アイザック・ヘイズ

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アイザック・ヘイズ
1973年
基本情報
出生名 アイザック・リー・ヘイズ・ジュニア
生誕 1942年8月20日
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 テネシー州コヴィントン
死没 (2008-08-10) 2008年8月10日(65歳没)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 テネシー州 メンフィス[1]
ジャンル R&B、ソウル、ファンク
職業 シンガーソングライター作曲家音楽プロデューサー俳優
担当楽器 ボーカルピアノキーボードサックス
活動期間 1962年 - 2008年
レーベル エンタープライズ/スタックス・レコード
ABCレコード
コロムビア・レコード
ポイントブランク
共同作業者 デイヴィッド・ポーター
ブッカー・T&ザ・MG's
バーケイズ
公式サイト The Official Isaac Hayes Online Store

アイザック・リー・ヘイズ・ジュニア(Isaac Lee Hayes, Jr.、1942年8月20日 - 2008年8月10日)は、アメリカ合衆国テネシー州出身のミュージシャン俳優

1960年代において、スタックス・レコードにてパートナーのデイヴィッド・ポーターと数々の楽曲を提供・プロデュースし、サザン・ソウルの発展に寄与した。2005年にはポーターと共にソングライターの殿堂入りした。

1971年に公開した映画『黒いジャガー』(原題:Shaft)の音楽制作に関わり、主題歌「黒いジャガーのテーマ」がヒットし、アカデミー歌曲賞グラミー賞 映画・テレビサウンドトラック部門ゴールデングローブ賞 作曲賞を受賞した。

2002年にはロックの殿堂入りを果たしている。また、俳優としても活動しており、何本もの映画に出演。1997年から2005年にかけて、アニメ番組『サウスパーク』で声優を務める。

来歴[編集]

生い立ち[編集]

1942年にテネシー州のコンヴィトンにて、アイザック・シニアとユーラの元に2番目の子として生まれるが、後に両親は亡くなり、祖父母の元で育つ[2]

彼は高校を中退したが、以前の教師の励ましにより、21歳の時マナサス高校の卒業証書をもらうことになった。音楽のキャリアとしては地元の教会にて5歳の時より歌い始め[3]、間も無く、自己流にてピアノハモンド・オルガンフルートサックスも学ぶようになった。その後メンフィスに移る。

スタックスと『黒いジャガー』[編集]

1962年に本格的に音楽活動を開始。メンフィスを拠点に1960年代中期よりスタックス・レコードでスタジオ・ミュージシャンとして活動し、オーティス・レディングウィルソン・ピケット等と共演。ソングライターデイヴィッド・ポーターと共に"You Don't Know Like I Know"、"Soul Man"、"When Something Is Wrong with My Baby"や"Hold on I'm Comin'"(全米21位、R&Bチャート1位)といった楽曲をサム&デイヴに提供した[4]。また、ヘイズはスタックスのハウス・バンド、ブッカー・T&ザ・MG'sやカーラ・トーマスほか、レーベル所属のミュージシャンをプロデュースした。

1968年にデビュー作『Presenting Isaac Hayes』をリリースしたが、商業的には成功しなかった[5]。スタックスはアトランティックより独立して間もない時期であり、サム&デイヴほかの版権もアトランティックに渡っていた。加えて、同じ年に稼ぎ頭のオーティス・レディングが航空機事故で亡くなり、スタックスは困難に直面していた。スタックスの副社長のアル・ベルは多くの新しいアルバムを1969年中に完成するように求め、その中からヘイズが発表した『Hot Buttered Soul』(1969)は最も成功した。[5] 

1971年、映画『黒いジャガー』の音楽を制作。サウンドトラック・アルバムは全米1位・全英17位に達し、グラミー賞 映画・テレビサウンドトラック部門ゴールデングローブ賞 作曲賞を受賞。テーマ曲「黒いジャガーのテーマ(Theme from Shaft)」も全米1位を獲得し、アカデミー歌曲賞グラミー賞のインストゥルメンタル・アレンジ部門を受賞。また、1971年発表のオリジナル・アルバム『Black Moses』も、全米10位の成功を収め、グラミー賞のポップ・インストゥルメンタル部門を受賞[6]

1972年8月20日ロサンゼルス・メモリアル・コロシアムで行われたコンサート「ワッツタックス」のトリを務める。コンサートを収録した映画『ワッツタックス/スタックス・コンサート』は翌1973年に公開された。1974年には映画『タフ・ガイズ』『トラック・ターナー』の音楽を担当した。だが、75年にスタックスは倒産し、ヘイズはレーベルを離れることになった。

1977年には、ディオンヌ・ワーウィックとの共演盤『A Man and a Woman』を発表している。1979年にはディスコ曲「ドント・レット・ゴー」を発売し、ヒットさせた。ヘイズはミリー・ジャクソンともデュエットした。

俳優業[編集]

1974年には『タフ・ガイズ』『トラック・ターナー』に俳優として出演した。1981年の作品『ニューヨーク1997』では、監獄と化したマンハッタン島の帝王・デュークを演じている。

1997年、アニメ番組『サウスパーク』で、シェフ(Chef)というキャラクターの声優を務める。当初は単発のゲストとして出演したが、視聴者から好評だったためレギュラーとなった[7]。しかし、同番組のエピソードの中で、アイザックが信奉しているサイエントロジーがネタにされていたため、2005年末をもってアイザックは番組を降りる。2006年、アイザックはこの件に関し、「信仰というものは人々にとって神聖なものであり、常に敬意を払われるべきだ。40年に渡って市民運動をしてきた者として、人の信仰や習慣に敬意を払わないショウに協力することはできない」とコメントした[7]

急逝[編集]

2008年8月10日、アイザックはメンフィスの自宅のベッドルームに置かれているランニング・マシーンでエクササイズ中に倒れた。午後1時ごろ、外出先から帰宅した家族に発見され、病院へ緊急搬送されたが、そこで死亡が確認された。後に死因は脳梗塞であることが発表された。65歳没。

ディスコグラフィ[編集]

スタジオ・アルバム[編集]

  • Presenting Isaac Hayes (1967年)
  • Hot Buttered Soul (1969年)
  • The Isaac Hayes Movement (1970年)
  • ...To Be Continued (1970年)
  • Black Moses (1971年)
  • Joy (1973年)
  • Chocolate Chip (1975年)
  • Disco Connection (1975年)
  • Groove-A-Thon (1976年)
  • Juicy Fruit (1976年)
  • New Horizon (1977年)
  • A Man and a Woman ( 1977年) - ディオンヌ・ワーウィックとの連名
  • For the Sake of Love (1977年)
  • Don't Let Go (1979年)
  • And Once Again (1980年)
  • Lifetime Thing (1981年)
  • U-Turn (1986年)
  • Love Attack (1988年)
  • Raw and Refined (1995年)
  • Branded (1995年)

ライヴ・アルバム[編集]

  • Live at the Sahara Tahoe (1973年)

サウンドトラック[編集]

  • 黒いジャガー - Shaft (1971年)
  • Tough Guys (1974年)
  • Truck Turner (1974年)

主な出演作品[編集]

映画[編集]

公開年 邦題
原題
役名 備考
1971 黒いジャガー
Shaft
- 音楽のみ
アカデミー歌曲賞 受賞
1973 ワッツタックス/スタックス・コンサート
Wattstax
本人 ドキュメンタリー
1974 Tough Guys リー
ブラック・ハンター
Truck Turner
トラック・ターナー 音楽・出演
1976 It Seems Like a Good Idea at the Time モリアーティ
1981 ニューヨーク1997
Escape from New York
デューク
1987 メイス
Dead Aim
ジャマール
1988 カウンターフォース
Escuadrón
バラード
ゴールデン・ヒーロー 最後の聖戦
I'm Gonna Git You Sucka
ハマー
1990 Fire, Ice and Dynamite 本人
1991 タイム・トゥ・ダイ/闇の処刑人
Guilty as Charged
アロイシウス
プライム・ターゲット/標的
Prime Target
トンプキンス
1993 プレデターゲーム
Code... Death: Frontera Sur
モロ
1993 CB4 オーナー
黒豹のバラード
Posse
ケイブル
ミッドナイト・スキャンダル
Acting on Impulse
スタッブス刑事 テレビ映画
ロビン・フッド/キング・オブ・タイツ
Robin Hood: Men in Tights
アスニーズ
リーサル・プロット/謎の暗殺命令
Deadly Exposure
ヨハンソン
1994 スペース・リザード3001/宇宙の極道蜥蜴
Oblivion
バスター
あなたに降る夢
It Could Happen to You
エンジェル・デュプレ
1995 Once Upon a Time...When We Were Colored Preacher Hurn
1996 ザ・スカウト/殺戮祭の日
Uncle Sam
マッドフェイス ビデオ映画
Oblivion 2: Backlash バスター
フリッパー
Flipper
バック・コーワン
イル・タウン
Illtown
ジョージ
1997 ハード・デイズ
Six Ways to Sunday
ビル・ベネット
1998 ブルース・ブラザース2000
Blues Brothers 2000
ルイジアナ・ゲイター・ボーイズ
1999 Ninth Street Tippytoe
サウスパーク/無修正映画版
South Park: Bigger, Longer & Uncut
シェフ アニメ、声の出演
2000 シャフト
Shaft
ミスターP クレジットなし
レインディア・ゲーム
Reindeer Games
ズーク
2001 ドクター・ドリトル2
Dr. Dolittle 2
ポッサム 声の出演
チェルシーホテル
Chelsea Walls
エレベーターの男 クレジットなし
2002 ソウル・サヴァイヴァー
Only the Strong Survive
本人 ドキュメンタリー
2003 ブック・オブ・デイズ/死を告げる書
Book of Days
ジョナ テレビ映画
エンド・オブ・アース 人類最終戦争
Dream Warrior
ヨシ
2004 REX レックス
Anonymous Rex
エレガントな男 テレビ映画
2005 ハッスル&フロウ
Hustle & Flow
アーネル
2008 ソウルメン
Soul Men
本人
雷神-RAIJIN-
Kill Switch
コロナー ビデオ映画
Return to Sleepaway Camp チャーリー ビデオ映画

テレビシリーズ[編集]

放映年 邦題
原題
役名 備考
1985 特攻野郎Aチーム
The A-Team
C.J. マック 1エピソード
1986 刑事ハンター
Hunter
タイフーン・トンプソン 1エピソード
1987 特捜刑事マイアミ・バイス
Miami Vice
ホリデイ 1エピソード
1997-2005 サウスパーク
South Park
シェフ アニメ、134エピソードに声の出演
2002 ファストレーン
Fastlane
マーカス刑事 1エピソード
2005 スターゲイト SG-1
Stargate SG-1
トロク 3エピソード

ノミネーションと受賞歴[編集]

太字が受賞

Year Award Category Film, album, or song
1972 アカデミー賞 Best Music, Original Dramatic Score 黒いジャガー
Best Music, Original Song (For the song "Theme from Shaft") Shaft
1972 英国アカデミー賞 Anthony Asquith Award for Film Music Shaft
1998 BMI Film & TV Award BMI TV Music Award Soul Man (Shared with デイヴィッド・ポーター)
1972 ゴールデン・グローブ賞 Best Original Song (For the song "Theme from Shaft") 黒いジャガー
Best Original Score 黒いジャガー
1972 グラミー賞[8] Best Instrumental Arrangement (For the song "Theme from Shaft", arranged with Johnny Allen) 黒いジャガー
Best Original Score Written for a Motion Picture or a Television Special 黒いジャガー
1973 Best Pop Instrumental Performance By An Arranger, Composer, Orchestra and/or Choral Leader Black Moses
1999 NAACPイメージ・アワード Outstanding Lead Actor in a Comedy Series South Park
2006 全米映画俳優組合賞 Outstanding Performance by a Cast in a Motion Picture ハッスル&フロウ(Shared with cast)

脚注[編集]

  1. ^ Memphis soul legend Isaac Hayes dead at 65
  2. ^ Isaac Hayes Biography (1942-)
  3. ^ allmusic(((Isaac Hayes>Biography)))
  4. ^ Howe, Sean (2017年11月15日). “Meet the Musicians Who Gave Isaac Hayes His Groove (Published 2017)”. Nytimes.com. 2021年11月1日閲覧。
  5. ^ a b "Ultimate Isaac Hayes (Can You Dig It?), Audio". Contactmusic.com. Retrieved March 15, 2008.
  6. ^ allmusic(((Black Moses>Awards)))
  7. ^ a b Isaac Hayes-Biography-(IMDb.com)
  8. ^ Grammy Winners”. grammy.com. 2008年8月11日閲覧。

参考文献[編集]

  • ジョン・ウォルシュ『ニューヨーク1997 ジョン・カーペンター映画術』富永晶子訳、2021年12月、DU BOOKS

関連項目[編集]

外部リンク[編集]