X端末

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X端末「NCD-88k」の写真
X端末の仕組みの図。X端末は描画部分と入力部分のみを実行する。この例では、Xディスプレイマネージャとクライアントプログラム(xterm と xedit)は共にサーバ側で動作している。

X端末(エックスたんまつ、X Terminal)はコンピュータの一つ。

X Window SystemのXプロトコルを用いた通信により、他のコンピュータ上(ホスト)で実行されたXクライアントアプリケーションの実行結果を表示させる端末である(もちろん入力も出来る)。描画部分(と入力部分)のみを実行するため、処理に負荷がかかる描画処理部分をハードウェア的に分離し、ホストをアプリケーションの処理に特化することで、ホストの負荷を軽減できる。

X端末上で実行するXサーバは、X端末上でファームウェアとして用意されている場合も、また、ホスト側から何らかの方法でダウンロードする方法もある。

X端末は、ホストと比べてハードディスクを持たず、かつ、メモリもXサーバが動作するだけの容量さえあればよいので、XディスプレイマネージャやXクライアントが動作するホスト(通常はUNIXマシン)よりも大幅にコストが下げられる、という利点があった(但し、Xクライアントはローカルで動作する場合もあった[1])。また、それ自身は、管理のための情報をほとんど持たない(ネットワークに接続するためのIPアドレス程度)ため、複数台設置しても管理が容易になる、という利点があった。ソニー・テクトロニクスから発表された低価格X端末「XP200シリーズ」は、CPU LSI33020(33MHz)、メモリ標準4Mバイト/最大36Mバイト、10Base2/T×2、画面表示1023x768/1152x900、ブートROMにフラッシュメモリを採用、リモート・コンフィグレーション機能によってネットワーク上のX端末を一元管理可能であり、価格188,000円~となっていた[2]。しかし、2000年代以降、UNIXマシンの大幅なコストダウンやPCの普及により、専用のX端末というハードウェアをわざわざ用意する必然性が減少したことによりハードウェアとしてのX端末はほぼ終息を迎えた。

出典[編集]

  1. ^ X Window System とは”. www.astec-x.com. 2020年11月15日閲覧。
  2. ^ インターフェース 1995年1月号, p. 230.

参考文献[編集]

  • 『インターフェース』1995年1月号、CQ出版社、1995年1月。