ぴえろ魔法少女シリーズ

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ぴえろ魔法少女シリーズ(ぴえろまほうしょうじょシリーズ)は、スタジオぴえろ制作の魔法少女アニメシリーズ。2013年現在、計5作品が制作されている。一覧は#作品一覧を参照。

なお、ぴえろ社内では本シリーズを単に「魔法少女シリーズ」と呼称しているが、本項では他社が制作した魔法少女シリーズとの区別化のため、項目名を便宜上「ぴえろ魔法少女シリーズ」とした。

概要[編集]

葦プロダクション制作の魔法少女アニメ『魔法のプリンセス ミンキーモモ』を企画した読売広告社が同作品に続く「魔女っ子もの」の企画をスタジオぴえろに持ちかけて『魔法の天使クリィミーマミ』を制作し、1983年7月より日本テレビ系ネット各局にて放送された。好評を受けたことで同作品の作風を継承した作品群が制作され、シリーズ化される。1980年代初頭から中盤にかけて約3年間に4作が連続で放送され、製作サイドが視聴を想定した低学年の女児とは別に青年アニメファンにも人気が出た。

1998年(平成10年)、放送局をテレビ東京系に移して日テレでのシリーズ作品本放送終了から約12年ぶりに最新作『魔法のステージファンシーララ』が放送されたが半年で終了し、往時の人気を復活させるには至らなかった。なお、放送予定は当初から半年だったが、好評であれば『マミ』同様の1年間に延長される可能性もあったことが、『ララ』のシリーズ構成を担当した望月智充公認ファンページのコーナー「ともみの真実 第11回」での望月へのインタビューにおいて明かされている[1]

現在はCS放送やケーブルテレビ、インターネットの動画配信サービスなどの各メディアで、シリーズ作品群が不定期に放送されている。

シリーズ特徴[編集]

各作品に共通している特徴を下記に列挙する(一部例外あり)。

  • 主人公は小学生の少女。
  • 主人公は普通の人間。生まれつき魔法の力は持たないが、異世界(魔法の世界、妖精の住処など)の存在から魔法を授かる。
  • 主人公の近所などにやや年上の男性キャラクターが存在しており、主人公はその人物に憧れを抱いている。
  • 異世界からの使者(主に妖精)である小動物状のキャラクターが、主人公のアドバイザー的存在として行動を共にする。
  • 主人公はステッキ状の道具と呪文で、大人の姿に変身する。変身の魔法以外は基本的に使用出来ない、もしくは使わない。
    • 例外は『マジカルエミ』(変身以外にも様々な魔法をマジックとして使用)、『パステルユーミ』(ほぼ変身能力を持たない[注 1])。また、『クリィミーマミ』でも変身以外の魔法が使われている回は多い。
  • 新人歌手が主人公の声優と主題歌を担当する(例外は『ペルシャ』。また『ファンシーララ』の主役・大森玲子は『ララ』以前から女優として活動していた)。
  • 各エピソードは主人公の周囲に起こった出来事を描く。よって、他の魔法少女アニメと比べて日常ドラマの比率が高く、魔法少女の手に負えないレベルの出来事(政治・社会問題etc.)については、ほとんど扱わない。
  • 主人公の家が個人店舗を営んでいる(『ララ』を除く)[注 2]

作品一覧[編集]

TVアニメ[編集]

ぴえろが正式にシリーズ作品と見なしている作品群。通算5作品189回放送。

  1. 魔法の天使クリィミーマミ1983年7月1日 - 1984年6月29日、全52話)(日本テレビ系列)
  2. 魔法の妖精ペルシャ(1984年7月6日 - 1985年5月31日、全48話)(日本テレビ系列)
  3. 魔法のスターマジカルエミ(1985年6月7日 - 1986年2月28日、全38話)(日本テレビ系列)
  4. 魔法のアイドルパステルユーミ(1986年3月7日 - 8月29日、全25話)(日本テレビ系列)
  5. 魔法のステージファンシーララ1998年4月5日 - 9月27日、全26話)(テレビ東京系列)

OVA[編集]

複数シリーズのキャラクターによる合同作品。各シリーズから派生したOVAについては、それぞれの作品項目を参照のこと。

『艶姿 魔法の三人娘』(1986年3月31日発売)
マミ・ペルシャ・エミの「ぴえろ魔法少女シリーズ」のヒロイン3人が温泉旅行に出かけ、それぞれの活躍を映したビデオを見てTVシリーズを懐古するという作品。過去3作の名場面を再編集し、ブリッジ部分に温泉旅行の約5分の新作映像を加えた計30分の構成。
3人がそれぞれのボーイフレンドに電話をかけて他の2人に紹介するシーンでは、各シリーズでヒロインの相手役を務めた水島裕がそれぞれの声を演じ分けている。
『魔女っ子クラブ四人組 A空間からのエイリアンX』(1987年7月28日発売)
『マミ』から『ユーミ』までのヒロイン4人が一堂に会し、特別に与えられた魔法を使って変身し、地球を侵略するエイリアンと月面で激しい戦いを繰り広げるという話。各キャラクターの設定や世界観は既存のTVシリーズから完全に切り離されている。テーマや主張は特になく、同窓会的なノリの単純明快な「娯楽作品」で、発売当時の『アニメージュ』1987年08月号・『アニメV』1987年09月号・『月刊OUT』1987年10月号のOVA評はいずれも、エンタテイメント性と既存の世界観との違和感を巡って評価が分かれた。大沼弘幸は当時、玄光社刊「アニメビデオコレクターズマニュアル'88」の評で本作のエンタテイメント性を高く評価している。
その反面、モンスターが触手で魔法少女達をいたぶるようなシーンがあるなど、内容を巡って製作側からも疑問や批判の声が挙がり[2]、担当作画監督の高木弘樹は明確な不快感を表し、TVスタッフの片山一良は名指しこそ避けたもののネガティブな姿勢を示した。現在ぴえろ公式サイトには『魔女っ子クラブ4人組 A空間からのエイリアンX』に関する記述はない。
シリーズは本作の翌年に製作されたOVA『魔法のデザイナー ファッションララ ハーバーライト物語』を以て中断となり、次の企画である『魔法のステージファンシーララ』がTVアニメ化されるまで10年の歳月を要することになった。

その他[編集]

ぴえろはシリーズ作品と見なしていないが、企画に関わった作品など。

セイカノートオリジナルの魔法少女シリーズ
セイカノートと共同で文具向けに設定・キャラクターを制作し、約10年間商品が作られ続けた。
1988年3月11日には『ファッションララ』を元にOVA『魔法のデザイナー ファッションララ〜ハーバーライト物語〜』(以下『ハーバーライト』)が製作・発売された。
ただし、『ハーバーライト』はリリース当時こそ“シリーズ5作目”と宣伝された[3]が、ぴえろの公式サイト上には『ハーバーライト』に関して言及したページがほとんどなく、『ファンシーララ』の情報ページの一部(ONLINE MAGAZINE→ファンシーララのひみつ)にのみ、“幻の第5弾”と称して簡単な作品紹介があった(現在はリニューアルにともない当該ページはない)。2007年7月にオープンした“魔法少女シリーズ公式サイト”には『ハーバーライト』やセイカノート作品関連の記述は一切ない。また、『アイドルココ』も「ぴえろ創立10周年企画」でOVA化される事が決定していたが、こちらは諸般の事情で製作中止になっている。この『ファッションララ』と『アイドルココ』の原案と構成が合わさって製作されたのが、1998年に放映された『魔法のステージファンシーララ』である。
参考
上記作品群の他に、『クリィミーマミ』と『ペルシャ』の間に『夢世界ホッジポッジ』というオリジナル企画が立てられ、マミの制作スタッフによってパイロットフィルムも作られたが、TV放映には至らなかった。
このパイロットフィルムは1998年に発売された『ペルシャ』LD BOX 1および2003年に発売された『ペルシャ』DVD COLLECTION BOX 2に“映像特典”という形で収録されている。

トピックス・備考[編集]

  • ぴえろ制作作品ではないが、葦プロダクション作品の『魔法のプリンセス ミンキーモモ』・『魔法のエンジェルスイートミント』などにも、本項“シリーズ特徴”に記載した作品特徴の類似性が見られる(『ミンキーモモ(第1作目)』は『クリィミーマミ』の前年、『スイートミント』は『パステルユーミ』の放送終了後約3年8か月後の放送)。本項作品群も含め、全て読売広告社が関与しており、『クリィミーマミ』自体が読売広告社によって『ミンキーモモ』に続く魔法少女ものの作品として製作されている。ただし、担当プロデューサーの大野実は、『ファンシーララ』では企画者として名を連ねるのみである。
  • 『クリィミーマミ』放映開始当初は日本テレビで毎週金曜18時00分〜18時30分に放映されていたが、同系列局についてはこの時間帯にローカルニュースや、クロスネット局の場合は他系列の全国ニュース(主にFNN系列)を編成・放送していたため、遅れネット・本放送終了後に集中放送・未放送の局や、同一地域の系列外局に放映権譲渡の地域(例:山形県では系列局の山形放送[注 3]ではなく当時フジテレビ系列山形テレビ[注 4]で放送)もあった。
  • ジャンルとしては現状で後継作品がない作品群だが、2008年から『クリィミーマミ』のリバイバル人気により、様々な商品展開がなされている。
  • OVA『魔女っ子クラブ4人組』のタイトルから判るとおり、当時は「魔女っ子」シリーズと呼ばれていた。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ユーミが第1話で披露した魔法は、大人にならずに本人のままコスチュームを変えて活躍するというもので、花の子ルンルン魔法のエンジェルスイートミントなどと同様の「変身」は一応できるかのような描写がある。しかしユーミの魔法で出したものは短時間で消えてしまう仕様から、「変身」には不向きであることが早々に判明しており、コスチューム変更の魔法は初期の2回しか使われなかった。
  2. ^ 上述の葦プロ系魔法少女においても同様で、人間社会での居候先や入り浸っている家が自営業店舗やそれに類するものとなっている。
  3. ^ 当時はテレビ朝日系列とのクロスネット局だった。
  4. ^ 後年はテレビ朝日系列

出典[編集]

  1. ^ ともみの真実 第9回 - 第11回
  2. ^ 「魔女っ子倶楽部」(1987年バンダイ刊)のイラストコメントにて。
  3. ^ 徳間書店『アニメージュ』1988年2月号掲載広告に明記。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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