コンニャク

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コンニャク
コンニャク
コンニャク
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: オモダカ目 Alismatales
: サトイモ科 Araceae
: コンニャク属 Amorphophallus
: コンニャク A. konjac
学名
Amorphophallus konjac
K.Koch (1858) [1]
シノニム
  • A. rivieri [2]
  • A. rivieri var. konjac [2]
和名
コンニャク

コンニャク(蒟蒻、菎蒻、学名Amorphophallus konjac)は、サトイモ科植物、あるいはその球茎から製造される食品である。

植物としてのコンニャク

サトイモ科の夏緑多年草植物で、学名はAmorphophallus konjac。英名はelephant footあるいはdevil's tongueとも言う。地下茎はコンニャクイモ(蒟蒻芋)と呼ばれる。原産地はインドまたはインドシナ半島ベトナム付近)とされ、東南アジア大陸部に広く分布している。扁平な円形の地下茎があって地上には葉だけを出す。茎(実は葉柄)は高さ1mほどに伸び、先端は平らに開いて鳥足状に小葉をつける。小葉は柔らかくて、つやがあり、楕円形。

株は次第に大きくなるが、ある程度大きくならないと花はつかない。栽培下では5-6年で開花する。開花する時には葉は出ず、また開花後に株は枯れる。花は全体の高さが2mほどにもなる。いわゆる肉穂花序の付属体は円錐形で高くまっすぐに伸び上がり、仏縁苞は上向きにラッパ状に開き、舷部(伸び出した部分)は背面に反り返る。花全体は黒っぽい紫。独特の臭いを放つ[3]

生のコンニャクイモはシュウ酸カルシウムのエグ味が強く、食用とするためには茹でるなどの下処理を行う。

イノシシサルの採食試験の結果からコンニャクイモは野生獣にとって嗜好性が低い植物とされている[4]

なお、近縁種のヤマコンニャク(A. kiusianusまたはA. hirtus var. kiusianus)が、日本の四国南部から九州南西諸島台湾に自生している。

食品としてのコンニャク

板こんにゃく、生いもこんにゃく[5]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 29 kJ (6.9 kcal)
3.3 g
食物繊維 3.0 g
0.1 g
0.1 g
ミネラル
ナトリウム
(0%)
2 mg
カリウム
(1%)
44 mg
カルシウム
(7%)
68 mg
マグネシウム
(1%)
5 mg
リン
(1%)
7 mg
鉄分
(5%)
0.6 mg
亜鉛
(2%)
0.2 mg
マンガン
(2%)
0.05 mg
セレン
(0%)
0 µg
他の成分
水分 96.2 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
精粉100g中の食物繊維[5]
項目 分量
炭水化物 85.3 g
食物繊維総量 79.9 g
水溶性食物繊維 73.3 g
不溶性食物繊維 6.6 g
精粉コンニャク100g中の食物繊維[5]
項目 分量
炭水化物 2.3 g
食物繊維総量 2.2 g
水溶性食物繊維 0.1 g
不溶性食物繊維 2.1 g
加工されたこんにゃく
赤こんにゃく
糸こんにゃくを入れた鍋料理

通常、コンニャクと呼ばれる食品はコンニャクイモに含まれるコンニャクマンナンという多糖糊化し、アルカリ液(通常は水酸化カルシウム水溶液が用いられる。かつてはを水で溶いた汁を使った)を用いて凝固させたもので、加工される前は粉末の形で流通する。そのため、コンニャク産業におけるコンニャク食品の原料とはコンニャクイモそのものではなく、こんにゃく粉を指す[6]

コンニャク食品はぷにぷにとした独特の食感を持ち、一旦凝固させたコンニャクは水溶性を持たず、強い弾力を示す。また、独特な臭みがあり、コンニャク食品が敬遠される最も大きな理由ともなっている[6]。この臭みの正体は、古くなった魚の魚臭と同じ成分であるトリメチルアミンという低分子物質である。コンニャクのトリメチルアミンは撹拌しただけでは発生せず、アルカリ性になると発生する事がわかっているが、その生成機構は未解明である[6]。 通常、ビニール袋やプラスチック製のパック詰めで販売されているが、缶詰などで販売されているものもある。調理に際しては一旦煮込んで灰汁抜きをするが、今日では灰汁抜きが不要な製品も多く見られる。

コンニャクのカロリーは300 g(1枚)で21 キロカロリーと、非常に低い。四つ切りのコンニャクおでんに2gの練り辛子をつけて食す場合、つけた練り辛子のほうがカロリーが高い(辛子6キロカロリー、コンニャク5キロカロリー)ほどである。食物繊維が豊富なこともあり、ダイエット食品(健康食品)としても人気がある。また、物理的に腸の老廃物を押し出す効果があり「お腹の砂払い」とも呼ばれている[6]。しかし、メッケル憩室保有者[7][8]や胃切除を行った人は腸閉塞を起こしやすいとする報告[9][10]がある。

古くからコンニャクを食用としてきた主な地域は、日本中国ミャンマーなどのアジア各国である。中国では、貴州省雲南省四川省など少数民族が多い地域でよく食され、それらの地では「魔芋」「魔芋豆腐」という名称のほうが一般的である。日本と似たような煮物惣菜のような調理が多いが、これらの地方の小吃では、コンニャクをステーキのように焼いた料理に、唐辛子や、薬味がたっぷり効かされている。

日本への伝来時期には諸説あり、飛鳥時代に医薬として[11]仏教と共に伝来した[12]、あるいは縄文時代にサトイモと共に伝来した[13]とも言われ、その後、推古天皇の時代に本格的に中国から輸入されたと言われる。その目的は「砂払い(整腸)」の薬効であったが、鎌倉時代までに食品として確立し、精進料理に用いられるようになった。

欧米ではコンニャクは「Devil's tongue(悪魔の舌)」とも呼ばれ、あまり人気のない食材であった[6]。しかし、和食ブームとともに低カロリー健康食品として欧米にも広がりつつある[14][15]。特に、「しらたき」が健康的なパスタとして欧米で流行した。

コンニャクの原料となるコンニャクイモの2018年度(平成30年度)の日本での収穫量は55,900t。主産地は群馬県 (93.2%) で、第2位栃木県 (2.7%) 、第3位茨城県 (1.4%) と続いており、日本では約97%は北関東で生産されている[16]

成分

コンニャクの成分は96 - 97%が水分であり、それを除くと主成分はグルコマンナンである。グルコマンナンはグルコースマンノースが2:3-1:2の比率で重合した多糖類の一種で、「コンニャクマンナン」とも呼ばれる。ヒトの消化管ではほとんど消化されず、腸内微生物により一部脂肪酸に変換されて利用される。このため、カロリーが極めて低い食品(100gあたり5-7キロカロリー)の1つとされ、摂取カロリーを制限する必要のある場合の食品素材としてよく利用される。

グルコマンナンとグルコースを同時に摂取した場合、グルコマンナンには血糖値上昇抑制効果があった。グルコマンナンの粘性によるグルコースの拡散抑制が影響した可能性があるが、セルロースプルランでは効果が認められなかった。なお、プルランは粘性が高いものの人体の消化酵素で消化されてしまう[17]

未加工のコンニャクイモでは、劇物であるシュウ酸カルシウムの含有量が、パイナップル山芋などとは比べ物にならないほど多い。従って、下茹でしてシュウ酸カルシウムを流失させる必要がある。未加工のコンニャクイモの断面に直接触れると激しい痒みや痛みを生じる危険があり、生食は一切不可である。

製造法

球茎を粉状(実際には単に球茎を粉砕した荒粉とマンナンを精製した精粉に分かれ、コンニャク製造の際は双方を混合して用いる)にしてとともにこねた後に石灰乳(消石灰を少量の水で懸濁したもの。水酸化カルシウム水溶液)、炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)水溶液、または草木の灰を水に溶いたものを混ぜて煮沸して固める。

一般的なコンニャクは副素材としてひじきアラメヒトエグサなどの海藻粉末を加えて色をつける[6]。江戸時代に製粉法が開発されて白いコンニャクを作ることが可能になったがコンニャクらしくないと評判が悪かったため、意図的に色をつけるようになった。滋賀県近江八幡市には三酸化二鉄を加え、赤色に加工した「赤こんにゃく」がある[18]

生のコンニャク芋から作る場合
  • 芋をすりおろし、後は同様に作る。皮を剥いた純粋なコンニャクは白灰色をしている(白こんにゃく)。(黒こんにゃくを見慣れている地方では白いこんにゃくがあまり好まれなかったため)生芋から作るこんにゃく(黒こんにゃく)に似せるように、ひじきなどの海藻を固める際に入れて黒くする。四角形の板状のものは板こんにゃくといい、ところてんつきのような「コンニャク突き」と呼ぶ刃物の付いた道具を使用するなどして加工する。包丁などで細長く切ったものを糸ゴンニャク[19](糸コンニャクとも)[20][21][22]と呼ぶ。

製法の起源

江戸時代中期の1776年安永5年)、水戸藩那珂郡山方村農民の、後に名字帯刀を許された中島藤右衛門(なかじま とうえもん)(1745年-1825年)が乾燥した球茎が腐らないことにヒントを得て、粉状にすることを思いついたとされる[23][24][25]

調理法

コンニャクはおもにおでん煮物味噌汁豚汁など汁物や鍋物の具に使われる。また、串を刺して味噌田楽の素材としても用いられる。たこ焼きなどに味付けした物を小さく切って入れる物もある。「しらたき」はすき焼きやおでんなどに使用される。他に炒め物やこんにゃくステーキなども存在するなど使用法は幅広い。板こんにゃくは味がしみ込みやすいように表面に浅い切れ目を入れたり、手でちぎって調理されることもある。ただし調理の際に酸の強い調味料を使うと結合力が低下して軟化したり溶解してしまう場合があるので注意が要る。

しらたき・糸こんにゃく

関東では材料を細い穴から押し出してから凝固させて作る[26]細い糸状のこんにゃくを「しらたき(白滝)」と呼んでいた。これに対して、関西では板こんにゃくを細く切って糸状にした物を糸こんにゃくと呼んでおり、製法の違いもあって両者は別物と言われていたが、現在は糸こんにゃくも細い穴を通す製法になったために両者を区別する方法はなくなったとされる[27]。このように細い糸状のこんにゃくを、主に関東地方ではしらたき、関西地方では糸こんにゃくと呼んでいる。糸こんにゃくをより細くしたものをしらたきと区別する場合もある。なお、近年は東西問わず、白い「しらたき」や、おでん用に機械で巻かれた(結ばれた)ものが普及しているため、白いものを「しらたき」、こんにゃく色のものを「糸こんにゃく」と呼ぶことが一般的である。なお、こんにゃく突きなどの道具を用い5 - 10mm角程度の太さにしたものは突きこんにゃくと呼ばれ、主に炒め物や煮物に使われる。原板を細くするところは糸こんにゃくと同じだが糸こんにゃくとは別に扱われる。なお、「すき焼きにしらたき(糸こんにゃく)をいれると肉がかたくなる」との説は間違いであるとする調査結果が公表されている。[28]

玉コンニャク

玉こんにゃく

玉状のコンニャクを3個か4個程度ずつ割り箸に刺していき、大鍋の中で醤油ベースの汁で煮込んだもの。玉こんにゃくを煮るときは、だしを使用し日本酒を入れると美味しくできる。食べる時は辛子をつけることが多い。山形県や群馬県の一部では、観光地・祭り・学園祭などで必ずといっていいほど売られている。また、東京などにある山形の郷土料理を売り物にする居酒屋でメニューに載せられていることもある。

略して「玉こん」と呼称することがあるが、これは株式会社平野屋(山形県)の登録商標である(商標登録番号 第762418号)。山形県内陸部で玉こんにゃくが浸透した理由として、地域的に貧しく砂糖米粉が満足に手に入らなかった江戸時代に、羽州街道筋の茶屋において、団子の代わりとして供されたのが始まりとする説がある[29]

刺身こんにゃく

コンニャクのなかでも精粉から作ったものはアクが少ないため、生のまま刺身にして食べることもできる。角型に成型されたものを薄く切って食べることもできるほか、刺身専用に作られたものも市販されている。刺身こんにゃく用に作られたものは食感のためか表面をやや粗くしてある、風味や外観を変えるため青海苔胡麻人参などで着色してあるなどの特徴がある。またコンニャクは味が淡白なため、刺身こんにゃくに生姜醤油や酢味噌を付けて食べる。

レバー生食の規制強化に伴い、代替としてレバ刺し風味のコンニャクも出回っている。

手綱こんにゃく

手綱こんにゃく

薄く切ったこんにゃくの中央部に切れ込みを入れ、切れ込みの部分をひねりねじったもの。見た目の面白さに加え、表面積が大きくなるため煮物にすれば味の染み込みが良くなる利点がある。

凍みこんにゃく、氷コンニャク

コンニャクの凍結と解凍を繰り返すと、中の水分が抜けて、見かけが灰色から白っぽく変わる。こうした高野豆腐に似た加工を「凍みこんにゃく」と呼ぶ。農閑期である冬場の田圃にを敷いて、夜間の寒さによる凍結と、日中の天日による解凍を利用する。現代では茨城県北部の一部地域(常陸太田市など)のみで作られている。煮しめなどに入れる食材としてのほか、洗顔スポンジにも使われる[30][31]

冷凍したコンニャクを解凍すると、繊維質が残ってスポンジ状になり元の食感が失われる性質を利用して、凍らせたコンニャクを肉代わりに利用する現代的な調理法もある。冷凍する前に目的のレシピに合わせ、コンニャクをカットしてから冷凍することが重要。電子レンジでの解凍は食感を悪くするため、凍らせたコンニャクは必ず自然解凍または熱湯をかけて解凍する。発案書籍は『氷コンニャク超美味レシピ』(橋爪佐和子 / マキノ出版 2014年6月初版)。

赤こんにゃく

製造過程で三二酸化鉄を混入して着色した、赤色のこんにゃくのこと[32]滋賀県近江八幡地域でのみ長年流通してきたもので、この地方では赤こんにゃくしか製造流通していなかった。このため、60代以上の世代の人の中には赤以外のこんにゃくがあることをつい最近まで知らなかったという人もいるという[32]。近年は京都方面でも流通し始めている[32]

缶詰麺

ラーメンうどん等の麺類の缶詰。一般的な小麦粉の麺では缶内のスープに浸かり続けると延びてしまうため、コンニャクの麺が使われる。

パスタの代用

2010年代に入った辺りから、フランスでは低カロリーで調理時間が短くて済むパスタの代用品などとして、しらたきが比較的利用されるようになった[33]。 日本国外(主にアメリカ合衆国)では、しらたきがダイエット食品の一種としてパスタの代用品に利用されており、「Shirataki noodle」(シラタキ・ヌードル)の名称で販売されている。通常のしらたきのほか、パスタに見た目を近づけるために豆腐を混ぜた「Tofu Shirataki」(トウフ・シラタキ)も販売されている[34]。また、イタリアでは乾燥しらたきがやはりパスタの代用品として「ZENPASTA」(ゼンパスタ)の名称で販売されている[35]

粒こんにゃく

粒状に加工したこんにゃく。ご飯の代用など、食感や低カロリーを生かし、各種食品に混ぜられることもある。

食品以外の用途

耐水性高分子素材

布や紙等の防水・気密加工には軟質のゴム合成樹脂などが利用される。しかし第二次世界大戦当時の日本では東南アジア方面のゴム資源が得られにくくなっており、合成樹脂の大量生産は技術的にも経済的にも確立されていなかった。そのため煮溶かして塗り付けると防水性気密性を発揮するコンニャクが防水加工素材の代用品として盛んに利用された。耐久性こそゴムに劣るものではあったが、国内調達が可能なことが大きな強みであった。元々は和傘などで「コンニャク糊」として利用されていたものの応用だが、果ては風船爆弾のような兵器にまで利用された[36]。今日見られる紙製バルーンなどの気密にはコンニャク芋原料の多糖類高分子素材ではないが、環境に配慮して生分解性のある素材が選択されている。

お化け屋敷の小道具

お化け屋敷肝試しにおける恐怖演出の小道具として、コンニャクが利用されることもある[37]。糸などでコンニャクをぶら下げ、通りかかる人の顔や首筋を狙ってぶつける。すると冷やっとしたコンニャク独特の質感で何とも言いがたい気色悪さを与えることになる。

ただ今日では、このような用法は学園祭などのような「素人芸能」的な活動以外ではほぼ見られない。食品であることから、もったいないとして忌避されたり、衛生上の問題があるためである。代用としては、保冷剤や濡れふきんなども利用される。

温熱療法

民間療法として、こんにゃくを茹でて、熱々のものを布(タオル)で何重にもくるんで、布(タオル)表面が人肌よりやや熱いくらいにして、内臓など患部の上にのせて長時間ゆっくりと温める、一種の保温材としても使われる。こんにゃくは温め直せば何度でも再利用が可能。鮮度や衛生に問題がなければ使用後に食べてもよい。

その他

耳鼻咽喉科において、手術の際の止血材として氷コンニャクが用いられる事がある[38]

手術練習用の常温長期保存が可能な模擬臓器が製造、市販されている[39]

人肌に温めたコンニャクが男性の自慰行為に使われることがある[37]

言葉・イメージ

  • コンニャクはぷよぷよして柔らかい、柔軟性と弾力性を兼ね備えたもの、とのイメージがある。たとえば野球における梨田昌孝の「コンニャク打法」や佐藤政夫の「コンニャク投法」、また『あしたのジョー』の「コンニャク戦法」などの使われ方もある。
  • 内では威張りかえり、外では弱気な者を指す「内弁慶」と同義の「こんにゃく閻魔」という表現がある。閻魔大王はコンニャクを好むといい、東京都文京区小石川浄土宗寺院・源覚寺には「こんにゃく閻魔」と称される閻魔像がある。この像に好物のコンニャクを供えて祈願すれば眼病に霊験があるという。
  • 意味不明でかみ合わない問答を「こんにゃく問答」という。寺の和尚に化けたコンニャク屋が、禅僧と問答する落語の演目から。
  • ぐにゃぐにゃ、ぶるぶるしている様子を、コンニャクが幽霊となった姿にたとえて「こんにゃくの幽霊」ともいう[40]
  • 坊主とコンニャクは田舎がよい」といわれる。これは田舎の黒いコンニャクが、混ぜ物を多く含む都会の白いコンニャクより優れるとされるように、仏僧も余計な世間知のない純朴な人物のほうがふさわしいということである[41]。また「ボウズコンニャク」という魚が存在する[42]
  • 政治家の隠語で、100万円の札束を指す。
  • ドラえもん』ではほんやくコンニャクというひみつ道具が登場し、これを食べるとその自国の人たちの言葉を理解する道具として登場する。
  • ルパン三世』においては石川五ェ門が所持する斬鉄剣では切れない物の一つとして良くメディアなどで掲げられている。

こんにゃくと政治

国内生産者保護のため、こんにゃく芋は関税割当制度の対象とされ、安価な輸入こんにゃく芋には国内産より高コストとなるように、高額の関税が課されている[43]。2015年の1次税率(267トン以内)は40%、2次税率は2796円/kgである[44]ウルグアイ・ラウンド合意によってこんにゃく芋の関税化が始まった1995年当時は、2次税率の関税率は1706%に相当した。また、各年度において、年度開始からの累積の輸入量が一定量を超えると超えた月の翌々月からその年度の終わりまで「特別緊急関税」と呼ばれる3728円/kgの緊急関税率が適用されることが定められ[45]、2009年2月1日、2009年9月1日、2010年7月1日、2012年12月1日に実際に発動している[46]

自民党には、こんにゃく農家の保護・育成のために活動する「こんにゃく対策議員連盟」があり、群馬県を地盤とする小渕恵三も会長を務めていた。2011年、当時の民主党政権の前原誠司外務大臣は、こんにゃく芋に高関税が設定されていることについて、こんにゃく芋の大産地である群馬県から出た、自民党の内閣総理大臣が多いからだと発言した[47]

ただし近年は輸入品価格も上昇し、2008年は1 kg当たり800円程であったため関税率は350%程度で、関税が適用されても輸入こんにゃく芋の方が安くなる場合もある[48]。なお、精粉等の、こんにゃく製品の輸入は自由化されており、関税率は20.3%である[49]

脚注

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  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “コンニャク”. BG Plants 和名−学名インデックス (YList). 2012年7月2日閲覧。[リンク切れ]
  3. ^ こんにゃく芋ってどんなもの?”. 株式会社関越物産. 2018年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月15日閲覧。
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  47. ^ 前原外相のコンニャク高関税発言 読売新聞2011年2月17日[リンク切れ]
  48. ^ 平成22年度関税率・関税制度改正要望事項調査票(延長)
  49. ^ 農林中金総合研究所 農林漁業・環境問題レポート 2005年11月 WTO農業交渉とこんにゃく産業

参考文献

関連項目

外部リンク