グランド・モフ・ウィルハフ・ターキン

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ウィルハフ・ターキン
Wilhuff Tarkin
スター・ウォーズシリーズのキャラクター
初登場新たなる希望』(1977年)
ピーター・カッシング
ウェイン・パイグラム英語版
スティーブン・スタントン(『反乱者たち』)
プロファイル
種族 ヒューマノイド
性別 男性
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グランド・モフ・ウィルハフ・ターキンGrand Moff Wilhuff Tarkin)は、アメリカSF映画『スター・ウォーズ』シリーズに登場する架空の軍人。エピソード3エピソード4に登場。

エピソード4ではフランケンシュタインドラキュラシリーズ等、クラシックホラー映画の大スターとして知られるイギリスの名優ピーター・カッシングが演じた。エピソード3ではピーター・カッシングに比較的容姿が似ているウェイン・パイグラム英語版が演じている。

概要

初代デス・スターの司令官で、レイア・オーガナの出身惑星であるオルデランを破壊したが、ヤヴィンの戦い反乱同盟軍の攻撃による初代デス・スターの爆発で死亡した。

帝国の樹立までにおいて

ターキンは元々、惑星エリアドゥの貴族出身で、この工業惑星の副総督も兼任していた。以前、通商連合ヴァローラム銀河元老院最高議長との間でサミットが行われた際に、自ら議長の接待役を務め、以後中央権力への足掛かりを掴む。だがこれが同時に、ヴァローラムにとっては失墜の始まりとなる。

数年後、(『エピソードI:ファントムメナス』から三年後)ターキンは共和国辺境領域保安軍の中佐として、三十代半ばにしてパルパティーン元老院最高議長や、その他多くの権力者達との繋がりを持っていた。

なお、この「共和国辺境領域保安軍」の存在は、一見すると『エピソードⅡ:クローンの攻撃』で明かされた「クローン大戦開戦前には銀河共和国が戦争に対応できる軍隊を保持していなかった」という設定と矛盾しているように見える。しかし、ジェームズ・ルシーノによって執筆された正史の小説『ターキン』では、この共和国辺境領域保安軍が、エリアドゥの属するセスウェナ宙域に於ける海賊密輸行為の取り締まりを目的に結成された自治組織を元に発展した、地方の大規模な自警団に近い組織であることが語られている。ルーカスフィルムによってなされた「歴史の編纂」では、この軍隊の日本語名称は共和国保安部隊や共和国辺境宙域警備隊に変更され、銀河共和国が崩壊する数十年前に保有していた、宇宙空間での戦闘を想定した特殊部隊(もしくは小規模な軍)の1つという位置づけになっている様である(パナカ隊長が実戦経験を積む為に一時出向していた共和国特殊機動部隊も銀河の治安維持が主要任務の1つであり、同じ類の部隊だと考えられる)。

クローン大戦の時代にはターキンは共和国軍大佐の地位に就いており、『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ (テレビアニメ)』ではジェダイ・マスター・イーヴン・ピール指揮下の部隊に配属されている。共和国と独立星系連合との拠点を結び、互いにとって敵の手に渡れば致命傷になりかねない、ネクサス・ルートの座標を発見したピールの部隊は、その後独立星系連合の捕虜となり、尋問の為にジェダイ専用の刑務所であるシタデルへと連行されてしまうった。この時ピールは戦艦のコンピュータから座標のデータを削除し、その座標を分割してターキンと共に記憶していた。共和国部隊による救出作戦の際にイーヴン・ピールは殺害されてしまうが、ピールが記憶していた情報は、彼の死の間際にアソーカ・タノに伝えられターキンも脱出に成功した。しかしネクサス・ルートの座標についてアソーカは、ジェダイ評議会にのみ報告を行う様命じられており、ターキンもパルパティーン最高議長にのみ報告する様に命じられていると主張した。その為ジェダイ評議会は、この件についてパルパティーンとの協議を余儀なくされた。この時ターキンは、シタデルからの脱出時に、敵よりも明らかに戦力が劣っているにも関わらず、力に頼った強引な作戦を提案したり、要塞としてのシタデルの強固さを賞賛するなど、後のデス・スター構想へと繋がる思想の片鱗を見せていた。

やがてクローン大戦終盤にエリアドゥに総督として戻り、流刑惑星デスペイヤーにて秘密裏の内にデス・スターの建造に着手した。

パルパティーンが自ら皇帝となって銀河帝国を樹立すると、ターキンは帝国初のグランド・モフという重要な地位に任命されることとなる。グランド・モフとは、皇帝が重臣たるターキンの為に新設した最高階級であり、皇帝、ベイダー、ターキンの三人が銀河帝国の創始者であることの象徴でもあった。ターキンの場合、アウター・リムのほぼ全域を統括する権限を与えられていた。

ターキン・ドクトリン

ターキン・ドクトリンとはターキンが唱えた教義に、メディアが付けた名前である。平和で豊かな銀河の実現と云う、皇帝のビジョン実現を目指す、帝国軍の正統性を強調するものである。かつての共和国の腐敗を引き合いに、自己利益や保身に囚われること無く、真の世界秩序の確立を謳った。また軍の存在意義は、この銀河を侵略し、民を奴隷化して搾取する者達や、政府に離反し国家転覆を図る者達から帝国市民を守ることであり、更に軍事力の行使は、そうした国家の脅威と成り得る勢力を、法に則って処罰する場合にのみ行われるとした。こうした彼の主張は帝国議会から大きな反発を招いたが、民衆からは相応の理解を獲得していた。

ターキンの帝国軍における地位

皇帝、ダース・ベイダーと並ぶ三人の銀河帝国創設者と賞された人物がターキンであった。彼は皇帝パルパティーンが共和国最高議長であった頃からの重臣であり、皇帝はグランド・モフという最高階級を用意することで、ターキンへの信頼を示したのである。更にデス・スター建造を監督したターキンは、アウター・リムの帝国領を思うがままに支配した。ターキンの権力は皇帝に次ぐ程のものであり、『エピソード4:新たなる希望』を見れば分かる通り、惑星一つを破壊するデス・スターのスーパ・レーザーを自由に出来るばかりか、ダース・ベイダーをも服従させる程強大なものであった。ベイダーはかつてジェダイであった頃、第一印象こそターキンの傲慢さに嫌悪感を抱いたものの、長く接する中で次第にターキンを有能な人物として敬意を評す様になっていった[1]。ターキンは帝国軍をその判断で自由に処刑する裁量を与えられており、彼に対する帝国内での恐怖は、フォースによって"私刑" を行うベイダーさえも凌いでいた。反乱者捕縛失敗の言い訳をベイダーに並びたてたマーケス・チュア大臣も、ターキンが直接報告を求めているというベイダーの脅しには屈するしかなかった[2]。彼の死後、タッグ将軍が地上軍の大将軍に任命され、ベイダーがその配下に降格するなど、帝国軍の組織図は大きく刷新された。後にベイダーが頭角を現すまでは、ターキンに比肩する帝国ナンバー2の座は空席となる。

デス・スターの完成とターキンの死

長い歳月を経てデス・スターは遂に完成し、その頃勃興しつつあった反乱分子を根絶する為に活動を開始した。だがその思惑も、反乱同盟軍にデス・スターの設計図を奪われたことによって大きく狂わされる。惑星オルデラン選出の元老院議員にして、反乱軍の指導者であるレイア・オーガナを捕らえ、更に、彼女の故郷であり反皇帝派勢力の根拠地の一つでもあるオルデランを破壊して、デス・スターの威力を誇示してはみたものの、状況は一向に進まず、加えてレイア救出の為にデス・スターに乗り込んで来たルーク・スカイウォーカーらを取り逃がしてしまった。だが、彼らの宇宙船に発信機を取り付けることで、反乱軍基地の在処を見つけ出すことには成功し、ターキンは一路、惑星ヤヴィンへと向かう。

しかし反乱軍側は、既にデス・スターの弱点を割り出していた。表面の排熱ダクトにプロトン魚雷を打ち込めば、反応炉は忽ち大爆発を起こす。ヤヴィンが壊滅するのが先か、デス・スターが破壊されるのが先かと云った局面の中、ターキンは猶もデス・スターの勝利を信じて疑わなかったが、ルークという一人の若者によってデス・スターは破壊され、ターキン自身もこれと運命を共にした。

この戦いで生き残ったのは、若干の戦闘機パイロットとダース・ベイダー、そして当時レイアの嘘の白状に基づき反乱軍基地捜索の為に惑星ダントゥイーンに派遣されていたタッグ将軍や、同様にシャトルでデス・スターを離れていたマキシミリアン・ヴィアーズ大佐のみであった。

ターキンの死が銀河に与えた影響

ターキンの死は、銀河系、特にアウター・リムに多大なる影響を与えた。ターキンは銀河帝国草創期、若しくは銀河共和国時代からパルパティーンの最大の支持者であり、帝国の成立と相まって、治安の悪いアウター・リムを統治する為の数々の特権を与えられていた。その権力は皇帝に次ぐものであり、デス・スター建造の指揮・監督権を与えられていたこと、更には惑星の破壊命令を自由に発動出来たことからもその強大さが伺える。ヤヴィンでの敗北は、アウター・リムを統治していた権力機構の最高司令部を一気に取り払うことになってしまった。その結果、各地では反乱の火の手が上がり、反乱同盟軍は一気に勢力を拡大した。

非正史(レジェンズ)

ベイダーは皇帝の密使として、ターキンが皇帝に離反しない様、密かに監視する役目も担っていた。実際、ターキンの側近モッティ提督に至っては、ターキンに皇帝への謀反を強く勧めていた。デス・スターと云う絶大な力を得たターキンは実質的に皇帝に比肩する程の力を持つこととなり、最早皇帝にとってターキンは、危険極まりない存在となり始めていたのである。実の所ターキンは、自ら皇帝に取って代わる野望を抱いていたのである。

銀河帝国の成立後間も無い頃、ゴーマンへの増税に抗議する大規模なグループが、秩序だった座り込みによって宇宙船の着陸デッキを占拠し、この時ターキンは、彼らの頭上に自身の船を平然と着陸させ、大勢の罪も無い市民を虐殺した。これは後にゴーマンの虐殺として広く知られる様になる。そして、反社会勢力への徹底的な弾圧と強権的な恐怖政治、「力そのものより、力への恐怖によって統治せよ」をモットーとする「ターキン・ドクトリン」が確立された。尚、「ターキン・ドクトリン」は正史にも登場しているが、その主旨や内容は大幅に異なっている。

ターキンは友人のレイス・サイナーから、惑星規模の巨大宇宙船についてのアイデアを聞かされ、またその頃、銀河の辺境に位置する惑星ゾナマ・セコートでのみ作られる、セコート船と呼ばれる宇宙船に強く興味を抱き、この惑星をどうにか征服しようとした。だがそこには偶然にも、オビ=ワン・ケノービと彼のパダワンのアナキン・スカイウォーカーがおり、彼らの活躍と、ゾナマ・セコート自身がハイパードライブを起動して、惑星ごと何処かへ飛び去っていってしまったが為に、ターキンの企みは失敗に終わる。だがターキンは、サイナーのアイデアである宇宙要塞のアイデアを自らの構想として売り込み、やがて失地回復を果たした。

ターキンの死後、帝国側もこの事態を非常に重く見て、彼の目指した反乱軍殲滅を果たすべく、スーパー・スター・デストロイヤー「エグゼキューター」を新たに建造し、第一級の艦船からなる機動艦隊「死の小艦隊」を編成して、皇帝の右腕であるダース・ベイダーにその指揮を一任し、反乱軍追撃と銀河の治安維持とを行わせた。ターキンの後継者として、グランドモフ・アーダス・ケインがアウター・リムの統括を引き継いだが、ケインに与えられた権限はターキンのそれと比べるべくもなかった。皇帝の死後、ケインは帝国からの独立を宣言してペンタスター同盟に加わるも、後に暗殺された。

出典

  1. ^ 『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』テレビシリーズ、シーズン3、第20話「勝利の代償」
  2. ^ 『スター・ウォーズ 反乱者たち』テレビシリーズ、シーズン2、第1話「ロザルに立ちこめる暗雲」

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