GSG-9

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GSG-9(独語読み:ゲー・エス・ゲー・ノイン、英語読み:ジー・エス・ジー・ナイン)とはドイツ連邦警察局に所属する特殊部隊のこと。世界の警察系特殊部隊の代表的な存在である。部隊名は連邦警察局の旧称である「連邦国境警備隊」(Bundesgrenzschutz、BGS、ブンデスグレンツシュッツ)の「第9大隊」(Grenzschutzgruppe 9 、グレンツシュッツ・グルッペ・ノイン)の略称である。また、G9とも略称される。

2005年7月1日に国境警備隊は「連邦警察局」に組織名称を変更したが、「GSG-9」の部隊名称はそのまま使用されている。

目次

歴史 [編集]

1972年ミュンヘンオリンピックで、パレスチナ解放勢力「黒い九月」による選手村襲撃及び選手殺害事件が発生(ミュンヘンオリンピック事件)。西ドイツ政府はこの事件への対処に失敗したことを教訓として、特殊部隊の創設を計画した。当初はドイツ連邦軍に部隊を創設することが検討されたが、「軍の精鋭部隊」という位置づけが第二次大戦中の「武装親衛隊」を連想させ、世論が反発する恐れがあったことから、準軍事組織である連邦国境警備隊に第9大隊として特殊部隊が設置された。

創設者はウルリッヒ・ヴェーゲナー警視(当時)であり、部隊創設の際にはイギリス陸軍の特殊部隊「SAS」から指導を受けた。

その後、1977年にパレスチナゲリラによる「ルフトハンザ航空181便ハイジャック事件」が発生。この事件において、GSG-9 はソマリアモガディシュに着陸した航空機に強行突入を行い、わずか5分で犯人を制圧、人質全員を無事救出した。この事件は人質全員を無事救出したことから「モガディシュの奇蹟」とも呼ばれている。事件での活躍により、GSG-9は世界中にその存在を知られることとなった。

GSG-9は航空機に突入する際、当時、まだ一般的ではなかった特殊閃光弾を使用しており、結果的にその実用性を証明した。また、突入の際に使用されたH&K MP5短機関銃)も、この事件以降、世界各国の軍事系、警察系特殊部隊で採用された。

アメリカ合衆国はこの事件を契機として陸軍に特殊部隊「デルタフォース」を創設した。

ドイツ民主共和国においても、GSG-9に匹敵する対テロ部隊の必要性が浮上した。1970年代後半、ドイツ人民警察に「第9中隊」(9. Volkspolizei-Kompanie)が創設され、人質事件への対処や、大規模行事の警備などに投入された。またシュタージ内にもAGM/S (大臣付き作業グループ・特務分野) が存在し、カウンターテロリズムのほか、有事の際の敵国における破壊工作も担当していた。

また、日本では、この事件を契機として、日本の警察官をGSG-9に研修派遣し、GSG-9を参考にして特殊部隊(警視庁特科中隊、大阪府警察零中隊、いずれもSATの前身部隊)を創設した。

なお、上記ハイジャック事件のように、過去には海外派遣もあったが、これは特例措置で行われたものであり、現在は国内での活動が中心となっている。ただし、海外のドイツ大使館には警護任務のため、GSG9 の隊員が常駐しており、2004年にはイラクにおいて、車で移動中のGSG9隊員2名が武装勢力に襲撃され、死亡している。

組織の概要 [編集]

G-9は終身雇用制である。年を重ねて運動能力が基準以下になると、実戦での経験をいかした訓練の考案や、後輩達の指導、育成を担当して、部隊の進化へ貢献する。

部隊では、拳銃(USPタクティカルグロック17など)、短機関銃(H&K MP5など)、自動小銃(H&K G36など)、狙撃銃(H&K PSG-1DSR-1など)などの装備を保有しており、G-9 が採用した装備は世界各国の特殊部隊が参考にするといわれている。

国家警察部隊として政治的背景のある事件やテロ事件への対処を主要な任務としており、これらの事件に該当しない凶悪犯罪などはドイツ地方警察の「特別出動コマンド」(Spezialeinsatzkommandos、通称SEK)が担当する。また、テロ事件への対処以外にも地方警察の支援や、重要施設(首相官邸など)の警備を担当している。

入隊条件(志願制) [編集]

  • 連邦警察局員で在籍年数が2年半以上、勤務成績が優秀である者
  • 国籍:ドイツ連邦共和国又はEU加盟国の市民権
  • 入隊年齢制限:18-24歳
  • 最低身長:男性165cm、女性163cm
  • 約6ヶ月間行われる選抜テスト(訓練)を落伍せず通過した者。

最終訓練カリキュラム [編集]

突入訓練
航空機、船舶、列車、大使館などの実物大の模型を使用し、実践シナリオに沿った演習を行なう
CQB(近接戦闘)術
基本的な格闘術、テロリストの武器を奪って反撃する訓練、テロリストがよく使用する外国製銃器の特徴や使い方の学習
射撃訓練
片手射撃、作動不良排除、迅速なマガジン交換、遮蔽物を利用した射撃、視界不良時の射撃、人質のいる状況下での精密射撃、移動中からの乗り物からの射撃、ロープ降下中の射撃など
特殊技能習得
HALO(高高度降下低高度開傘)、HAHO(高高度降下高高度開傘)、ヘリ降下、EOD(爆発物解体処理)、通信技術、応急処置、潜水、車両高速運転技術、警察科学、法律など

構成 [編集]

三個中隊からなる。

第一中隊(1./GSG 9)
隊員数約100名。
対都市テロ(拠点制圧・人質救出)に優れている。
第二中隊(2./GSG 9)
隊員数約100名。
対海上テロに優れている。
第三中隊(3./GSG 9)
隊員数約50名。
空挺作戦、火器や爆発物の取り扱い、交渉、医療などに優れている。

GSG-9を扱った作品 [編集]

  • GSG-9 対テロ特殊部隊』 - 2007年3月から2008年5月までドイツの衛星ペイテレビ局Sat.1で放送されていた、同部隊を主軸にしたドラマ。

関連項目 [編集]