Wake-on-LAN
Wake-on-LAN(ウェイク・オン・ラン、略称WoLあるいはWOL)は、コンピュータネットワーク(主にLAN)に繋がっているコンピュータの電源操作(投入、シャットダウンなど)を遠隔で操作するAMDが開発した技術あるいはその行為を指す。
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概要 [編集]
たとえば、会社の営業所で数十台から数百台までのコンピュータが置かれている場合、従来の方法だとシステム管理者などが一台ずつ電源を投入及びシャットダウンしなければならず、台数や社屋が大きければ大きいほど非効率な作業となる。Wake On LANは起動の命令を出すコンピュータからマジックパケットと呼ばれるパケットを起動させるコンピュータに送信させることで一度に複数台のコンピュータの電源を投入・シャットダウンを行うことができる。また、複数台に限らず、コンピュータ一台でも同様に利用することができる。
ただし、Wake On LANを使うにはマザーボード、ネットワークカード、BIOS、オペレーティングシステムなどがWake On LANに対応している必要があるため、設置には大きな問題が生じる場合がある。
マジックパケット [編集]
マジックパケットは、FF:FF:FF:FF:FF:FFに続けて起動したい装置のMACアドレスを16回繰り返したデータパターン(AMD Magic Packet Format) がペイロードのどこかに含まれているようなパケットである。例えば、起動したい装置のMACアドレスが EE:EE:EE:00:00:01 の場合、
FF:FF:FF:FF:FF:FF EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01 EE:EE:EE:00:00:01
このような102バイトの信号が含まれるパケットが送られ、ターゲット機器にそのパケットが届くと、102バイトの信号を認識して電源ステート(例えば ACPI S ステート)が切り替えられ、装置の電源が入る。
最初の6バイトのFFはブロードキャストを表すあて先 MAC アドレスではない。Ethernet フレームの先頭からこのパターンを開始すると EtherType フィールドが本来の意味ではなくなってしまう。通常はポート 7 または 9 の UDP パケット、あるいは EtherType=0x0842 の Ethernet フレームのペイロードに埋め込まれる。
ターゲット機器はネットワークアダプタに通電こそされているものの、マジックパケットを待ち受けることしかしない状態であり、通常の IP や ARP に反応することはない。そのため、IPアドレスや MACアドレスでの到達性が保障されないため、マジックパケットは Ethernet ブロードキャストフレームとして送信されなければならない。
問題点 [編集]
Wake On LANの設置には様々な問題点が存在しており、主要なものとしては以下の点が挙げられる。
ネットワーク構成 [編集]
マジックパケットは通常ブロードキャストとして送信されるため、送信する機器と受信する機器は同じブロードキャストドメインに所属しなければならないため、ルータを超えることはできない。Subnet directed broadcastという方法もあるが、ルータは通常これを許さない設定になっていることが多い。
電源を操作される側のPCは、PCの電源状態に関わらずマジックパケットを受信できる状態でなければならない。例として、ワイヤレスLANは接続の際にOS上での設定が必要なものが大半である為、PCの電源を切ったときにマジックパケットを受信できず、WOLによる電源操作が不可能なものが多い。この場合、ワイヤレスイーサネットコンバータ(ブリッジ)等を利用し、PCの電源状態に関わらずマジックパケットを受信させる必要がある。近年ではWake on Wireless LAN(WoWLAN)という仕組みも登場し、対応機器ではワイヤレスLANによる電源操作が可能な場合がある。
コンピュータ側の問題 [編集]
コンピュータ本体がシャットダウンしていてもネットワークカードに対して電源を供給し続ける必要がある(BIOSの設定でサスペンドの電源管理をS1からS1&S3に変更するなど)。また、ネットワークカードがマジックパケットを認識した際の動作を、BIOSで設定しなければならない場合がある。これらの設定が不可能な場合、WOLによる電源操作は利用できない。ただしマジックパケットを送信する側になる上では問題は無い。
Wake On LANの利用 [編集]
マジックパケットを送信し、目標のPCを起動させることでそのPCに保存したファイルをネットワーク越しに取り出したり、VNCやWindowsのリモートデスクトップなどを利用してGUIそのものを遠隔操作することが出来る。
システム管理者にとってはメンテナンスなど、時間やコストの削減となるため重宝される。 複数のPCを同時に使う必要のある研究室などで、一人で複数台のPCを操作する場合、CPU切替器で三台の本体に対して一組のモニタ、キーボード、マウスで操作する方法が採られることがあるが、環境によってはWOLで電源を操作し、VNCで様々な操作をすることで作業効率をあげる手段になりうる。
ブロードキャストドメイン単位に管理コンピュータを設置し、そこから起動対象となるコンピュータを一斉起動し、装置のメンテナンスを自動的に実行するソリューションがある。その一例として、Microsoft Systems Management Serverがある。管理コンピューターにエージェントをインストールしておき、Systems Management Serverからメンテナンススクリプトを起動すると、エージェントは管理対象のコンピュータを順次起動し、Windows Updateやシステム設定の変更等を実施し、最後にシャットダウンを行う。System Management Serverは管理対象に企業や学校といった大規模設備を想定しているシステムであるが、同様のことはUNIXでシェルスクリプトとリモートシェル(SSH等)、wolコマンドを組み合わせることで実現することができる。AppleのMac OS X Serverには前述のUNIXにおけるメンテナンスを行う機能が搭載されている。