Vz 58

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Vz 58
Sa 58-JH01.jpg
Vz 58 P(固定式銃床仕様)
Vz 58
種類 軍用小銃
製造国 チェコスロバキアの旗 チェコスロバキア
設計・製造 チェスカー・ズブロヨフカ国営会社
仕様
種別 アサルトライフル
口径 7.62mm
銃身長 390mm
ライフリング 4条右転
使用弾薬 7.62x39弾
装弾数 30発(バナナ型弾倉,AK-47との互換性なし)
作動方式 ガス圧作動方式
ティルティング・ボルト閉鎖
全長 845mm
636mm(銃床折り畳み時)
重量 2910g(弾薬なし)
3590g(弾薬装填)
発射速度 800発/分
銃口初速 705m/秒
有効射程 300m
歴史
設計年 1956年–1958年
製造期間 1959年–
配備先 チェコスロバキア軍
チェコ軍スロバキア軍
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Vz 58又はSa vz.58Samopal vzor 58・1958年型短機関銃)は、チェコスロバキアのチェスカー・ズブロヨフカ国営会社(チェコ兵器廠国営会社、チェコ語 : Česká zbrojovka, n.p.:ČZ、1992年民営化)で開発されたアサルトライフルである。

外見の類似点(テーパーのかかった薬莢使用による大きく湾曲したマガジン(弾倉)、上下二分割されたハンドガード、レシーバーデッキにストックの根元が接しないなど)から、AK-47シリーズの一種と誤解されがちだが、実際には7.62mm×39を使用する以外に共通点はなく、ほとんど独自設計である。

日本赤軍によるテルアビブ空港乱射事件で用いられた自動小銃としても知られている。

概要[編集]

vz. 58の分解図

チェコスロバキアは自動小銃の開発先進国で、1920年代末にZH-29を完成、1930年代末からZK38、ZK381等を試作したが1938年からナチスドイツによる併合を受けた為に量産化には至らなかった。1942年から試作されていたZK420は戦後7.92~6.5mmと様々な口径の制式弾仕様が作られ、1946年にはイギリス、デンマーク、エチオピア、エジプト、スウェーデン、イスラエル、スイス等で次期主力小銃候補としてテストされた。しかし、1948年の共産党無血クーデターにより、チェコスロバキア共和国に人民民主主義体制を掲げる共産党一党独裁政権が成立し東側入りした為、どの国もこのライフルを採用しなかった。

1952年には、ZK420とは異なるコンセプトのVz 52を開発、チェコスロバキア軍が制式採用した。Vz 52は独自の7.62mm×45弱装弾を使用(この弾薬を使用するVz 52軽機関銃もある)するセミオートマチックカービンで、性能はソ連のSKSカービンに近い物であった。チェコスロバキアは比較的自由に兵器を設計していたが、この頃になるとワルシャワ条約機構加盟国の兵器、弾薬の統一を進めるソ連の圧力が高まり、1957年にはVz 52が7.62mm×39仕様に改修されVz 52/57が開発される。そして他の加盟国と同様、AK-47への移行を迫られた。

その最中の1950年代中頃、チェコスロバキアはアサルトライフル開発を進めていた。長年培ってきた優れた小火器生産技術を持つチェコスロバキアの兵器設計者達は、ソ連の圧力に断固として抵抗したのである。そして1958年、外見こそAK-47によく似ているが、より軽量で命中精度も高いアサルトライフルを独自設計で完成させる。その出来映えにソ連もAK-47を押し付けることをあきらめ、これがチェコスロバキア軍によりVz 58として制式採用されたのである。

その後、NATO加盟などに合わせてチェスカー・ズブロヨフカ社が改良型のCZ2000を開発したが両軍は採用しなかった。東欧自由化後、チェコスロバキアはチェコスロバキアに分離したあともVz.58は両軍で使われている。しかし採用から50年あまりたっているため老朽化が進み2007年からライフルにアフターマーケットで出回っているカスタムパーツを装備することで現代の歩兵システムに対応しているが、NATOで共通の5.56mm NATO弾を使用する次世代小銃への交換が両軍とも進んでいないのが現状である。

特徴[編集]

Vz 58とAKの相違点として、同じガスピストン方式を用いながらも独創的なメカニズムを搭載している点が挙げられる。AKがボルトキャリアーと一体化したガスピストンを備えたロータリーボルトロッキング機構を採用しているのに対し、Vz 58は独立型のガスピストンとワルサーP38に似た回転式の独立型ロッキングブロック機構を採用している。 回転式ハンマーを用いるAKに対し、Vz 58はボルトキャリアーに組み込まれたストライカータイプのハンマーを用いており、銃身内弾道を安定させやすくAKより命中精度が優れている。これはバレルの軸心を移動してインパクトを与える為、回転式ハンマーに比べバレルの上下振動を起こしにくい事によるものである。

また、Vz 58は直銃床でありながらボルトキャリアーがレシーバーデッキに覆われず露出している。これにより曲銃床のSKSカービンと同様にボルトをコックさせた状態で、クリップで束ねた銃弾を直接上から装填することができる。(サイト中盤にクリップで装填する画像あり

金属部分の仕上げは大きく分けて3種類が確認されており、それぞれ黒塗りされた物、グレーで塗装された物、グレーで焼付け塗装された物である。チェコスロバキア軍(現在のチェコ共和国軍及びスロバキア共和国軍)では、グレーで焼付け塗装した物が採用されている。ハンドガード、グリップ、ストックは、初期型では樫材使用の木製だったが、後期型ではエボナイト系樹脂にチップを混ぜたものになっている。マガジンはAKと互換性の無い専用の物を使用する。

バリエーション[編集]

  • Vz 58 P (固定式ショルダーストック仕様)
  • Vz 58 V (サイドスイングフォールディングストック仕様)
  • VZ-58 タクティカル (Vz 58 Vにアフターマーケット製の部品を組み込んだもの)
  • CZ 2003H(木製部品をプラッスチックにしたもの)
  • CZ 858 タクティカル (VZ-58 タクティカル民間用)
  • D-TECHNIK Vz 58E (D-TECHNIK a.s.社製のプラッスチックパーツを装備したVz58。5.56mm NATO弾仕様もある。)
  • VZ 58 TACTICAL SPORTER(ストック、ピストルグリップ一体型、セミオートの民間用もの)
  • Vz 58 PN (Vz 58にアクティブ方式の赤外線スコープを装備したもの)
  • AP 67 (7.62mm NATO弾仕様)
  • ÚP 70 (5.56mm NATO弾仕様)
  • EZ-B (ブルパップ方式)
  • VZ 58/98 9mm ブルドッグ (9mmパラベラム弾を使用するSMG)
  • VZ 58 Pi (二脚を装備したマークスマン・ライフル仕様)
  • VZ 58/97 スナイパー・ライフル (Vz 58をベースに開発された狙撃銃)
  • Klec LMG (銃身を延長し二脚を装備した分隊支援火器仕様)

海外製

  • Rung Paisarm RPS-001 (タイ製の5.56mm NATO弾仕様のVz 58 P)
  • RPS-001S (カービンモデル)

採用国[編集]

KFORで治安任務中のチェコ軍の部隊
KFORで治安任務中のチェコ軍の部隊
Vz 58 V構えるスロバキア軍兵士
Vz 58 V構えるスロバキア軍兵士

Vz 58が登場した作品[編集]

映画[編集]

映画後半のフエ攻防戦で、南ベトナム解放民族戦線の狙撃手が使用。
アラブのテロリストの一部が使用。
メイキングの射撃訓練において使用された際にチェコ製のAKと言っているが、見た目からしてVz58である。
セルビア人武装勢力が使用。

小説[編集]

「チェコ製アソールト・ライフル」の名で登場し、テロリストたちが使用。

ゲーム[編集]

チェコのソフトハウスが開発しているため、チェコ製兵器が頻出する

Operation Flashpoint: Cold War Crisisの実質的続編。Sa-58は独立拡張パック"Operation Arrowhead"に登場。

キャンペーンモードにて登場。キューバ軍兵士が保持。

「Vz58」としてVz58 Vが登場。現在は補給ポイントでしか入手できないため、見かけることは非常に希。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]