アカショウビン

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アカショウビン
アカショウビン
アカショウビン(京都市左京区) Halcyon_coromanda
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
亜綱 : Carinatae
下綱 : Neornithes
: ブッポウソウ目 Coraciiformes
: カワセミ科 Alcedinidae[2]
亜科 : ショウビン亜科 Halcyoninae
: ヤマショウビン属 Halcyon
: アカショウビン H. coromanda
学名
Halcyon coromanda
(Latham1790)
和名
アカショウビン(赤翡翠)
英名
Ruddy Kingfisher
亜種
  • リュウキュウアカショウビン H. c. bangsi
  • H. c. claudiae
  • H. c. coromanda
  • H. c. linae
  • アカショウビン H. c. major
  • H. c. minor
  • H. c. mizorhina
  • H. c. ochrothorectis
  • H. c. pelingensis
  • H. c. rufa
  • H. c. sulana
アカショウビン(恩賜上野動物園

アカショウビン(赤翡翠、学名: Halcyon coromanda)は、ブッポウソウ目カワセミ科に分類される鳥類森林に生息するカワセミの仲間。

名称

種小名インドコロマンデル海岸に由来する。燃えるような赤いくちばしと体全体が赤色を持つことから、火の鳥の異名を持つ。鹿児島県奄美大島の地方名ではクッカルという。漢字の「翡翠」は本来青いカワセミを指すが、色の異なるショウビンにも熟字訓として用いられている。

分布

北は日本朝鮮半島、南はフィリピンからスンダ列島、西は中国大陸からインドまで、東アジア東南アジアに広く分布する。北に分布する個体はフィリピン諸島マレー半島ボルネオなどで越冬する。

日本では夏鳥として渡来し、北海道から沖縄までほぼ全国で繁殖するが、渡来数は少ない。西表島は日本有数の繁殖地である。冬は東南アジアへ渡って越冬する。日本でよく見られるカワセミ類はこのアカショウビンのほかにカワセミヤマセミの3種類だが、この中ではアカショウビンだけが渡り鳥である。

形態

体長は約27センチメートル。翼開長は約40センチメートル。ヒヨドリと同じくらいの大きさ。和名の通り体の上面の羽毛が赤褐色で、体の下面は橙褐色。腰は水色で、飛んだ時はこの水色がよく目立つ。くちばしと足は赤く、目は黒い。雌雄ほぼ同色である。また、大きな赤いくちばしは柔らかい。

生態

森林に生息するのが特徴で、カワセミとは違い水辺から離れた森林でもみられる。単独または、つがいで生活する。ホバリングはせず、もっぱら石や枝の上から獲物を狙う。

食性は動物食。渓流に飛び込んで魚やカエルサワガニ、水生昆虫などをとらえるが、地面のカタツムリトカゲをとらえたり、木の幹のキリギリスセミバッタを横から襲うこともある。カワセミと同じように捕獲後は再び石や枝に戻ってえものをくわえ直し、頭から呑みこむ。動きの大きなえものは足場に数回叩きつけ、弱らせてから呑みこむ。

繁殖形態は卵生。巣穴は崖や、キツツキの古巣を使って営巣する。亜種アカショウビンでは、石川県で1988年にスズメバチの古巣を使った営巣記録が報告されている[3]。亜種リュウキュウアカショウビンでは、タカサゴシロアリが樹上に作る球状の巣に穴を掘って営巣した記録[4]石垣島[5]西表島[6]で、発泡スチロール製の人工営巣木で繁殖した記録がある。日本での産卵期は6-7月、産卵数は5個ほどである。

オスは朝夕や曇りの日に「キョロロロロー…」と尻下がりの声でさえずる。

西表島などが属する沖縄県竹富町の「町の鳥」に指定されている。

亜種

  • アカショウビン Halcyon coromanda major
  • リュウキュウアカショウビン Halcyon coromanda bangsi
亜種リュウキュウアカショウビンは、南西諸島に夏鳥として渡来する。アカショウビンにくらべると背中が紫色っぽく、腰の水色も鮮やかである。奄美大島には4月末から渡来することが多い。

Sibley分類体系上の位置

保護現状

脚注

  1. ^ Halcyon coromanda (Species Factsheet by BirdLife International)
  2. ^ Sibley-Ahlquist鳥類分類ではショウビン科Halcyonidae
  3. ^ 美馬秀夫・中村正博・中坂学夫、「アカショウビンHalcyon coromandaがスズメバチの古巣で営巣」『Strix』7巻、1988年、283-284頁
  4. ^ Fry CH,Fry K & Harris,A Kingfishers,Bee-eaters and Rollers,Christopher Helm,London
  5. ^ 八重山毎日新聞、2002年6月25日,
  6. ^ 矢野晴隆・上田恵介、「リュウキュウアカショウビンによる発泡スチロール製人工営巣木の利用」『日本鳥学会誌』54巻1号、日本鳥学会、2005年、49-52頁

参考文献

  • 五百沢日丸解説『日本の鳥550 山野の鳥』山形則男・吉野俊幸写真(増補改訂版)、文一総合出版〈ネイチャーガイド〉、2004年。ISBN 4-8299-0165-9 
  • 高野伸二編『日本の野鳥』浜口哲一ほか解説、山と渓谷社〈山渓カラー名鑑〉、1985年。ISBN 4-635-09018-3 

関連項目

外部リンク