アンドロメダ (宇宙戦艦ヤマト)

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アンドロメダは『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下、『さらば宇宙戦艦ヤマト』)及び『宇宙戦艦ヤマト2』に登場する架空の宇宙戦艦。デザイン担当は宮武一貴で、艦橋部分は松本零士が担当。関連作品に登場する艦についても本項で併せて記述する。

概要

ガミラス戦役後、再建復興した地球が新たに建造した、アンドロメダ級宇宙戦艦1番艦にしてネームシップ地球防衛軍連合宇宙艦隊旗艦。西暦2201年就役。同年戦没。艦名はギリシア神話星座天体のアンドロメダに由来する。なお、当時の設定資料においては絵図に添えて書かれている題名表記がアンドロメダではなく新造戦艦となっている。

劇中では、期待の新鋭戦艦として華やかに登場する。『宇宙戦艦ヤマト2』では、メガロポリスと同様に精神性を喪失し退廃する物質文明の象徴として、批判的に描かれており、これは当作品の監督を担当した松本零士の作品に数多く見られるテーマでもある。また、連合艦隊旗艦として艦隊を率いてバルゼー艦隊を撃破しているが、これはヤマト全シリーズにおいて、地球防衛軍艦隊が勝利した唯一の艦隊戦である。

艦体解説

本艦就役当時、地球防衛軍艦隊最大にして最強の10万トン級宇宙戦艦で、ヤマト以上の巨躯と威容を誇り、強力な兵装を持ち、艦の自動制御化を進めている。『宇宙戦艦ヤマト2』第7話で白色彗星帝国の大帝ズォーダーは、「ヤマトを上回る戦闘力をもつ」との評価をしているが、同時に「力に頼るものは力によって滅ぼされる」とも語っている。

艦型
対ガミラス戦役時の主力戦闘艦(沖田艦ゆきかぜ)等の紡錘形艦体に、箱形の波動砲口を装備した艦首を持つ艦型で、ヤマトと同じ塔状艦橋、3連装主砲塔形式が採用されており、先に就役していた主力戦艦と似通った特徴が見られる。当時の地球防衛軍の宇宙戦闘艦の中では最大の艦体を持っていた。
アンドロメダ級の特徴として、艦首の舳先に、突起状構造物を持ち、前級の主力戦艦との違いを際立たせている。また、ヤマト主力戦艦の補機が二基なのに対し、四基とされ、航行能力が強化されている。
主機
対ガミラス戦役時、イスカンダルより技術供与されヤマト級戦艦に搭載されたものを、地球の技術陣が改良した、小型で高出力の新型波動エンジン[1]を1基、補助エンジンを4基搭載し、ヤマト級より大型艦であるが、高速航行することが可能である[2]
拡散波動砲
艦隊決戦兵器である拡散波動砲を2門を艦首に左右並列(サイド・バイ・サイド)に配置。強力な波動エネルギー増幅装置を持ち、改造前のヤマトの2倍の威力がある[3]
兵装
主砲として3連装衝撃砲を4基、計12門装備。射程距離はヤマトの波動砲と同等である[3]。その他に5連装大型艦橋砲がある。艦橋砲とは沖田艦が装備していた、艦橋と砲が一体になった物であり、 ヤマトの第二艦橋に相当する位置に配備されている。劇中では未使用。その他に、対潜宙艦捜索機器のソナーがある。これは、潜宙艦が潜む空域に向け発射され、潜宙艦のステルス性機能を無効化することで探知を可能にする。劇中では照明弾的な演出で、『さらば宇宙戦艦ヤマト』のみに登場する。艦隊での運用を前提としているため、副砲は装備しておらず、他に艦首ミサイル発射管4門とミサイルランチャー18門、対空火器も連装と三連装のパルスレーザー砲が各二基と艦の規模に比してシンプルなものとなっている。
搭載機
艦後部側面の2基の補助エンジン間に艦載機発進口、艦底部に大型機発進口があるが、アニメ作品ではいずれも未使用。
艦内環境
内部の主要通路はヤマト級と同様のオートウォーク式で、通路幅と天井も高く、住環境はヤマトより良好である[4]
乗組員
艦の自動制御化を進めた事により、対ガミラス戦役時のヤマト級戦艦の114人の8割程度、95名と少ない。
この自動制御化の傾向に疑念を持つ者もおり、科学局長である真田志郎は、戦いは人間がするものであることを理由に、本艦を「戦艦ではなく戦闘マシーン」と評し、「この艦では敵には勝てない」と『宇宙戦艦ヤマト2』第2話で述べている。ただし、戦術レベルでの対艦戦闘能力はスペック通り申し分なく、前述の通りバルゼー艦隊には勝利している(シナリオは異なるが『さらば宇宙戦艦ヤマト』『宇宙戦艦ヤマト2』とも)。
艦長と艦隊司令が兼任の為、戦況報告等の作戦指揮を補佐する副官が設けられている。
自動制御化
波動エンジンの制御や作動は、ロボットが行なっているため、機関部員は存在しない。また、主砲塔内部には、座席が無く砲術部員も存在しない[3]。これは、レーダーからの情報を即時に分析、各パートに伝達、照準から射撃までの戦闘指揮を、中央でコントロールするためである[3]。現実世界のイージスシステムに近いシステムである。このようなシステムになった理由は、軍上層部がガミラス戦でのヤマトの勝利を艦の性能によるものと錯覚したためとされている[3]

諸元

全長 275m[280m][5]
全幅 66.2m[65m][5]
全高
基準排水量 98000t[100000t][5]
乗員 95名
主機 波動エンジン×1基
補機 補助エンジン×4基
兵装
  • 艦首拡散波動砲×2門
  • 主砲: 3連装衝撃砲×4基 [50.8cm(50cm)][6]
  • 5連装[7連装][7]大型艦橋砲×1基[艦橋ミサイル砲×5門][8]
  • 3連装対空パルスレーザー砲×2基
  • 2連装対空パルスレーザー砲×2基
  • ミサイルランチャー18門[9]
  • [艦首ミサイル発射管×4門]
  • [対空ミサイル砲×8門][10]または[固定式四連装舷側砲×2基][11]
  • 連装舷側砲×4基
  • 対潜宙艦ソナー
搭載機 コスモタイガーII[12]
  • [ ]内は、書籍、ゲームソフト、プラモデル、コミカライズ等の設定。詳細は、脚注・出典を参照の事。空欄は不明な項目である。
  • プレイステーションのゲームシリーズでは、両舷に副砲として20cm連装衝撃砲を装備、限定的ながら、下方攻撃能力を有する。また各武装、120%の攻撃補正値を持つ。 PS2の『宇宙戦艦ヤマト暗黒星団帝国の逆襲』では回想ステージの土星決戦での登場であるが、艦首宇宙魚雷と底部爆雷がオミットされている。

劇中での登場

映画版『さらば宇宙戦艦ヤマト』よりも後続のTV版『宇宙戦艦ヤマト2』の方に多く登場しているが、どちらにおいても、上記諸設定の高性能はあまり発揮されなかった。

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち

進宙式
式典において地球連邦大統領は、宇宙の平和を守るリーダー・地球のシンボルとして市民に紹介し、処女航海に出航する。その際、帰還した古代進が艦長を務める護衛艦と上空で擦れ違い、その圧倒的量感で地球の復興を印象付ける。
土星決戦
白色彗星帝国の太陽系侵攻時には、月面基地から連合艦隊を率いて出撃。土星空域で第6遊動機動部隊(バルゼー艦隊)と交戦。飛来した空母艦載機を撃墜。潜宙艦の奇襲攻撃により苦戦するも、対潜宙艦ソナーにより探知し、主砲で撃沈。包囲態勢を取ろうとする同艦隊に対し、単艦で拡散波動砲による先制攻撃をかけ撃破した。
白色彗星の出現
その後現れた白色彗星に対し、主力戦艦群と共に拡散波動砲の一斉射撃をかけるも、拡散が災いして彗星の核を貫けず、艦長は「反転180度全艦離脱」の命令を送るが、白色彗星の渦に飲み込まれて連合艦隊もろとも消滅する。その際には各部分の継ぎ目が外れ、砲塔が分解、最後に船体が崩壊するという悲劇的な最期を遂げた。

宇宙戦艦ヤマト2

テスト航海
地球衛星軌道上にて、ヤマト率いる外周第三艦隊と同一進路に進入。ヤマト艦長代理の古代から復路優先を理由に進路を変更するように通信を受ける。この時、土方竜が艦長兼連合艦隊司令官として座乗していた。土方も地球防衛艦隊の旗艦となることを理由に進路を変えるよう返信するが、お互いに主張を譲らずニアミスする(第1話)。
帰還時に、沖田艦長の命日に英雄の丘に集合したヤマトの元乗組員達の上空を通過。翌日、土方は本艦に古代を呼び出し、進路変更を拒否した理由を問いただす。この時、テスト航海の結果を調査に来ていた真田も同席しており、後に古代を艦内各部へ案内した(第2話)。
ヤマト追撃戦
数日後、太陽系全域の停電の原因となった金星の太陽エネルギー集積基地の事故(実際は白色帝国の破壊工作)を調査するために出港する(第3話)。
その後、反乱を起こしたヤマトを追撃の命令を受け、金星軌道から発進。ヤマトのレーダーシステムの盲点を付き[13]、火星軌道上でヤマトに追いつく。停船命令を出すもヤマトは無視。小惑星帯に突入し、島大介の巧みな操艦技術の前に、乗組員の錬度が劣るため、ヤマトを見失うが、速力が勝るアンドロメダは、土方の策で木星軌道付近へ回りこみヤマトの前に立ちはだかる。
友軍相撃つ緊迫した状況下で、土方と古代の交渉が行われるも決裂し、ヤマトに対して全砲門を向ける。しかし双方とも砲撃を仕掛けないまま、ヤマトは本艦上部を通過。古代達の決意を理解した土方はヤマトを見逃す(第5話)。
土星決戦
土方総司令の命令で、冥王星空域から「地球防衛軍・太陽系第一外周艦隊」と共にタイタン基地に集結する。この時、艦長兼任の土方総司令はタイタン基地の司令部にいて、本艦に座乗していなかった(第18話)。その後、連合艦隊を率いて出撃した(第20話)。
主力艦隊は波動砲戦によって殲滅を図るが、メダルーザ火炎直撃砲等、圧倒的な戦力を持つバルゼー艦隊の攻撃の前に頓挫する。状況を不利と判断した土方は土星本星に向かって転進、バルゼー艦隊を土星の輪の中におびき寄せ、反撃の機会を伺う。
そしてメダルーザは土星の輪内で火炎直撃砲を発射、輪のアイスロイドが誘爆して水蒸気爆発による乱気流が発生し、バルゼー艦隊の隊列が乱れる。その隙に連合艦隊は態勢を立て直し反撃にでる。第1・第2艦隊を壊滅させ、残った旗艦メダルーザを主砲の集中砲火により撃破、艦隊決戦に勝利した(第21話)。
白色彗星の出現
その直後、白色彗星本体が突如ワープアウトして出現。本艦は主力戦艦群と共に拡散波動砲の一斉射撃をかけ、彗星の中性子ガス体を払うことに成功する。
しかし、その中から彗星本体である無傷の都市帝国が姿を現わし、連合艦隊はわずかな残存エネルギーで砲撃を行うも中性子防御幕には通用せず、超大型ミサイル斉射による反撃をうけ連合艦隊は全滅した。
本艦も艦橋を中心に多数被弾。火炎に包まれた艦橋は要員が次々と倒れ制御不能となる中で、土方はヤマトに対し最後の通信を発信。「都市帝国の下部を狙え。我々は負けたが、ヤマトよ、生きているなら最後まで生きて戦え」と告げ、都市帝国に激突、壮烈な最期を迎えた(第21話)。

同型艦

『宇宙戦艦ヤマト2』では対彗星帝国戦役時、土方は第10話では同型艦が5隻、第15話でのテレザートにいるヤマトからの報告後は10隻以上は必要との認識を持っており、急ピッチで2番艦以降が建造中だったが、同戦役に間には合わなかった。その後、『宇宙戦艦ヤマト 復活編・ディレクターズカット版』にアンドロメダ級の12番艦「アンドロメダA12」が登場している。また、後述するゲームなどの関連作品にも、その作品オリジナルのアンドロメダ級(あるいはその派生型)が登場している。

スーパーアンドロメダ級

宇宙戦艦ヤマト 復活編』に登場するアンドロメダ級の発展型。詳細は#地球連邦/地球防衛軍を参照。

関連作品での登場

アンドロメダII

『宇宙戦艦ヤマトメカニック大図鑑1』P32/33(見開き)に掲載された、アンドロメダ級の発展型。デザインは宮武一貴

艦体解説(アンドロメダII)

アンドロメダ級の改良型で、艦首部が大幅に延長されているのが特徴。また、艦底部のタンクは省略され、艦後部にはエアインテークらしきものが確認できる。艦体の材質は低抵抗高剛性軽量テクタイト。

機関
主機として超高推力コスモエンジンを一基。補機として大規模ワープエンジンを4基装備している。
武装
艦首と艦尾に拡散波動砲を2基ずつ、計4基装備している。主砲は四連装に強化され、後部主砲が1基減らされた代わりに艦底部に主砲が1基増設されている。
諸元
全長 375m
全幅 70.2m
全高
基準排水量 78,000t
乗員
主機 超高推力コスモエンジン×1基
補機 大規模ワープエンジン×4基
兵装
  • 艦首拡散波動砲×2門
  • 艦尾拡散波動砲×2門
  • 主砲:4連装衝撃砲×4基
  • 基幹ロケット砲塔×2基
搭載機

しゅんらん(春藍)

PS2版『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶』『宇宙戦艦ヤマト 暗黒星団帝国の逆襲』『宇宙戦艦ヤマト 二重銀河の崩壊』に登場する、ゲームオリジナル艦(『イスカンダルへの追憶』では、ゲーム上ある条件を満たせば登場する)。

戦略指揮戦艦アンドロメダ改級[14]。識別番号はBA1090062。上記の「アンドロメダII」をゲームソフト用に再構成を行ったものである。

艦体解説(しゅんらん)

西暦2202年時における地球防衛軍の新型戦艦で、連合艦隊の旗艦。暗黒星団帝国襲来の際には第七艦隊とともに外宇宙航海中だったため難を免れ、艦長及び艦隊指揮官を務める山南の下、ヤマトに同行して活躍する。

アンドロメダの初期案は「しゅんらん」という名の600メートル級巨大戦艦という設定であり、艦名はこれに由来する。

艦型
建造にあたり、アンドロメダ級戦艦をタイプシップとしたため、艦型はその特徴を色濃く残すも、仕様はほとんど別物と言っていいほど変更されている。
主機
波動エンジンを2基搭載し、これを並列配置しているため、後部は横に幅広い外見となっている。
兵装
艦首拡散波動砲を2門の下に1門増設し、3門に増強。この要地を確保するため、艦底部にあったインテーク状の構造物がなくなっている。主砲の四連装化と艦底部への増設、第2主砲後部と艦橋後部の両舷に1基ずつ副砲を装備、そして対空砲の充実等が図られている。高い指揮能力を持ち、複数の自動超弩級戦艦を管制することも可能という設定になっているが、ゲーム上では武装などは調整されている。
諸元
全長 300m
全幅 56m
全高
基準排水量 151,000t
乗員
主機 波動エンジン×2基
補機 補助エンジン×4基
兵装
  • 艦首拡散波動砲×3門
  • 主砲:51cm四連装衝撃砲×5基
  • 副砲:31cm四連装衝撃砲×3基
  • 対空パルスレーザー砲多数
搭載機

ネメシス

PS2版『宇宙戦艦ヤマト 二重銀河の崩壊』に、ゲーム上の条件により登場する、改アンドロメダ級二番艦[15]

主機に波動エンジン1基、補助エンジン4基搭載と、艦型は初代アンドロメダとほぼ同じ。艦首に装備された2門の波動砲が拡散型ではなく収束型である事、両舷の副砲がミサイルランチャーに換装されている点を除けば、同型艦と言っても良い。

他作品での登場

1979年に公開された劇場アニメ『銀河鉄道999』において、惑星メーテルに、本艦に似たデザインの兵器が1カット登場しており、艦後部の推進ノズルからレーザー射撃を行い、アルカディア号を迎撃している。

関連項目

脚注・出典

  1. ^ 『宇宙戦艦ヤマト2』第2話での真田の台詞より。なお、この改良はヤマトにも反映されている。
  2. ^ 『宇宙戦艦ヤマト2』第5話でのヤマト追跡戦においての島の台詞より
  3. ^ a b c d e 『宇宙戦艦ヤマト2』第2話での真田志郎の台詞より。
  4. ^ 『宇宙戦艦ヤマト2』第2話の劇中描写及び古代と真田の会話より。
  5. ^ a b c Star Blazers公式サイト(英語)(インターネットアーカイブ2009年7月24日分キャッシュ)の背景に使用されているイラストに記述が確認できる。
  6. ^ イマイ製模型‘巨大アンドロメダ’の解説。
  7. ^ バンダイナムコゲームスNE事業本部(旧バンダイネットワークス)ウェブサイト「宇宙戦艦ヤマト発信!情報班資料室」、バンダイのプラモデルの解説などの表記。
  8. ^ 「宇宙戦艦ヤマトメカニック大図鑑1」[要ページ番号]、「宇宙戦艦ヤマト画報」P060より。
  9. ^ 配置は不明
  10. ^ バンダイのプラモデルおよび食玩の解説。[要追加記述]
  11. ^ 「別冊てれびくん3 宇宙戦艦ヤマト2」[要ページ番号]より。
  12. ^ 「ロマンアルバムエクセレント54‘宇宙戦艦ヤマトPERFECT MANUAL2’」のP162。
  13. ^ 『宇宙戦艦ヤマト2』第5話の真田の台詞より。
  14. ^ 『暗黒星団帝国の逆襲』に付録の設定資料集より。ゲーム中でも正式名称として表示されている。
  15. ^ ゲーム中で表示される正式名称。

参考文献