ジェダイ

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ジェダイJedi)は、アメリカ映画『スター・ウォーズ』シリーズで使われる用語である。銀河を司るエネルギー「フォース」と光刃を形成する剣「ライトセーバー」を用いて戦う、銀河系の自由と正義の守護者を指す。『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』オリジナル版公開当時の日本語字幕では「共和騎士」と訳されていたが、現在では使われない。

2012年ウォルト・ディズニー・カンパニーによる『スター・ウォーズ』シリーズの制作会社ルーカスフィルム買収に伴い、それ以前に展開していたスピンオフ(外伝)作品は「レジェンズ(非正史)」として分別されることになった[1]。この記事には、実写映画シリーズを始めとする「カノン(正史)」における設定以外にも、スピンオフ(外伝)作品の「レジェンド(非正史)」の内容も含まれる。

概要

ジェダイである人物は作中、「ジェダイの騎士ジェダイ・ナイト」(Jedi Knight)と呼ばれる。ジェダイの騎士のうち一部は「ジェダイ・マスター」(Jedi Master)と呼ばれるが一般人はしばしば、どのジェダイに対してもジェダイ・マスターやマスター・ジェダイと敬意を込めて呼ぶことがある[注釈 1]。また、旧共和国時代のジェダイにおいては、『エピソード2』のオビ=ワン・ケノービや『エピソード3』のアナキン・スカイウォーカーのようにナイト階級であっても便宜的にジェダイ内部の者からもマスターと称される場合があるようである。

また、「ジェダイ騎士団」もしくはジェダイ騎士団における「掟」を「ジェダイ・オーダー」(Jedi Order)と呼び[注釈 2]、掟だけを意味する場合はジェダイ・コードJedi Code)という。

ジェダイになるためには、フォースを操るための資質と修行が必要で、誰でもなれるというわけではない。『エピソード1』では、生物の細胞中に含まれる共生生物ミディ=クロリアンの値がフォースの強さに影響を持つことが示唆されている。また、自身の精神的な修行も非常に重要である。フォースの能力を引き出す訓練はもちろん、自制心を養うための心身の鍛練、広い知識と洞察力を磨くことが求められる。

一般にフォースのライトサイド光明面light side)に仕えるものをジェダイと呼び、ダークサイド暗黒面dark side)に魅入られた者をダーク・ジェダイDark Jedi)と呼ぶ。ダーク・ジェダイの中でもシスSith)と呼ばれるものたちはダークサイドによる銀河の支配という明確な理念を持っており、ジェダイと事有るごとに対立を続けてきた。もっともジェダイがダークサイドに転向するのは珍しいことではなく、またアナキンのように一度ダークサイドに堕ちてもライトサイドに帰還するジェダイもいたことから、これらは本質的に表裏一体の存在であるといえる。

「ジェダイ」の名称は、ルーカス監督が日本語の「時代劇」(Jidaigeki)を由来に名付けたという説が一般的である[2]。一方、『スターログ』日本語版1983年7月号の「帝国通信」には、アメリカ独立記念日7月4日(ジュライフォース)からきているとの説が掲載されている。

古代共和国時代

かつてのジェダイは、フォースを研究する哲学者集団であった。世代を経るにつれて、彼らは銀河共和国の守護者として闘うようになっていった。

5000年以上昔にライトサイドとダークサイドの大衝突があり、敗れたダーク・ジェダイ達がシス帝国を創ったといわれている。このシス帝国から始まるシス・オーダーSith Order)は、その後もジェダイ・オーダーとの衝突を繰り返した。ヤヴィンの戦いより5000年前のハイパースペース大戦、4000年前のシス大戦など、ジェダイとシスの衝突がいくつか記録されている。しかし、ヤヴィンの戦いの約1000年前に起こったルーサンの戦いでジェダイは多大な犠牲を払いながらも主だったシスを倒すことに成功、以後EP1でダース・モールクワイ=ガン・ジンが接触するまで「シスは完全に滅び去った」という誤った認識をジェダイは持つこととなる。当初は惑星オッサスを本拠地にしていたがシス大戦の戦禍で壊滅状態になった為、以後はコルサントを活動拠点とした。

古代共和国の代表的なジェダイ

旧共和国時代

旧共和国時代(「エピソード1・2・3」)のジェダイ・オーダーでは、次のような階級がある。

ジェダイ・イニシエイト(Jedi Initiate)
アニメ『クローン・ウォーズ』シーズン5第5話から8話にかけて登場。親元からジェダイ聖堂へ引き取られ、パダワンになる前の幼いジェダイ候補生がこのように呼ばれる。
ジェダイ・パダワン (Jedi Padawan)
ジェダイの修行中であることを示す。この段階でもまだ正式なジェダイではない。人間種など頭髪のある種族は、うなじの一部を伸ばして編み、パダワンであることの証とする。アナキンもそのようにしている。"Padawan Lerner"あるいは"Jedi Apprentice"とも呼ばれる。
ジェダイ・ナイト (Jedi Knight)
正式に一人前のジェダイとして認められたことを示す。昇格のために必要な試練を終えた後に、前述の髪を切り落とす儀式を行う。この階級になって初めてパダワンを自分の弟子として個人指導することが許されるが、原則、ナイト階級の者に弟子を選ぶ権利はなく、基本的には評議会が選定したパダワン候補生が、ナイト自身の意思に関係なく宛がわれる(アナキンの弟子となったアソーカ・タノが好例)。その点では、自分が希望する人物(アナキン)を初弟子にすることを許されたオビ=ワンは異例と言える。
ジェダイ・マスター (Jedi Master)
大騎士とも称される。ジェダイ・ナイトのうち、弟子を選ぶことを許されたことを示す。ただし、一度に複数の弟子を持つ事は禁じられている。原則的にはパダワンを一人前のナイトに昇格させることが昇格の条件となっているが、多大な功績を挙げて評議会に認められた者は例外的にこの条件を満たさずとも昇格を許される場合があり、オビ=ワン、ヤドルアイラ・セキュラなどが例として挙げられる。また、小説版『エピソード3』ではジェダイ公文書館にマスターのみが閲覧できる資料が存在していたことが言及されており、マスター階級の者のみに許されたその他の特権も少なからず存在した模様。

パダワンからナイトへ、ナイトからマスターへの昇格は、12人のジェダイ(必ずしも全員がマスターではない)から成るジェダイ評議会ジェダイ・カウンシルJedi Council)での協議により決定される。

ジェダイとなるためには、フォースが強いことはもちろん、生後6ヶ月以内であることが条件となる。これは、成人に近づけば近づくほど、怒りや憎しみを覚え、ダークサイドに堕ちる危険性が高くなるためである。そのため、フォースの素質があると判断された子供は、オーダーにとって貴重な人材であり、半ば強引にコルサントのジェダイ聖堂へ連れてこられる場合もある。ただし、すぐにパダワンとなるわけではなく、ジェダイ候補生として十分に成長するまでは、ジェダイ聖堂で(主にヨーダによる)教育と基礎的な修行を受ける。その過程を経て、評議会により師となるナイト以上の者の指導を受けることを認められるか、あるいはマスターに弟子として選ばれることで、見習いとして修行を積むことを許される。その点では、9歳でパダワンとなったアナキン・スカイウォーカーは異例である。

また、旧ジェダイの掟として恋愛を禁じている。これも前記と同様の理由によるものである。この掟を破った者はジェダイ・オーダーを追放するとされ、パドメ・アミダラと結婚したアナキン・スカイウォーカーも、この処分を逃れるために結婚を隠していた。しかし、この掟は前記のものよりもやや甘い部分がある。パダワン時代に恋仲になった(なりかけた)ジェダイ・マスターもおり、オビ=ワン・ケノービもその一人である。また、キ=アディ=ムンディは、故郷の出生率が低いことにより、例外的に結婚を認められていた。

旧ジェダイのもう1つの掟として、戦いにおいては正々堂々とした戦いを行い、丸腰な者や無抵抗な者を殺すような行為を禁じている。『エピソード2』でサンド・ピープルを虐殺し、『エピソード3』で戦闘能力を失ったドゥークー伯爵を殺したアナキン・スカイウォーカーは事後に悔やむ言動を見せた。また、アナキンの息子ルーク・スカイウォーカーは『エピソード6』エピソード6でジャバ・ザ・ハットやその一味に対し、彼らからハン・ソロ共々処刑されようとした際に堂々とした態度で「我々を解放しろ。さもなくば死だ」と警告を発している。なお、例外としてアナキンとオビ=ワン・ケノービが『エピソード3』で丸腰のバトル・ドロイドをライトセーバーで倒しているが、バトル・ドロイドはそれ自体が武器や兵器の類なので、掟には反しないものと思われる。

戒律を破った者に対し、オーダーは追放という重い処罰を下すが、それ以上の厳罰や迫害は行わない。また、ドゥークー伯爵アソーカ・タノのように自らの意志でオーダーを去ることも可能であり、去る者に対する咎めなども特にない。このうちクローン大戦開始時点までに自ら去ったジェダイ・マスターは確認される数は20人ほどであり、「失われし20人」と呼ばれている。ジェダイ聖堂には彼らの像を飾っているが、組織からの離脱に関しては明かしていない。

対立組織であるシスが衰退し他に敵対する強大な組織も存在しない為、この時代のジェダイはフォースの能力を駆使し銀河各地で紛争の調停等を行う交渉者としての役割を帯びていた。古代共和国時代から銀河共和国の首都であるコルサントが本拠地だった為、銀河元老院とのつながりが密になっていたことも大きく関係している。事実『エピソード1』では当時の最高議長の要請で、2人のジェダイがナブーで起こった紛争解決の為に派遣されている。この頃に銀河の各地で活動するジェダイの数はおよそ1万人ほどであったが、クローン大戦が勃発するまで銀河では大規模な戦争が起こらなかった為、シスに対する戦闘訓練は軽視され末期には集団戦に対応できるジェダイが少なくなりジオノーシスの戦いの緒戦では多くのジェダイが死亡することになる。

クローン大戦に突入すると、多くのジェダイたちが将軍として各地の紛争地へ派遣された。 ジェダイを自分の星に戦いを持ちこむ者として批判する者も少なくなく、戦争終盤には正義を振りかざし人を殺めるジェダイを分離主義者と変わらないと悪印象を持つ者も増えていた。 また、ジェダイの中にもジェダイ評議会に不信感を持つ者が増え、大戦中にジェダイ聖堂を去った者もいる。アナキンの弟子、アソーカ・タノは結果的にジェダイ評議会に裏切られジェダイを去った最たる例と言える。 戦争が終わり、メイス・ウィンドゥによる最高議長パルパティーン暗殺未遂の一件が明るみにされると、人々のジェダイへの不満は最高潮に達したのだった。元老院議員のほぼ全員がパルパティーンの言葉を鵜呑みにし、ジェダイ抹殺に大喝采が贈られるほどに、クローン大戦後のジェダイの信用は失墜していたのである。

旧共和国の代表的なジェダイ

特にアナキン・スカイウォーカーは、若くして類稀な才能のために、最強のジェダイともいわれた。ヨーダは800年以上を生きており、ジェダイ・オーダーの中でも特別な地位にあった。全てのパダワンは幼い時にヨーダの修行を受ける。

帝国時代

シスの暗黒卿が銀河を治める帝国時代(「エピソード4・5・6」)は、ジェダイにとって暗黒の時代であった。

ルーサンの戦いで滅ぼしたと思われていたシスの系譜をひく、暗黒卿パルパティーンは、正体を巧みに隠して元老院議員に当選、元老院最高議長を経て皇帝に即位すると、すぐに共和国を解体し、これを銀河帝国とした。またパルパティーンは、ジェダイに共和国転覆を企てた犯罪者という汚名を着せ、各地の共和国軍(クローン・トルーパー)にジェダイを殺害する大粛清「オーダー66」を発令し、多くのジェダイを殺害した。

また、旧共和国時代にジェダイ・ナイトとして活躍したアナキン・スカイウォーカーは、パルパティーンの設けた誘惑に乗ってしまい、ダークサイドに堕ちてダース・ベイダーとなり、率先してジェダイ狩りを行うに至った。これら帝国のジェダイ狩りのため、ヨーダオビ=ワン・ケノービなど若干の者を除き、多くのジェダイが滅んだ。

オビ=ワンやヨーダに薫陶を受けたルーク・スカイウォーカーが一人前のジェダイとして成長し、またヨーダ、オビ=ワン、改心したアナキンが相次いで死去すると、ジェダイの正統な生き残りはルークただ一人となった。

新共和国時代〜ニュー・ジェダイ・オーダー時代(レジェンド)

ジェダイ・オーダー復興までの歩み

ただ一人のジェダイとして残されたルーク・スカイウォーカーであったが、自身の妹レイア・オーガナや、シ=ルウクの奴隷であったデヴ・シブワラ、「皇帝の手」と呼ばれたマラ・ジェイド反乱同盟軍のパイロットであったカイル・カターンコラン・ホーン、惑星ダソミアの魔女テネニエル・ジョーなど、全宇宙においてフォースを持つ者に多く出会った。そこでルークは、自身がジェダイ・マスターとなってジェダイ・オーダーの復興を決意し、反乱同盟軍の基地として使われたヤヴィン第4衛星ジェダイ・アカデミーJedi Academy)を設立する。

アカデミーで学ぶ生徒がダークサイドに堕ちることも度々あり、ルークは試行錯誤を繰り返すこととなる。

復活した古代のシスの暗黒卿エグザ・キューンにそそのかされてダークサイドに堕ちたキップ・デュロンは、カリダの惨劇と呼ばれる大事件を引き起こしたが、ダークサイドを退けて再びルークの元で修行を続けた。

新ジェダイ・オーダー

ルークが長となって復興した新ジェダイ・オーダーは、何万人ものジェダイが含まれていた旧共和国時代のジェダイ・オーダーとは多くの面で異なっている。シスが過去の内紛を教訓に教義を柔軟に変化(ダース・ベインが一子相伝式システムを形成)させることで細々としぶとく生き残ってきた一方、ジェダイは社会情勢の変化に対応せず古い伝統を固持してきた。このことが旧オーダー崩壊に繋がったと判断したヨーダにより、ルークに対しては最低限必要なことのみを教え、試行錯誤しながら新しい時代に即したオーダーを作らせようとしたためである。未だ発展途上であり、百人程度のジェダイしかいないこともあり、旧オーダーほど厳格でもない。

旧オーダーと新オーダーを比較すると、次のようになる。

新オーダーにおけるパダワン
新オーダーでは、単に修行中あるいはジェダイ候補生Jedi Apprentice)と呼ばれる。
新オーダーにおけるジェダイ・ナイト
新オーダーでも同様にジェダイ・ナイトと呼ばれるが、昇格への手順は定かでない。
運命の道』(ウォルター・ジョン・ウィリアムズ著)では、正式な式典によりジェイセン・ソロジェイナ・ソロを含む9名がジェダイ・ナイトに昇格している。ただし、式典はあくまでも戦意高揚のため政府の要請により行ったものであり、ルーク自身は不要と考えていた。
なお、旧オーダーについては同じく『運命の道』で旧オーダーの生き残りであるヴァーゲアがジェイセンに語ったところによれば、単にナイトに昇格したことを告げるのみであったとされる。その一方で、アニメ『クローン大戦』では評議会メンバー立会いの下でアナキン・スカイウォーカーが昇格する儀式が行われており矛盾が見られる。
新オーダーにおけるジェダイ・マスター
新オーダーでは、旧オーダーと違い実際に弟子を持つ者がマスターと呼ばれる。
ジェダイ評議会
新オーダーでは6人のジェダイ・マスターと、銀河連合自由同盟(ユージャン・ヴォングとの戦いで崩壊した新共和国に代わって設立された新政府)から選ばれた6人の非ジェダイからなるハイ・カウンシルがその役割を担う。ただしこの評議会は旧オーダーの時代からたびたび見られたジェダイ・オーダーと政府との間における摩擦を軽減するための役割が大きく、後にこれとは別にオーダー内部の指導のためのジェダイ・マスターのみによる旧オーダーに近い形での評議会が創設されている。
年齢制限の撤廃
旧オーダーでは物心つく前に親元から引き離して養育しているが、新オーダーではまったく制限がなく、老齢に達してから訓練を始めた者もいる。ルークとレイアのように、親の愛を充分に受けて育てばダークサイドの影響を退けられるであろうというヨーダの考えが基になっている。また、訓練の開始は本人の自主性を尊重している。
恋愛・結婚の自由化
旧オーダーでは恋愛や結婚は一部の例外を除き禁止されていたが、新オーダーではこの規則は完全に破棄されており、ルーク自身も彼と同じジェダイであるマラ・ジェイドと結婚している。そのため、彼のように夫婦や親子で共にジェダイとして活動している者もいる(フォースの資質が遺伝する事が確認されているのも大きいと思われる)。

新ジェダイ・オーダーの代表的なジェダイ

脚注

注釈

  1. ^ エピソード2』で当時パダワンのアナキンは、ナブー王室の人々から「マスター・ジェダイ」と呼ばれたが、パドメによって訂正されている。『エピソード4』の半年後を描いたスピンオフ『忠誠』では、反乱同盟軍のリーダーであるモン・モスマが、ジェダイの修行に励みつつ反乱同盟軍の任務をこなすルークを「マスター・スカイウォーカー」と呼んで期待を寄せている。
  2. ^ 「Order」という単語には「騎士団」と「掟」の両方の意味があり、文脈や用途によって日本語訳が変わる。

出典

  1. ^ 『スター・ウォーズ ニューズウィーク日本版 SPECIAL EDITION 「フォースの覚醒」を導いたスター・ウォーズの伝説』MEDIA HOUSE MOOK、78頁。
  2. ^ ドキュメンタリー『スター・ウォーズ 〜伝説は語り継がれる〜』より。

関連項目