ガメラ

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ガメラは、大映(現:角川映画)が1965年に公開した特撮映画大怪獣ガメラ』に登場する架空の怪獣の名称。

『大怪獣ガメラ』以降も続編、及びガメラの登場する映画作品が継続的に製作されており、これら全作品を総称してガメラシリーズと呼ぶ。東宝ゴジラシリーズと共に日本の怪獣映画を代表する作品群である。本項ではシリーズ全般、およびキャラクターとしてのガメラを解説する。

シリーズの概要

ガメラシリーズは「倒産以前の旧大映時代」「再建して徳間グループに入っていた大映が製作した時代(俗に言う「平成三部作」)」「角川グループに入った大映が商号変更した角川ヘラルド - 角川映画時代」の3つに区分することができる。

大映時代

旧大映時代の『ガメラ』は、東宝製作のゴジラシリーズの大人気を見た当時の各映画会社がこぞって誕生させた怪獣映画作品群の流れを受け、誕生した。一般的な知名度はゴジラの方が高いものの、ガメラはカメ特有のユーモラスなデザインや飛行能力など独特の個性を持つ[注 1]。また、大映時代の配役には「(『バイラス』以降)必ず外国人の少年(及びその家族)が登場し、主人公である日本人の少年とともに冒険する」という特徴がある[注 2]

誕生秘話としては、「当時の大映社長が、飛行機から見下ろした島の形が亀の甲羅に似ていたことにインスピレーションを受け、『大映の怪獣は亀をモチーフにする』こととなった」という逸話がある[1]

ただ、ピー・プロダクション鷺巣富雄の証言によると、「亀が甲羅に引っ込むと火を噴いて空を飛んでいく」というアイデアは『ガメラ』以前の1962年に鷺巣が企画を暖めていたSFドラマ『STOP』の第1話の脚本で登場する。『STOP』は結局、制作費の問題で没企画となってしまったが、鷺巣によると「東宝の他に、大映にも企画の売り込みを行っており、このアイデアがガメラに活かされた」と述べている[注 3]

徳間グループ時代

徳間書店グループ下の新会社として再建された大映は、当時の徳間グループによるメディアミックス戦略の一環として『ゴジラ』に対抗しうる特撮映画を制作することを検討。その結果、前述した通りの人気を持っていたガメラに着目し、新作の制作を決定した。

こうして制作された新たな『ガメラ』は、それまでの怪獣映画にはないリアリティを追求した脚本と大胆にCGを導入した映像が話題を呼び、大ヒットを記録した。これにより往年のファンだけでなく新たなファンの獲得にも成功し、引き続き製作された2作品と合わせて後に「平成三部作」と呼ばれ、当初の構想通り『ゴジラ』に比肩する怪獣映画としての地位を不動のものとした。また、平成三部作によって、すでにヒットメーカーとして知られていた金子修介(本編)だけでなく、特撮を担当した樋口真嗣の名も世に知らしめることとなった。

なお、低年齢層も視聴するゴジラシリーズ他の一般的な日本製怪獣・特撮映画と比較すると、「(効果音付きで)人が食べられる」「一般市民が襲われ多量の出血をともなって死亡する」など残酷なシーンが見受けられるが、これは監督の金子が本シリーズの対象年齢を「小学校高学年あたり」としていることによる。

角川映画時代

平成三部作完結後、しばらく休眠期に入ったガメラシリーズであったが、ライバルというべきゴジラシリーズが2004年をもって一応シリーズの完結を迎えたことで、テレビ特撮番組からのスピンオフではない純粋な「特撮(怪獣)映画」の新作が観られなくなることを危惧したファンから、再びガメラシリーズの復活を求める声が高まった。

大映自体も2002年に角川書店に営業権が譲渡され、その営業権をもとに新たに株式会社角川大映映画が設立された。角川大映は後に角川映画に商号を変更し、同社は徳間時代とは違った形でのガメラ復活を検討。その結果、2006年には新作ガメラ映画『小さき勇者たち〜ガメラ〜』を製作・上映した。

2015年10月、ガメラ生誕50周年記念としてウェブサイトが公開され[2]YouTubeにて記念映像『GAMERA』が公開された[3]。この映像は石井克人が監督し、男児の子役とその父親として宮藤官九郎が出演した[3]。第28回東京国際映画祭日本映画クラシックス部門でも、「ガメラ」生誕50周年記念スペシャル映像を上映予定である[3]

映画以外のガメラ

ガメラは映画以外のメディアでもテレビゲーム化されたり、パチスロメーカー「ロデオ」によって『ガメラ』『オオガメラ』『ガメラハイグレードビジョン』『ガメラZS』と、合計4台のパチスロ台が生み出されている。

キャラクターとしてのガメラ

巨大なの姿をした怪獣。甲羅の表面が「のような重なり合った形状」になっており、下顎の左右両端から大きな牙が1本ずつ、上に向かって生えている[注 4]。血液は緑色である。

本物の亀のように、頭や手足、さらには尾までも甲羅内へ引き込める。引き込んだ後はくぼんだ部分から火炎を噴射し、その推進力を利用して大気圏内はもちろん宇宙空間でも飛行できる(四方から火炎を噴射しつつ回転して飛ぶ場合と、後脚の部分のみ火炎を噴射して前を向いたまま飛ぶ場合がある)。平成作品では、膝や肘からのジェット噴出で飛行している。最高飛行速度はマッハ3以上。

回転飛行形態の際、昭和作品では比較的ゆっくり回転しているが、平成作品では格段に回転速度が上がっており、超高速で回転をする(VFXの技術力の向上によるものもあるだろうが)。このため、周囲には猛烈な風が発生しており、付近のヘリコプターなどの飛行物体はかなりの揺れを伴うようだ。また、作品が進むごとに戦闘的な身体に進化するという設定も加わった影響で、昭和作品のように足を引っ込めるだけにとどまらず、『2』では腕を平たく伸ばして飛行機の翼のような形態に変化させたり、『3』ではその腕を可動させることで細やかな機動調整ができるようになっていたり、回転飛行の際には側面のとがった甲羅と回転を利用して敵に体当たり攻撃を行うなどの進化を見せている(詳細は#身体的特徴及び、フォルムの変化を参照)。

昭和作品では口からの火炎放射と怪力、噛み付きなどのほか、周囲の岩や建造物を武器として使用することもある。平成三部作では火炎の代わりにプラズマ火球を発射するほか、エルボークロー(の骨が爪のように変化したもの)が追加された。また、『ガメラ 大怪獣空中決戦』では超烈火球=ハイ・プラズマ、『ガメラ2 レギオン襲来』では究極超烈火弾=ウルティメイト・プラズマ、『ガメラ3 邪神覚醒』では爆熱拳=バニシング・フィストという必殺技を見せている(詳細は#攻撃技を参照)。

ガメラを含むガメラシリーズの怪獣は、ゴジラシリーズやウルトラシリーズなどの円谷英二が携わった作品に登場する怪獣と比べると、(設定上の)体重が非常に軽い[注 5]

昭和シリーズで監督および特撮監督を勤めた湯浅憲明は、ガメラとゴジラやウルトラ怪獣との差別化として、ガメラを二本足で立たせず極力四足歩行させたり、流血描写などで動物性を強調したとしたと述べている[1](平成シリーズでは、終始直立二足歩行で移動している)。

昭和のガメラ

基本データ
分類 カメ類[注 6]
年齢 8,000歳
体高 60メートル
全長 不明
甲羅長径 不明
甲羅短径 不明
体重 80トン
大気圏内飛行速度 マッハ3
水中潜航速度 150ノット
歩幅 20メートル
エネルギー 熱エネルギー
武器・技 火炎噴射
怪力
回転ジェット
生息地 古代アトランティス大陸

概要

エスキモーの伝承に伝わりし北極の氷の中で眠っていた古代の怪獣。一説にはアトランティス大陸に生息していたとされる。国籍不明の原爆搭載機の墜落により、閉じ込めていた氷が割れて覚醒。南下して最終的には日本に上陸、破壊の限りを尽くす。当初は凶暴な怪獣として描かれているが、子供に対しては友好的な面も見せている。一度は「Z計画」と呼ばれる作戦により巨大ロケット内に閉じ込められ地球から火星に追放されるが、ロケットが小惑星との衝突により破壊されたことで解放され、地球に再来する。

第2作『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』以後は人間に対して具体的な敵意を示すことは無く、エネルギーの摂取時以外にはほとんど出現しなくなるが、侵略者や怪獣によって子供が危機に陥るような事態が起こると、何処からともなく現れて子供達を救っていく。

このように基本的には悪役だった第1作でも子供を助ける場面があり、大人向けに製作した2作目を除く3作目以降は、一貫して「悪の怪獣・侵略者を打ち倒す正義の怪獣」「子供達のヒーロー」として描かれる。

昭和ガメラ最終作『宇宙怪獣ガメラ』ではミドリガメが成長しガメラになったような描写があり[注 7]、『対ジグラ』までのガメラとは別個体とする説もある。同作で宇宙海賊船ザノン号に特攻してからの消息は不明。 ちなみに『対ジャイガー』にて、全身レントゲン撮影した際、「アオウミガメ」にそっくりと言われていることから、昭和ガメラの世界にはカメが存在していることが判明している。

身体的特徴及び攻撃技

口からの火炎放射以外に、外観に似合わぬ運動能力[注 8]と怪力を誇るが、特筆すべきはその生命力で、身体を串刺しにされるほどの重傷を負っても戦闘を続行できる。しかし、ジャイガーの幼体に寄生され血液を吸われた際は昏倒してしまい、人間がジャイガーの幼体を排除したのちに体内に電気を供給することで復活する。傷を負った際は水中で休息をとることで傷を癒す。

弱点は低温で、北極の氷の下に長い間閉じ込められていた他、自衛隊の冷凍爆弾でも短時間活動を停止している。また、バルゴンの冷凍液には火炎放射も通じず凍結してしまった(自然解凍と同時に火炎放射で復活)。劇中でも「冷たい温度に弱い」と言われている。

甲羅は頑強で、たいていの攻撃は跳ね返せる。実際の亀と同じく敵に攻撃されると甲羅に各部を引き込んで防御を図ることも多い。しかし、バイラスの頭には貫かれ、串刺しになってしまう(バイラスはこの状態でガメラに倒されている)。またギロンに何度も切りつけられて流血してしまったこともある(水に浸かっていたことで顔の傷と共に回復、『宇宙怪獣ガメラ』では流血しない)。ジグラのヒレでも表面に傷をつけられている。

をエネルギー源とするため体内に火力発電所のような組織を持ち、マグマ高圧電気石炭石油ウランを常食とする。炎そのものも吸い込むようにして食べることが出来、初期の段階では発電所や火山活動が活発な地域に出没することが多かった。熱エネルギー目当てに噴火している火山に自ら飛び込むこともある。火器を用いた攻撃などは逆に吸収してしまう。また、バルゴンの虹光線を狙うこともある。公式ホームページではタマネギニンジンが嫌いな食べ物と表記されている。

着ぐるみは第1作のもの、第2 - 4作のもの、第5 - 7作のものと合計3種類ある(『宇宙怪獣ガメラ』は飛び人形のみ)。

スーツアクターは荒垣輝雄(2 - 4作目)、泉梅之助(5・6作目)。

身体機構

石油袋
ガメラが食べた石油等の液体を、いったん貯蔵しておく器官。
石炭袋
ガメラが食べた石炭を、いったん貯蔵しておく器官。蓄えられた物質は、その後、高熱炉へ送られる。
高熱炉
ガメラが摂取した石油、石炭、マグマミサイルウラン等は、最後ここに集められ、燃焼される。
熱エネルギー変換腸
高熱炉で燃焼されたものがここに送られ、熱エネルギーに変換される。
熱エネルギー心臓
働きは他の生物の心臓と同じだが、熱エネルギーで動くため、桁外れのパワーを持つ。
高熱筋肉
人間の1万倍の腕力を誇り、いかなる高熱にも耐え、どんな金属よりも強靭

平成三部作のガメラ

便宜上、平成三部作の設定を継承する自主制作映画『ガメラ4 真実』のガメラについても記述する。

概要(平成三部作)

基本データ
分類 不明[注 9]
年齢 推定1億5千万歳
体高 80メートル[注 10]
全長 不明
甲羅長径 約60メートル
甲羅短径 約40メートル
体重 120トン
大気圏内飛行速度 マッハ3.5
水中潜航速度 180ノット
歩幅 不明
エネルギー プラズマエネルギー
武器・技 ハード・スラップ
ラッシング・クロー
エルボー・クロー
ブレイク・ファング
カーフ・クロー
シェル・カッター
プラズマ火球
ハイ・プラズマ
ウルティメイト・プラズマ
バニシング・フィスト
バーナー(本編未登場)
ホーミング・プラズマ(本編未登場)
生息地 普段は深海で活動している。

スーツアクターは真鍋尚晃、鈴木潤(『ガメラ 大怪獣空中決戦』。以降、『1』)、大橋明(『ガメラ2 レギオン襲来』。以降、『2』)、福沢博文(『ガメラ3 邪神覚醒』。以降、『3』)。

基本的に、昭和ガメラの設定(主に3作目以降の「悪の怪獣を打ち倒す正義の怪獣」などの設定)に準じているが、昭和ガメラの「北極の海に封印されていた」という設定から、こちらは「古代文明の技術を利用して生み出された生体兵器であり、永らく岩礁のような状態となって眠りに就いていた」という設定に変更されている。主な技も火炎放射からプラズマ火球に変更され、外見的特徴、身体が休息期間中に戦闘的な身体に進化するなど、大幅な設定変更や追加がなされ、従来のシリーズとは全く異なった新たなガメラとして描かれている。

全体的な設定や演出もほとんどの場合、子供が関わっていたり嫌いな食べ物など、子供向けの設定や演出が目立っていた昭和ガメラに対し、こちらは環境破壊が絡むほか、勾玉石碑などの古代の歴史に関わる物品が登場するなど、劇場公開当時の現実世界における古代の歴史、実際に起こっている問題や出来事とリンクした大人向けの徹底したリアリティーのある設定や演出が目立つ形となっている。また、昭和ガメラほどではないが、敵怪獣の攻撃などで倒れても、子供の祈りと共感して力を発揮したり復活することもある。

体格に関しては昭和ガメラよりも大きく[注 11]、設定年齢も大幅に増加している。歩き方に関しても昭和ガメラのはうような四足歩行ではなく、シリーズを通して直立二足歩行である。

身体的特徴及び、フォルムの変化

基本的な特徴は昭和ガメラとさほどの違いはないが、三部作通して外見的な造形は昭和ガメラよりも生物的なプロポーションになっている。

身長・体重こそ際立った変化はないが、フォルムに関しては三部作通して異なるがこれは、ガメラが長期間休息する際に体質改善を行い、体をより戦闘的に進化させているためである。それに伴い、新たな技も身に付けていくようになっている。

視力は人間に換算すると30.0という驚異的な視力の持ち主である[要出典]

フォルムの変化に関しては、以下の通り。

『ガメラ 大怪獣空中決戦』でのフォルム
全体的に柔和でずんぐりとした外見を持つ。
頭がかなり大きく重いため、転倒するとジェット噴射を行わなければ起き上がれない。こうなってしまうと何もできなくなり、無防備かつ、危険な状態となってしまう。
目は大きめで、かなり柔らかな顔付きをしている。エルボークローは普段は肘の中に収納されており、任意で突出させることができる。
両足のみを甲羅に引き込んで飛行する際は昭和ガメラ同様、腕を上ないし、前に出して飛行する。
首や手足はやや太く、短め。
『ガメラ2 レギオン襲来』でのフォルム
全体的に『1』のフォルムの面影を残してはいるが、以前に比べてシャープな印象の姿になっている。
以前よりも頭が小さくなり軽量化されたため、転倒してもジェット噴射を行わずに自力で起き上がれるようになっている。また、頭が小さくなったことで首が若干長くなった上、目が少し小さく、頭の鶏冠は少し大きく発達しており、以前と比べて精悍な顔付きとなっている。
歯並びも変わっており、特に下の歯の配置が以前は内側よりだったのが今回は外側よりに移動をしている。
手足もより大きく長くなり、体格も以前より少し大きくなっている。更に両足のみ甲羅に収納して飛行する際、以前は足を引っ込めるだけだったが、今回では両手をウミガメのヒレのような翼状に平たく伸ばして変形させ(変形させた腕は固定され、動かせない模様)、以前は収納していた尻尾も短く縮めて出して飛行するようになり、これによって空気抵抗を抑え、速力や機動性が以前よりも高められている。
腕のエルボークローは以前のように肘には収納されなくなり、常にせり出した状態で固定されるようになっており、付け根辺りには短くもう一本のエルボークローが生えている(ただし、飛行時にウィング状に腕を伸ばした際には、隠れる模様)。
『ガメラ3 邪神覚醒』でのフォルム
全体的に以前のガメラには見られなかったほどの攻撃的な姿となり、より生物的かつ怪獣らしいフォルムへと変化している。また、『1』から『2』に掛けて以上に休息期間が長かったためか、以前のフォルムから急激な進化を遂げており、過去2作品においての面影はほとんど残っていない。
体格が更に一回り大きくなった上、頭は以前よりも小さくなり、それによって転倒しても以前よりも即座に起き上がりやすくなっている。首もさらに長くなり、頭のとさかもより大きく発達、逆に目はより小さくなったことに加え、眼球は白目だった部分が全て緑色に変化したことで、凶悪かつ険しい顔付きとなっている。
手足は以前よりも更に大きく発達し、指の形が段々に並んで若干長くなっており、足も以前と比べ太くがっしりとした形となっている。歯並びも以前よりも外側に移動している。
全体的にとげとげしいフォルムにもなっており、特に甲羅の表面と側面の変化が顕著で、かなり鋭利な形に変化している。これによって回転飛行をしながら体当たりする際の強力な武器として使用できるようになっている(この時の技はシェル・カッターとよばれている)。更に甲羅の表面を逆立てることにより周囲の空気を吸引または外部に放出し飛行時の離着陸する際の浮力調整を行えるようになっている。
エルボークローの生え方も以前は肘辺りから後方向に掛けて生えていたのが今回では腕の下に沿うように前方向に傾斜する形に生えており、ふくらはぎにも「カーフクロー」と呼ばれる突起が生えている。
前作と同様に飛行の際は両手を翼状に平たく伸ばし飛行するが、以前は固定されていた腕が今回は鳥の翼のように柔軟に動かすことができるようになっており、これによって機動性も格段に高くなっている。脚の部分には、小さなヒレのようなものが生え、とがった甲羅の端の最も長い部分も可変するようになっていたり、以前は短い状態だった尻尾が長く突出したことで、より細やかな機動調整を行えるようになっている。

正体

正体としては、はるか太古に滅亡した超古代文明によって、ギャオスを倒すために、甲羅状の「器」に地球の生命エネルギー「マナ」を集めて創り出された、一種の「生体兵器」とされている[注 12]

基本的に地球を守るために行動しており、守るべき対象は人間だけに限らず、全ての生態系、ひいては地球そのものとされる[注 13]。生態系を破壊し地球環境に害をなす生物を倒すためならばしばしば人間を巻き添えにしてしまうこともある。その一方で、逃げ遅れた子供をギャオスの光線から助けたりすることもある。

なお、作品世界においては亀の先祖に相当する生物が恐竜と同時期に絶滅しているため[注 9](劇中ではその設定に全く触れていないが)、ガメラの事を「怪獣」と称しても、「巨大な亀」と言った表現は一切なされておらず、「亀」と言う単語そのものも一切登場しない(ただし玄武は存在する)。しかし、『3』の劇中にて、斉藤雅昭のデスクの上に存在しないはずの陸亀の置物が置いてあるため、矛盾が生じている。

環境への適応や自身の戦闘能力の向上のために、短期間で進化する生物である(劇中に登場する度に戦闘的な体へと変化しているのがその証拠である。#身体的特徴及び、フォルムの変化)。コンビナートに墜落し大爆発に巻き込まれたり、草体爆発時に炭化してしまったり、敵怪獣に瀕死状態に追い込まれたりしても復活しているが、これらはいずれも「人間の祈り」(全てにおいて特に子供の祈り)が鍵になっている。

草薙浅黄とは精神的な交信が可能であるが、一時は、ガメラが受けたダメージがそのまま浅黄に伝わったり、負傷した箇所と同じ箇所を負傷したり、ガメラが傷の回復のために眠りに就くのと同時に眠りに就き、ほぼ同時に目覚めたりするまでに強かったが、作品が進むに従ってその傾向は徐々に弱まって行き、『2』の中盤で完全に自立している。この精神交信においては甲羅から発見された勾玉が重要な鍵となっていたが、『2』でのガメラ復活時に、浅黄の持っていた勾玉が砕けている。『3』では、これと同時に他の全ての勾玉も砕けていたことが判明。これについて、『3』の登場人物・倉田真也が独自の見解を述べている(ガメラは人間との交信を断ち切ったという浅黄の意見に対し、倉田はガメラの再生は人間の祈りによって成されたものであり、ガメラはまだ人間とは完全に離れてはいない、と予測した。なお倉田はそれこそがガメラの弱点、と解釈している)。

作中における行動

1995年
永い眠りから目覚めたギャオス3体と、人の手によって偶発的に復活したガメラが日本各地で激戦を繰り広げていく。
永い間太平洋で奇妙な環礁のような状態で眠り続けていたが、ギャオスの誕生を察知するかのように日本に接近。一度プルトニウム運搬船とぶつかったが、特に問題は起きず、調査団のメンバーが甲羅に上陸し、調査時に中心部にあった金属板に米森良成らが触れたことで金属板が崩壊したと同時に完全に復活する。
3体のギャオスを追って福岡から日本列島を北上して行く。福岡湾で1体、富士山中でさらに1体を倒し、残り1体を追うが自衛隊の攻撃を受けて墜落し、更に超音波メスの攻撃を受けて負傷して退却、海底で傷の回復を図る。
復活後、東京で地下から出現し巨大に成長した成体ギャオスと空中戦を展開し、さらに地上に降り立ち市街戦を展開。地上から再び空中へと戦いの舞台を変え、大気圏外宇宙まで飛び出したが、そこでギャオスの足に食らいつきジェット噴射を抑えそのまま急降下する。苦しむギャオスが超音波メスで自らの脚を切断し脱出したため、コンビナートに墜落、大爆発に巻き込まれてしまう。しかし、浅黄の勾玉を通しての祈りの力(「人間の祈り」)を受けて周りの炎やコンビナートのエネルギーを吸収し復活。
最後は自身のハイ・プラズマとギャオスの超音波メスで撃ち合いを演じ、ギャオスの超音波メスは外れ、ガメラのハイ・プラズマはギャオスの頭部に命中し、爆発四散、勝利を収める。戦いの後は浅黄の傷をいやし、海に去る。
1996年
ギャオスとの戦いから1年後。
宇宙怪獣レギオンの飛来を察知。レギオンの地球への侵略とレギオンの一部である「草体」の繁殖を阻止するために戦う。
札幌に出現した草体を撃破するものの、直後にソルジャーレギオンの奇襲を受け負傷するが、変電所前に倒れたところをソルジャーレギオンが何体か移動した隙に回転飛行形態でソルジャーレギオンを振り落とし、傷を癒すために石狩湾に退却する。
数日後、同じく草体の出現した仙台の戦いではマザーレギオンに巨大な脚で胴体を突かれ、強力な光線、マイクロ波シェルの前に苦戦し、さらに草体種子の発射は防ぎながらも大爆発に巻き込まれて炭化して仮死状態に陥るが、上記の「人間の祈り」により復活。直後に空へ飛び立ち、足利市から群馬・埼玉県境にかけて東京を目指して進行するマザーレギオンと自衛隊との交戦の最中に降り立ち、再戦を繰り広げる。
プラズマ火球を連発し、エルボークローでエッグチャンバーを破壊し、ソルジャーレギオンを生み出すのを封じるなど奮戦するも、プラズマ火球を無効化するバリアを張り、体格差で圧倒してくるレギオンに再び苦戦してしまうが、それでもレギオンの進行を阻止しようと体を張って戦う。
その姿を目の当たりにした自衛隊の援護を受けて徐々にマザーレギオンを弱体化させ、戦いを優勢に進めていき、レギオンの角をへし折るものの、マイクロ波ビュートで反撃され満身創痍の状態になり再び劣勢になるが、最後の手段として地球のエネルギー「マナ」を体内に取り込み最強技ウルティメイト・プラズマを発動させてレギオンを粉砕して勝利を収める。その後は、飛行形態となって空に飛び去る。
1999年
レギオンとの戦いから3年後。
先のレギオン戦において大量のマナを消費した影響で、地球各地に大量発生したギャオス・ハイパーを倒すために奔走。その過程で覚醒したギャオス変異体にあたるイリスと戦うこととなる。
とある週末の金曜の夜、東京上空でギャオス・ハイパー2匹と空中戦を展開、その内の1匹がガメラの攻撃を受けて渋谷に墜落したところに降下。深手を追った1匹をプラズマ火球で葬り、さらにもう1匹も撃破するものの、それらを倒すためにプラズマ火球を連発したことで人々が密集する市街地を壊滅させ、1万人以上の死者を出す結果となってしまう。この惨劇を機に、日本の世論ではガメラを危険視する声が高まる(描写されていないが、劇中で海上自衛隊からの攻撃を受けた旨を伝えるニュースが放送されている)。
その後、イリス覚醒に伴い再び日本へ飛来。イリスと空自との交戦の間に割って入るように参戦し、紀伊半島上空で激しい空中戦を繰り広げ、終始戦いを優勢に進める。体当たりの途中、回転飛行形態に変形して側面のとがった甲羅を利用して更なる追撃を行うが、イリスが放った超音波メスを食らい、距離を離されてしまう。そのまま追尾していたところにガメラ掃討を優先した自衛隊のペトリオット攻撃を食らい、大きくバランスを崩してしまう。すぐさま体勢を整え直すも速度低下し、完全にイリスを取り逃してしまう。
イリスを追ってプラズマ火球を発射しながら京都に降下して行くが、イリスの長い触手によって弾かれてしまい、それによって京都は火の海と化す。その後、京都の地に降り立ち、凄まじい死闘を繰り広げる。ガメラによって両親を失った少女・比良坂綾奈の憎しみを取り込んだイリスの前に鋭利な手甲で胴体を貫かれるなど、苦戦しながらイリスともつれ合ってJR京都駅になだれ込む。その際に一時は瀕死の状態に陥ったが、イリスが綾奈と融合した隙に綾奈の祈りにより復活し、イリスの腹部をえぐって綾奈を救出。まもなくイリスの手甲で右腕を貫かれ、自らの技をコピーした偽プラズマ火球を突き付けられたが、自らプラズマ火球で爆砕した腕の切り口で、イリスの放った偽プラズマ火球を受け止めて“炎の拳”(バニシング・フィスト)を造り出し、綾奈を救出した際に生じたイリスの傷口に炎の拳をねじ込んで体内から爆発させ、その息の根を止める。綾奈を浅黄と長峰達に返して蘇生を見届けた後、半壊した京都駅を後にすると、右腕を喪失した深傷の状態のまま、なお日本上空に迫りつつある世界中から集結するギャオスの大群との戦いを前に咆哮を上げ、自衛隊も陸・海・空全ての部隊が攻撃対象をガメラからギャオスに変更したところで物語は終わる。
全シリーズの中でも、最も人々に恐怖を与える存在であると同時に、最も悲劇的な怪獣として描かれている。
なお、その後については非公式ながら『ガメラ4 真実』で描かれることとなる。

身体機構(平成三部作)

細胞
非常に傷つきやすいが再生能力に優れているため、負傷しても素早く回復する。『2』では、草体の大爆発に巻き込まれた際も表面の細胞が炭化して固まっただけで、内側に新たな細胞が再構築されており、祈りの力を得て復活できた。
甲羅
頑丈だが昭和版よりも敵怪獣の攻撃が強力になっており、ギャオスの超音波メス程度なら昭和版と同じく防ぐことができる(ただし、イリスが放った超音波メスはギャオスのものより高出力だったため、甲羅の上からでもダメージを受け、流血してしまっている)が、レギオンのマイクロ波シェルとレギオン・ビュート、イリスの槍腕(スピア・アブソーバ)には破壊され、貫通されてしまっている。自衛隊のミサイル攻撃も完全には防ぎきれず、転倒や飛行中の墜落、それに至らずとも大きくバランスを崩してしまうほどのダメージを受けてしまう。
昭和版とは異なり、回転飛行を行う以外、甲羅に引っこんで防御、あるいはそのままの状態での体当たりといった行動は行わない。甲羅を利用した戦法は、『3』のイリス戦でわずかに行ったのみである。
力(パワー)
腕力に任せてレギオンの大角を強引に引きちぎるなど、怪力の持ち主である。その一方、イリスに取り込まれた綾奈を救出し、長峰や浅黄たちにそっと返すなど、繊細な扱いもできる。
ガメラブレイン(大脳
三半規管が発達しているため、円盤飛行などによる高速回転でも目が回らない。知能も高い。
テレパ・ブレイン(小脳
超古代文明の勾玉を持った草薙浅黄との精神波を送受信する。
熱エネルギー変換炉(プラズマ変換炉)
ガメラが全身で吸収した炎、高圧電流、核燃料などから発せられる熱エネルギーを、血液中の電子陽子原子核と融合させることで、プラズマエネルギーに変換・貯蔵しておく器官。地球の生命エネルギー「マナ」も、ここでプラズマエネルギーに変換される。全プラズマエネルギーを解放した際のパワーは、予測不可能である。
エルボークロー(邪斬突)
両肘にある鋭い爪のような切れ味の突起。『1』の決戦中に突如皮膚を突き破って生え、ギャオスにダメージを与えた。『2』以降は常に飛び出した状態になっている。
『1』では組み付いてきたギャオスを遠方まで吹き飛ばし、『2』では自身の数倍の体格はあるレギオンを大きく後退させるなど、非常に強力な武器である。
カーフクロー(邪撃脚)
ふくらはぎにある蹴爪(けづめ)状の突起。相撲の内掛けの要領で敵を転倒させるが、イリスには通用せず、自分が転倒した。

攻撃技

ハード・スラップ(玄武掌)
登場作品『1』
主に格闘戦で多用される拳打。
福岡港では飛翔する幼体ギャオスを叩き落とした。建物を破壊する際にも用いられることもある。
ラッシング・クロー(激突貫)
登場作品『3』
鋭利な爪で相手の皮膚を引き裂く攻撃。作中では、イリスの胸を貫き体内に取り込まれた綾奈を救出する。
ブレイク・ファング(餓裂牙)
登場作品『1』『3』
鋭い牙と、強力な顎の力を用いた噛み付き攻撃。一度食らいついたら離さない。ギャオスはこれを受けて、自らの足を切断してようやく脱出する。イリスとの空中戦でも使用。
シェル・カッター(旋斬甲)
登場作品『3』
回転ジェットによる体当たり攻撃。『3』のガメラの特徴であるとがった甲羅の側面で敵を切り裂く荒技。イリスとの空中戦で使用しているが、接近しすぎたために直後に超音波メスで切り刻まれて流血してしまった。
平成三部作を通して唯一、甲羅を使った技である。
プラズマ火球(烈火球)
登場作品『1』『2』『3』
口からエネルギー火球を放つガメラの必殺技。
体内に貯蔵してあるプラズマエネルギーと酸素を喉にあるチャンバーで融合・圧縮することで強力な電離作用が発生、凝縮されたエネルギーが火球となって口から噴射される、超放電(超光熱)現象である。万物を瞬時に燃焼させる威力を持ち、連射も可能。作品が進む毎にその威力は上昇していく傾向にあり、『1』や『2』ではビルの一部が吹き飛ぶ程度の威力だったが、『3』では一発で広範囲の市街地が吹き飛んだり、イリスに弾き飛ばされて街に被弾した際も、巨大な炎に瞬く間に包まれてしまっている。ギャオス程度なら一発もしくは、数発で粉砕できるが、ギャオス以降の敵怪獣の回避能力や防御力も強力になり、レギオンには干渉波クローによって無効化されて防がれ、イリスには長い触手によって弾かれてしまっており、決定打に至る場面が少なくなってきている。
ハイ・プラズマ(超烈火球)
登場作品『1』『2』『3』
通常の120%以上の出力で放つプラズマ火球。
『1』の対ギャオス戦では石油コンビナートの爆発のエネルギーを吸収して放ち、ギャオスを撃破する。また『2』では、ススキノでの初戦で、周囲の高濃度酸素を利用して爆発力を増幅させた火球によって草体を炎上させている。この際、強靭な肺活量のために、局地的に台風のような猛烈な風が発生する。『3』では、最初に撃ち落とし、瀕死状態だったギャオス・ハイパーに対してとどめを刺すために使用され、渋谷の街が広範囲に渡って炎上している。『1』や『2』と違い、この時は爆発の際のエネルギーや、酸素による増幅ではなく、口内で自らのエネルギーを蓄えて爆発力を増幅させて放つ形をとっている。
破壊力は大きいが、通常のプラズマ火球と違って速射はできず、発射前には幾分時間がかかっている。
ウルティメイト・プラズマ(究極超烈火球)
登場作品『2』
地球のエネルギーであるマナを自らの体に収束し、プラズマ変換炉にてプラズマエネルギー化して貯蔵限界までチャージし、腹甲の開口部から直接放射する、ガメラ究極の必殺奥義。
マナを集める際には、天に向かって咆哮する。ハイ・プラズマや、通常のプラズマ火球とは比べものにならないほど、威力は大きいが、ガメラの生涯において一度しか使えないとされる。
『2』で使用されレギオンの頭部を貫いて、粉砕、焼き尽くす。
この技は大量のマナを消費してしまうため、使用後は地球環境のバランスに大きく支障をきたす恐れがある。実際に『3』において世界各地でギャオスが大量発生したのも、間接的にはこの技を使ったことが原因だった可能性が示唆されている。作中で浅黄は、(レギオンという強大な敵の前では)ガメラもそれを覚悟の上で使用に踏み切らざるを得なかったのではないか、と推測している。
一生に一度しか使えないという制限の原因が、ガメラの身体そのものにあるのか、それとも二度使用できるだけのマナが地球上に存在しないということなのかは不明。
バニシング・フィスト(爆熱拳) 別名:バニシング・ソード
登場作品『3』
ガメラが対イリス戦の土壇場で見せた逆転の一発技。自分で切り落とした腕の切り口でイリスより発せられた偽のプラズマ火球を受け止め、そのエネルギーを吸収して操り“炎の拳”を造り出す。イリスの腹部の傷に繰り出して捩じ込ませ、体内から爆散させた。
バーナー[4]
四肢のいずれかを甲羅に引き込み、プラズマエネルギー噴射口から長大なエネルギーの剣を噴出する。『ガメラ4 真実』で使用。通称「イデオンソード」。
ホーミング・プラズマ[4]
目標を自動追尾するプラズマ火球。『ガメラ4』で使用。

トラウマガメラ

ガメラ3 邪神覚醒』劇中の序盤で、比良坂綾奈の悪夢に出てきたガメラ。

G1ギャオス襲撃の際に両親を亡くしたことでガメラを逆恨みする綾奈の夢の中に登場し、より一層ガメラへの憎悪を増させる要因となった。

スーツはG2ガメラの改修版で、G3の姿に準じているところがいくつかあり、トサカが大きく、甲羅の側面がとげとげしく、皮膚がただれたようになっているなど、まがまがしい容姿となっている。また、眼球は白目のみとなっている。

恐ろしい形相に見えるのは、ガメラに両親を殺されたと思い込んだ(正しくは、上空より落下したガメラの下敷きになってしまった)綾奈の憎悪によるものであり、イリスによる精神干渉の影響でもあることが示唆されている(綾奈の海馬体はイリスとの融合未遂後、異常に肥大化した)。

当初は粉塵越しの不鮮明な姿であったが、終盤でイリスに取り込まれた綾奈が見たのは現実のガメラとは全く違う姿であり、ギャオスとの対比から綾奈に真実を気付かせた。

スーツアクターは同じくG2ガメラを演じ、本作でイリスを演じた大橋明

新生版のガメラ

基本データ
アヴァンガメラ / トト(志摩出現時) / トト(名古屋出現時)
ファイル:Gamera in Hamajima.jpg
分類 カメ類
年齢 不明 0歳
体高 35メートル 8メートル 30メートル
全長 55メートル 10メートル 50メートル
甲羅長径 不明
甲羅短径 不明
体重 1,200トン 不明 900トン
大気圏内飛行速度 不明
水中潜航速度 不明
歩幅 不明
エネルギー 熱エネルギー
武器・技 火球噴射
自爆
火球噴射
生息地 火山帯のどこか(推測)

スーツアクターは佐々木俊宜。幼体の撮影には本物のケヅメリクガメが用いられた(一部CG)。

1973年と2006年の個体が登場。前者は「アヴァンガメラ」と呼ばれる。後者は本作の主役であり、作品内で孵化し、卵を見つけた相沢透によって「トト」と名付けられた。最初は透の手に乗るほどの大きさであったが急速に成長した。なお、鳴き声は変更されている。

平成に入って4作目のガメラは昭和ガメラ、平成三部作のガメラとは異なり、33年前(1973年に相当)、大量のギャオスに町が襲われるシーンから入る。昭和ガメラのように「人を助けるため自ら怪獣に挑む」という設定になっている。また、平成三部作のように子供と共感して力を発揮するシーンも見られる。

ガメラとは生物としての名称であるが、本作ではガメラに「トト」と言う“名前”がつけられている。ガメラが文明の産物ではなく、子供とガメラの成長物語であるということを強調している点も、以前とは異なる部分である。

この作品ではアヴァンガメラは一切飛行しておらず、トトも幼体時の空中浮遊や、回転ジェット飛行は見せても、尾と後ろ足だけを収納したジェット噴射飛行形態は披露していない。

『GAMERA』のガメラ

ガメラ生誕50周年記念でKADOKAWAが制作したプロモーション作品のガメラ。オールCGで表現されている。

東京に襲来したギャオスの群れに立ち向かい、全滅させたが、その10年後に現れた新たな敵に対し、再び現れて立ち向かう。

ガメラシリーズ全作品リスト

映画作品

昭和シリーズ

平成シリーズ

※昭和シリーズを昭和ガメラと呼び、平成シリーズを平成ガメラと呼ぶことが多い。また、「平成ガメラ三部作」と「新生版」といったように、平成版は『ガメラ3 邪神覚醒』で区切られ、それぞれ別のカテゴリーとされることがある。第7作はダイニチ映配配給。第9 - 11作は東宝配給。第12作は松竹配給。

『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』関連の映像作品

『GAMERA』

  • 2015年 『GAMERA』(監督:石井克人 / 出演:宮藤官九郎高橋琉晟[5]
    • ガメラとギャオスのほか、もう1体の怪獣の登場が確認されている。
    • ニューヨーク・コミコン2015での初公開後は世界で話題となっており、50周年記念特設サイトも解説されている。2014年秋にKADOKAWA井上伸一郎やプロデューサーの菊池剛に依頼され、「これは大変そうだと思いつつも、こんな機会はめったにあるものじゃない」と引き受けた石井は、井上の用意したプロットではなくゴジラシリーズなどで実績を持つ都築雄二と相談して独自に作ったプロットを元に、ガメラとギャオスのほか、もう1体の怪獣のデザイン案も描いた。怪獣は全てCGで表現されているが、石井としては「イリスと似ちゃうかもしれないという危惧もあって、けっこう悩みました」という[6]
    • 約4分強の内容の制作は、長編映画と同様の段取りに絵コンテプレビズなど、より細かな作業を経てアニメに近いものとなった。CG制作のメインにオムニバス・ジャパンを推薦した都築は、CGチームにとって面倒な作業である、厳密にパースを合わせたレイアウトの作成にこだわった。また、舞台となった六本木はCG向けのデータが揃っていなかったため、美術部とCGチームによるロケハンが何度も行われたという[7]
    • 制作当時、宮藤は自分の撮る映画の準備中だったが、石井の出演依頼を快諾したという。また、石井は完成したばかりの本作を「今はまだ映像を客観視できない」と評しながらも、「こうすれば怪獣映画は撮れるんだなという手ごたえは感じましたね」と評している[7]

未公開作品

  • 『ガメラ対宇宙氷人』
    • 『大怪獣ガメラ』の次回作として企画された作品。劇中に登場するはずだった「宇宙氷人」のビジュアルイメージは、同じ大映作品である『大魔神』のコンセプトイメージへとフィードバックされた[8]
  • 『ガメラ対ガラシャープ』
    • 1971年頃に『ガメラ対深海怪獣ジグラ』に続く8作目として企画されていた『ガメラ対双頭怪獣W』を、1991年発売のLD-BOXの映像特典としてハイライトシーンをイラストとミニチュアによるシミュレーション映像と称して映像化した、幻の次回作。登場する怪獣は、大邪獣ガラシャープと幻のNG怪獣マルコブカラッパ。
    • スタッフ

ゲスト出演

  • 『ガメラ対セーラーファイター』
  • 『コスプレ戦士キューティ・ナイト』Version1.3 / Version1.0
  • 『コスプレ戦士キューティ・ナイト2 帝国屋の逆襲』
    • 「カプセル怪獣ガメラ」としてゲスト出演。

漫画作品

コミカライズ作品

別冊コロコロコミック』に掲載された平成ガメラ3部作の伊藤和典脚本に基づくコミカライズ版。公開に先立って読み切り掲載された。

  • 1995年 『ガメラ 大怪獣空中決戦』たかや健二(てんとう虫コミックススペシャル発売)
  • 1996年 『ガメラ2 レギオン襲来』てしろぎたかし(1996年6月てんとう虫コミックススペシャル発売)
  • 1999年 4月号『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』Moo.念平(未単行本化)

ゲーム作品

  • 1995年3月3日 『ガメラ 大怪獣空中決戦』(メーカー:エンジェル 定価:3990円〈税別〉)
  • 1995年3月22日 『ガメラ - ザ・タイム・アドベンチャー -』(メーカー:バンダイ
  • 1995年6月30日 『ガメラ ギャオス撃滅作戦』(メーカー:サミー 定価:10479円〈税込み〉)
    • スーパーファミコン用。ストーリー・設定は平成ガメラシリーズに基づいているが、昭和ガメラシリーズへのオマージュを含めたステージがある。登場する怪獣はガメラとギャオスのみ。プレイヤーは自衛隊の指揮官となり、ガメラ及びギャオスへの掃討作戦が成功するように指揮する(裏技を使えば怪獣も操作可能)。
  • 1997年4月25日 『ガメラ2000』(メーカー:デジタルフロンティア 定価:5800円〈税別〉)
    • PlayStation用。タイトルの「2000」はゲームの舞台となる時代が西暦2000年であることから。ストーリー・設定は平成ガメラシリーズに基づいており、「世界各地で大発生したギャオスとの戦い」という映画3作目を先どったような内容である(ただし、実際の映画では2000年を待たずしてイリス覚醒などが起こっており、だいぶズレは生じている)。ゲームは画面の奥を前方と見なす3Dシューティングで、プレイヤーが直接コントロールするのはガメラではなく戦闘機。ガメラはプレイヤー機の援護役として自機のロックオンに合わせてホーミング弾を放つ。なお、2Pでガメラだけを操作することもできる。当時、同じ3Dシューティングの名作『パンツァードラグーン』に似たゲーム、と評されることが多かった。漫才コンビ「パックンマックン」のパックンが実写ムービーデモに出演している。
    • 製作はタイトーが協力し、本作の曲はタイトーサウンドチームのZUNTATAによるもの。
  • 1999年3月25日 『ガメラ ドリームバトル』(メーカー:セガ 定価:2800円〈税別〉)
    • ドリームキャストの外部メモリに、ミニゲームがバンドルされたもの。映画『ガメラ3 邪神覚醒』のタイアップ商品。
  • 2012年 『ガメラバトル』(メーカー:角川コンテンツゲート、ORATTA アイテム:課金制〈通信費は別途かかる〉)
    • GREE用。ガメラシリーズを題材にした育成&カードバトル。

小説作品

  • 1995年 『ガメラ-大怪獣空中決戦』著:伊藤和典、イラスト:開田裕治樋口真嗣、小学館 スーパークエスト文庫。1995年6月1日 初版第1刷。定価561円。
  • 1995年 『ガメラ対不死鳥(フェニックス)』著:高橋二三、イラスト:柳柊二、小学館 スーパークエスト文庫。1995年5月1日 初版第1刷。定価550円。

CM

  • 1989年頃、カルビー『カルコーン』(後の商品名、焼きもろこし)CMに着ぐるみが出演。
  • 2010年11月より三井住友海上『GK』CMに出演。スーツは『ガメラ 大怪獣空中決戦』を元に復刻。共演は堀北真希

パチンコ・パチスロ

ガメラマーチ

ガメラ対宇宙怪獣バイラス』以降の旧大映ガメラ映画の主題歌。ガメラの強さを歌い、頑張れと励ます内容である。当時大映専務の永田秀雅が作詞、音楽を担当していた広瀬健次郎が作曲した。演奏は大映児童合唱団、大映レコーディングオーケストラ。「大映児童合唱団」とはいうものの、実際にはその辺の子供を連れてきて歌わせたものだと監督・湯浅は語っている。歌詞は三番まであり、一番では「悪魔の虹」、二番では「殺人音波」、三番では「宇宙怪獣」が登場し、それぞれ対バルゴン、対ギャオス、対バイラスを思わせる。それぞれ、「火炎噴射攻撃」、「かみつき攻撃」、「回転ジェットによる体当たり攻撃」が技として挙げられている。

同じ作者、演奏者による「ぼくらのガメラ」も使われた。こちらはガメラの大きさ、各種の技、戦車のような強さ、「ぼくら子供達」の友達であることを歌っている。

「ガメラ」の名を付けられた古生物

20世紀末、中国において、6500万年前の地層から新種の亀の化石が発見され、怪獣ファンでもあるカナダの古生物学者によって1993年に「シネミス・ガメラ」との学名がつけられた。甲羅の後方左右についている翼状の突起物が飛行する亀を思わせたため(無論、実際には飛行するためではなく、水中を泳ぐために適応した結果の形状だと考えられている)、そこから飛行する亀=ガメラと連想したようだ。

脚注

注釈

  1. ^ 東宝も後に『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』においてカメーバという亀型怪獣を出したが、ガメラのようなキャラクターではなかった。
  2. ^ 外国バイヤーの要請に応じた形[要出典]
  3. ^ 後に『大怪獣ガメラ』の特撮を担当した築地米三郎に鷺巣が問いただしたが「あれは社長のジュニア(永田秀雄)のアイデアだ」と否定された。鷺巣は「ちょっと都合が良すぎる」と感想を述べている[要出典]
  4. ^ 実在のカメにおいては、牙や歯の生えているものは確認されていない。
  5. ^ 空想科学読本』では、その密度二酸化炭素並みと計算されてしまった[要文献特定詳細情報]
  6. ^ アルケロンを祖先に持つ。
  7. ^ 1作目での子供が亀を逃がしたあとガメラが出現したシーンのリメイク。1作目のこのシーンは「逃がした亀がガメラになった」と勘違いした子供が多く、またそれが受けたことがガメラシリーズが子供の味方路線へと変更されたきっかけとされる[要出典]
  8. ^ ガメラ対大悪獣ギロン』では、鉄棒の二段跳びという芸当を見せている。
  9. ^ a b 特技監督の樋口は『スクリーン』誌のインタビューの際、「この世界には、カメという生き物はいない」と語っている[要文献特定詳細情報]。この発言が作中の設定に採用されたかは不明だが、平成三部作に関してはカメという単語は出てこない。
  10. ^ 『ガメラ3 邪神覚醒』ではガメラとイリスが京都駅ビルの吹き抜け空間の中で対峙している(これは怪獣映画史上初の“巨大怪獣による屋内での対決シーン”である)。ただし、実際の京都駅ビルの吹き抜け空間の内法は、高さ約50メートル。
  11. ^ ただし、体重120トンは、現地球上最大の動物シロナガスクジラ(160トン)よりも軽い。
  12. ^ 『ガメラ3 邪神覚醒』での、小笠原諸島沖の深海の「ガメラの墓場」で骨になっていた多数のガメラは、マナを受け止める器とはなれなかったので、“失敗ガメラ”という通称をもつ。
  13. ^ 2』では「ガメラが地球を守るために人類と敵対する可能性」も示唆されている。

出典

  1. ^ a b 石井博士ほか『日本特撮・幻想映画全集』勁文社、1997年、212 - 214頁。ISBN 4766927060 
  2. ^ ガメラ生誕50周年記念特別サイト、2015年10月9日閲覧。
  3. ^ a b c 東京が大炎上して大爆発する中でガメラがプラズマ火球を発射する超ド迫力の50周年記念映像「GAMERA」SHORT VER.”. GIGAZINE (2015年10月9日). 2015年10月9日閲覧。
  4. ^ a b 「ガメラ2第一稿についてのサシデガマシク分不相応な意見」『ガメラ2 レギオン襲来 完全解析』辰巳出版〈アソコンブックス〉、1997年。ISBN 4886411630 
  5. ^ ガメラ生誕50周年記念特別サイト”. 2015年11月4日閲覧。
  6. ^ ガメラ50周年映像を手がけた石井監督を直撃(前編)”. 2015年11月4日閲覧。
  7. ^ a b ガメラ50周年映像を手がけた石井監督を直撃(後編)”. 2015年12月2日閲覧。
  8. ^ 大映『ガメラ画報 大映秘蔵映画五十五年の歩み』竹書房〈B media books special〉、1996年、[要ページ番号]頁。ISBN 4812401666 

関連項目

外部リンク