シマウマ

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シマウマ
生息年代: 鮮新世現世
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ウマ目 Perissodactyla
: ウマ科 Equidae
: ウマ属 Equus
ヤマシマウマ(動画)

シマウマ縞馬)は哺乳綱ウマ目ウマ科ウマ属 (Equus) のうち、縞模様を持つ系統である。

数種(現代的な分類では3種)からなり、それらは単系統をなす。和名はシマ「ウマ」だが、ウマよりロバの系統と近縁である[1]

特徴

形態

シマウマは概して草を食す植物食である。シマウマの外見的特徴は、毛の黒地に白の縞模様に加え、大きな耳、先端がふさ状になった尾など、その姿は野生のロバとよく似ており、鳴き声もロバに近い。ゆえに「縞模様のロバ」と呼ぶ言語もある。

シマウマの縞模様の効果は、捕食者が狩りの獲物とする個体を識別しにくくすることといわれている。これは、霊長類以外の哺乳類は色の識別能力が低いことと関連している。つまり、シマウマの白黒の模様は、霊長類以外の哺乳類が遠くから見た場合には草原の模様に埋もれ判別しにくいとされる。また、縞模様は身体の部位ごとに向きが異なり、群れをなすと各個体の縞模様が混ざって視覚的に同化してしまう。他にも説があり、日よけや草食動物のため群れている方が被害が少なく群れを見つけるのに役立っているとも言われている[2]

シマウマなど縞模様を持つ生物は、体表面で温度差を形成して微細な空気の流れを生じさせ体温調節に役立てているとする研究[3]がある。

生態

シマウマの馬車に乗る第2代ロスチャイルド男爵ウォルター・ロスチャイルド1895年

ヌートムソンガゼルトピなどのレイヨウ類、キリンダチョウなどと混群をなすことがある。

天敵はライオンブチハイエナリカオンナイルワニである。

シマウマは加齢に伴い気性が荒くなる。また人間になつくことはほとんど無く、騎乗や運搬用に馴致することが困難である。アフリカでは輸入した馬に病気が多発するため、19世紀からヨーロッパ人による現地のシマウマの家畜化がたびたび試みられたが、成功した例は非常に少ない。

分類と系統

系統

シマウマ3種の系統は以下のようになる[1]

ウマ属

ウマの系統

ロバの系統

シマウマ

ヤマシマウマ Equus zebra

サバンナシマウマ Equus quagga

グレビーシマウマ Equus grevyi

ウマ属の亜属分類では、グレビーシマウマを Dolichohippus 亜属、他の2種を Hippotigris 亜属に分類するが、実際はグレビーシマウマとサバンナシマウマが近縁であり、亜属分類は系統的ではない。

亜種

サバンナシマウマとヤマシマウマは、さらに、次のような亜種に分かれる。

かつてはクアッガは他のサバンナシマウマと別種とされており、サバンナシマウマの種名は Equus burchelli だった。

2004年、ケープヤマシマウマとハートマンヤマシマウマを別種とする説がグローヴズとベルにより提唱された[4]が、分子系統では否定された[5]

グレビーシマウマ
最大のシマウマ。ケニア北部からエチオピアソマリアにかけて生息している。他のシマウマに比べ、細かい縞がたくさんある。
クアッガ
近代の絶滅種。頭部、首および肩だけに縞のあるシマウマだったが、乱獲により1880年ごろ野生では絶滅した。アムステルダム動物園で飼育されていた最後の一頭も1883年に死亡し、剥製でしかその姿を見ることはできない。
バーチェルサバンナシマウマ
1918年に絶滅したと考えられていたが、2004年に再発見された。
ケープヤマシマウマ
シマウマの中では最も小型の亜種。南アフリカの山地に生息している。腰から尾にかけてハシゴ状の縞模様がある。

シマウマの文化

ゼブラゾーン

横断歩道や導流帯を、その縞模様から「ゼブラゾーン」と呼ぶことがある。ボールペンなどを製造するゼブラでは、コマーシャルで「ゼブラゾーンを渡りましょう」という台詞を流していたことがある。

シマウマをテーマとした作品

ギャラリー

出典

  1. ^ a b Steiner, C. C.; Mitelberg, A.; Tursi; Ryder, O. A. (2012), “Molecular phylogeny of extant equids and effects of ancestral polymorphism in resolving species-level phylogenies.”, Mol Phylogenet Evol. 65 (2), doi:10.1016/j.ympev.2012.07.010. 
  2. ^ http://www.nationalgeographic.co.jp/animals/mammals/zebra.html
  3. ^ Thermoregulatory Postures and Orientation to the Sun: A Mechanistic Evaluation for the Zebra-Tailed Lizard, Callisaurus draconoides(Allan Muth,Copeia,Vol. 1977, No. 4(Nov. 25, 1977), pp. 710-720 Published by: American Society of Ichthyologists and Herpetologists(ASIH))
  4. ^ Groves, C. P. & Bell, H. B. 2004. New investigations on the taxonomy of the zebras genus Equus, subgenus Hippotigris. Mammalian Biology. 69: 182-196. abstract online
  5. ^ Moodley, Y. & Harley, E. H. 2005 Population structuring in mountain zebras (Equus zebra): the molecular consequences of divergent demographic histories. Conservation Genetics 6: 953–968.