サイケデリック・ロック
サイケデリック・ロック | |
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様式的起源 | ロック、ブルースロック、フォークロック、ジャズ、ラーガ |
文化的起源 |
1960年代中旬 アメリカ合衆国 イギリス |
使用楽器 | ギター、ベース、ドラムセット、オルガン、メロトロン、各種打楽器、シタール、テルミン |
派生ジャンル | ハードロック、ヘヴィメタル、ジャム、クラウト・ロック、ニューエイジ・ミュージック、プログレッシブ・ロック、ストーナー・ロック、ネオ・サイケデリア |
サブジャンル | |
アシッド・ロック、スペース・ロック | |
融合ジャンル | |
サイケデリック・フォーク、サイケデリック・ポップ、サイケデリック・ソウル | |
関連項目 | |
ヒッピー、サイケデリック、サイケデリック・ミュージック |
サイケデリック・ロック (英: Psychedelic rock) は、1960年代後半に発生し流行したロック音楽の派生ジャンル。主に、LSDなどのドラッグによる幻覚を、ロックとして体現化した音楽のことを指す。
概要
アメリカ合衆国西海岸に始まったサイケデリック・ムーブメントは1967年頃世界中を席巻し、多くのアーティストがこのジャンルの作品を残した。グレイトフル・デッド、ジェファーソン・エアプレインなどが有名だが、2011年現在プログレッシブ・ロックの代表的なバンドとして知られているピンク・フロイドも、シド・バレットが在籍していた最初期はサイケデリック・ロックだった。既に人気ポップ・バンドの地位を確立していたビートルズも『リボルバー』『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』『イエロー・サブマリン』でこのジャンルを代表する作品を作り、またローリング・ストーンズも『サタニック・マジェスティーズ』で同様の作品を発表した。
フルクサスやアンディ・ウォーホールといった複合芸術活動の流れに演奏で伴うライト・ショー、極彩色模様のスライド映写、ヒッピー文化からのサイケ・ファッション、作家ケン・キージーの「アシッド・テスト」など相互影響で関連するものを音楽とは無関係な部分として語らないことも多い。ビートルズの「トゥモロー・ネバー・ノウズ」などの楽曲は、マルチチャンネルといった録音技術の革新に電気楽器を主とした実験音楽と共鳴し異なる分野の現代音楽、前衛音楽を巻き込み、大衆のポップミュージックの制作に於いても大きな影響を与えた[1]。ポップミュージックのひとつであるロック音楽のサイケデリック・ロック時代はインド音楽などアジア民族音楽に影響されシタールといった民族楽器が用いられた。 ステージではジャズのフリー・インプロビゼーション(即興演奏)に影響されブルース楽曲などを長々と演奏することが多く、これはバーズやジェファーソン・エアプレインなどはフォークロックバンドでそのメンバー達はフォーク・リヴァイヴァルに由来があり、歌詞に反戦運動など政治的メッセージが含まれることもあった。ステージ演奏で生まれた幻想的なアレンジをスタジオ録音で再現する試みの大半は失敗に終わったが、この錯誤は録音技術への挑戦とエフェクターの進化発展に大きく貢献した。 おもに編曲(楽曲アレンジ)で大きな解釈変化を取り入れたサイケデリック・ロックは、プログレッシブ・ロックの試金石となった要素も多く、1970年代の「ロック黄金期」の布石となった。
この時代に活動したヴェルヴェット・アンダーグラウンド[2]やMC5といった反映しなかったバンドも21世紀に入ってサイケデリック・ロックに含められる機会が多く、活動が同世代で楽曲傾向は異なるバンドもあり注意を要する。
1980年代初期にはニュー・ウェーブからネオ・サイケデリック (Neo-Psychedelic)と呼ばれるバンド群が現れる。ドラッグの追体験ではなく、かつてのサイケデリック・ロックに影響され、このアレンジ表現をおもに幻想的な楽曲に取り入れた。エコー&ザ・バニーメン、ドリーム・シンジケート、レイン・パレードなど、初期U2も含まれることがある。これ以降ファズ・ギターで演奏するもの、幽玄なアレンジで瞑想音楽的なものにたいして「サイケデリック・ロック」や「サイケデリック・ミュージック」といった呼称を用いる場合もある。
主なアーティストの一覧
- ザ・シャーラタンズ
- アイアン・バタフライ
- アシッド・マザーズ・テンプル 日本、1995年~。
- アニマルズ※1966年再結成後のエリック・バードン&ジ・アニマルズ
- アモン・デュール
- アモン・デュールII
- インクレディブル・ストリングス・バンド
- イッツ・ア・ビューティフル・デイ
- ヴァニラ・ファッジ
- XTC※1985年の変名The Dukes of Stratosphear
- カントリー・ジョー・アンド・ザ・フィッシュ
- キャプテン・ビーフハート
- クイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス
- クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(1968年の初期)
- クリーム
- クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウン
- グレイトフル・デッド
- 13thフロア・エレベーターズ
- ザ・シーズ
- ジェファーソン・エアプレイン
- シド・バレット
- ジミ・ヘンドリックス& エクスペリアンス
- ステッペンウルフ
- スモール・フェイセス
- ストロベリー・アラーム・クロック
- ソフト・マシーン※初期。
- ドアーズ
- ドクター&ザ・メディクス1985年~。
- ドノヴァン
- トラフィック
- バーズ(霧の5次元、1966年)
- ザ・ビーチ・ボーイズ(スマイリー・スマイル[3]など)
- ビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニー
- ビートルズ(サージェント・ペパーズなど)
- ピンク・フロイド(シド・バレット在籍時)
- ファンカデリック
- ザ・フー
- ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ ※Child Is Father To The Man(1968年)[4]
- フランク・ザッパ&マザーズ
- ブルー・チアー
- ブルース・マグース
- ホークウインド
- ムーヴ
- ザ・モップス(日本)
- モビー・グレープ
- ヤードバーズ
- ラヴ
- ローリング・ストーンズ(サタニック・マジェスティーズなど)
出典・脚注
- ^ 『サウンドの力』サイモン・フリス、細川周平・竹田賢一訳、晶文社、1991年11月 ISBN 978-4794960269
- ^ 現代音楽家[[ ジョン・ケイル]]を擁し、歌詞でドラッグ関係を扱い「サイケデリック」環境で演奏したが実験音楽の範疇にあたる。
- ^ 実験音楽からペット・サウンズを取り上げる場合もある。
- ^ アレンジの一部。実験音楽で言及されることもある。
関連項目
外部リンク
- サイケデリック - ListenJapan
- ネオ・サイケデリック - ListenJapan