サツキマス

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サツキマス
Oncorhynchus masou ishikawae
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: サケ目 Salmoniformes
: サケ科 Salmonidae
: タイヘイヨウサケ属 Oncorhynchus
: サクラマスO. masou
亜種 : サツキマス
O. m. ishikawae
学名
Oncorhynchus masou ishikawae
(Jordan and McGregor, 1925)
和名
サツキマス
英名
Red spotted masu trout

サツキマス(皐月鱒、Oncorhynchus masou ishikawae)は、サケ目サケ科に属する。サクラマスの亜種とされる。降海型や降湖型はサツキマス、河川残留型(陸封型)はアマゴと呼ばれる。5月頃に遡上することから、本荘鉄夫によってこの名前が付けられた。

概要

ヤマメとの違いは、側線の上下から背部にかけて朱点が散在することである。 産卵は9月から11月で、12月から翌年の1月頃に孵化する。孵化した年の秋頃からスモルト化(パーマークが薄れて体色が銀白になる)し、降海するが、若干の朱点が残る個体もある。雌はほぼ全てが降海するが雄は河川残留する。雌でもスモルト化しない個体は河川残留し生活をする。生息域での餌が不足すると、スモルト化する個体が増加する事が報告されている。

降海しても大回遊はせずに沿岸域で群れて生活をする。降海後1年で成熟し、河川水温と海水温が等しくなる4~6月頃に遡上を始める。10~12月頃に源流部近くまで遡上し産卵する。アマゴがいる河川では、アマゴが産卵に参加することが観察されている。広島大学生物生産学部らの研究によれば、吃水域で10日以上滞留し遡上をする[1]。海洋での回遊範囲や移動経路は分かっていないが、シロザケほど広くないと考えられている。降海型個体は産卵活動を行うと死亡するが、河川残留型個体は1回目の産卵では死亡せず、翌年2回目の産卵を行い死亡する[2]

食性

河川では、河畔林からの落下昆虫や流下する水生昆虫を主な餌とするが、底性生物やプランクトンも餌としている。海洋では、サクラマスの様に顕著な魚食性を示しイカナゴやイワシなどの小魚やプランクトンを捕食している。従来、「降海個体は遡上中に餌を摂食しない」と云われていたが、9月までは摂食している個体もいるが、9月以降は抱卵している卵が肥大化し消化管が圧迫されるため餌を食べなくなる[3]

分布

天然での分布域は神奈川県西部以西本州太平洋岸、四国、九州の一部以前はヤマメと分布が分かれていたが、近年盛んになった遊漁目的の放流により分布が乱れ、混在するところがある(遺伝子汚染)。本来、日本海側には生息していないが、放流により福井県富山県の日本海側の河川にも生息する。近年、富山県の神通川ではサツキマス(アマゴ)との混血によるサクラマスの魚体の小型化が報告されている[4]。神奈川県西部はアマゴの分布の東限といわれている。

特徴

誤解

琵琶湖に降湖して大型化したものをビワマスと呼ぶ場合もあるが、外見が近似するとはいえ、琵琶湖固有種としての本来のビワマスとは遺伝子も幽門垂の数も異なる。

アマゴ

アマゴは、サツキマスの河川残留型(陸封型)である。30cm程度になるとパーマークが薄れる個体もある。 雄の場合、成魚になると雄の鮭に見られる「両あごが伸びて曲がり込む」鼻曲がりのような状態なる固体も稀にある。

イワメ

イワメ(学名:Oncorhynchus iwame)は、無斑型のアマゴで、アマゴの突然変異で生まれたと考えられている。大分県三重県岐阜県神奈川県愛媛県の一部の流域に生息しており絶滅危惧種に指定されている。銀毛化したアマゴ(シラメ)やヤマメに似ているが、イワメの無班は劣性遺伝することが分かっており、アマゴ・ヤマメと比べてもサイズも小さい。ヤマメにも無班型が生まれることがあるが、こちらはイワメとは呼ばない。釣り人の間ではヤマメイワナ交雑種をイワメと呼ぶこともある。

関連項目

脚注

外部リンク