V&Rプランニング

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株式会社ブイアンドアールプランニング
V&R Planning Co.,ltd.
種類 株式会社
略称 V&Rプランニング
本社所在地 170-0004
東京都豊島区北大塚2-20-4
設立 1986年4月1日
業種 情報・通信業
事業内容 ビデオソフト及びマルチメディアソフト(アダルト・一般作)の企画、制作、販売、衛星放送等への番組提供
代表者 三枝進代表取締役
売上高 7億円(年商)
従業員数 8名
関係する人物 三枝進(前代表取締役)
外部リンク http://www.vandr.co.jp/
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株式会社V&Rプランニング(ブイアンドアールプランニング)は、日本アダルトビデオメーカー

概要[編集]

「鬼のドキュメンタリスト」の異名をとるAV監督安達かおるが1986年に設立。宇宙企画クリスタル映像など美少女系アダルトビデオ全盛時代に、レイプスカトロなど、主流とは一線を画した作品をリリースし続け、アダルトビデオ業界のみならず、サブカルチャー分野においてもカリスマ的人気を博した。

また安達かおるのみならず、バクシーシ山下カンパニー松尾インジャン古河など数多くの異色AV監督を輩出したことでも知られる。

元々はビデ倫(日本ビデオ倫理協会)所属だったが、V&Rは当時台頭していた規制の少ないインディーズメーカーを差し置くほど過激極まりない作風で知られ[1]、当時加盟していたビデ倫からはしばしば、あまりの過激さゆえに発売禁止、審査拒否になることもしばしばあった。バクシーシ山下の『女犯』は、あまりにリアルなレイプ映像ゆえフェミニスト団体から抗議が殺到し、社会問題となった。また井口昇によるエログロドキュメント『ウンゲロミミズ』(主演:卯月妙子)では排泄物嘔吐物などを扱った過激な演出から一部でカルト的人気を得る。

1989年にはNHKのドキュメンタリー番組で『わくわく汚物ランド』撮影現場が取材されるなど、マニアカルチャーの代表格とも得る存在となった[2]

AV史上最大の問題作とされるバクシーシ山下監督のデビュー作『女犯』(1990年)は既存のレイプ作品では到底考えられないほど迫真に迫ったリアルな描写・演出から女性人権団体から抗議が殺到、社会問題化した[3]。しかし、後に山下が語るところによれば作品は意図的に後味の悪さを狙ったもので、事前に山下は本気で嫌がるよう女優に説明し、あえて男優にその事実を教えなかったという[3]。これらを踏まえて著作家本橋信宏は「実際に弄ばれていたのは女優でなく男優だった」と述べている[3]。その後も山下は抗議に萎縮することなく、1992年には路上ドキュメント『ボディコン労働者階級』を監督し、山谷ドヤ街を舞台に日雇い労働者AV女優との交接を描いたことで物議を醸すことになった[3]

例えば1993年に制作されたスカトロビデオ『ハンディキャップをぶっとばせ!』(監督:安達かおる)では身体障害者が出演したことが問題視されお蔵入りとなり[4]平野勝之監督の『水戸拷悶2 狂気の選択』(1997年)では過激な描写を追求するあまり2名が負傷して3名が引退宣言し、撮影の舞台となった渋谷はパニック状態に陥り警察が出動する騒ぎとなった(当然ビデ倫からは「論外の外」と審査拒否されたため、自主規制した不完全版のみが流通した[5])。また下水道を舞台に撮影を敢行した平野監督の『ザ・ガマン』(1993年)でも警察官水道局員が大挙する騒動に発展している[5]

V&Rのスカトロ作品では井口昇監督・卯月妙子主演の『ウンゲロミミズ エログロドキュメント』(1994年)が最も有名で排泄物食糞塗糞脱糞に始まり、嘔吐物ミミズまでを扱った過激な演出からマニアの間でカルト的な人気を集め、翌1995年には続編も制作された。

キワモノ系の異色作・問題作を1990年代に多数リリースして異彩を放ち、鬼畜ブーム時には『危ない1号』に特集が組まれるなどマニアの間で密かに注目を集めていた。


2004年にはビデ倫を脱退し、セルメーカー中心のメディア倫理協会にフィールドを移す。ソフト・オン・デマンドグループに入るが2004年9月を最後にリリースを停止。以降、関連会社であるケイ・ネットワークから過去のV&R作品の再編集作品がリリースされる程度だった。

2004年にはV&Rプランニングの制作陣はそのまま新たにV&Rプロダクツを発足、従来の過激暴力路線とは全く逆のベクトルを向いた、明るくポップなアダルトビデオメーカーとして制作を続けている。

2006年5月、V&Rプランニングとしては久々に新作(『服従学園〜血桜組、修羅の戦い』、『中出しマ○コにカメラ入れちゃいましたパート2』)をリリースする。

なお、『服従学園〜血桜組、修羅の戦い』はじめ、一部の作品はオリエンタル・ドリームレーベルで海外向け作品としても発売されている(V&Rプランニング制作ロゴも入っている)。その際はスカトロシーンなどアメリカの法律に抵触されるシーンはカットされている。

2015年には封印されていた障害者主演のスカトロビデオ『ハンディキャップをぶっとばせ!』がアップリンク渋谷で上映され、制作から22年目にしての解禁となった[6]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ こじままさき「ウンコ、ゲロ、低能、病原菌……キワモノ系変態ビデオを正視せよ!」『危ない1号』第2巻、34 - 35頁。 
  2. ^ カンパニー松尾×バクシーシ山下の"AV史"白熱教室 ~80年代編【3】~ - オトコ - ニュース”. 週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト] (2015年9月12日). 2020年3月27日閲覧。
  3. ^ a b c d 史上最大の問題作『女犯』弄ばれていたのは男優だった”. 本橋信宏. NEWSポストセブン (2016年8月24日). 2018年1月27日閲覧。
  4. ^ 青山正明「全盲青年がウンコ喰らって勃起する!!『ハンディキャップをぶっとばせ!〜僕たちの初体験〜』」『危ない1号』第2巻、70 - 71頁。 
  5. ^ カンパニー松尾やバクシーシ山下の師・安達かおるの発禁作、20年の沈黙破り上映”. 映画ナタリー (2015年8月6日). 2018年1月27日閲覧。

外部リンク[編集]