スキー汁
この記事の出典は、Wikipedia:信頼できる情報源に合致していないおそれがあります。 |
スキー汁(スキーじる)は、新潟県上越市を中心とする上越地方で食べられる豚汁の一種である。
スキーブームの時代に作られその名称が付いたものであり、1998年に作られた町おこしの一つとしてPRされている。
概要
明治時代当地にスキーが伝えられ、スキーを元とするさまざまな文化が作られた(日本酒の「スキー正宗」、スキーせんべい、スキー人形、スキー小唄など)。このスキー汁も同様であり、歴史が浅く、郷土食を網羅する農文研発行文献「新潟の食事」にも、新潟日報事業社の「新潟のみそ汁」にもその名称が無い。[1]
調理
具材にサツマイモを用いる。スキー板を模した短冊切りではなくいちょう切りに切られる場合もある。作り方は豚汁と同じである[1]。
上越市役所観光振興課によるレシピ(各材料には以下のような意味合いを持たせている。数量は1人前。)[2]
- 大根30g・ニンジン10g - 短冊に切って“スキー板”
- 豆腐20g - “雪”や“あられ”
- 長ネギ10g・ゴボウ5g - “かんじき”
- 生シイタケ3g - “蓑(みの)”や“笠(かさ)”
- 突きこんにゃく15g - “スキーのシュプール”
- サツマイモ15g
- 豚モモ肉10g
- 味噌10g
- 煮干し3g
- 各材料を切る。大根・ニンジン(短冊切り)、サツマイモ(いちょう切り)、豆腐(角切り)、長ネギ(斜め切り)、生シイタケ(薄切り)、豚肉(2cm幅に切る)。
- 斜めに薄く切ったゴボウを水につけてアクを抜く。
- 大根・突きこんにゃくをそれぞれ下茹でする。
- 煮干は頭とワタをとって、水から煮出してダシをとる。
- だし汁に、ニンジン・大根・突きこんにゃくを入れる。火が通ったら半分の量の味噌・豚モモ肉・ゴボウ・サツマイモを加える。
- 沸騰したら、残り半分の味噌・豆腐・長ネギ・生シイタケを入れて、軽く煮立てる。
歴史
1911年(明治44年)、高田第13師団を訪問していたオーストリア=ハンガリー帝国陸軍のテオドール・フォン・レルヒ少佐が、日本にはじめてスキー技術を伝え指導に当たったことから、同師団ではスキー演習が盛んに行われていた。その時の露営食(屋外での演習中に供される軍隊食)として食べていた豚汁が発祥となったのではないかとされている[1][3]。寒中の冷えた体を温め体力をつけるために、鹿児島出身の兵士が故郷のさつまいもを入れた汁を原型に味噌汁を作ったところ好評を呼んだともされるが、当時の味噌汁にはさつまいもが使用されていた[1]ともされている。第13師団長の長岡外史によって「スキー汁」と名づけられたともされている[1]。
1912年(明治45年)1月21日、新潟県高田の金谷山(現在の新潟県上越市)で開催されたスキー滑走競技会で参加者に振舞われたことから薩摩芋を入れる豚汁が知られるようになり、金谷山麓で窯業を営んでいた斉藤京助が金谷山をおとずれるスキー客相手に1杯10銭で販売したのをきっかけに普及した[1]。
食生活の多様化、西洋化の中で次第に忘れられ、近年ではほとんど知られなくなっている。
1998年(平成10年)、長野冬季オリンピックに連動して上越市ではレルヒ祭を開催し、その催し物のひとつとして、スキー汁のレシピを発表した。その後、地元の調理師協会などが中心となりまちづくり事業として、スキー汁の宣伝・普及活動がすすめられている。