キーマカレー

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キーマ、ムンバイにて

キーマカレーKeema Curry, Qeema Curry)は、インド料理の一つ。挽肉を用いて作ったカレー料理。

インドのキーマカレー[編集]

ヒンドゥスターニー語で「キーマー」(ヒンディー語: क़ीमा, ウルドゥー語: قیمہ, ラテン文字転写: qīmā)は、「細切れ肉」または「挽肉」を意味する。キーマカレーは「挽肉のカレー料理」というだけの意味に過ぎず、特定の調理法があるわけではない。広大なインド亜大陸では地域や宗教により素材も料理法も非常に種類が多く、現地では日本ドライカレーとほとんど同じようなものから、煮こんだスープ肉団子のカレーなど、日本で見るキーマカレーとは似ても似つかないものもある。

肉は何でも素材にされるが、インドでは宗教的な食の禁忌により、山羊もしくは鶏肉を使ったキーマカレーがほとんどで、牛肉豚肉を使ったキーマカレーは少数派である(インドにはイスラム教徒も10%ほどおり、彼らは牛肉を使うこともある)。素材は挽肉のほか、ギー(インドバター)、 タマネギニンニクショウガなどのスパイスが使われている。またトマトナスジャガイモヒヨコマメなどの野菜を加えたり、グリンピースを添えることも多く、ヒンディー語でキーマー・マタル(कीमा मटर, 挽肉とグリンピース)と呼ぶ。ライスチャパティとともに食べることが多いが、サモサナンに詰めて食べることもある。

日本では、スパゲティ・ミートソースや麻婆豆腐の類推、またそのこともあって子どももなじみやすい、加えて昨今のスパイスカレーへの注目といったさまざまな理由により、カレーの中でも人気である。

日本のカレー[編集]

挽肉で作るドライカレーは日本で独自の発展をしているが、挽肉のカレーという点で一種のキーマカレーといえる。

日本に普及し始めた当時、羊やヤギ肉が手に入りづらかったため鶏肉を使ったキーマカレーが普及した。日本で初めて鶏肉を使ったキーマカレーを出したのは、1954年創業のインド料理店アジャンタといわれている。当時日本ではマトン肉が入手しにくく、その代用としてであった[1]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 『カレーのすべて』柴田書店、2007年。ISBN 978-4388060221 p27

関連項目[編集]