Unity (ユーザインタフェース)

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Unity
Unity 7.6 (Ubuntu Unity 22.10)
開発元 カノニカル
Ayatanaプロジェクト
初版 2010年6月9日 (2010-06-09)[1]
最新版
7.6[2] / 2022年6月30日 (21か月前) (2022-06-30)[2]
リポジトリ ウィキデータを編集
プログラミング
言語
Vala, C++, C, Python[3]
対応OS Ubuntu Desktop
Ubuntu Unity
Ubuntu Touch
Ubuntu TV
プラットフォーム パーソナルコンピュータ
スマートフォン/タブレットPC
スマートテレビ
対応言語 多言語
サポート状況 開発中
種別 グラフィカルシェル
ライセンス GPLv3,
LGPLv3
公式サイト unity.ubuntuunity.org
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UnityとはUbuntuで開発されている、デスクトップ環境及びグラフィカルシェルユーザインタフェースのことである。

概要[編集]

当初は、Ubuntu Netbook Edition用としてネットブックなどの画面サイズが限定された環境でもスペースを有効に利用できるような設計として開始された。縦に配置されたランチャー[4]と呼ばれるアプリケーションスイッチャー[5]などのインタフェースが特徴で、Ubuntu 11.04において従来のGNOMEベースの環境から切り替えることもできるよう準備され、Ubuntu 11.10から本格的に採用された。

デスクトップの左端に「アプリケーション」のサイドバー (Dock) が取り入れられ、これまでのGNOMEパネルの下部パネルが取り外された。これまでの上部パネルの通知領域は残されているのに対し、左端にあった「アプリケーション」「場所」「システム」の項目がUbuntuのロゴ (Dash) に置き替えられた。これをクリックするとインストールされた、またはインストール出来るアプリケーションが検索できる。

Unity 8はデスクトップだけでなく、スマートフォンタブレットのような小サイズ・高解像度なデバイス対応を目指していた[6]

2017年4月5日、カノニカルはUnity 8の開発を打ち切り、Ubuntu 18.04 LTSではGNOMEに戻すと発表した[7]。実際にはUbuntu 17.10からGNOMEがデフォルトになった。Unity8はyunitという名称でフォークされた[8]

しかしながら、Ubuntu 22.10以降、Unityは、Ubuntu Unityという名前で公式フレーバーに復活している[9]

Unity 2D[編集]

Unity 2D はCompizのプラグインであるUnityとは違い独立したアプリケーションとして動作する。Qtフレームワークを用いて作られている。初期状態ではMetacityで動作するが、CompizやKWin等のウィンドウマネージャ上でも動作する。11.04では追加可能なパッケージとして提供されていたが、11.10からは11.04のGNOMEクラシックに代わり、Unity 3Dが動作しないハードウェア環境向けのデフォルトとして提供されている。12.10ではOpenGLを使用せずにUnity 3Dを動作させられるのでこれは廃止された。

ユーザインタフェース[編集]

  • Launcher
  • Quicklist
  • Dash
  • Head-Up Display
  • Global menubar
  • Overray Scrollbar
  • Indicators

ツールキット[編集]

Unityのインタフェースを構成するボタン、テキストボックスなどの部品には、Nuxと呼ばれるツールキットが用いられている。NuxはGTKやQtといった他のツールキットとは異なり、Unityで動かすことを主目的として開発されており、レンダリングにOpenGLを利用する。

動作要件[編集]

3Dアクセラレーションが動作するグラフィックハードウェアとドライバが必要 (Unity)。条件を満たしていない場合はLLVMpipeというOpenGLのソフトウェア実装が使用される。またUbuntu 12.04まではUnity 2Dという互換ソフトウェアが実行される。

利用[編集]

UnityとAyatanaプロジェクト[10]のサポートは主にUbuntu用に開発が行われ、最新バージョンはUbuntuに最初に提供される。

Ubuntu以外のLinuxディストリビューターはAyatanaに変更を加えることで取り込みを試みている。Ayatanaの構成はアプリケーションの調整が必要であり、他のディストリビューションで採用するとより複雑になる。

  • Arch LinuxはUnityとUnity2Dを含む多くのAyatanaコンポーネントを提供している[11]。2011年7月の段階ではUnity2Dのみ最新バージョンで使用可能である[12]
  • FedoraではUnityにGTKの非サポートパッチの適応が必要であることを理由にデフォルトのリポジトリでは提供していないが[13]、パッチが適用されているopenSUSEのリポジトリのブランチを使用することでUnityをFedoraにインストールすることが可能となっている[14]
  • Frugalware Linux英語版は今後の開発ブランチの一部としてUnityとUnity2Dを含むAyatanaを採用している[15]
  • OpenSUSEはGNOME用の多くのAyatanaコンポーネントを提供している[16]がUnityの提供はCompizを主な問題として保留されていたが[17]新しい開発者がArch LinuxとFedora用のバージョンと共にそのタスクを引き継いだ[14]

批判[編集]

世界各国の複数のオンラインニュースメディア(日本ではマイナビエンタープライズの後藤大地ライターやjapan.internet.com)はDistroWatchのサイト内ページ訪問者数ランキングにおいてLinux MintのページがUbuntuのページを抜いて1位になった原因は、Unityに否定的なユーザーがMintに流れたのだろうと報じている。[18]また、このランキングのみを根拠にOSシェアが低下したという報道もされている[19]。しかし、これに実際の根拠は伴っていないとされる。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ カノニカル (2010年12月). “Publishing history of "unity" package in Ubuntu”. 2010年12月9日閲覧。
  2. ^ a b Announcing the stable release of Unity 7.6”. 2022年12月11日閲覧。
  3. ^ Jagdish Patel, Neil (2010年11月). “~unity-team/unity/trunk : 573”. 2010年12月13日閲覧。
  4. ^ Welcome to Ubuntu 11.04”. Ubuntu Official Documentation. Ubuntu documentation team. 2011年6月13日閲覧。
  5. ^ Proffitt, Brian (2010年5月10日). “Ubuntu Unity Interface Tailored for Netbook Screens”. ITWorld. 2010年10月28日閲覧。
  6. ^ Unity 8
  7. ^ Growing Ubuntu for cloud and IoT, rather than phone and convergence” (2017年4月5日). 2017年10月2日閲覧。
  8. ^ yunit
  9. ^ Ubuntu flavours”. 2222年11月14日閲覧。
  10. ^ The Ayatana Project”. カノニカル (2011年). 2011年10月31日閲覧。 “The Ayatana Project is the collective project that houses user interface, design and interaction projects started by Canonical.”
  11. ^ Ayatana”. Arch Linux Wiki. 2011年11月26日閲覧。
  12. ^ http://aur.archlinux.org/packages.php?ID=45533
  13. ^ Unity For Fedora (As in OpenSUSE or Arch)”. Lists.fedoraproject.org (2012年1月26日). 2012年9月22日閲覧。
  14. ^ a b Unity Desktop Available for Fedora”. OMG! Ubuntu!. 2013年3月18日閲覧。
  15. ^ Ayatana Project Portage”. Frugalware Linux Wiki. 2011年11月26日閲覧。
  16. ^ GNOME Ayatana”. openSUSE Wiki. 2011年11月26日閲覧。
  17. ^ Nelson Marques. “GNOME Ayatana”. openSUSE. 2011年11月26日閲覧。
  18. ^ Ubuntu の人気が急降下 ― Unity の採用が原因か?
  19. ^ [1]

外部リンク[編集]