OLPC

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The Children's Machine から転送)
2006年5月に公表された最初の実用機
試作機 第二世代
OLPC-Laptop XOXO

OLPCOne Laptop per Child )とはマサチューセッツ工科大学ニコラス・ネグロポンテを中心とするNPOである。一般に100ドルノートPCとして知られているノートパソコン・XOを開発した。

目次

[編集] 概要

OLPCは、世界中、特に開発途上国の子供たちに革新的な教育理論に基づく学習の手段を提供することを目的として活動しているNPOである。このプロジェクトの実践にあたり、必要となるハードウェアとして"XO"と呼ばれるラップトップ・ソフトウェアとして"Sugar"と呼ばれる親しみやすいユーザインタフェースや"(Squeak)Etoys"など、そしてこれらを学習コミュニティとしてつなぎあわせるメッシュネットワークやコンテンツの開発、コンテンツを提供するスクールサーバの開発などが現在世界中のボランティアの力を得て、進行中である。このうち、特に日本国内でマスメディアに取り上げられることの多い、俗に"100ドルパソコン($100 laptop)"と呼ばれるラップトップ・"XO"は、それを持ち歩く先がどこでも「学校になる」ように非常に高い耐環境性・低消費電力といった特徴を備える。

しかし、OLPCの活動目的はあくまでも子供たちへの教育の機会の提供であって、ラップトップの開発自体や情報格差(デジタルデバイド)の解消が主たる目的ではない。ネグロポンテは"It's an education project, not a laptop project."と語っている。

製造は台湾クアンタ・コンピュータに委託することが決定しており[1]2006年中に評価用の試作機を完成し、2007年には同パソコンがウルグアイブラジルなどの児童らに配布されテストされている。

当初の価格は130から140ドル程度となるが、2008年末までには通称通りの100ドルに低価格化する予定[2]。2007年時点のコストは175ドルである。

その性格上、開発途上国政府を通じた現地の小学生らへの配布が中心である。ただし、一般ユーザーに対してもeBayを通じて450ドルで販売し、その収益でより多くのパソコンを寄付するアイデアがあるが詳細は決まっていない[3]。2007年11月に2週間限定で、「Give One Get One」プログラムを開始。これにより、アメリカとカナダの一般ユーザーに2台400ドルでOLPCのホームページで通信販売がおこなわれた[4]。1台は途上国に寄付、2台目はユーザーのもとに届く。

「Give One Get One」プログラムは、1日あたり2百万ドルの寄付金を集めることに成功。2007年11月23日に終了する予定であったプログラムは、同年12月31日まで延長された[5][6]。さらに大量注文の場合のディスカウントを発表、100-999台を一台$300、1000-9999台を一台$249、10,000台以上を 一台$199で政府や教育機関に販売することを発表した。

[編集] 歴史

OLPCは、シーモア・パパートが開拓した構成主義学習理論、アラン・ケイの業績、そしてニコラス・ネグロポンテの著作『ビーイング・デジタル』に書かれた原理を基盤に据えている。創設に協力した会員はGoogleニューズ・コーポレーションAMDレッドハットブライトスターノーテルであり、それぞれプロジェクトに200万ドルを寄付した。これら3名の個人と6つの企業がOLPCにおいて主導的な立場にある。XOは教育市場をターゲットにした1997年の(アップル・ニュートンをベースにした)eMate 300に似た点もあるが直接のつながりはない。アップルMac OS XのOLPC版の開発・無償提供を申し出たが採用されなかった。

ネグロポンテは、2005年11月16日チュニジアチュニスで行われた世界情報社会サミットの第2フェーズにおいて、ノートPCの2つのプロトタイプを発表した。一つは動作しない形だけのモデルで、もう一つは外部の基板とキーボードを使用した未完成版だった。発表された機器は、一般的な基板を使用した荒削りなプロトタイプだった。ネグロポンテは、ディスプレイだけは三ヶ月以上の開発を要すると見積もった。動作する最初のプロトタイプのデモは、2006年5月23日に開催されたCountry Task Force Meetingで行われた。製品版では、同じサイズの個体に、より大きなディスプレイが搭載されると期待されている。ノートPCの出荷は、2006年終わりから2007初めの予定。

2006年、スイスダボスで開催された世界経済フォーラムで、国連開発計画(UNDP)は、この計画を支援する予定であると公式発表。「発展途上国の特定の学校に対する技術と資源」を供給するため、OLPCと共同で作業にあたるだろう、との声明を出した。

2005年12月13日、OLPC理事会は、100ドルノートPC計画のODMクアンタ・コンピュータが選ばれたと公表した。この決定は、理事会が数社の製造企業による入札を審査してなされたものである。クアンタ・コンピュータは、しなければならないことは沢山残っていると強調した。「まだ膨大な量の研究と開発が必要であるが、うまくいけば、来たる2006年の後半には最初の完成品を製造する準備が整えられるだろう」その次の半年間で、クアンタ研究所のチームは100ドルノートPCに注力する予定である。

[編集] 価格

元々、この計画は100米ドルを目標にしていた。2006年5月、ネグロポンテはレッドハットの年次ユーザサミットで、「価格は流動的だ。我々は非営利団体である。2008年までに100ドルにすることを目標としているが、たぶん135ドル、もしかしたら140ドルになるかもしれない。ただ、これは最初の価格であって、必要なのは出荷の度に安くすることだ。価格は下がることを約束する」と発言した。 また、一般向けには350ドルで販売されるらしい。

2007年9月現在、199ドルという当初予定を大幅に上回る価格であり、2008年までに100ドルという目標は達成されないことが確実となった為、各国政府への導入は進んでおらず、見送り始めている国が多い。一方、欧米では199ドルという価格帯で極めて実用的なEee PCが大成功を収めており、これに関連してネットブックという最低限の性能で超低価格をうたった製品群からなる新興市場の動向が注目を集める。

一般には399ドルで一台の寄付付きという形で試験販売を予定していることが発表されている。

[編集] 参加国

先行プロジェクトに参加したカンボジアの地方の学校の子供たち(持っているのはXOではない)。2001年から実験的に行われている。

ネグロポンテの広報によると、様々な方法ですでに以下の国が提携しているという。しかし、提携に強制力はない。パソコンは各国政府を対象に売られ、one laptop per child「一人の子供に一つのノートパソコン」の理念のもと教育関係の省庁を通じて配布される。

マサチューセッツ州知事ミット・ロムニーは州内の全児童に100ドルPCを配布する法案を州議会に提出した。ナイジェリアは100万台の注文を決めた最初の国である。

2006年10月11日ニューヨーク・タイムズ紙はOLPCがリビア国内の全120万人の生徒にパソコンを供給することでリビア政府との合意に達したと報じた。この2億5000万ドル(日本円にして約300億円)の契約の中には、衛星によるインターネットアクセスの整備、学校ごとに一台のサーバ、技術的なサポートも含まれる。

インドは「公的資金が、種々の政策書に載っている確実に必要な施策にさえ足りない状況が続いているのに、議論の余地もある計画に対するこの規模の支出は容認できない。」として計画の主導に加わるのを諦めた。

OLPCは元々100ドルPCを各国の政府を通じてのみ売り出すことを計画していたが、ネグロポンテは知名度の高い製造業者が商用製品を作ることに提携してもよいと発言した。225ドル程度で売り出すことができれば、発展途上国への物品支援になるはずである。

[編集] 技術

試作機 第一世代

XOはLinuxベースでフルカラー、フルスクリーンのノートパソコンになる予定である。初めは平面液晶ディスプレイが使われるが、のちの世代ではe-inkなどの電子ペーパーが使われるかもしれない。PCは頑丈で、自己発電でき、無線LAN、IP電話が可能で、タッチパッドを備える。

[編集] 設計要件

開発責任者のMary Lou Jepsenはハードウェアの設計方針を以下のように述べた。

  • 最小限の電力消費。設計目標は全消費量で2ワットから3ワット。
  • 最小限の製造コスト。目標は、100万台の製造時に一製品につき100ドル。
  • coolなデザイン。一見するだけでも、その革新性がわかるようにする。
  • 電子書籍の機能を、きわめて低い電源消費で果たす。
  • ソフトはオープンソースフリーソフトウェアを使う。

ソフトウェアの設計要件と教育での具体的な利用方法は、OLPC Wikiに記述されている。 MITメディアラボは、Design ContinuumとFuseprojectの支援を得て、様々な利用形態を探っている。たとえば、ノートパソコン、電子書籍、映画館、シミュレーション、絵画用タブレットなどに利用する方法が挙げられる。

[編集] 仕様

[編集] アプリケーション

Pythonで記述されたSugarと呼ばれる独自のグラフィカルユーザインタフェース環境を備え、その下でアクティビティと呼ばれるアプリケーション群が動作する。Sugarはメッシュネットワークを介したコラボレーションを前提に設計されており、複数の子供が同一のアクティビティに参加して、共同で作品を作ることが可能である。 アクティビティにはウェブブラウザワードプロセッサペイントツールSqueak Etoysなどが用意される。

[編集] ウィキペディアとの提携

2006年8月4日ウィキメディア財団はウィキペディアから選ばれた記事が100ドルパソコンに含まれる予定であることを発表した。ウィキメディア財団の理事長ジミー・ウェールズは「OLPCの使命は、我々の目的—百科事典の知識を、無償で、世界中のあらゆる人々に配布すること—と手を携えて行くことになるだろう。まだ世界中すべての人がブロードバンドな接続を持っているわけではないのだ」と話した[8]。ネグロポンテは以前から、100ドルパソコン上でウィキペディアを見たいと考えていた。ウェールズは、ウィキペディアが「キラーソフト」の一つであると思っている[9]

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

  1. ^ OLPC 100ドルノートPCの製造はQuanta Computerが契約 - Engadget Japanese
  2. ^ OLPC「100ドルPC」は130ドルに - Engadget Japanese
  3. ^ OLPC 100ドルノートPC:eBayで販売予定 - Engadget Japanese
  4. ^ [1]
  5. ^ OLPC extends "Give One, Get One" program to December 31 - ars technica November 23 2007
  6. ^ OLPC財団、「Give One Get One」プログラムを12月31日まで延期 - CNET Japnan 2007/11/27
  7. ^ OLPC 100ドルノートPC続報:今度はひもを引いて発電 - Engadget Japanese
  8. ^ ウィキメディアプレスリリース:One Laptop Per Childは、100ドルパソコンにウィキペディアを入れる予定。オンライン百科事典の一部が、静的なバージョンの形で、発展途上国の子どもたちと教師に提供される(英語)
  9. ^ "User talk:Jimbo Wales". Wikipedia. 2005-12-19 閲覧。

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ