アミ 小さな宇宙人

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アミ 小さな宇宙人』(あみ ちいさなうちゅうじん、原題: Ami, el niño de las estrellas)はエンリケ・バリオス (Enrique Barrios) の小説。1986年(昭和61年)にチリで出版され、ベストセラーとなった。

11か国語に翻訳されており、日本語訳は石原彰二が担当した。日本語版は1995年に『アミ 小さな宇宙人―アダムスキー マイヤーをしのぐUFO体験』というタイトルで、徳間書店の「超知ライブラリー」というオカルトニューエイジを扱うシリーズの1冊として刊行された。徳間書店から2000年(平成12年)に『アミ 小さな宇宙人』に改題された新装改訂版、および2005年(平成17年)に徳間文庫から文庫が刊行され、挿絵をさくらももこが担当したことで注目された。

1995年版の表紙には「宇宙の彼方、かつて地球を脱出した人々の住む星で、少年ペドゥリートが見せられたドーム型都市。そこでは、科学が高い精神性に支えられ、スーパーコンピューターによって、決して人を傷つけないシステムが、見事なまでに機能していた-。」と内容が説明されている。

続編として『もどってきたアミ 小さな宇宙人』『アミ3度目の約束 愛はすべてをこえて』、外伝として絵本『アミが来た』がある。

あらすじ

少年ペドゥリートは祖母とのバカンス中、宇宙人アミ(アミーゴ=友人の意味)に出会う。アミはペドゥリートをUFOに同乗させ、地球の上を飛ぶ間、本来の人間の生き方を彼に教える。そして、やオフィル星へと連れて行く。

用語

ネクロファゴ
死体を食べる人、という意味。本作の世界観では肉食は罪の無い生き物を殺す残酷な行為であり、文明社会にあるまじき忌避されるべきものである。進歩した世界には他の動物を捕食する生物もいないとされる。
神は唯一とされる。神は創造のエネルギーであり純粋な愛の存在であり、同時に人間を含む万物が神であるとする汎神論的なものである。しかしながら神の一部分に過ぎない人間を切り離して神として崇拝することはアミの口から否定されている。
宇宙の基本法
愛に基本を置く法。エゴや悪感情が克服され、愛が行き渡ることにより軍備も罰則も競争も所有の観念も必要なくなる。これが本作における文明社会の条件である。アミたちは宇宙の基本法を中心としたルールに則り「救済計画」を行っている。「救済計画」の対象となるのは宇宙の基本法を知らない未開の惑星である。「救済計画」には愛を説く宗教の発祥を援助する事も含まれ、聖書に記された奇蹟にも宇宙人が行ったものがあるとする。ただし法で許されているのは、導きのためのほのめかしまでであり、集団でおおやけに正体を明かしたりしてはならない。
親交世界
宇宙の基本法を達成した文明社会の集合体。地球など未開状態に置かれた諸惑星を監視し、「救済計画」によって「第四水準(レベル)世界」に引き上げ親交世界の仲間入りさせることを目的とする。「救済計画」において銀河の中心に設置されたスーパーコンピューターが大きな働きを担う。保護を目的として集められた未開惑星の人々のデータを蓄積し、アミたちが乗るUFOの操作にも関わっている。
人間
宇宙人はそのテクノロジーにより地球人類の進化を調整したとされる。
進歩度
センソ・メトロ(感覚計)によって図られる指数。アミによれば「けだものに近いか“天使”に近いかの度合い」である。地球人の平均は550度で、以前の地球人の平均は450度だった。ある惑星が破滅の危機に陥った場合、700度以上の進歩度を持つ人は救出されることになっている。アミ等、救済計画を行う側の人間がみだりに自分や相手の進歩度の実数を明かすことは禁じられている。

登場する惑星

地球
主人公ペドゥリートの住む惑星。未開な場所と考えられ、「第三水準(レベル)世界」とされている。地球各地で興った文明はアトランティス大陸の文明の残骸とされている。
オフィル星
ここには地球に起源を持つ人々が暮らしている。オフィル星をはじめ宇宙の基本法を知る文明社会には都市というものが存在しない。都市は多くの欠点を抱えた劣った生活形態とされている。太陽の五十倍位の大きさに見える恒星(実際は太陽の四百倍以上)を持つ。オフィルの人々の身長は三メートル程。
キア星
進歩度において地球と同程度の惑星。地球が太陽のまわりを一周公転する間にキアの太陽のまわりを二十周する。テリとスワマの二つの人種が居住している。テリはさらにテリ・ワコとテリ・スンボという二つのグループに分かれ、常に争い合っている。各地にPP(ポリシア・ポリティカ、政治警察)が置かれ人々を監視し、不穏とみなした人物に制裁を加えている。
カリブール星
植物の研究と栽培に使われている惑星。アミは「宇宙植物園」と評している。遺伝子を扱う技師が数名住んでいるだけで他に住人はいない。
銀河人形
アミが住む惑星。アニメに出てくるような小人の町を連想させる風景が広がっている。

登場人物

ペドゥリート(ペドロ)
主人公。地球人の少年。10歳。作中において『アミ 小さな宇宙人』をはじめとする三部作は彼の著作であると位置づけられている。2作目まではいとこがタイプライターで筆記したが、3作目は自分の手で書いている。
アミ
地球よりずっと進歩した星からやってきた宇宙人。外見年齢は8歳ほどだが、実際にはもっと歳をとっている。悪戯を皮肉をよく言う。肉食を嫌う。本人曰く「悪戯っ子」。地球を進歩させるための活動の一環としてペドゥリートの前に現われ、UFOで各惑星に連れて行きながら文明社会として実現されるべき「宇宙の基本法」を説いていく。ペドゥリートのエゴを牽制しようときつい口調になることが少なくない。
ペドゥリートのお婆ちゃん
ペドゥリートのお婆ちゃんで、夏休みによく温泉場の近くの家を借りる。
ビクトル
ペドゥリートのいとこ。30才を少し過ぎたくらいの年齢。銀行で働いている。ペドゥリートの話をもとに『アミ 小さな宇宙人』『もどってきたアミ 小さな宇宙人』をタイプライターで筆記した。ビクトル自身はペドゥリートの話をおとぎ話だとみなしている。いずれ書こうと思っている自著『知的欲求不満者の苦悶』執筆の練習台として筆記を引き受けたが、『アミ』の成功により、宇宙を舞台にした作品の構想を練るようになった。
ビンカ
地球と同程度の遅れた惑星キアの少女。ペドゥリートと同年代だが、母星の公転周期の違いにより数字上の年齢は215歳となる。
クラト
キア星に住む百姓の老人。軍のスパイだったことがある。彼の名前もペドロと同じく「石」を意味する。過去はテリであったが、スワマに変化した。かなり食い意地が張っている。飄々とした人物で、武装した乱暴者を前にしても平気でいる。愛について書かれた羊皮紙を持っている。
アミの両親
双子の魂であるアミの親。父親は、元は銀河人形(アミ達の住む惑星)に住んでいたが、キリア星に生まれ変わった。母親は、ペドゥリート曰く可愛い少女のような容姿で、現在はキリア星に生まれ変わる準備をしている。2人とも、ペドゥリートとビンカにメッセージを送った。

書誌情報

アミ三部作

参考文献

関連項目

外部リンク

  • アミプロジェクト - アニメ映像化プロジェクト、およびアミーティングプロジェクト(アミと出逢ってもらうプロジェクト)。