーターダクト(2WD車のみ、4WD車はベース車に標準装備)を装備し、ヒーターそのものもエンジン始動直後の低水温時にCVTクーラーへのエンジン冷却水の流れを遮断して冷却水を短時間で温めることでヒーターがきき始めるまでの時間を短縮する改良を行った。
「Xリミテッド」はスポイラー(フロント・サイド・リアアンダー・ルーフエンド)、14インチアルミホイール、LEDサイドターンランプ付ドアミラーを装備するとともに、フロントグリルは専用デザインに変更し、バックドアガーニッシュと共にメッキ化、バックドアを除くカラードドアハンドルをスチールシルバーメタリック塗装にすることで洗練された外観とし、内装はブラックを基調に、ファブリックシート表皮とドアトリムクロスにグレー、ドアアームレスト・インサイドドアハンドル・オーディオガーニッシュにシルバー、シフトノブボタンにメッキを採用してシックな印象にするとともに、メーターは常時照明式のカスタム仕様に変更した。さらに、ディスチャージヘッドランプ(ロービーム、オートレベリング機構付)、オートライトシステム、助手席バニティミラー(チケットホルダー付)も特別装備した。ボディカラーは特別設定色の「アーバンブラウンパールメタリック」、カスタム専用色である「クールカーキパールメタリック」と「スチールシルバーメタリック(オプションカラー)」を含む5色を設定した。
「カスタム XSリミテッド」はスケルトンタイプのフロントグリルとヘッドランプにブラックメッキを、ファブリックシートの一部とドアトリムクロスにレザー調をそれぞれ採用し、LEDイルミネーション(フロントバンパー)、ブラック塗装の専用15インチアルミホイールを装備。ファブリックシートと本革巻ステアリングホイールにはシルバーステッチを施した。また、ボディカラーは4色を設定するほか、「ブルーイッシュブラックパール3」を除く3色にはオプションで「ブラック2トーンルーフ」も設定される。
2014年7月1日
仕様変更。レーダーブレーキサポートを「T」に標準装備化した。
2014年11月4日
車いす移動車を一部改良[12]
レーダーブレーキサポート(衝突被害軽減ブレーキ)、誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、ESPを標準装備化し、既存の「G」と「X」はフロントグリルをメッキ化した。さらに、「G」からエネチャージ、アイドリングストップシステム、エコクール、フロントメッキグリルを省いたベーシック仕様の廉価グレード「E」を新設するとともに、「G」と「X」は装備を充実しながらも車両本体価格を一律4.2万円値下げ、リアシートなし車は「G」から新設の「E」の設定に変更となった。
2014年12月18日
特別仕様車「カスタム J STYLE」を発売[13]
「カスタムXS」をベースに、外観はLEDサイドターンランプ付ドアミラーとアウタードアハンドルをゴールドに、バックドアガーニッシュとスケルトンタイプのフロントグリルをゴールドメッキに変更し、左右フロントフェンダーにJ STYLEエンブレムを装着。内装はドアアームレスト・ステアリングガーニッシュ・ステアリングステッチ・エアコンルーバーリング・エアコンルーバーガーニッシュにゴールド加飾を施し、ファブリックシート表皮はブラックを基調に金箔をイメージした模様があしなわた。また、専用デカール(ボンネット・ボディーサイド)、シート表皮と同じデザインとした専用フロアマット、「J STYLE」ロゴ入り黒の専用携帯リモコンカバーを同梱した(販売会社で装着)。装備面では、LEDフロントフォグランプ、プレミアムUV&IRカットガラス(フロントドア)、助手席シートヒーター、15インチアルミホイール、ステアリングオーディオスイッチを特別装備し、後席ワンアクションパワースライドドア(挟み込み防止機構付)はベース車に標準装備されている後席左側に加えて後席右側にも特別装備して後席両側にグレードアップ。2WD車は4WD車に標準装備されている運転席シートヒーター、リアヒーターダクトも特別装備。さらに、カタロググレードでは設定されていないバックアイカメラをメーカーオプション設定した(使用の際にはバックアイカメラ対応純正ナビゲーションと電源ボックスが別途必要)。ボディカラーは4色を設定した。
併せて、販売店アクセサリーの純正カーナビゲーションには、5代目ワゴンR(後期型)に引き続き8インチワイドナビ(JVCケンウッド製(ケンウッドブランド))が設定された。
2015年4月1日
仕様変更。新たに設けられた「平成32年度燃費基準」を全車で達成。特にNA車は「平成32年度燃費基準+10%」を達成した。
2015年5月19日
マイナーチェンジ(2型)[14]
NA車の全グレードに搭載されていた「エネチャージ」に替わり、「S-エネチャージ」を搭載(これに伴い、排ガス記号がハイブリッドカーを示す"DAA"、車両型式がMK42S型にそれぞれ変更し、主要燃費向上対策にハイブリッドシステムが追加明記される。また、リア右下に装着していた「IDLING STOP」エンブレムを「S-エネチャージ」エンブレムに変更)。エンジンの改良と相まって燃費を向上し、NA車全車で「平成32年度燃費基準+20%」を達成した。
併せて、既採用の「レーダーブレーキサポート」を発展し、軽自動車で初めてとなる2つのカメラを採用したステレオカメラ方式の「デュアルカメラブレーキサポート」を採用し、全車にメーカーオプション設定。検知できる速度域を「レーダーブレーキサポート」の約5km/h〜約30km/hから約5km/h〜約100km/hに拡大するとともに、車両だけでなく歩行者にも対応。併せて、「レーダーブレーキサポート」にも備わっている自動ブレーキ機能に加え、衝突の可能性があると判断した場合にブザー音とメーター内の表示によって警報を発する前方衝突警報機能、衝突の可能性が高まると警報と共に自動的に弱いブレーキを作動してドライバーに衝突回避を促す前方衝突警報ブレーキ機能、衝突の可能性が高いと判断したあと、ドライバーがブレーキを強く踏んだ時にブレーキアシストを作動させて制動力を高める前方衝突被害軽減ブレーキアシスト機能[注釈 5]で構成される。このほか、「レーダーブレーキサポート装着車」にも装備していた誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、ESPに加え、車線逸脱警報機能、先行車発進お知らせ機能、そして、軽自動車で初めてとなるふらつき警報機能も併せてセットされる。なお、スペーシアで「デュアルカメラブレーキサポート」を装着した場合、カスタムでは標準装備されているトップシェード付フロントガラスも同時にセットされる。
「X」・「カスタムXS」にメーカーオプション設定されているナビゲーションも改良となり、7インチに大画面化してタッチパネルは指紋が付きにくい設計となったほか、セットされるカメラは車両の前後左右に4カ所設置し、車両を真上から見たような俯瞰映像をナビゲーション画面に表示するほか、ボタン操作で前方/後方ワイド映像、助手席側のサイド映像など視点の切替が可能な全方位モニターとなった(なお、全方位モニター付メモリーナビゲーションを装備した場合、TV用ガラスアンテナ、ハンズフリーマイク、外部端子(AUX・USB)が追加装備される)。
さらに、2014年6月に発売された特別仕様車「Xリミテッド」・「カスタムXSリミテッド」に採用されていたCVT温水カットバルブを備えた改良型ヒーターとリアヒーターダクトを標準装備したほか、シートヒーターも2WD車は運転席に、4WD車は運転席と助手席にそれぞれ標準装備。また、防音、防振材の追加により静粛性を高めた。「X」と「カスタムXS」には特別仕様車「Xリミテッド」・「カスタムXSリミテッド」にも装備されていたプレミアムUV&IRカットガラス(フロントドア)を標準装備し、フルオートエアコンに「ナノイー」を新たに搭載した。
そのほか、スペーシアはフロントグリルをこれまで「レーダーブレーキサポート装着車」のみで採用されていたメッキアクセントを新デザインに変更して標準化するとともに、「G」はメーカーセットオプションの設定を廃止する代わりに、「レーダーブレーキサポート装着車」設定時のみに適応していた14インチタイヤとフロントスタビライザーを標準装備化。インテリアカラーはボディカラーに応じてベージュとグレーの2色を設定した[注釈 6]。スペーシアカスタムはグリルにメッキを広範囲に取り入れ、バンパーは立体感とワイド感を増した新デザインに変更するなどフロントデザインを刷新し、内装はシート表皮に赤のアクセントカラーを配置。装備も充実し、「GS」は後席両側スライドドアクローザー、後席左側(助手席側)ワンアクションパワースライドドア(挟み込み防止機構付)[注釈 7]、チルトステアリング、運転席シートリフター、フロントアームレストボックスを新たに標準装備。「XS」はこれまでメーカーオプション設定だった後席右側(運転席側)ワンアクションパワースライドドア(挟み込み防止機構付)を標準装備化し、フロントフォグランプは2014年12月に発売された特別仕様車「J STYLE」と同じLED式に変更した。
ボディカラーは白系(オプションカラー)の「パールホワイト」を「クリスタルホワイトパール」に入れ替えたほか、スペーシアは緑系の「フォレストアクアメタリック」を新規色の「フレンチミントパールメタリック」に(「X」に設定のホワイト2トーンルーフも同様に入れ替え)、8代目アルト採用色の「シフォンアイボリーメタリック」を追加して8色に拡大。スペーシアカスタムは紫系(オプションカラー)の「ミステリアスバイオレットパール」を3代目エブリイワゴン採用色の「ムーンライトバイオレットパールメタリック」に入れ替え、特別仕様車「Xリミテッド」専用色だった「アーバンブラウンパールメタリック」を追加して7色に拡大した。
2015年6月25日
同年5月のマイナーチェンジ後も現行仕様を継続販売していた車いす仕様車をマイナーチェンジ[15]
カタロググレード同様、「G」と「X」は「エネチャージ」を「S-エネチャージ」に変更し、R06A型エンジンを高圧縮比仕様の改良型に置換して燃費を向上するとともに、運転席シートヒーターを装備。さらに、「X」は「ナノイー」搭載フルオートエアコンとプレミアムUV&IRカットガラス(フロントドア)も装備した。「S-エネチャージ」非搭載の廉価グレード「E」はメッキフロントグリルを新たに装備する代わりにキーレスプッシュスタートシステムを非装備化したことで、車両本体価格を1万円値下げした。
2015年8月5日
同年5月のマイナーチェンジで新たに導入した「デュアルカメラブレーキサポート」及び全方位モニター装着車において、JNCAP予防安全性能アセスメントにおいて軽自動車内で最高得点となる46点満点中45.8点を獲得し、スズキ車で初となる最高ランクの評価「先進安全車プラス(ASV+)」を獲得したことを発表。特に、車線逸脱警報装置(LDWS)と後方視界情報提供装置(バックビューモニタ)の2項目では満点評価となった[16]
2015年8月18日
同年5月のNA車のマイナーチェンジ時に予告されていたターボ車をマイナーチェンジ[17]
NA車同様に前期型の「エネチャージ」から「S-エネチャージ」に置換。ターボ車用の「S-エネチャージ」はモーターアシストの速度域の上限をNA車の約85km/hから約100km/Lに向上することでモーターアシストの頻度を向上させたことで燃費を向上し、2WD車は「平成32年度燃費基準+10%」を達成した。さらに、ターボ車専用装備としてクルーズコントロールシステムと7速マニュアルモード付パドルシフトも装備した。
「T」は外観デザインも大幅に変更され、上部に白色LEDのイルミネーションを採用した専用メッキフロントグリル、メッキバックドアガーニッシュ、LEDサイドターンランプ付ドアミラー、14インチアルミホイールを装備した。スペーシアカスタムのターボ車は前期型の「TS」1グレードから「GSターボ」と「XSターボ」の2グレードに細分化した。
2015年12月21日
特別仕様車「Gリミテッド」発売[18]
「G」をベースに、ベース車ではメーカーオプション設定となっているデュアルカメラブレーキサポートをはじめ、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能を特別装備し、同時にトップシェード付フロントガラスも特別装備。さらに、専用デザインに変更したフロントグリルとバックドアガーニッシュにメッキを、専用仕様に変更したファブリックシート表皮(撥水加工)とドアトリムクロスにブラックを、ドアアームレストとインサイドドアハンドルにシルバーをそれぞれ採用し、ウレタンステアリングホイールには一部シルバー塗装を施した。さらに、後席左側ワンアクションパワースライドドア、後席両側スライドドアクローザー、ステアリングオーディオスイッチ、運転席シートリフター、チルトステアリング、フロントアームレストボックスも特別装備して充実内容としたほか、ベース車では未設定の全方位モニター付メモリーナビゲーションを特別にオプション設定した。ボディカラーは「キャンドルオレンジメタリック」、「イノセントピンクパールメタリック」、「フィズブルーパールメタリック」、「シルキーシルバーメタリック」が設定されない代わりに、スペーシアカスタム専用色である「ムーンライトバイオレットメタリックパール(オプションカラー)」、「アーバンブラウンパールメタリック」、「スチールシルバーメタリック(オプションカラー)」が特別設定される。

車名の由来

  • 英語で「空間」を表す「Space」より。当初は2代目パレットとして開発されていたが、試作車を社内のあらゆる人に見てもらった結果、「広さがネーミングから連想出来るようになれば」という意見が多かったため[19]、「広いスペースを名前からも分かるように」とスペーシアに変更された[20]
  • 東武日光線・鬼怒川線系統の特急用電車の愛称とスペルが同一であるが、東武100系電車の車体ロゴは全て大文字(SPACIA)であるのに対し、当車種では大文字・小文字併用(Spacia)であり、表記が異なる。ちなみに東武100系電車の愛称は一般公募により決定したものである。
  • かつて存在したトヨタ・カローラスパシオ(SPACIO)とは1字違いだが、こちらはイタリア語で「空間」を意味する「SPAZIO」からの造語。しかし、ともに「空間」を表すという共通の意図が垣間見える。

注釈

  1. ^ 「X」の後席右側ワンアクションパワースライドドア装着車および、カスタムのNA・2WD車は27.8km/L
  2. ^ 「X」の後席右側ワンアクションパワースライドドア装着車および、カスタムのNA・2WD車は30.6km/L
  3. ^ 14インチタイヤを採用する「G(レーダーブレーキサポート装着車)」・「X」・「T」およびカスタム「GS」・「XS」は4.4m、15インチタイヤを採用するカスタム「TS」は4.6m
  4. ^ メモリーナビはクラリオン製とパナソニック製、パイオニア製が各1機種ずつ。HDDナビはパイオニア製が1機種のみ。ハスラー8代目アルト6代目エブリイ、3代目エブリイワゴン、3代目アルトラパンも同様。
  5. ^ 場合によっては前方衝突警報ブレーキ機能または自動ブレーキ機能と同時に作動することがある。
  6. ^ グレー内装は「フィズブルーパールメタリック(「X」に設定のホワイト2トーンルーフを含む)」・「シルキーシルバーメタリック」・「ブルーイッシュブラックパール3」のいずれかを選択した場合に適応となり、左記以外のボディカラーを設定した時はベージュ内装となる
  7. ^ スペーシア「X」とは異なり、後席右側(運転席側)ワンアクションパワースライドドア(挟み込み防止機構付)のメーカーオプション設定はない

出典

  1. ^ スズキ、「パレット」からフルチェンした軽ハイトワゴン「スペーシア」発表会 - Car Watch 2013年2月26日 18:23版(インプレス
  2. ^ 写真で見るスズキ「スペーシア」「アルトエコ」Car Watch 2013年2月26日(2013年2月27日 閲覧)
  3. ^ 季刊 新日鉄住金 Vol.3
  4. ^ スズキ、新型軽乗用車「スペーシア」を発売 - スズキ ニュースリリース 2013年2月26日(2013年2月28日閲覧)
  5. ^ ベストカー2013年4・10号 P19(2013年3月12日 閲覧)
  6. ^ スズキ、6月に「スペーシア カスタム」を発売”. Car Watch (2013年5月23日). 2013年6月6日閲覧。
  7. ^ スズキ、ターボ車でクラストップの低燃費 軽乗用車 新型「スペーシア カスタム」を発売 - スズキ株式会社 ニュースリリース 2013年6月12日
  8. ^ スズキ、軽乗用車「スペーシア」、「スペーシア カスタム」に「レーダーブレーキサポート装着車」を設定して発売 - スズキ株式会社 ニュースリリース 2013年8月26日
  9. ^ スズキ福祉車両ウィズシリーズに「スペーシア 車いす移動車」を設定し発売 - スズキ株式会社 ニュースリリース 2013年10月28日
  10. ^ スズキ「スペーシア/スペーシア カスタム」「2013-2014 日本カー・オブ・ザ・イヤー スモールモビリティ部門賞」を受賞 - スズキ株式会社 ニュースリリース 2013年11月23日(2013年11月25日閲覧)
  11. ^ スズキ、軽乗用車「スペーシア」シリーズに、特別仕様車「スペーシア Xリミテッド」、「スペーシア カスタム XSリミテッド」を設定し発売 - スズキ株式会社 ニュースリリース 2014年6月12日
  12. ^ スズキ、福祉車両ウィズシリーズ「スペーシア 車いす移動車」に先進の安全技術を標準装備し発売 - スズキ株式会社 ニュースリリース 2014年11月4日
  13. ^ スズキ、軽乗用車「ワゴンRスティングレー」「スペーシア カスタム」小型乗用車「ソリオ BANDIT」の3車種に特別仕様車「J STYLE」を設定して発売 - スズキ株式会社 ニュースリリース 2014年12月18日
  14. ^ スズキ、32.0km/Lの低燃費と軽初のステレオカメラ方式の衝突被害軽減システムを搭載した軽乗用車「スペーシア」、「スペーシア カスタム」を発売 - スズキ株式会社 ニュースリリース 2015年5月19日
  15. ^ スズキ、福祉車両ウィズシリーズに新型「エブリイ 車いす移動車」「エブリイワゴン 車いす移動車」を設定、「スペーシア 車いす移動車」を一部改良し発売
  16. ^ スズキ、軽乗用車 「スペーシア」「スペーシア カスタム」がJNCAP予防安全性能アセスメントにおいて軽自動車の中で最高得点を獲得 最高ランクの「先進安全車プラス(ASV+)」を獲得 - スズキ株式会社 ニュースリリース 2015年8月5日
  17. ^ スズキ、軽乗用車「スペーシア」「スペーシア カスタム」のターボ車に「S-エネチャージ」を搭載して新設定 - スズキ株式会社 ニュースリリース 2015年8月18日
  18. ^ スズキ、軽乗用車「ワゴンR」と「スペーシア」に特別仕様車を設定し発売 - スズキ株式会社 ニュースリリース 2015年12月21日
  19. ^ スズキ「スペーシア」車名変更の狙いは? 競合相手に妥協なし!(Sankei Biz)2013年3月10日(2013年3月13日閲覧)
  20. ^ スズキ、軽シェア奪還に動く 低燃費の背高ワゴン「スペーシア」投入(Sankei Biz)2013年2月26日(2013年2月27日閲覧)

関連項目

外部リンク