ゴジラ対メガロ

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ゴジラ対メガロ
Godzilla vs. Megalon
監督 福田純
脚本 福田純
原作 関沢新一
製作 田中友幸
出演者 佐々木勝彦
林ゆたか
川瀬裕之
富田浩太郎
大月ウルフ
ロバート・ダンハム
音楽 眞鍋理一郎
主題歌 子門真人
ゴジラとジェットジャガーでパンチ・パンチ・パンチ
撮影 逢沢譲
編集 池田美千子
配給 東宝
公開 日本の旗 1973年3月17日
上映時間 82分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 2億2千万円(当時)
前作 地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン
次作 ゴジラ対メカゴジラ
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ゴジラ対メガロ』(ゴジラたいメガロ)は、1973年(昭和48年)3月17日に「東宝チャンピオンまつり」の一編として公開された特撮映画であり、「ゴジラシリーズ」の第13作である。観客動員数は98万人。カラー、シネマスコープ

解説

東宝怪獣映画第25作目となる。前作『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』に引き続き、ゴジラは怪獣島を住みかとしていて、ジェットジャガーの要請を受けて出動する「正義の怪獣」となった。

公開当時のキャッチコピーは「海底王国のすごいやつメガロ! 傷だらけのゴジラ必殺のウルトラC!」。

検討用台本での題名は『ゴジラ対メガロ 海底王国全滅作戦』、準備稿での題名は『昆虫怪獣メガロ対ゴジラ 海底王国全滅作戦』となっていた[1]

本作の脚本は、当初関沢新一に執筆依頼が持ち込まれたが、当時の関沢は作詞業にかかりきりで執筆の時間が無く、「海底人が核実験に怒り怪獣を派遣する」という簡単な原作だけを提供。企画立ち上げから撮入まで全く時間が無かったため、監督の福田純が脚本に起こすという体制で企画作業が進められた[2]

「東宝チャンピオンまつり」の番組となって以来、新作ゴジラ映画は低予算化が強いられ、脚本段階からさまざまな制約を受けるものとなっていた。特殊技術の中野昭慶は「とにかく低コスト、最低の時間でどこまでやれるんだという、そういった問題との取り組みがものすごくあった」と語っている。この低予算を受け、キャスト面では新人を中心として小人数となり、ゴジラシリーズで唯一、メインキャストに女性が存在しない作品となっている[3]。本編面でも伊吹博士の研究所やシートピア王国のセットが組まれた以外は、ほとんどロケで撮影されている。特撮面でも、中野監督によると予算がないため、決戦シーンでは何もない荒野しか用意できなかった。実質的な撮影期間は全盛時の4分の1以下、2週間ほどだったという。

ロケが行われた奥多摩の小河内ダム

このような予算不足のため、メガロによる都市破壊のシーンには、前作同様、過去の作品からのフィルム流用が多い[注 1]。そんな中、メガロによるダム破壊シーンは、オープンセットによるフルスケールのミニチュアが組まれ、迫力のある見せ場になっている。特技監督の中野昭慶は「乏しい予算の中の一点豪華主義」と述べている[1]

怪獣同士の戦いの描写は、「怪獣タッグマッチ」がコンセプトにあり、ゴジラがVサインをしたり、メガロが尻を叩く仕草をして挑発するなど、かなり人間味を帯びている[1]。擬人化した本格的な立ち回りが採り入れられたため、撮入前に体育館を使って、アクション俳優の渡辺高光による殺陣の指導が行われた。

主題歌歌手には当時大ヒットしていたテレビ番組『仮面ライダー』(東映毎日放送)で知られる子門真人を起用したほか、ジェットジャガーのテレビヒーロー調デザイン、巨大化の描写など、当時の「変身・怪獣ブーム」によってテレビを中心に量産されていた巨大ヒーロー番組の影響を少なからず受けており、また東宝も本作の公開後、自社で制作したテレビ映画『流星人間ゾーン』(日本テレビ)でゴジラやガイガン、キングギドラを登場させて設定の発展を試みている。その一方で『ゴジラ対ヘドラ』以後、「公害」をテーマに置いていた「ゴジラシリーズ」で久々に(そして昭和ゴジラシリーズでは最後の)「反核」をテーマに置いた作品であり、ラストは地上の人間の核実験を反省する主人公たちの会話で締めくくられる。核実験の犠牲者であるゴジラ(本作中ではこの設定は省略されている)が同じ核実験の被害者であるシートピア王国と戦う皮肉な展開となった[注 2]

「本編にも何か見せ場が欲しい」という福田の意向で、自動車が階段や急な崖を下ったり、プレハブを突き破る等の派手なカーチェイスシーンが撮られた。カースタントは『動脈列島』(1975年)でもスタントを担当した「チームザンバ」が行い、この撮影には特撮班もキャメラ応援を行っている[2]

本田技研工業タイアップ協力しており、研究所に落ちていたボタンと砂を分析するシーンは本田技研工業技術研究所で撮影されている。

ストーリー

197X年アリューシャン列島のアスカ島で行なわれた国際核実験太平洋の大部分に影響を及ぼし、怪獣島やシートピア海底王国も被害を受ける。シートピア人は報復すべく地殻変動を起こした上、王国の守護神メガロを地上に派遣して地上人に対する攻撃を開始。青年科学者・伊吹吾郎の作った等身大ロボット・ジェットジャガーを強奪し、水先案内を行わせる。

だが、ペンダント形のマスターコントローラーがシートピア人に気付かれなかったことにより、吾郎たちはジェットジャガーを取り戻す。ジェットジャガーは怪獣島へゴジラを呼びに行き、即座に帰還した己の意思で巨大化した上、メガロに立ち向かう。

しかしシートピア人はこれに対抗してM宇宙ハンター星雲からガイガンを呼び寄せ、2対1となったジェットジャガーは劣勢となる。ジェットジャガーのピンチに、ゴジラが登場し、メガロとガイガンは撃退される。

ジェットジャガーは等身大に戻ると意思を失っていた。吾郎たちは帰りながら平和を脅かされなければシートピア人は戦いを挑まなかったはずだと会話するのだった。

登場キャラクター

登場する怪獣ゴジラジェットジャガーメガロガイガンアンギラスラドン[注 3]

シートピア海底人

300万年前に海底へ沈没したレムリア大陸人の子孫。太平洋の海底[注 4]に海底王国シートピアを築くが、地上人の行った無謀な核実験のために国土の一部を壊滅させられる。シートピア司令アントニオは報復のために地上へ工作員を送ると、地上人からジェットジャガーを奪ってメガロを送り込み、ジェットジャガーにメガロの水先案内をさせる。

しかしジェットジャガーが地上人の手に戻り、ゴジラを呼びに向かったため、友好関係を持つM宇宙ハンター星にガイガンの応援を要請する。最後はゴジラとジェットジャガーにメガロとガイガンを撃退され、報復を断念する。

本作では、イースター島モアイ像は「シートピアがM宇宙ハンター星との連絡を取るための装置」という設定になっている。

シートピアの名前の由来は、「シー(sea=海)+ユートピア」。

アントニオと女官の頭には、メガロの顔を模した装飾品が着けられている。

スタッフ

特殊技術

主題歌

  • 「ゴジラとジェットジャガーでパンチ・パンチ・パンチ」(東宝レコード
    • 作詞:関沢新一
    • 作曲:真鍋理一郎
    • 歌:子門真人
  • 「メガロをやっつけろ」(東宝レコード)※「ゴジラとジェットジャガーでパンチ・パンチ・パンチ」のB面に収録
    • 作詞:関沢新一
    • 作曲:真鍋理一郎
    • 歌:子門真人

出演者

※映画クレジット順

※以下ノンクレジット出演者

併映作品

映像ソフト化

  • DVDは2004年6月25日発売[5]。オーディオコメンタリーは佐々木勝彦[5]
    • 2008年3月28日発売のトールケース版「ゴジラ DVDコレクションIII」に収録されており、単品版も同時発売。
    • 2005年4月22日発売の「GODZILLA FINAL BOX」に収録されている。
    • 2014年5月14日には「ゴジラ60周年記念版」として期間限定の廉価版が発売。
  • Blu-ray Discは2014年7月16日発売。

脚注

注釈

  1. ^ 流用シーンのほとんどが前作でも使用したものに加え、前作での新撮映像をも使用している。ガイガンの再登場やメガロが発射する光線がキングギドラの引力光線と同じ形状・色をしているのも流用の際の便宜のためである。
  2. ^ ゴジラとジェットジャガーはメガロを退散させるだけで殺してはいない。
  3. ^ 冒頭の「怪獣島」のシーンに登場。『怪獣総進撃』のライブフィルムを使用している。
  4. ^ 本作では「レムリア大陸が太平洋に、ムー大陸大西洋に存在した」と説明されている。
  5. ^ 中山剣吾(現:薩摩剣八郎)本人は著書『ゴジラが見た北朝鮮』において、メガロを演じたと記述している。
  6. ^ 公開時のポスターでは、『ゴジラ対メガロ』『〜青春』『パンダコパンダ〜』の3本立てとなっている。

出典

  1. ^ a b c 『東宝特撮映画大全集』ヴィレッジブックス、2012年、156 - 159頁。ISBN 9784864910132 
  2. ^ a b 中野昭慶 & 染谷勝樹 2014, pp. 221–224.
  3. ^ 野村宏平『ゴジラ大辞典』笠倉出版社、2004年、329頁。ISBN 4773002921 
  4. ^ a b 中野昭慶 & 染谷勝樹 2014, p. 453.
  5. ^ a b 「VisualRadar」『宇宙船』Vol.112(2004年5月号)、朝日ソノラマ、2004年5月1日、67頁、雑誌コード:01843-05。 

参考文献

関連項目

外部リンク

  • ゴジラ対メガロ - 日本映画データベース
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