TI-Nspireシリーズ

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TI-Nspire(てぃーあい-えぬすぴあ)シリーズはテキサス・インスツルメンツが開発したグラフ電卓である。現行バージョンには数式処理システムを搭載したTI-Nspire CASと搭載していないTI-Nspireが販売されている(日本では株式会社ナオコが輸入販売している)。またコンピュータソフトウェアとして、WindowsおよびMac OS X対応のものも販売されている(CASの有無も同様)。更に後継機として、タッチパッドを搭載したTI-Nspire CAS with Touchpadが発売され、ソフトウェアが付属し充電式バッテリーが使える。

ハンドヘルド[編集]

TI-NspireはTIの旧式グラフ電卓に比べ、ハード面・ソフト面共に大幅に改良が加えられた。新しい液晶画面は高い解像度(320x240ピクセル)を誇り、60段階[1]のコントラスト調整が可能になっている[2]。TI-NspireおよびTI-Nspire CASのCPUはともにTI-NS2006A(ARM926EJ-S、ARM9 instruction set)を採用しており、クロック周波数は90MHzである。

TI-Nspireはダイナミックに様々なアプリ間で変数を連携をする事ができる。例えば電卓アプリで方程式をxについて解いて、その横で方程式の解をグラフに描いて共有する、といったことが可能である。このような変数の連携はアプリの使用中にリアルタイムで行うことが可能である。

このような変数の連携の他に、en:Prettyprint機能によりTI-Nspireの画面に表示される数式は紙に書かれているような自然な表記が可能となっている。

TI-Nspire[編集]

標準的なTI-Nspire電卓は、TI-84 Plus電卓に容貌も機能も似ている。その特徴は、なんといってもTI-84モードであり、キーボードをTI-84方式に換装でき、更にTI-84のエミュレータも含まれている。これは米国の中等教育の教科書におけるTI-84仕様の記述をそのまま利用でき、Nspireモードからの移行も容易である。

しかもTI-NSpireのキーボード配列はQWERTY配列ではないので、PSAT, SAT, SAT II, ACT, AP, およびIBといった試験でも利用出来る。

TI-Nspireのさらなる特徴は、"テスティングモード"というLED標識であり、試験官が知識重視のテストで保存されたファイル及び幾何モードの使用を制限できるものである。この機能は時間制限がついており、テストが終わったら試験官はテスティングモードを終了し忘れていないか確認することが求められている[3]

ファームウェアバージョン2において様々な機能が改善しており、特に注目に値するのはスクラッチパッド機能であり、グラフや計算速度が向上しているほか、キーパッドがタッチパッドから操作できるようになった事があげられる。

TI-Nspire CAS[編集]

TI-Nspire CASは文字式を直接扱うことができるので、数値計算誤差が起こらない。代数関数も含まれ、例えば微分方程式を解析的に解けるdeSolve(...)コマンドや、行列の複素固有ベクトルを解けるeigVc(...)、のみならず微積分の基本演算である極限導関数積分なども含まれている。ゆえに、TI-89 TitaniumVoyage 200などを凌駕するといえよう。主なターゲットは大学生である。

TI-Nspireと異なり、TI-84キーボードに換装することは出来ない。TI-Nspireにおけるテスティングモードに似た通知システムが搭載されており、テスト時には緑色に光る。

それらはSATおよびAPでは適用されるが、ACT[4] およびIBでは適用されない。

最新のTI-Nspire CASのOSのバージョンは2.1.0.631であり、2010年7月14日にリリースされた。OSは2007年より頻繁にアップデートされており(主な理由はバグと間違った関数の為)、リリース年の2006年の1年後の事からである。バージョン2.0.0.1188以降のOSは次の機能をサポートしている:

  • スクラッチパッド(簡単かつ迅速な計算機およびグラフ機能)
  • 新しく、より組織化されたホーム画面
  • 計算機アプリケーションの変更点
    • (線形および非線形)方程式系の解法
    • 多項式の複素および実根
    • ある点における導関数
    • 多項式の余剰・商・係数・次数
    • 最大公約数
    • ステップおきの商の違い
    • 零行列の生成
  • 新しいプログラミング機能
    • 電卓画面でのプログラミングが可能に
    • I/O関数の要請または強い要請
    • テキストの出力
  • グラフアプリケーションの変更点
    • 値の切替表が可能に
    • オブジェクト選択ガイドが隠せるようになった
    • 数列グラフのカスタム
    • 10倍ズーム
    • グラフ解析メニュー
      • 零点
      • 最小点
      • 最大点
      • 交点
      • 変曲
      • 微分
      • 積分
  • 新しい幾何アプリケーションはシンプルにグラフアプリケーションでのみ形が描けるようになった
  • データおよび統計アプリケーションの変更点
    • XおよびYに変数および頻度を追加する事が可能に
  • ノートアプリケーションの変更点
    • ノート内で計算が可能に
  • グラフ設定ページ

メモリ[編集]

2つの電卓はともに32MBのフラッシュメモリ、32MBのSDRAM、そして512KBのNOR型フラッシュメモリを持つ。フラッシュメモリはOSや保存されたドキュメントデータが含まれているが、これらは実行されない。SDRAMには圧縮されたOSのデータと、アクティブなドキュメントデータが含まれている。NOR型フラッシュメモリにはOSの起動システムが含まれている。

Nspireシリーズにはバックアップバッテリーが含まれていないので(以前のTIの電卓には含まれていたが)、電池を抜くとSDRAMのデータは消えてしまう。したがって、次回起動時にはOSデータとファイル構造はNANDからSDRAMへと読み込まれる。

その他の特徴[編集]

一つの目立った特徴は、TI-84方式のキーボードが廃止された事で、直接TI-Nspireのキーボードからドキュメントやプログラムを入力することができるようになった。さらに、他のTIの電卓と異なり、現実世界のデータをセンサーによって測定することができる。それらはVernier EasyTemp, Vernier Go! Motion, Vernier Go! Temp,そしてTexas Instruments CBR2 motion detectorである[5][6][7] 。加えて、ホーム画面のソフトをハックすることができるが[8]、この場合TIのサポートが受けられなくなる(そしてそれはTIとの戦いでもある)。それを行うにはGeoffrey Anneheim (geogeo)およびOlivier Armand (ExtendeD)によって開発されたNdlessを用いる[8]。だがNdlessは初期のOS、ver1.1でしか動作しないが、アップデートにより他の幾つかのOS,例えば1.3,1.4そして1.7もサポートはしている。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ Datamath Calculator Museum
  2. ^ TI-Nspire.com – TI-Nspire Handheld and Software Learning Technology for the Math and Science Classroom by Texas Instruments
  3. ^ Press-to-Test Features and Configuration
  4. ^ ACT FAQ : Can I use a calculator?”. Actstudent.org. 2010年8月31日閲覧。
  5. ^ Vernier Software & Technology Global Gateway
  6. ^ CBR 2 by Texas Instruments -US and Canada
  7. ^ Data Collection - TI-Nspire.com by Texas Instruments
  8. ^ a b Nspire Models Opened to Third-Party Development”. ticalc.org. 2010年8月31日閲覧。

外部リンク[編集]