Wine

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Wine
Wine logo
Ubuntu 8.04 上の Winecfg バージョン 1.1.3
開発元 Wine チーム
最新版 1.0.1 / 2008年10月17日
最新評価版 1.1.23 / 2009年5月5日
対応OS UnixUnix系 OS
種別 互換レイヤー
ライセンス GNU Lesser General Public License
公式サイト http://winehq.org/
  

Wine(ワイン)は、オープンソースWindows API実装の一つで、主としてx86アーキテクチャ上のLinuxMicrosoft Windowsアプリケーションをネイティブ動作させることを目標とするプログラム群である。

目次

[編集] 概要

Wine 上の Media Player Classic バージョン 6.4.8.3

名称は"Wine" Is Not an Emulator(和訳:『Wineはエミュレータではない』)の略で、再帰的頭字語である[1]。以前の名称は WINE だったが、現在は Wine となっている[2]

仮想マシンを構築するXenVMwareとは異なり、Wineは互換レイヤーとして動作する。つまり、Windowsプログラムが要求するDLLの代替品を供給し、またWindows NTカーネルのプロセスを再現することによって、Windowsプログラムをネイティブ動作させる。したがってWineでWindowsバイナリを動作させる上でWindows OSは不要[3]だが、Wineのエミュレーションライブラリが不完全な場合にはWindowsのDLLを利用することで解決できる場合がある。

x86上のLinux環境を中心に開発されているが、SolarisFreeBSDMac OS X向けにも移植されている[4]GUIベースのWindowsプログラムはX Window System上で動作する。非x86環境では、QEMUなどをCPUエミュレータとしてWindowsバイナリを実行できる[5]

ライセンスはLGPLを採用し[6]フリーソフトウェアである。

[編集] 歴史

サン・マイクロシステムズPWI (Public Windows Initiative) やWabi[7](Windows APIのパブリックドメインソフトウェアによる完全代替を目指したもの)の影響を受け、ボブ・アムスタッドとエリック・ヤングデイルによりWindowsアプリケーションをLinux上で動作させることを目的としてWineプロジェクトは1993年にネットニュース上で創始された[8]。当初はWindows 3.1用(16ビット)アプリケーションに主眼を置いたが、現在は32ビット中心に開発されている。1994年以降はアレクサンダー・ジュリアードがプロジェクトリーダーを務めている[9]

プロジェクトは困難を極め、なかなか互換性が高まらなかった。特に1990年代は、日本語環境においてアプリケーションが思うように動かせない状況が続き、Wineのインストールや動作にもそれなりのスキルが必要とされていた。

Wineプロジェクトに着目したコーレルなどの支援によって一時的に状況は好転したが、マイクロソフトのコーレルへの大規模投資が原因となって、この支援は中止された[10]

現在はCodeWeaversがジュリアードらを雇っている[9]。また、GoogleはLinux版PicasaでWineを利用し、Wineの開発を支援している[11]

最初のベータ版となったバージョン0.9は2005年10月25日にリリースされ、最初のリリース候補版 (1.0-rc1) は2008年5月9日にリリースされた。2008年6月17日には Wine 1.0 がリリースされた[12]

[編集] 対応アプリケーション

Wine における Windows アプリケーションの動作状態は Wine アプリケーションデータベース (AppDB) で調べることができる。Wine AppDB では Wine ユーザからの動作報告がデータベース化されており、アプリケーションが動作状況の良い順に「Platinum」、「Gold」、「Silver」、「Bronze」、「Garbage」で格付けされている[13]。一般に Wine のバージョン毎に格付けが変わる。

Wine 1.0 で

がリリース基準に使われた[14]こともあり、Wine 1.0 ではこれらのアプリケーションが問題なく動作すると報告されている[15][16][17][18]

[編集] 付属プログラム

Wine には wine コマンドを中心として様々なプログラムやツールが含まれている[19]

  • wine - 一般に Wine がインストールされた環境で Windows プログラムを起動するには EXE ファイルをダブルクリックすればよい。しかし、場合によってはデバッグなどの目的でコマンドラインからプログラムを起動させたいことがある。wine はこのようなときに用いるコマンドで、引数に Windows プログラムを指定する。
  • Wine設定 (winecfg) - Wine 全体の設定を GUI で行うためのプログラムである。
  • Wine File (winefile) - MDI 型のファイルマネージャであり、Windows Explorer に対応する。コマンドラインから wine explorer と入力することでも起動する。
  • Wine Application Uninstaller (uninstaller) - GUI でプログラムをアンインストールするためのツールであり、Windows の「プログラムの変更と削除」に対応する。
  • regedit - GUI でレジストリを編集するためのプログラムであり、同名の Windows 付属プログラムに対応する。

コマンドプロンプト (cmd)、メモ帳 (notepad)、タスクマネージャ (taskmgr)、マインスイーパ (winemine) やワードパッド (wordpad) なども含まれている。コマンドラインから起動する場合、cmdtaskmgrwordpad など一部のプログラムについては、wine コマンドの引数としてプログラム名を指定して起動する。例えば、ワードパッドを起動するには

wine wordpad

と入力する。

[編集] ディレクトリ

Wine やアプリケーションの EXE ファイルやレジストリなどはホームディレクトリ内の .wine ディレクトリ下に保存される。保存先は環境変数 WINEPREFIX を設定することで変更できる[20]。かつて Wine の設定ファイルとして config というファイルがあったが、2005年に廃止され[21]現在は拡張子が reg のファイルに設定が保存されるようになっている。

アプリケーションのデスクトップエントリファイルやアイコンなどはホームディレクトリ下の

  • .config/menus/applications-merged
  • .local/share/applications/wine
  • .local/share/desktop-directories
  • .local/share/icons

にインストールされる[22]。これらのディレクトリにインストールされるファイルは GNOMEKDE などでメニューに使われる。

[編集] Wineに似た他のプロジェクト

  • CodeWeavers - アメリカの会社で、Windows向けのブラウザ用プラグインソフトをLinux上で動作させるCodeWeavers Pluginなどを開発・販売している。Wineベース。また、Windows アプリケーションを動作させるCrossOver Linuxという製品や、Mac OS X上でWin32 アプリケーションを動作させるCrossOver Macを出荷している。
  • cedega - TransGaming Technologies社のWineの改良版プロジェクト。 DirectXに対応しているのが特徴。主にWindows用ゲームをLinux上で動かすことを主目的にしている。
  • ReactOS - Windows NTとバイナリレベル・ドライバレベルでの互換性を確保することを目標とした、オープンソースプロジェクト。Wineとも協力して開発を進めている。

[編集] Wine 用のツール

  • Wine-Doors - GNOME デスクトップ用のアプリケーション管理ツールであり、Wine に機能を追加する。Wine-Doors は WineTools の代りとなるもので、WineTools の機能を改善し、より現代的な設計アプローチのもとで WineTools のアイディアを発展させることを狙いとしている。
  • WineBot - apt/dpkg/rpm のようなネイティブな Linux パッケージマネージャと同様の方法で動作するようなアプリケーション管理ツールである。このプロジェクトの狙いは特定のアプリケーションをインストールするのに必要なハックを追跡するためのプラットフォームと、Wine プロジェクトの自動退行テストフレームワークを提供することに加え、Wine-Doors とのデータ互換性をもたせることにある。
  • WineTricks - Wine を正しく動作させるのに必要で基本的なコンポーネントをインストールするためのやっつけで汚いスタイルのスクリプトである。これを使えば QuickTimeWindows Media Player.NET FrameworkDirectXランタイムライブラリなどが簡単にインストールできる。
  • IEs4Linux - バージョン4から6までの Internet Explorer (IE) をインストールするためのユーティリティであり、まもなく IE7 もサポートされる予定である。現在 IE7 のエンジンはユーザが選択したときにのみインストールされる(ベータ段階)。ただし IE のライセンスの関係上、一部のバージョンの IE に関して Wine 上で使用することはライセンス違反となる可能性が高い[注釈 1]。また、それ以外のバージョンでも Windows のライセンスが必須[注釈 2]である。
  • WineLocale - Windows プログラムの中には日本語、中国語や韓国語などで使われることのある非 Unicode文字コードのサポートを必要とするものがある。 WineLocale はこのようなプログラムを Wine で動作させるための拡張ユーティリティである。Ubuntu のフォーラムにこのツールを使うためのドキュメントがいくつかある[23]
  • PlayOnLinux - Wine を使って Windows のゲームのインストールを簡単にするためのアプリケーション。特別な設定が必要なゲームに対して適用するスクリプトのオンラインデータベースを使っている。ゲームがデータベースに無ければ、手動インストールもできる。ゲーム以外のプログラムもインストールでき、あるプログラムが他のプログラムに干渉することを避け隔離するため個々のプログラムは異なるコンテナ (環境変数の WINEPREFIX) に置かれる。これは CrossOver Office の bottles が動作する方法と同じである。

[編集] 脚注

[編集] 注釈

  1. ^ 例えば IE6 Service Pack 1 の EULA には「本 OS コンポーネントは、該当する OS 製品の既存の機能をアップデート、またはこれに追加もしくは代替するためにのみ提供されています。」という一文があり、Windows のアップグレードとしてのみ使用できる。
  2. ^ 例えば IE7 の EULA には「お客様は、マイクロソフト Windows XP SP2 and Windows Server 2003 SP1 ソフトウェアの有効なライセンス取得済みの複製 (以下「本ソフトウェア」といいます) ごとに、本追加物の複製 1 部を使用できます。」という一文があり、Windows のライセンスと同等とみなしている。

[編集] 出典

[編集] 外部リンク