VAMPS (アルバム)
『VAMPS』 | ||||
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VAMPS の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 2008年 - 2009年 | |||
ジャンル | ロック | |||
時間 | ||||
レーベル |
VAMPROSE (日本盤) GANSHIN (欧州盤)[1] | |||
プロデュース | VAMPS | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
Allmusic link | ||||
チャート最高順位 | ||||
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VAMPS アルバム 年表 | ||||
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『VAMPS』収録のシングル | ||||
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『VAMPS』(ヴァンプス)は、日本のロックユニット、VAMPSの1作目のアルバム。2009年6月10日発売。発売元はVAMPROSE。
解説[編集]
HYDE(L'Arc〜en〜Ciel)と、HYDEのソロ作品に共同プロデューサーとして参加していたK.A.Z(Oblivion Dust)が、2008年に結成したVAMPSの初となるアルバム。
VAMPS結成の経緯について、HYDEは「いろいろなタイミング、要素が重なっているんですけど、実は前回のアルバム(HYDEの3rdソロアルバム『FAITH』)から、今やっているようなスタイルは出来上がっていたんですよ。ただ、今後もこれまでと同じように"HYDE"っていう名前でやるのは無理があった[2]」と語っている。楽曲制作は、HYDE名義で2006年に発表したアルバム『FAITH』と同様に、各々が作曲し、HYDEが歌詞を書き、音のジャッジメントを基本的にK.A.Zが担当するかたちで行われている[3]。HYDEは「K.A.Zのほうが俺より耳がいいから、ジャッジは彼がやって俺は歌詞を書いた方が要領がいいかなって思った[3]」と述べている。
アルバムの方向性について、HYDEは「自分が理想とするロックバンドの1stアルバムにしたかった[4]」「(アルバムを制作するうえで)全部ノリノリの曲がいいな、ノレない曲は1〜2曲でいいなってくらいのことは決めてました。ライヴで中間の曲をやる時に中途半端な感じが生まれたので、それはないほうがいいな。そういうアルバムにしたいなぁと思ってました。ほんとライヴのことしか考えてない[5]」と述べており、激しいライヴを意識した楽曲制作を志向している。その一方で、メロディはポップな楽曲が揃えられており、HYDEは「俺、ポップじゃないとOKじゃないので、基本的にはポップなものって決めてる[5]」「もちろん、ロックでカッコいい人はたくさんいると思うけど。でも、俺らはプラスアルファ、エンターテイメントでいるってことが大事かなと[5]」と述べている。唇が描かれたジャケットについて、HYDEは「ジャケットも、一昔前のロックバンドのような感じになっています[4]」と述べており、アートワークにもこだわったという。HYDE曰く「デザイナーと相談しながら、好みの唇にするのに苦労しました[4]」という。
本作のレコーディングについて、HYDEは「自分が今回やってて特に思ったのは、音で遊ぶっていうかね。今まではそこまで考えてなかったし、忘れかけてた部分もあって。音でもっと遊べるんだなぁっていうのは凄く実感した。音は傷つけるものじゃくて、遊ぶものでしょ?自分の声でも発見がいっぱいあったし[6]」と述べている。自身のヴォーカルワークについても、「特にアメリカの音楽を聴いてると、ヴォーカリストが凄く自由な感じを受けるんですよ。1Aと2Aで違うの当たり前だし、フェイクもいれまくるし、すごい自由。そういうの聴いてると”あ、歌ってそういうものなのかなぁ”って思う。歌って、本当に表現がたくさんできるものなんですよ。(中略)まだ向こうに追いついたとは思い切れないけど、でもかなりのレヴェルで声をオモチャにできたなという感覚はあります[6]」「僕は土台となる部分は日本人的にきっちり作るけど、歌の部分は伸びやかであってほしいというか、クレイジーであって欲しい。いざ歌を歌う時点でかしこまったら負けだなって思いながら歌ってます[6]」と制作後のインタビューで振り返っている。
収録曲には、シングルとしてリリースされた「LOVE ADDICT」「I GOTTA KICK START NOW」「EVANESCENT」を含め全13曲が収録されている。また、アルバムで初音源化となった「SWEET DREAMS」は、アルバム発売から約3ヶ月後にシングルカットされている。ちなみに、収録曲の英詞部分には、HYDE名義で発表した『FAITH』から引き続き、ブックレットに対訳が記載されている。
7曲目に収録された「REDRUM」という曲名は、「殺人」を意味する「MURDER」を逆から綴ったリバース・スペリングである。このタイトルは映画『シャイニング』の劇中において、子どもが扉に赤い字で落書きしていた単語であり、同映画にインスパイアされ曲名として拝借している。歌詞の中に<REDRUM MA I>という映画を意識した逆さ書きのフレーズが存在しており、この部分でリバース音のエフェクトがかかる演出が為されている。この曲はK.A.Zが制作したデモ音源にHYDEがメロを乗せており、曲についてHYDEは「俺にも作れないし、K.A.Zにも作れない、ふたりじゃないと生まれなかった曲[3]」と述べている。
13曲目に収録された「SEX BLOOD ROCK N' ROLL」は、HYDE曰く「ライヴで死ぬほど盛り上げる曲を作ろうと思って作った[3]」といい、本作発表以降に開催したVAMPSのライヴでは定番曲となっている。2013年に発表したベストアルバム『SEX BLOOD ROCK N' ROLL』ではこの曲と同じタイトルをアルバムに付けており、ライヴを中心に考えるVAMPSにとって意味の大きな曲となっている。ちなみに、タイトルの「SEX」は「ライヴ」を、「BLOOD」は「酒」を意図して付けられている[3]。
アルバム発売に先駆け、プロモーション施策として、2009年5月10日にApple Store GINZAにて試聴会が行われている[4]。
2009年5月13日には、「ツアーが始まっていることだし、1日でも早くみんなに聴いてほしい[4]」という本人達の思いから、フィジカル発売に先駆けアルバム収録曲全ての先行配信をiTunes Storeにて開始した。当時としては、フィジカル発売前のアルバム全曲配信は異例のことであった。先行配信から約4週間後の同年6月10日に、初回生産限定盤(CD+DVD)と通常盤(CD)の2形態でフィジカルが発売された。初回盤には、本作に収録されたシングル表題曲3曲に、「I GOTTA KICK START NOW」のカップリング曲「TROUBLE」を加えた計4曲のミュージック・ビデオを収録したDVDを付属している。また、同年9月11日にはGANSHINより欧州盤が販売されている。
収録曲[編集]
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「BITE」 | HYDE | VAMPS | ||
2. | 「LOVE ADDICT」 | HYDE | HYDE | VAMPS | |
3. | 「COSMOS」 | HYDE | K.A.Z | VAMPS | |
4. | 「SECRET IN MY HEART」 | HYDE | K.A.Z | VAMPS | |
5. | 「EVANESCENT」 | HYDE | HYDE | VAMPS | |
6. | 「VAMPIRE DEPRESSION」 | HYDE | K.A.Z | VAMPS | |
7. | 「REDRUM」 | HYDE | K.A.Z | VAMPS | |
8. | 「DEEP RED」 | HYDE | K.A.Z | VAMPS | |
9. | 「I GOTTA KICK START NOW」 | HYDE | HYDE | VAMPS | |
10. | 「TIME GOES BY」 | HYDE | K.A.Z, HYDE | VAMPS | |
11. | 「SWEET DREAMS」 | HYDE | K.A.Z | VAMPS | |
12. | 「HUNTING」 | HYDE | K.A.Z | VAMPS | |
13. | 「SEX BLOOD ROCK N' ROLL」 | HYDE | HYDE | VAMPS |
初回生産限定盤付属DVD[編集]
- LOVE ADDICT
- ディレクター:柿本ケンサク
- I GOTTA KICK START NOW
- ディレクター:A.T.
- EVANESCENT
- ディレクター:真壁成尚、東市篤憲
- TROUBLE
- ディレクター:川村ケンスケ
参加ミュージシャン[編集]
- HYDE:ボーカル
- K.A.Z:ギター、プログラミング
- Ju-ken:ベース (#2,#9,#10,#12,#13)
- Chirolyn:ベース (#3,#4,#5,#6,#7,#8,#11)
- Arimatsu:ドラム (#3,#4,#5,#6,#7,#8,#9,#12,#13)
- 有松益男:ドラム (#11)
- スコット・ギャレット:ドラム (#2,#10)
- 富樫春生:ピアノ (#11)
- 弦一徹ストリングス:ストリングス (#11)
- 斉藤仁:アディショナル・シンセサイザー・プログラミング (#1,#13)
- J:イングリッシュアドバイザー (#3,#4,#6,#7,#11,#12,#13)
- 衛藤利恵:歌詞英訳 (#2,#9,#10,Booklet Story)
- [Recording Engineer]
- 斉藤仁:プリプロダクション
- 荒井健一:レコーディング
- 齊藤隆之:レコーディング
- ジョシュ・ウィルバー:ミックス (#1,#2,#3,#4,#6,#7,#8,#10,#11,#12,#13)
- 片岡恭久:ミックス (#5,#9)
- [Produce & Mastering]
- VAMPS:プロデュース
- テッド・ジェンセン:マスタリング
収録ベストアルバム[編集]
- 『SEX BLOOD ROCK N' ROLL』 (#2、#6、#7、#11、#12、#13,全て再録および全英語詞バージョン)
参考文献・サイト[編集]
- 『MUSICA』、株式会社FACT、2009年6月号
- 『VAMPS、日曜日の銀座にサプライズ登場』、BARKS