Wikipedia:外来語表記法/フランス語

フランス語をカタカナで表記する場合の参考となる情報を示します。

基本[編集]

  • 母音は原則として、前の語とリエゾンを起こす。ただし、主語(句)/動詞(句)/目的語(句)といった文法単位の境目では、通常はリエゾンが起こらない。この境目をリズム音節と呼ぶ。 
  • hは常に発音されない。ただし、前の語とリエゾンが生じる無音のh(h aspiré)と、生じない有音のh(h muet)がある。
  • 語末の子音字は多くの場合発音されない。ただしc, f, lは発音されることが多い。
    • 複数形語尾の-s,-xは発音されない。
    • 第一規則動詞不定形-erのrは発音されない。
    • 動詞の三人称複数形では、最後の-entは発音されず、その直前の子音は発音される。
  • 母音字が2つ以上重なるときは通常は1音となるが、トレマを伴う母音字は分離して読む。
  • eを除き、アクセント記号の有無は原則として発音に影響しない。
  • フランス語では最後の音節syllabeにアクセントが置かれ、最後の音節のみ長音化する可能性がある(すべての最後の音節が長音化するわけではない)。特に有声摩擦音 /v, z, r, vr/ の前で長音化しやすい。また、/u/ は語末音節でなくとも長音表記される傾向にあるが、このような表記はフランス語のアクセント、長音化についての誤解を与えるもととなる可能性がある。
  • フランス語には二重子音はない。したがって、-mm-、-nn-などは常にひとつのm、nとして発音される。ただし一部の語では、鼻母音+子音で発音される。
    emmêler /ɑ̃mele/, ennui /ɑ̃nɥi/
  • 人名・地名の中でよく使われる前置詞の "de" は、日本での慣用表記に従い「ド」で表記する(例:シャルル・ド・ゴール)。

母音[編集]

a, à, â
ai, aî, ay エ(ただしpays〔ペイ〕のような例外あり)
ail, aill アイユ
am, an, ean アン
au
e 開音節(母音で終わる音節)ではウ、閉音節ではエ
é, è, ei
eil, eill エィユ
ain アンまたはエン
eau
em, en アン
eu
i, î
ieu イュ
il, ill イユ、イル
im, in アンまたはエン
ion イオンまたはヨン
o, ô
œu
oê, oi, oie ワ、オワ
oin ワン、オワンまたはオエン
om, on オン
ou, où
oua
oue ウェ
oui ウイ、ウィ
u ユ、ュ
ui ュイ
um, un アン
y イ(iと等価、母音間ではi-iと等価)
ym, yn アンまたはエン

子音[編集]

b バ行
bu ビュ
ca カ、キャ
cé, cè, cê
ce 綴字上開音節ではス、閉音節ではセ
ci, cy シ、スィ
co
cu キュ
ch シャ行(-oのみ一部「コ」と発音)
ça
ço
çu スュ
d ダ行
di ディ、ジ
du デュ
f ファ行
ga ガ、ギャ
gé, gè, gê ジェ
ge ジュ、ジェ
gi
go
gu ギュ
gue グ、ゲ
gui
gn ニャ行
h 無音
j ジャ行
k カ行
ka カ、キャ
l ラ行、ヤ行
m マ行
n ナ行
p パ行
ph ファ行
que, qui ク、ケ、キ
qu + a, o カ、コ、時にクァ、クォ
r ラ行
s 母音間ではザ行、その他はサ行
si, sy 母音の後ではジ、ズィ、その他はシ、スィ
ss サ行
ssi, ssy シ、スィ
stion スチョン、スティオン
t, th タ行
ti, ty, thi, thy ティ、チ
tion ション、スィオン
tu テュ、チュ
v ヴァ行
x クサ行、グザ

発音の変化[編集]

単語が連続したり、変化したりすると、発音が変化する場合があります。

名詞・形容詞の語尾にeをつけて女性形を作る場合、発音が変化することがあります。

例外[編集]

  • monsieur - ムッシュー、ムッスィユー
  • 数詞 six, sept, dix (後ろに名詞が続かない場合-x,-tは発音するが、続く場合は発音しない)
  • oignon - オニョン
  • un oeuf, des oeufs - (単数形の場合-fを読むが、複数形の場合は読まない)

参考[編集]

同じ名称でありながら、日本で最も流通している表記が異なる例を示す。

  • Poulenc - プーランク(例 フランシス・プーランク/Francis Poulenc 作曲家)、プーラン(例 ローヌ・プーラン/Rhone-Poulenc フランスの製薬会社)