ゴリラーマン

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ゴリラーマン』は、ハロルド作石による日本漫画作品。および、それを原作としたOVAゲーム作品。

概要

週刊ヤングマガジン』(講談社)にて、1988年より、219回に渡って連載され、コミックス化(全19巻)。1999年10月より、文庫版も刊行された。1990年に、第14回講談社漫画賞一般部門を受賞。後の作品『BECK』の反響もあり、2010年8月より総集編版コンビニコミックを刊行。本作の復刻版を『ゴリラーマン 新世紀リマスター』と題して刊行され、2010年12月現在、第13巻まで同時発売された。リニューアルされた表紙などは、原作者の書き下ろしとなっている。

不良高校生の日常の中で、外見や性格が極めて特徴的な主人公ゴリラーマンが巻き起こす、または巻き込まれる騒動を淡々と描き、人気を博した。表面上はギャグ作品としての要素が強い一方、内面は暗く渇いているのが特徴。

ストーリー

ある日、白武(しらたけ)高校に転校してきた非常に無口な池戸定治は、なぜか不良グループと気が合い、外見から「ゴリラーマン」というあだ名を進呈され、行動をともにする。

実は、ゴリラーマンはケンカをすれば並の不良では全く敵わないほど強く、これまでいた学校では必ず問題を起こし、転校に追い込まれてきたのだった。しかしながら、無口でほとんど自己主張がないため、仲間たちはゴリラーマンの恐ろしさに気づいていなかった。

ストーリーは、大きく前期と後期に分けられる。全般的に、仲間たちと過ごす高校での日常の描写を淡々と描きながら、校内球技大会などのスポーツや、バイト、生徒会活動、周辺の高校の不良たちとの抗争などのエピソードを加えている。

主要登場人物の2年生から3年生の間を描いている。

登場人物

白武高校

ゴリラーマン
本名・池戸定治(いけど さだはる)。白武高校転校後はゴリラーマンと呼ばれているが、前にいた五天王寺(ごてんのうじ)高校ではゴリポン、その前にいた万菜(まんな)高校ではゴルゴ池戸と呼ばれていた。外見がゴリラに似ており(ただし自分では鹿賀丈史似だと思っている)、徹底した無表情。どのような場合にも表情が変わらず、照れた時に頬を赤らめること、困った時に目が寄り目になることが、わずかに確認できる程度である。また、最終話に至るまで、徹底した無口を通しており、たった一度の例外を除き、台詞が皆無。好物はドリンクタイプのカロリーメイト(ミルク味)、好きなタバコはリベラ。空手は緑帯(習っていないのに等しい位)でケンカの際の得意技は「裏拳」をはじめとした手技と各種バックブリーカー。蹴り技はほとんど使わない。弱点は首。犬も苦手。格闘技のほか野球を得意とする(五天王寺高校時代は野球部に所属)。3年生の時になぜか生徒会長に自ら立候補し当選。9人兄弟の5番目(?)で、世界的な格闘家で現在は「いけど食品」経営の父、高校生の姉の美穂、「九」という名前の弟などがいるが、全員同じ顔、無表情、無言。すでに死亡している長男の「一(はじめ)」、どこにいるのか最後まで説明のない母親を除き、家族全員で住んでいる。
藤本修二(ふじもと しゅうじ)
白武高校不良グループのリーダー。物語は彼の視点で進行することがほとんどであり、本作における事実上の主人公ともいえる存在である。ケンカが強く、スポーツは万能で、1年生の時は野球部のエースであったが、練習についていけず退部。2年生の時点ですでに3年生の中に彼に敵う者はなく、白武高校を仕切る存在になる。得意技は「二段蹴り」と「ゆうれい自転車」。屋上でタバコを吸い、授業をサボってパチンコに行くなどいい加減な毎日を過ごしているが、友情と責任感に厚く、周辺の高校の不良グループとの抗争では最後まで戦う。ゴリラーマンと一対一で戦った時に、偶然の勝利を収め、ゴリラーマンの真の強さに気付きつつも、無意識ではそれを認めたくない葛藤を抱えていく。学校では番長格で一般生徒とは一線を引いている雰囲気だが、明るい性格のため割と親しまれており、前校長ともフランクに話す。妹がいる。母親はストーリー途中、飛び降り自殺するが、そのエピソードはコミックスには未収録。中学時代、廃アパートの2階から落とされて以来、藤瀬とは犬猿の仲である。名前の元ネタは元南海ホークス投手の藤本修二
中島(なかじま)
藤本軍団の副リーダー格。ケンカはあまり強くない。藤本と同じクラスのためかほぼ毎回登場するが、最後まで下の名前は不明。昆虫に詳しく、一時「ファーブル中島」と呼ばれていた。マンガが得意。ドラえもんの顔の線が目の下を通っていないと怒る。
セースケ
藤本軍団の一人。苗字は鶴田(つるた)。相撲最強論者。女の子を好きになってはフラれる。オバケが苦手。テニスが得意。藤本軍団中で腕相撲が一番強いと自任している。浜地に自分達をヤンキーグループと言われた時は「お、俺たちヤンキーかな…」と発言している。
ジュンロー
藤本軍団の一人。苗字は阿部(あべ)。メガネを割られると異常に強くなり、藤本のライバル的存在だった上級生で番長の昌ちゃんを倒した。校内のイカサマ麻雀賭博で負けが込み、一時「借金王」と呼ばれる。
仁村(にむら)
藤本軍団の一人。頭脳明晰で、勉強しているシーンはほとんどないが、テストで学年2番を取ったことがある。藤本グループの知恵袋。早くからゴリラーマンの強さに気づいた一人で、連載の後半では、ゴリラーマンの過去を調べることで彼を理解しようとする。ケンカはあまり強くはない。下の名前は(とおる)。外見名前共にモデルは元中日ドラゴンズの内野手仁村徹
藤瀬(ふじせ)
藤本たちと同学年の不良であるが、藤本と性格が合わないため、不良グループには属していない。しかし、内心では互いにライバルとして認め合っている様子。中学生のころかなりのワルだった藤瀬が、地元で有名な藤本にケンカを売りマンションの二階から蹴り落とし勝利するが、高校進学時たまたま同じ白武高校であることを知った藤本が奇襲をかけて一方的に叩きのめし、とりあえず一勝一敗の間柄。空手をやっており、ケンカの実力は藤本と同等以上。空手道場の仲間と本気の勝負をし、その相手が翌日に工場での仕事中の事故で片手を失ったことで、休学して自転車で日本一週の旅に出ていた。早くからゴリラーマンの強さに気づいた一人。外見モデルはJUN SKY WALKER(S)森純太
北村香織(きたむら かおり)
ゴリラーマンたちと同学年の美少女。内気な性格で、ゴリラーマンのことを「気軽に話しかけられる人」として好感を持つ。そのうち、本人は強く否定するがゴリラーマンに恋愛感情を持つようになり、ゴリラーマンとの微妙な感情のやり取りがストーリーのひとつの軸となる。外見のモデルは工藤静香
藤瀬健次(ふじせ けんじ)
藤瀬の腹違いの弟で、藤本たちが3年生の時の1年生。兄を倒したゴリラーマンに入学早々に挑戦し、あっさり敗退後、藤本軍団に入る。空手が得意であり、兄よりも身軽でゴリラーマンのようなバック転を使いこなす。ケンカの実力は兄と同等以上。外見モデルは元BLANKEY JET CITY浅井健一
ミヤーン
藤本たちが3年生の時の1年生。入学時に藤瀬健次に完敗後、藤本に挑戦し負けたことから藤本軍団に入る。本名:谷宮庵(たに みやあん)。大洋ファンだった父親が当時いた外人選手(フェリックス・ミヤーン)にちなんで命名。珍名にコンプレックスを持っており、、名前のことをバカにされると切れる。
飯塚(いいづか)
藤本たちが3年生の時の1年生で、藤本グループに入る。ケンカはまるでダメで戦力外。作中では後述の「田辺」同様、コミックリリーフ的キャラクター。外見・名前のモデルはダンカン(ダンカンの本名は飯塚であり、本人から編集部に問い合わせが来たらしい)。
松田あおい(まつだ あおい)
ゴリラーマンが生徒会長に当選したときの副会長。水泳部で白武高のアイドル。藤本グループのほぼ全員が思いを寄せる。なぜかいつも体操着姿で、制服姿でいることがない。
不破明(ふわ あきら)
野球部員で、エース投手。放課後のグラウンドで藤本達ともめた際ゴリラーマンに強烈なファウルを打たれ、その後の勝負や球技大会でホームランを打たれる。ゴリラーマンの才能に早くから気づいていた一人。
のちに千葉ロッテマリーンズの投手として『ストッパー毒島』に登場。この当時は監督にスタミナ不足を懸念されていた。作中では「後にロッテオリオンズに入団」と語られている(本人は西武を希望していたようだが)。
田辺(たなべ)
池戸・藤本らの同級生であだ名は「ベカちゃん」。女生徒へのセクハラが得意。三枚目キャラクターでゴリラーマンを何かと陥れようと企むがいつも失敗している。外見のモデルは落語家の桂べかこ(現・桂南光)。桂べかこ本人も当時出演していた『11PM』で「このマンガに僕が出てるんですよぉ〜」と田辺のシーンを嬉しそうに紹介したことがあり、ある意味本人公認キャラクターでもある。名前のモデルは桂南光に似ている元西武田辺徳雄。同じハロルド作石作品である『BECK』にも主人公・コユキの同級生という設定で登場している。
林(はやし)
藤本たちが2年当時の3年番長で、校内のイカサマ麻雀などを取り仕切る。愛称は「昌(まさ)ちゃん」。狡猾な性格であり、藤本グループとは長年に渡って敵対。一方で内心では藤本や池戸の実力を認めていた節もあり、卒業当日には意外な行動に出た。
浜地(ハマチ)
池戸・藤本らのクラスメイト。本人の肝入りで作られた動物愛好会の部長だが、「飛ぶ鳥を落とす勢い」で成績が下がり、大学への推薦が危うくなったため、体育教師・河野のスパイとして藤本軍団への潜入を図る。藤本を悪辣な不良と目していたが、アーノルドと戯れる彼を見て「悪人ではない」と判断し、河野を裏切る。
河野博文
二年当時の池戸・藤本の担任教師。担当は体育。陰湿で粗暴な性格から、生徒たちから、特に藤本グループからは非常に嫌われている。実家から送ってきたリンゴを生徒に配ったことがあったが、ほぼ全員に捨てられてしまったことがある。名前の元ネタは日本ハムファイターズ読売ジャイアンツなどで活躍した投手河野博文

周囲の高校

塚本(つかもと)
フルネームは塚本美鶴(みつる)。古くから白武高校と抗争を繰り返してきた間柴(ましば)高校の不良グループのリーダー。藤本たちが2年生時には3年生。歴史(および歴史的戦術)が好きで、白武高校との抗争に信長の奇襲戦法を応用したりする。早くからゴリラーマンの強さに気づき、白武高校との抗争に怖気づいたため、リーダーの座を館井に奪われる。終盤では間柴高へ単身乗り込んできたミヤーンの心意気に感動し、藤本たちと共に堂上商業と戦う。
館井(たてい)
間柴高校の不良で塚本の同級生。塚本に代わり不良グループのリーダーとなり、陰険な方法で白武高校への攻撃を仕掛ける。藤本に卑怯な手で重傷を負わせた後、ゴリラーマンの報復に遭い、その時の大怪我が元で留年するハメに。堂上商業との最終決戦では白武に味方する。
泉里(いずみさと)
間柴西高校の不良グループのリーダー。表向きは真面目な生徒を装っているが父親は暴力団組長で「サウナ泉里」の経営者。部下に競馬のノミ屋をやらせており、大穴を当てたゴリラーマンらと揉めており、配下のヤクザを使ってゴリラーマンらを捻じ伏せようとした所に突如現れた池戸美穂に殴られ、惚れてしまい、結果、抗争は終結する。その後、藤本に協力して堂上商業と戦う。
日沼(ひぬま)
吉豊工業の不良グループのリーダー。藤本の中学校時代の友人で、中学時代は100キロを超える巨漢であったが、池戸美穂(ゴリラーマンの姉)のことを思うあまり痩せてしまったという。中学時代は「森田」という名前だったが両親が離婚した為、苗字が変わった。藤本と堂上商業との抗争では藤本に協力する。外見モデルは映画『ザ・コミットメンツ』の主人公ジミー。
片桐純哉(かたぎり じゅんや)
堂上(どのうえ)商業の不良グループのリーダーで作内でのラストボス的な存在。美男子でケンカが極めて強く、不良界のスーパースターと言われる存在。後半最終章は、片桐をトップに抱く堂上商業の不良に立ち向かう藤本たちの戦いがクライマックスとなる。凄まじい強さの秘密はゴリラーマンと同門であったためで、手技のゴリラーマンに対して足技が得意。次々と近隣の高校を傘下に収めて、ステッカーを売り捌き、金を稼いでいたことで藤本らと敵対する。また口が悪く、敵味方関係無く見下したり、暴言や意地を張った発言が多い。
池戸美穂
ゴリラーマンの姉。セーラー服とお下げ髪以外はゴリラーマンと寸分違わぬ顔をしている。
スポーツウーマンであり、スイミングクラブでも評判の強豪。弟と同じく無愛想で全く言葉を発せず、有事の際は池戸流の格闘術でゴリラーマンを超える能力を見せる。ゴリラーマン自身も美穂には頭が上がらない描写がある。
顔も弟そっくりだが、泉里や日沼など、彼女と出会って恋愛感情を持った不良が多い。

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