ジョン・ラッキー

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ジョン・ラッキー
John Lackey
シカゴ・カブスでの現役時代
(2016年7月17日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 テキサス州アビリーン
生年月日 (1978-10-23) 1978年10月23日(45歳)
身長
体重
6' 6" =約198.1 cm
235 lb =約106.6 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 1999年 ドラフト2巡目(全体68位)でアナハイム・エンゼルスから指名
初出場 2002年6月24日
最終出場 2017年10月1日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

ジョン・デラン・ラッキーJohn Derran Lackey, 1978年10月23日 - )は、アメリカ合衆国テキサス州アビリーン出身の元プロ野球選手投手)。右投右打。愛称はラック[1]

経歴[編集]

プロ入りとエンゼルス時代[編集]

ロサンゼルス・エンゼルス時代
(2009年7月12日)

1999年MLBドラフト2巡目(全体68位)でアナハイム・エンゼルスから指名を受け、テキサス大学アーリントン校からプロ入り。プロ4年目となる2002年6月24日テキサス・レンジャーズ戦でメジャーデビューを果たし、その年のポストシーズンチームがワールドチャンピオンに輝いた時、第7戦に先発登板していた。その試合で勝ち投手となり、球団史上初の世界一を決めた。第7戦で新人投手が勝ち投手となったのは1909年のワールドシリーズベーブ・アダムズ以来である[2]

マイク・ソーシア監督はエースのジャロッド・ウォッシュバーンスプリングトレーニング期間中に左肩を負傷したため、ラッキーを2003年開幕投手に指名[3]。同年、先発ローテーションに定着し、10勝16敗と負け越したが、翌2004年には14勝13敗を記録した。

2005年7月12日のオールスター開催前までの成績が6勝4敗・防御率4.22だったが、それ以後は8勝1敗・防御率2.57を記録[4]。この成功の要因は、投球の幅を広げるために再び投げ始めたサークルチェンジだった。この当時をラッキー本人は、「若い頃はほとんど投げていなかったから、あまり自信がなかった。でも、もっと質の高い投球をするためには何が必要か、と考えた時にチェンジアップという答えが出たんだ」と語っている[5]。シーズントータルではリーグ3位の199奪三振を記録し、奪三振率はヨハン・サンタナに次ぐリーグ2位の8.57を記録し、防御率3.44はチームメイトで同年サイ・ヤング賞投手バートロ・コローンより良かったが、打線の援護に恵まれず14勝に終わった[6]

2006年開幕戦が行われた4月3日に球団と3年総額1701万ドル(4年目の2009年は球団側選択オプション)で契約延長し[7]、13勝11敗・リーグ5位の防御率3.56、リーグ3位の190奪三振を記録した。7月には5勝1敗・防御率2.08の成績で自身初の月間最優秀投手に選出され、7月7日のオークランド・アスレチックス戦ではマーク・コッツェイに二塁打を1本打たれただけの準完全試合を達成した[8]。シーズンオフに実施された日米野球では、アメリカ代表チームの一員として来日。第1戦と第5戦で先発投手に抜擢された[9]

2007年はリーグ2位タイの19勝・防御率3.01で最優秀防御率のタイトルを獲得し、リーグ最多タイの2完封を記録した。 4月2日のレンジャーズ戦で4年ぶり2回目の開幕投手となり[10]、5回を無失点に抑え、勝ち投手となった[11]。5月11日から6月1日にかけて5戦5勝を記録し、6月13日にリーグ最速で10勝に到達[12]。初のオールスターに選出された。サイ・ヤング賞の投票ではC.C.サバシア(119ポイント)、ジョシュ・ベケット(86ポイント)に次ぐ36ポイントを集めたが[13]、大差での3位だったため評価が不当に低いのではという声もあった[14]

右ヒジ痛のため2008年は開幕を故障者リストで迎え、シーズン初登板は5月14日。5月の登板した4試合は7回以上を投げ、3失点以内に抑え、復活を印象づけた[15]。6月も好調を持続[15]。登板した全5試合で7回以上投げ、2失点以内に抑え、2度目の月間最優秀投手に選出された。6月29日ボストン・レッドソックス戦では9回1死まで無安打に抑えていたが、ダスティン・ペドロイアにヒットを打たれ、ケビン・ユーキリスに2点本塁打を浴びたが、6対2で完投勝利。12勝5敗・防御率3.75の成績でシーズンを終え、球団は900万ドルのオプションを行使し、2009年もエンゼルスでプレーすることが決まった[16]

昨年に続き、2009年も開幕を故障者リストで迎え、シーズン初登板は5月16日のレンジャーズ戦。その復帰戦では、初回先頭打者のイアン・キンズラーに死球を与え、2球で危険球退場となった[17]8月30日のアスレチックス戦で球団史上5人目となる通算100勝を達成[18]。シーズン終了後、FAとなった。

レッドソックス時代[編集]

ボストン・レッドソックス時代
(2011年4月26日)

2009年12月16日にレッドソックスと5年総額8250万ドルの契約に合意[19]。それまでずっと着けていた背番号41はビクター・マルティネスが着けているため、40を選択した。マルティネスがデトロイト・タイガースへ移籍した2011年からは背番号を41に戻した。

2011年オフにトミー・ジョン手術を受け、2012年はマイナーを含めて1試合も登板できなかった。

2013年、開幕5試合目で復帰したものの、その後1試合をAA級ポートランド・シードッグスで調整し、4月28日にようやく本格復帰となった。ワールドシリーズでは最終第6戦で先発し、6回無失点で勝利投手になった。

カージナルス時代[編集]

セントルイス・カージナルス時代
(2015年5月18日)

2014年7月31日、レッドソックスのプレーオフ進出の可能性が低くなったため、アレン・クレイグジョー・ケリーとのトレードで、コーリー・リトレル英語版と共にセントルイス・カージナルスへ移籍した[20]

2015年、自身5年ぶり6度目となる200投球回を記録した。また、自身初めて防御率2点台を記録したが、これは指名打者制のアメリカンリーグのチームの所属が長かったことも影響している。11月2日にFAとなった[21]

カブス時代[編集]

2015年12月8日シカゴ・カブスと2年3200万ドルの契約を結んだ[22]

2016年は29試合に先発、11勝8敗、防御率3.35を記録し、通算2000奪三振を達成した。ディビジョンシリーズリーグチャンピオンシップシリーズではそれぞれ1試合に先発したが、いずれも5回持たず降板、ワールドシリーズでは第4戦に先発したが、5回3失点で敗戦投手となった。

2017年は31試合(先発30試合)に登板し12勝を挙げたが、リーグ最多の36被本塁打を許し防御率4.59と、成績自体は前年よりも落ちる結果となった。11月2日にFAとなった[23]

投球スタイル[編集]

最速96.0mph(約154.5km/h)、平均91.5mph(約147.3km/h)の速球フォーシームツーシーム)と、決め球である平均83.8mphの縦スライダーを中心に使用し、その他に平均79.3mphのカーブ、平均83.9mphのチェンジアップを使用する。2011年以前は平均91.4mphのカッターも投じていたが、2011年のトミー・ジョン手術後(2013年以降)は使用していない。

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2002 ANA
LAA
18 18 1 0 0 9 4 0 0 .692 465 108.1 113 10 33 0 4 69 7 2 52 44 3.66 1.35
2003 33 33 2 2 1 10 16 0 0 .385 885 204.0 223 31 66 4 10 151 11 1 117 105 4.63 1.42
2004 33 32 1 1 0 14 13 0 0 .519 855 198.1 215 22 60 4 8 144 11 1 108 103 4.67 1.39
2005 33 33 1 0 1 14 5 0 0 .737 892 209.0 208 13 71 3 11 199 18 0 85 80 3.44 1.33
2006 33 33 3 2 2 13 11 0 0 .542 922 217.2 203 14 72 4 9 190 16 0 98 86 3.56 1.26
2007 33 33 2 2 1 19 9 0 0 .679 929 224.0 219 18 52 2 12 179 9 1 87 75 3.01 1.21
2008 24 24 3 0 1 12 5 0 0 .706 675 163.1 161 26 40 1 10 130 5 0 71 68 3.75 1.23
2009 27 27 1 1 0 11 8 0 0 .579 748 176.1 177 17 47 1 9 139 6 0 84 75 3.83 1.27
2010 BOS 33 33 0 0 0 14 11 0 0 .560 930 215.0 233 18 72 2 9 156 3 0 114 105 4.40 1.42
2011 28 28 0 0 0 12 12 0 0 .500 743 160.0 203 20 56 1 19 108 11 0 119 114 6.41 1.62
2013 29 29 2 0 1 10 13 0 0 .435 161 189.1 179 26 40 0 6 161 4 0 80 74 3.52 1.16
2014 21 21 1 0 0 11 7 0 0 .611 572 137.1 137 15 32 0 0 116 3 1 60 55 3.60 1.23
STL 10 10 0 0 0 3 3 0 0 .500 261 60.2 69 9 15 1 1 48 1 1 34 29 4.30 1.39
'14計 31 31 1 0 0 14 10 0 0 .583 833 198.0 206 24 47 1 1 164 4 2 94 84 3.82 1.28
2015 33 33 1 0 0 13 10 0 0 .565 896 218.0 211 21 53 5 4 175 5 3 71 67 2.77 1.21
2016 CHC 29 29 0 0 0 11 8 0 0 .579 748 188.1 146 23 53 1 9 180 4 0 74 70 3.35 1.35
2017 31 30 0 0 0 12 12 0 0 .500 731 170.2 165 36 53 3 12 149 11 2 93 87 4.59 1.28
通算:13年 448 446 18 8 7 188 147 0 0 .561 12030 2840.0 2862 319 815 32 133 2294 125 12 1347 1237 3.92 1.30
  • 2018年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高
  • ANA(アナハイム・エンゼルス)は、2005年にLAA(ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)に球団名を変更

タイトル[編集]

表彰[編集]

記録[編集]

背番号[編集]

  • 41(2002年 - 2009年、2011年 - 2017年)
  • 40(2010年)

脚注[編集]

  1. ^ Explaining Cubs Players Weekend nicknames MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年9月29日閲覧
  2. ^ Donovan, John (2002年10月28日). “It was no Game 6, but Angels got what they needed” (英語). SI.com. 2010年5月23日閲覧。
  3. ^ Miller, Doug (2003年3月24日). “Lackey gets Opening Day nod” (英語). MLB.com. 2010年5月23日閲覧。
  4. ^ John Lackey 2005 Pitching Splits” (英語). Baseball-Reference.com. 2008年12月21日閲覧。
  5. ^ 『月刊スラッガー』2005年11月号 日本スポーツ企画出版社 53頁
  6. ^ 友成那智村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2006』廣済堂出版、2006年、172頁。ISBN 978-4-331-51146-6 
  7. ^ Scarr, Mike (2006年4月3日). “Lackey signs through 2009 Pitcher says, 'It is nice for them to show the confidence in me” (英語). MLB.com. 2008年2月7日閲覧。
  8. ^ Ortiz, Lackey named American League Player, Pitcher of the Month” (英語). MLB.com (2006年8月2日). 2010年5月23日閲覧。
  9. ^ イオン日米野球”. 日本野球機構オフィシャルサイト. 2008年12月21日閲覧。
  10. ^ Los Angeles Angels of Anaheim Opening Day Starters and Results” (英語). Baseball-Reference.com. 2008年2月7日閲覧。
  11. ^ April 2, 2007 Texas Rangers at Los Angeles Angels of Anaheim Box Score and Play by Play” (英語). Baseball-Reference.com. 2008年2月7日閲覧。
  12. ^ Associated Press (2007年6月13日). “Lackey pitches streaking Angels past Reds” (英語). ESPN.com. 2010年5月23日閲覧。
  13. ^ Baseball Awards Voting for 2007” (英語). Baseball-Reference.com. 2008年2月7日閲覧。
  14. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2008』廣済堂出版、2008年、190頁。ISBN 978-4-331-51300-2 
  15. ^ a b 小林信行 「MLB30球団最新レポート&全選手個人成績 ロサンゼルス・エンゼルス/LAA ラッキーが投げる時には勝つ空気が流れる」『スラッガー』2008年9月号、日本スポーツ企画出版社、2008年、雑誌 15509-9、79頁
  16. ^ Associated Press (2008年10月28日). “Angels will pick up options for Guerrero, Lackey but decline Anderson's” (英語). ESPN.com. 2008年12月21日閲覧。
  17. ^ Associated Press (2009年5月16日). “Angels' Lackey lasts two pitches in season debut as Rangers win sixth straight” (英語). ESPN.com. 2010年5月23日閲覧。
  18. ^ Associated Press (2009年8月30日). “Lackey picks up 100th win as Hunter, Morales batter A's arms” (英語). ESPN.com. 2010年5月23日閲覧。
  19. ^ Browne, Ian (2009年12月16日). “Red Sox welcome Lackey, Cameron” (英語). MLB.com. 2010年5月23日閲覧。
  20. ^ Cardinals & Red Sox announce trade; Veteran John Lackey added to Redbirds pitching ranks”. MLB.com Cardinals Press Release (2014年7月31日). 2014年8月1日閲覧。
  21. ^ Transactions | cardinals.com” (英語). MLB.com (2015年11月2日). 2015年11月3日閲覧。
  22. ^ Transactions” (英語). MLB.com (2015年12月8日). 2015年12月13日閲覧。
  23. ^ Key free agents for all 30 MLB teams MLB.com (英語) (2017年11月5日) 2017年12月27日閲覧

関連項目[編集]

外部リンク[編集]