クリストバライト

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クリストバル石(方珪石)
クリストバル石と鉄かんらん石
分類 酸化鉱物(ケイ酸鉱物)
シュツルンツ分類 4.DA.15
Dana Classification 75.1.1.1
化学式 SiO2
結晶系 正方晶系
へき開 なし
モース硬度 6.5
光沢 ガラス光沢
白色
条痕 白色
比重 2.3
光学性 一軸性 (-)
屈折率 nω = 1.487、
nε = 1.484
複屈折 δ = 0.003
文献 [1][2][3]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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クリストバル石[4][5](クリストバルせき、cristobaliteクリストバライト)は、二酸化ケイ素 (SiO2) の結晶多形の一つで、石英の高温結晶形。方珪石(ほうけいせき)[5]とも呼ばれる。

産出地

火山岩の空隙中に産する。

性質・特徴

クリストバル石は 1,470 ℃ 以上で安定だが、低い温度でも準安定となる。

クリストバル石は、ほとんどの二酸化ケイ素の多形体と同じく、フレームワークと呼ばれる、酸素原子が近隣の四面体と共有される SiO4 四面体から構成される立体構造から成る。クリストバライトのフレームワークには複数の形がある。高温では立方構造だが、常圧の250℃以下に冷却されると正方構造に変化し、そのフレームワークの中で、二酸化ケイ素四面体が傾いた構造となる。この相転移は、α−β転移と呼ばれる。

立方のβ相は、全体としては無秩序の二酸化ケイ素四面体から成る。四面体はかなり規則的なままで、フォノンの影響のために、理想的な四面体の方向からずらされている。α−β相転移において、3本の縮退した立方の結晶軸のうちの1本は、四角形の形で4つの方向をとることができる。軸の選択は任意で、そのため、いろいろな双晶が同じ結晶粒の中にできることになる。この相転移の不連続な性質に伴って、クリストバル石が含有する煉瓦では、繰り返し転移温度(例えば耐火性レンガ)を通過するような熱サイクルによって、かなりの機械的なダメージを与える。

二酸化ケイ素が不透明になるとき、その熱力学の安定範囲外でも、クリストバル石は通常、できる第一相である。

プレシャスオパールを作るマイクロメートル球はクリストバル石でできている。

用途・加工法

種類によっては水分を含むと様々な物質を吸着する性質がある為、汚水の浄化、土壌改良および改善、セシウムの吸着等の効果が望める。

脚注

  1. ^ 国立天文台編 編「おもな鉱物」『理科年表 平成20年』丸善、2007年、646頁。ISBN 978-4-621-07902-7 
  2. ^ Cristobalite (英語), MinDat.org, 2011年12月14日閲覧 (英語)
  3. ^ Cristobalite (英語), WebMineral.com, 2011年12月14日閲覧 (英語)
  4. ^ 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年、229頁。ISBN 4-8181-8401-2http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi 
  5. ^ a b 松原聰宮脇律郎『日本産鉱物型録』東海大学出版会国立科学博物館叢書〉、2006年、29頁。ISBN 978-4-486-03157-4 

参考文献

関連項目

外部リンク