アキュラ・RDX
RDX(アールディーエックス)は、本田技研工業が生産し、アキュラブランドで販売するクロスオーバーSUVである。
初代 TB1型(2006-2012年)
アキュラ・RDX(初代) | |
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2010年モデル | |
2007年モデル | |
概要 | |
製造国 | アメリカ合衆国 |
販売期間 | 2006年 - 2012年 |
ボディ | |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 5ドア クロスオーバーSUV |
駆動方式 | FF / 4WD (SH-AWD) |
パワートレイン | |
エンジン | K23A:2.3L 直4 DOHC i-VTEC ターボ |
最高出力 | 240hp (243PS) /6,000rpm |
最大トルク | 260ft·lbf (36.0kgf·m) /4,500rpm |
変速機 | 5速AT |
サス前 |
前:マクファーソンストラット 後:トレーリングアーム式マルチリンク |
サス後 |
前:マクファーソンストラット 後:トレーリングアーム式マルチリンク |
車両寸法 | |
ホイールベース | 104.3in (2,649mm) |
全長 | 180.7in (4,590mm) |
全幅 | 73.6in (1,870mm) |
全高 | 65.2in (1,655mm) |
車両重量 |
3,924 - 3,935lbs (1,780 - 1,785kg) |
その他 | |
燃費 |
FF:19/23 mpg 4WD:17/22 mpg (EPA City/Highway) |
2005年1月の北米国際自動車ショーで、コンセプトカーのアキュラ・RD-Xとして世界初公開された[1]。2006年1月の北米国際自動車ショーでプロトタイプが、4月のニューヨーク国際自動車ショーで市販モデルが発表され[2]、2006年10月8日に販売が始まった。
都会に住む将来性豊かな「ヤングプロフェッショナル」を主なターゲットとした、エントリープレミアムSUVとしている。主なライバルはBMW・X3。 コンセプトデザインはHonda R&D Americasで行ったが、その後の開発はアメリカ人エンジニア主導により日本で行なわれた[3]。
プラットフォームは新開発の「グローバル・ライトトラックプラットフォーム」で3代目CR-V(2006年-)も使用する[4]。
デザインテーマは「アスレチックアーマー」でアメリカンフットボールのランニングバックの力強さをイメージし、都会にマッチするデザインとサイズに仕上げた。アイポイントを高く、ボンネットを低くし視認性も高いものとなっている。大きなホイールアーチや短いリアオーバーハング、テールゲートとバンパーがフラットなリアエンドも特徴の一つである。タイヤはアキュラ初の18インチサイズを標準装備し、ミシュランのオールシーズンタイヤを使用する。
ボディには高張力鋼が重量で39%に使用されており、フロアのボックスセクションなどには780MPaグレードが使用されている。ステアリングフィールやスタビリティ、ロードノイズ低減のためサスペンション周りの剛性に特に注意が払われた。
コンパティビリティ(ACE)対応ボディとしては、多角形断面のフロントフレームメンバーに高張力鋼を使用し、上方と後方に衝撃を分散させる構造になっている。リアフレームも多角形断面で、波形のデザインにより強度を高め、衝突時の変形を制御する。
エンジンはK23A型 2.3L 直列4気筒 DOHC i-VTECで、バリアブルフロー・ターボが装着され240hpを発生する。最大トルクは、260lbs·ft(約35.9kgf·m)と発売当初はアキュラ車最大のトルクを誇った。 アキュラ・TSXなどに搭載されるK型エンジンをベースに、ターボチャージャーへの最適化も含め、ボアサイズ、ピストン、コンロッドなど大きな変更がされている。ベッドプレート型のベアリングキャップやバランサーシャフトなどを始め、NVH対策も念入りに行っている。
バリアブルフロー・ターボは三菱とアイシンとの共同開発[5] で、エンジン後方の排気直後に設置される。ホンダ・レジェンドに搭載されていたウィングターボのような可動ベーンは用いず、マツダ・RX-7(FC3S 前期型)などに採用されたツインスクロールターボと似たシンプルな構造になっている。ソレノイドで駆動するダイヤフラムアクチュエーターによって、フラップのようなフローコントロールバルブを制御し、低速時にはタービンインレットを狭め内側のスクロールへのみ排ガスを流入させることで、タービンを高回転に保つ。コントロールバルブのポジションは直接排気ガスの流速から計算され、全開加速時では約2,000rpmからバルブが開きだし約2,500rpmで全開となり外側のスクロールへも排ガスが供給される。この方式にはバルブのピボットを高温の排ガスから遠ざけることができるというメリットがあり、耐久性や信頼性の向上に繋がっている[6]。 エンジン上部に設置されたインタークーラーには、フロントからダクトを通って空気が直接導かれており、ラム効果により流速を高めている。ブースト圧は最大13.5psi(約0.95kg/cm2)である。エンジンオイルにはタービン軸で生じるデポジットが少ないものが指定されており、メーカーにより規格化されている(実質的にRDX専用規格)。
トランスミッションは5速ATで、パドルシフトが付く。Dレンジでのパドル操作ではATモードへの自動復帰機能が付き、Sレンジでは常時マニュアルとなるが、シフトダウン時のオーバーレブ回避機能は働く。
駆動方式は、アキュラ・RLなどに採用されているSH-AWDであるが、2代目アキュラ・MDX同様、後輪の2段増速機構が廃止された軽量仕様で、常時1.7%増速され、直進状態での前後輪の回転差は、多板クラッチが吸収している。高速走行時には前後駆動力分配は最大90対10となる。
インテリアのテーマは「ダウンタウンロフト」。前席優先のデザインで計器類やスイッチ類はドライバー志向の設計になっている。 10WAYレザートリムパワーシートや、多機能皮巻きステアリング、ブーストメーター付きのLEDバックライト計器盤、6.5インチのセンターインストゥルメントパネル、7スピーカー360Wオーディオなどが標準装備。リアシートは60対40の分割折りたたみ式、カーゴスペースにはプライバシーカバーを装備する。
グレードは1つのみで、オプションの「テクノロジーパッケージ」にはリアビューカメラ付きナビゲーション、リアルタイム交通情報付きアキュラリンク、カスタムマルチインフォメーションディスプレイ、XMラジオ付き10スピーカーアキュラ/ELSサラウンド、GPSリンク照度センサーエアコンなどが揃う。
2008年モデルではブルートゥースハンズフリーリンク、2メモリーパワーシート、自動調光バックミラーが標準装備となり、「ポリッシュメタルメタリック」ボディカラーが追加された。ナビゲーションがハワイ州に対応し、アキュラリンクの交通情報もアップグレードされた。
2009年モデルでは助手席が4WAYパワーシートが標準となり、「バスクレッドパール」、「クリスタルブラックパール」、「グリージョメタリック」、「パラジウムメタリック」の4色のボディーカラーが追加。
2010年モデルではマイナーチェンジが行われた。 新しくFFモデルがラインナップされ、標準仕様ではSH-AWDモデルから約85kgの軽量化を果たし、燃費が17/22mpgから19/23mpg(EPA 市街地/高速)に向上している。 エクステリアデザインはアキュラの共通コンセプトに沿いフロントグリルを一新。ヘッドライト、テールライト、前後バンパー、テールパイプ、標準ホイールなども変更された。
インテリアではフットライト、電子コンパス、リアビューカメラ、USBポートなどが標準装備となり、センターコンソールの収納が強化された。 オートヘッドライトも標準となる。「テクノロジーパッケージ」ではナビゲーションシステムなどがアップグレードされた。レザーシートの品質向上や、インテリアカラーが2色追加された。
エンジンはターボチャージャーのインレットパイプを厚くし、高圧ブースト時のノイズを低減させた。ラジエターファンノイズも低減されている。 ブレーキブースターを変更し、ブレーキフィールの改善とブレーキパッドの寿命を向上させている。
製造は、オハイオ州・メアリーズヴィル工場(Marysville Auto Plant)である。
2代目 TB3/TB4型(2012年- )
アキュラ・RDX(2代目) | |
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概要 | |
製造国 | アメリカ合衆国 |
ボディ | |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 5ドア クロスオーバーSUV |
駆動方式 | FF / 4WD |
パワートレイン | |
エンジン | J35Y:3.5L V6 SOHC i-VTEC |
最高出力 | 273hp/6,200rpm |
最大トルク | 251ft·lbf/4,500rpm |
変速機 | 6速AT |
サス前 |
前:マクファーソンストラット 後:トレーリングアーム付きダブルウィッシュボーン |
サス後 |
前:マクファーソンストラット 後:トレーリングアーム付きダブルウィッシュボーン |
車両寸法 | |
ホイールベース | 105.7in (2,685mm) |
全長 | 183.7in (4,666mm) |
全幅 | 73.8in (1,875mm) |
全高 | 64.2in (1,631mm) |
2012年1月に行われる北米国際自動車ショーに、2代目のプロトタイプを出展することを発表され[7]、2012年1月9日公開され、2012年4月より販売を開始した。
先代では20代だったターゲット層を30代前半とより大人向けにシフトさせており、プレミアムなインテリア、快適性や実用性をより重要視している[8]。エクステリアはより滑らかでフラットなデザインとなり空力性能も向上し、アンダーボディパネルは空力だけでなくキャビン内のノイズ低減にも役立っている。 ホイールベース、トラック幅が拡大、より低重心となりハンドリング性能も向上した。
エンジンは、2.3L 直4 DOHC ターボからJ35Y型 3.5L V型6気筒 SOHC i-VTEC(VCM)自然吸気に変更され、最高出力は273hp/6,200rpmと大きく向上した。組み合わされるトランスミッションは、6速ATとなる。駆動方式は従来通り4WDとFFが設定されているが、4WDに関しては先代のSH-AWDではなく、より軽量シンプルな電動油圧ポンプを電子制御するREAL TIME AWD(インテリジェント・コントロール・システム)」となった。
サスペンションには新たに振幅リアクティブダンパーを採用し、メインピストンバルブ上部にスプリングフローティングバルブを追加した電子制御を用いないシステムで、サスペンションストロークが1-5mmのライドゾーン、10mm以上のドライビングゾーンと2つのゾーンで減衰力設定が切り替わる。 パワーステアリングはモーションアダプティブEPSをアキュラで初採用した。
室内は先代と同様に前席を優先した設計をしており、カスタマーからの要望が高かった前後席のレッグルームとショルダールーム拡大を実現し、インストルメントパネルは、メータークラスターが3ポッドタイプからシンプルなオープンタイプになるなど、より落ち着いた雰囲気となった。ワンタッチウィンカーを新たに採用、100ミリ秒以下のレバー操作なら3回の点滅で自動キャンセルとなる。 カーゴエリアも拡大しリアハッチ開口部は大幅に大きくなり、60/40折りたたみリアシートは、ワンタッチ操作で簡単に折りたためるギミックが付いた。
EPA燃費予想(city/highway/combined)はFFが20/28/23 mpg 、4WDが19/27/22 mpgとなっており、先代より特にハイウェイモードでの燃費が大きく改善した。 ナビやプレミアムオーディオシステムなどが付くテクノロジーパッケージには、新たにパワーテールゲートが採用されている。
製造はオハイオ州・メアリーズヴィル工場から近隣のイーストリバティ工場(en:East Liberty Auto Plant)に移される。
フェイスリフト
2016年モデルではモデル中盤でのリフレッシュが図られた[9]。 エンジンは最新の3.5L V6 VCMとなり279hp/6200rpm、252lb.-ft./4900rpmにパワーアップ、中回転域のトルクがより太くなった。 EPA燃費ではハイウェイが28~29mpgと2015年モデルより1mpg向上した。 外装ではアキュラのシグネチャーであるジュエルアイLEDヘッドライトを搭載。テールライトもLED化された。 フロント周りもグリルデザインがリフレッシュされ、前後バンパーデザインもよりアグレッシブになった。 全モデルホイールも新デザインになった。AWDシステムではリアディファレンシャルの再設計とコントロールロジックの改良により、 後輪への駆動力配分が最大25%から40%に向上した。
ボディではフロント部の剛性が向上し、衝突安全性も高められIIHSの衝突安全試験でトップセーフティピック+に指定された[10]。
アッパーサスペンションマウント、エンジンマウントが強化され、サスペンションチューニングも改良されている。
内装はより高級感を増すリファインが行われ、シルバーとブラックのハイコントラストの内装となった。2列目には
エアベントが新設。ヒーテッドフロントシートや、パワーテールゲートなどが標準化された。オプションのテクノロジーパッケージではタッチパネルでオーディオ操作するOn-Demand Multi-Information Display (ODMD)が追加。
安全装備ではAcuraWatchパッケージが追加されている。
脚注
- ^ 「Acura RD-X コンセプト」を発表
- ^ 「Acura RDX プロトタイプ」を発表
- ^ “Remarks by Hirohide Ikeno, President, Honda R&D Americas., Inc.” (html). 2009年9月3日閲覧。
- ^ http://www.hondanews.com/search/release/3559?q=RDX&s=acura
- ^ “CanadianDriver » Acura » First Drive: 2007 Acura RDX” (html). 2009年9月3日閲覧。
- ^ Gary S. Vasilash (2006年6月1日). “Acura RDX Purpose-Built For The Urban Environment (Where Most SUVS Tend To Tread)” (html). Automotive Design and Production. 2008年10月16日閲覧。
- ^ 「NSXコンセプト」、新型「アコードクーペコンセプト(北米仕様)」などを2012年北米国際自動車ショーに出展
- ^ http://www.hondanews.com/channels/acura-automobiles-rdx/releases/2013-rdx-introduction
- ^ 2016 Acura RDX Press Kit - Overview - Model Press Kit - Honda News 2015-10-07閲覧
- ^ 【IIHS衝突安全】アキュラ RDX の2016年型、トップセーフティピック+に指定 | レスポンス 2015-10-06閲覧
関連項目
外部リンク
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