UniPhier

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UniPhier(ユニフィエ)とは、松下電器(現パナソニック)が開発したデジタル家電向けの統合プラットフォームの名称で、株式会社ソシオネクスト登録商標である(日本第4810847号。ただし読みは「ユニフィアー,ユニファイアー」で登録)。

概要

CPUとビデオコーデック等を内蔵したシステムLSIと、OSミドルウェア等から成るソフトウェアプラットフォームで構成されるデジタル家電用の統合プラットフォーム。その名称は、"Universal Platform for High-quality Image Enhancing Revolution"の略である。 CPUにはARMアーキテクチャまたはパナソニック独自アーキテクチャ(AMシリーズ)を採用している。

スクウェア・エニックスもミドルウェア・SEAD Engine(Square Enix Application on Demand Engine)を提供している。

従来は携帯電話DVDレコーダー、デジタルテレビなど各製品群ごとにハードウェアを用意し、そこからマイクロコードやOS、ミドルウェア、アプリケーションソフトウェアなどを個別に開発してきたが、UniPhierによる統合プラットフォームでは、ベースハードウェアの上に各製品固有なソフトウェアを開発するだけで済むため、ソフトウェア開発効率を高めることができる。設計開発はパナソニック株式会社 デバイス社が行っている。

UniPhierには、高品位AV(パナソニックの高画質、高音質技術集約)、低消費電力(AV機器の長時間動作)、リアルタイム処理(複数のAV処理でもスムーズ動作)、セキュア機構(AVコンテンツ、個人データ保護)などの特徴があり、低消費電力を求められる携帯電話分野、高性能なコーデック処理を要求されるホームAV機器など、製品分野に最適なシステムLSIとして選択できる。

VIERAに搭載している画質改善エンジン「PEAKSプロセッサ」なども順次UniPhierに統合された。

プロセッサ

携帯電話用

  • UniPhier M
P901iTVに搭載
  • UniPhier 3M
P903i、P903iTV、P903iX、P904iなどに搭載
  • UniPhier 4M
65nmプロセスで製造されており省電力化されている。また、P905i、P906iなどに搭載
  • UniPhier 4MBB+
45nmプロセスで製造されており、HSDPA 7.2Mbpsに対応。P-01Aなどに搭載

カーAV/ホームAV用

  • PH1-Lite II
デジタルテレビ向け。派生LSIとしてPH1-Lite IIS、PH1-Lite IIPが存在
  • PH1-Pro(品番:MN2WS0030)
65nmプロセスで製造されている。CPUコアのクロックは300MHz。DMR-BW200などに搭載
  • PH1-Pro II(品番:MN2WS0038)
45nmプロセスで製造されており、CPUコアのクロックを350MHzまで向上、H.264HP enc/decを搭載させながら省電力化している。
またメモリはDDR2-800に対応させ、新たに周辺機能としてIEEE1394を統合した。DMR-BW800などに搭載
  • PH1-Pro IIP(品番:MN2WS0043)
45nmプロセスで製造されている。BDプレーヤー向け。H.264HPエンコーダが省かれている。
  • UniPhier4H-DTV1(品番:MN2WS0052)
45nmプロセスで製造されている。デジタルテレビ向け。グローバル対応、H264デコーダ搭載、HE-AAC対応。
  • PH1-Pro 3(品番:MN2WS0140)
45nmマルチVtプロセスで製造されており、CPUコアのクロックは最大500MHzまで向上、従来のキャッシュメモリにあたるL1キャッシュは命令/データ共に2倍の32KBとし、L2キャッシュを128KB内蔵した。
外部メモリはDDR3-1333に対応、周辺機能としてUSBやEthernetコントローラを統合し、シリアルATAとSDカードの同時接続数をそれぞれx2、x3と増やしている。DMR-BWT3000などに搭載
  • BDP用システムLSI(品番:MN2WS0150)
32nmゲートファースト・マルチVthプロセスで製造され、High-k/メタルゲートトランジスタの採用、CPUコアのクロックは486MHz。
MPEG-4 MVC対応・周辺機能の強化をしながら、LSI消費電力で約40%、実装面積で約30%の削減が謳われている。
  • スマートテレビ用UniPhier-DTV(品番:MN2WS0220)
45nmプロセスで製造。メインCPUを独自開発の「AM34」の2CPU構成から、ARMの「Cortex-A9」のデュアルコア構成へと変更、最大1.4GHzで動作する。
メディアプロッサは従来同様UniPhierプロセッサだが、実行ユニットがIPP3となり、L2キャッシュをメインCPUと共有化、800MHzで動作する。
グラフィックスはOpenGL ES 2.0、OpenGL ES 1.1対応。AV入出力機能として2D-3D変換、3Dフォーマッタなどの表示制御機能を搭載し、4ポートまでのHDMIに対応。
外部メモリはDDR3-1600対応。メインCPU、メディアプロッサ、グラフィックス回路の間で共有するユニファイドメモリアーキテクチャとなっている。
  • PH1-Pro4(品番:MN2WS0230)
MN2WS0220をベースに4K・多チャンネル同時処理に対応した高画質・多チャンネル対応配信向けシステムLSI。
  • Blu-rayプレーヤ用システムLSI(品番:MN2WS0260)
光ディスクコントローラやDRC、タイマなどのフロントエンド部、HDMI (ver1.4) 等の周辺IFを統合。外付けメモリのデータバス幅32-bit化。CPUはAM34-SMP x2、486 MHz。
  • 高性能・合理化対応スマート端末用システムLSI PH1-sLD8(品番:MN2WS0270シリーズ)
シングルコアのARM Cortex-A9と高速並列メディア処理プロセッサ (IPP3) を搭載し、新たに分散処理ソフトアーキテクチャを採用した、普及型スマート端末向けシステムLSI。
  • PH1-Pro5(品番:MN2WS0300)
CPUにARM Cortex-A9 1.2GHz クアッドコア、メディアプロセッサにIPP 3.3 1.2GHzを搭載。HEVC(H.265)形式4K/60p動画のリアルタイムデコードや8K4Kへのアップコンバートに対応。
  • 4Kメディア再生用 1チップLSI (品番:MN2WS03101AA)
HDCP2.2対応 HDMI2.0 Tx/ Rx のPHY内蔵。Blu-rayプレーヤーなど4K映像ボックスシステム用のアプリケーションLSI。PH1-Pro5と同じアーキテクチャを使用。

搭載製品

関連項目

外部リンク