オリオンビール

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オリオンビール株式会社
Orion Breweries, Ltd.
オリオンビール旧本社
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
901-0225
沖縄県豊見城市豊崎1番地411
オリオン美らSUNオフィス(トミトン内)
設立 1957年(昭和32年)5月18日
沖縄県名護市
業種 食料品
法人番号 7360001008504 ウィキデータを編集
事業内容 ビール及び発泡酒の製造販売、清涼飲料の仕入販売
代表者 村野一(代表取締役社長兼執行役員社長CEO)
吹田龍平太(代表取締役副社長兼執行役員副社長CMO)
亀田浩(代表取締役専務兼専務執行役員CFO)
資本金 3億6千万円
純利益 11億19百万円(2021年3月期)
総資産 641億47百万円(2021年3月31日現在)
従業員数 295名(2021年3月現在)
決算期 3月31日
主要株主 野村キャピタル・パートナーズ 51%
カーライル・ジャパン・パートナーズ 49%
主要子会社 (株)ホテルロイヤルオリオン 100%
オリオン嵐山ゴルフ倶楽部(株) 100%
(株)石川酒造場 60.7%
関係する人物 具志堅宗精(創業者)
與那嶺清(元社長)
嘉手苅義男(元副社長・社長・会長)
外部リンク https://www.orionbeer.co.jp/
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オリオンビール株式会社英語: Orion Breweries, Ltd.)は、沖縄県に本拠を置く、日本の大手ビールメーカー。ビールのブランドである「オリオンドラフト」を指して「オリオンビール」と称することもある。シェアでは日本国内第5位。

概要

日本のビール大手5社(麒麟麦酒アサヒビールサッポロビールサントリー・オリオンビール)中のシェアは0.9%と全国的には他社の後塵を拝しているものの、沖縄県では最大のシェアを誇り、本土復帰直前の最盛期には県内市場の9割[1]、ないし8割以上を押さえ[2]、現在でも5割を超すシェアをもつとされる[3] ことから、いわば「県民ビール」として定着している。沖縄県内シェアは、オリオンビールによれば55-56%(2003年(平成15年)度実績、アサヒビール委託分を除く)。

2005年(平成17年)度の売上構成はビール・発泡酒類99%、清涼飲料水1%となっている。沖縄本島北部の名護市に唯一の生産工場を持ち、そのため「名護ぬ水小(なぐぬみじぐゎー)=名護の水」とよばれている。沖縄県では大手の企業であるため、文化事業(各種イベント)等の協賛にも寄与している。沖縄県のイベントのほとんどに協賛しており、オリオンなくしてイベントは成り立たないといわれている。また、これらのイベントがアーティストの発掘や育成につながっており、文化創造に大きな役割を果たしている。最大のイベントはオリオン・ビアフェスト(ビールまつり)である。

オリオンハッピーパーク

名護工場に併設されている見学施設で、ビール製造の見学や試飲などができる。レストラン・ギャラリー・売店を併設している。

沿革

オリオンビール名護工場

アメリカ合衆国統治下の1957年(昭和32年)5月18日に、社会経済復興には第二次産業(製造業)を興さなければいけないという志から、当時から名水が湧出していた名護町(現在の名護市)で沖縄ビール株式会社として設立された。当時の資本金5000万B円。1957年5月時点での日本円とのレートは3円 = 1B円だったため、現在は創立時は資本金1億5000万円と表記されることがある。

同年11月1日にブランド名を県民に懸賞金付募集広告として新聞で公募を行い「オリオンビール」と名付けられた。ちなみに賞金は1等1万B円、2等3,000B円、3等2,000B円、当時としては破格の高額だった。なお、「募集広告」と「命名決定・賞金授与者」の各告知広告のコピーは名護工場の見学コースに掲示してある。その後、1959年(昭和34年)6月に社名も「オリオンビール」に変更した。

1959年に生産開始。当初は他の日本の大手ビールの勢力が強く苦戦するが、製品をそれまでのドイツ風ビールから沖縄の気候を考慮した[4]、アメリカ風ビールに切り替えると共に、県内全域で営業活動を行った結果[1]、県内シェア1位となる。

1972年(昭和47年)本土復帰の際、期限付きで沖縄県内のみ酒税が減免される優遇措置がとられたため、これもオリオンビールに有利に働いた。優遇税率は5年間の時限措置だったが、5年ごとに見直されるだけで延長が繰り返され、現在も県内出荷向けに限り、ビールが本土の酒税と比べて20%軽減されている。軽減額は、2004年(平成16年)度実績でビールが約14億円。

当初はビールのみを製造していたが、他のビールメーカーが発泡酒などで攻勢をかける中、多品種のビール、発泡酒、ソフトドリンクなどを発売して応戦し、多品種少量生産となって生産コストが上昇した。また、販路拡大のためには、税の優遇がなく、輸送費がかかる本土(または海外)への進出が必要になるが、拡大戦略はなかなか進まなかった。

そのような中、2002年(平成14年)の酒税優遇措置再延長の議論の際、自民党税調および財務省からの発言で、2007年(平成19年)5月での優遇措置廃止が既定路線となっていた。実際には知事交代により5年間再延長された。優遇措置廃止は即ち価格競争力の低下を意味するため、2002年(平成14年)に大株主でもあるアサヒビールと提携関係を結ぶこととなった。現在は、オリオンビールが沖縄消費分のアサヒスーパードライの一部商品を生産し、アサヒビールが沖縄県外(奄美群島を除く)でのオリオンビールの一部商品の販売を行うようになっている。近年では、県外でもアサヒビールのルートを通じ販売され、また、沖縄料理店を中心にオリオンビールが提供されることが多くなっており、2013年のインタビューで、関係者は「県外向けの出荷量は、ここ6年間で倍増しました」と述べている[4]

2016年、初の海外拠点となる営業所を台湾に開設[5]

2017年、4月、農林水産省「輸出に取り組む優良事業者表彰」食料産業局長賞受賞した。5月には創立60周年特別醸造「ドラフトエクストラ」限定発売。

2019年1月23日、野村ホールディングス(HD)と米投資ファンドのカーライル・グループは、オリオンビールを共同で買収すると発表し、オリオンの取締役会も同日、買収に賛同すると表明した。今後は、アジアなど海外での販路拡大を図る。アサヒビールとの提携関係は維持される方向である[6]

2020年5月、本社機能を浦添市から、オリオンビールが事実上所有していた豊見城市トミトン内に移転、「オリオン美らSUNオフィス」として使用している[7]

銘柄

2021年令和3年)11月現在)

現在発売されているオリオンブランドのビール類商品のうち、麦職人を除く商品はいずれも沖縄県および鹿児島県奄美群島[8] 以外ではアサヒビールが「アサヒ オリオン(商品名)」として季節・数量限定(オリオンザ・ドラフトのみ通年発売)で発売している。

自社ブランド

ビール

  • ザ・ドラフト - 2020年6月にドラフトビールをリニューアル、伊江島産大麦を原料に使用。沖縄・奄美群島以外では「アサヒオリオンザ・ドラフト」としてアサヒビールも販売。
  • いちばん桜(季節限定醸造ビール) - 2002年(平成14年)度から販売されている。2004年(平成16年)度まではドラフトの季節デザインだった。2005年(平成17年)度以降は季節限定醸造ビールとなった。2006年(平成18年)度以降は麦芽100%(アロマホップ)になった。2012年(平成24年)度には、缶デザインを白基調から水色基調に一新している。2010年(平成22年)度から、350ml缶に加え、中瓶も販売されている。中瓶は背景色が白で、デザイン変更はない。なお2013年(平成25年)度以降、発売が前倒しされ、前年末から発売されている。2009年(平成21年)より、沖縄・奄美群島以外でアサヒビールが「アサヒ オリオンいちばん桜」として数量限定で販売している。
  • 夏いちばん(季節限定醸造ビール) - 2013年(平成25年)より夏季の季節限定商品として発売。原料は麦芽、ホップ、米。ドラフトビール比で麦汁を1.2倍とし、丁寧にうまみを抽出している。ホップはアロマホップを100%使用し、夏にふさわしい爽やかな味わいに仕上がっている。ラインナップは350ml缶のみ。2014年(平成26年)より、いちばん桜同様アサヒビールが「アサヒ オリオン夏いちばん」として数量限定で販売を開始している。
  • 75ビール・78ビール・41ビール(プレミアムクラフトビール) - 75ビールは2018年(平成30年)に工場のある名護市との共同企画として名護市周辺の飲食店限定で販売されたビールである。名称は、「名護」を「75」と読み替えたのが由来。翌2019年(令和元年)にブラッシュアップし、名護市周辺の飲食店で先行発売。同年12月より缶製品を含め沖縄県内全域で発売開始。2021年(令和3年)には那覇市との共同企画で「那覇」を「78」と読み替えた78ビール、「首里」を「41(すい)」と読み替えた41ビールを発売。

発泡酒

  • 麦職人

第3のビール

  • オリオンサザンスター - リキュール類。「第四のビール」ともいう。2020年(令和2年)には派生商品を発売している[9]
    • サザンスター 超スッキリの青 - 最初の発売からラインナップするオリジナルモデル。
    • サザンスター 刺激の黒
  • オリオンゼロライフ - 同上。2011年(平成23年)より販売開始。糖質0・プリン体60%オフの機能系新ジャンル。『平成23年度沖縄県推奨最優秀優良県産品賞』受賞商品。

チューハイ・ハイボール

ハードセルツァー

    • アルコール入りフレーバー付き炭酸水。
  • DOSEE

アサヒビールとの共同開発商品

アルコール5.5%、県産シークヮーサーを0.2%使用[10]。発泡酒。アサヒでは2015年4月に発売、オリオン側では同7月に発売。以降、毎年季節限定商品として販売。
  • パイナップルのビアカクテル
シークヮーサーに続く第2弾として2017年より季節限定で発売。沖縄産パイナップルを使用。
  • マンゴーのビアカクテル
シークヮーサー、パイナップルに続く第3弾として2018年より季節限定で発売。沖縄産マンゴーを使用。
  • オリオン ちゅらたいむ
季節限定の第三のビールで、オリオンビールとアサヒビールの共同開発である。当初は沖縄・奄美諸島以外ではアサヒが「沖縄だより」として発売。発売初年の2013年はアサヒビールで350ml缶のみの発売。翌年2014年よりオリオンビールでも発売を開始した[11]。2018年以降はアサヒ側でもちゅらたいむとして発売している。

アサヒビールからの委託製造商品

ビールテイスト飲料

  • オリオンクリアフリー

ソフトドリンクシリーズ

  • オバァ自慢のさんぴん茶
  • ORIONレモンティー
  • ORIONアクアビート

関連会社

関連項目

出典・脚注

  1. ^ a b “オリオンビール社長・金城名輝 地域と共に:中(ビジネス戦記)”. 朝日新聞・夕刊: p. 9. (2000年1月15日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  2. ^ “沖縄、「3K」脱却が課題 公共事業・観光・基地に経済依存”. 朝日新聞・朝刊: p. 9. (2002年5月15日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  3. ^ 奥村智司 (2013年1月18日). “(沖縄の40年 ルート58)名護市 夢と飲む、ほろ苦ビール”. 朝日新聞・西部朝刊: p. 29  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  4. ^ a b “(ロングセラーのひみつ)オリオンビール 沖縄仕込み、爽快な味わい”. 朝日新聞・西部朝刊: p. 26. (2013年1月18日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  5. ^ 照屋剛志 (2015年11月9日). “オリオンビールが台湾に営業所 来年、初の海外拠点”. 沖縄タイムス社. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月9日閲覧。
  6. ^ オリオンビール570億円買収、野村HD・米投資ファンド”. YOMIURI ONLINE(読売新聞). 読売新聞 (2019年1月24日). 2019年1月30日閲覧。
  7. ^ 本社の移転について”. オリオンビール (2020年5月1日). 2020年5月12日閲覧。
  8. ^ 鹿児島本土系のチェーン店(南九州ファミリーマートなど)ではアサヒビール扱いのものが販売されている場合もあり
  9. ^ "オリオンビール新ジャンル「サザンスター 刺激の黒」新発売~サザンスターの2商品もリニューアル、3つのテイストをラインアップ~" (Press release). オリオンビール. 11 June 2020. 2020年6月30日閲覧
  10. ^ たびらい編集部 (2015年4月22日). “オリオン・アサヒビールが沖縄県産シークヮーサー使用のビアカクテルを全国で販売”. たびらい http://www.tabirai.net/. 株式会社パム. 2015年4月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月30日閲覧。
  11. ^ "オリオンビール+アサヒビール共同開発「オリオンちゅらたいむ」" (Press release). オリオンビール. 2014-5. 2020-6-3閲覧 {{cite press release2}}: |accessdate=|date=の日付が不正です。 (説明)
  12. ^ 2006年3月31日まではホテル西武オリオン。
  13. ^ “西武 山川 沖縄の顔に 念願のオリオンビールのテレビCMに出演へ「盛り上げていく」”. Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社. (2019年2月26日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/02/26/kiji/20190226s00001173070000c.html 2019年8月7日閲覧。 

外部リンク