ごみ

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ごみ(ゴミ、芥、塵、埖、: refuse)は、濁水の泥、水底に溜まった泥、または利用価値がなくなり役に立たなくなったものをいう[1]。「くず」や「かす」は、ものを削るか切る等によって残った部分を指すため普通はゴミとは言われない(パンくず、絞りかすなど)[2]

概要

ごみは、誰がその物体をごみと考えるかに依存した相対的な定義である。ある集団にとってはごみでも、別の集団にとっては宝の山という状況が存在する。そこに含まれているものに対して価値をいかに見出すかであり、そのために必要な労働力賃金とも密接に関係している。そのためリサイクルオークションフリーマーケットなどにより両者の接点を設ける事がごみの減量においては重要となる。たとえば日本では、昔から原材料から液体成分を抜き取った残留物をカスとして再活用する。

貝塚

ごみはその主体者が何に価値を見いだし所有したかを反映するため、その主体者に関する情報源となる。遺跡の一つ貝塚は古代の人間のごみ置き場であるとも言える。考古学貝塚(≒ごみ)は古代人の生活様式などを知る上で多くの情報を持っている。現在でも、産業スパイ活動、犯罪捜査軍事諜報活動などにおいて、企業、犯罪被疑者、敵対する軍隊などから出てくるごみは、大変重要な情報源であると言える。このごみを使った調査を「ガーボロジー」と呼ぶ。ガーボロジーは社会科学の一分野でもある。ストーカーが狙いの相手のゴミをあさることで情報を得ようとすることも知られる。

主に先進国の、特に都市部において大量に発生するごみとその処理の問題は年々深刻になっている。いわゆる“燃えないごみ”と“燃やせないごみ”(燃やすとダイオキシンを発生するものなど)や、処理が技術的に難しかったり、単純に埋め立てるだけでは環境に悪影響を及ぼすようなごみが出現したことが状況を悪化させている。詳細はごみ問題を参照のこと。

「くず」や「かす」とともに他人に言う悪口として、または揶揄語として使われることがある。『侮蔑』も参照のこと。 また、カタカナで「ゴミ」と表現、ないしは表記すると、差別用語とみなされる観点から、日立製作所など一部企業では、社内文書を含めカタカナ表記を禁止している。

所有権

所有権に関しては、ごみは無主物であると言う解釈と、廃棄物処理業者に譲渡するまで一時的に占有を離れているだけであり、無主物ではないと言う解釈がある。道端にポイ捨てされたタバコの吸殻や少量の落ち葉などは無主物として勝手に処分しても問題ないと考えられるが、排出元が特定されなおかつ大量に投棄されている場合にはその所有権が問題となる可能性がある。元所有者が所有権を放棄している場合、ごみ(動産)は無主物となるのが原則であるが、ごみを含む廃棄物については、所有権放棄の前提として元所有者が適正に廃棄物の処理を行う責務がある(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第2条の3、16条)。

粗大ごみ置き場から利用できそうな家具などを勝手に持ち去る行為については無主物先占として所有権が取得できるとする解釈がある[3]が、所有者が所有権を放棄していないことを主張する場合には、物権の原始取得が否定される可能性がある。

業者以外の者が無断でごみを持ち去った場合、とくに新聞紙古紙空き缶ペットボトルなどの資源ごみ(有価物)を無断で回収してまわる行為は窃盗罪に問われる可能性がある。また産業廃棄物の不法投棄を強制除去する法理は廃棄物処理法違反による行政代執行であり、必要な経費は物件(ここでは産業廃棄物)所有者に後日請求されることとなる。このさい処理業者に物権が譲渡されている場合は処理業者が費用負担することになるが、物権所有者が処理業者に処理を委託しているだけで、物権そのものが移転していない場合は処理業者ではなく排出者がその責を負うことになる。沿岸部などに漂着した浮遊ごみについては、オイル流出事故貨物船難破など発生元が特定される場合は産業廃棄物として処理することになるが、渡洋ごみや漁具ごみなどは処置が難しく、一般には各自治体条例(環境美化条例)にもとづいて処理されることになる。

海洋ごみ

漂着ごみ

を渡ってくるごみ(海洋ごみ、渡洋ごみ)の管轄権については国連海洋法条約に規定されており、排他的経済水域における管轄権(海洋環境の保護及び保全)(第56条)、および海洋環境を保護し保全する義務(192条)があり、いずれも漂着側の海域管轄国に適正化の義務があるとされ[4]、排出・発生国側の義務については特段の合意がない状況である。

ごみを名前に持つ生物

脚注・出典

  1. ^ 広辞苑第五版
  2. ^ デジタル大辞泉
  3. ^ 「民法第2部(物権・担保物権)授業レジュメ」松岡久和(京都大学大学院法学研究科)[1]
  4. ^ 海ごみプラットフォーム・JAPAN[2]。国連海洋法条約[3]

関連項目