THIS BOØWY

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
THIS BOOWYから転送)
THIS BOØWY
BOØWYベスト・アルバム
リリース
録音 1985年 - 1987年
ジャンル
時間
レーベル 東芝EMI/イーストワールド
プロデュース
チャート最高順位
ゴールドディスク
  • ミリオン(日本レコード協会
  • BOØWY アルバム 年表
    BOØWY COMPLETE REQUIRED EDITION
    (1993年)
    THIS BOØWY
    (1998年)
    “GIGS” CASE OF BOØWY
    (2001年)
    EANコード
    EAN 4988006149434(1998年)
    EAN 4988031224748(2017年)
    BOØWY関連のアルバム 年表
    THIS BOØWY
    (1998年)
    テンプレートを表示

    THIS BOØWY』(ディス・ボウイ)は、日本ロックバンドであるBOØWYの2作目のベスト・アルバム

    1998年2月25日に東芝EMIのイーストワールドレーベルからリリースされた。BOØWYの解散から10年後にリリースされた作品であり、ベスト・アルバムとしては『“SINGLES”』(1988年)以来およそ10年ぶり、その他の作品も含めるとボックス・セットBOØWY COMPLETE REQUIRED EDITION』(1993年)以来およそ5年ぶりのリリースとなった。

    前作『“SINGLES”』はシングルとしてリリースされた楽曲が収録されていたが、本作では東芝EMI所属となった3枚目のアルバム『BOØWY』(1985年)以降のアルバム収録曲も含めた選曲となっている。本作はオリコンアルバムチャートにおいて初登場第1位を獲得し、売り上げ枚数は1999年時点において148.8万枚でミリオンセラーとなり、累計では217万枚を売り上げBOØWYのアルバムの中で最大の売り上げとなった。

    構成[編集]

    レコード会社移籍により東芝EMI所属となった3枚目のアルバム『BOØWY』(1985年)以降の楽曲を収録しているが、収録曲の内「IMAGE DOWN」のみライブ・バージョンとなっている[3]。所属レコード会社が異なっていた1枚目のアルバム『MORAL』(1982年)および2枚目のアルバム『INSTANT LOVE』(1983年)の音源は収録されていない。収録曲である全20曲はデジタル・リマスタリングされている[4]。収録曲は東芝EMI所属時代の全シングル曲およびアルバム『BOØWY』から6枚目のアルバム『PSYCHOPATH』(1987年)の収録曲をほぼリリース順に並べており、未発表音源やレアトラックなどは収録されていない。

    シングルおよびカップリング曲としてリリースされた楽曲の内、「NO. NEW YORK」「季節が君だけを変える」「CLOUDY HEART」の3曲はシングル・バージョンでの収録となり、「BAD FEELING」「MARIONETTE」はアルバム・バージョンでの収録となっている。アルバムごとの選曲は『BOØWY』から4曲、『JUST A HERO』(1986年)から3曲、『“GIGS” JUST A HERO TOUR 1986』(1986年)から1曲、『BEAT EMOTION』(1986年)から5曲、『PSYCHOPATH』から5曲となっている。

    リリース、プロモーション、チャート成績[編集]

    本作は1998年2月25日に東芝EMIのイーストワールドレーベルからCDにてリリースされた。初回限定盤は紙ジャケット仕様となっている。リリース前年となる1997年12月24日の深夜に放送されたフジテレビ系バラエティ番組『明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー'97』(1990年 - )において、本作のリリース告知となる30秒CMがクリスマス・メッセージと共に放送された。当日は同バンドが1987年12月24日に渋谷公会堂で解散宣言を行った日から丁度10年目を迎えた日でもあり、また同番組では『THIS BOØWY』というタイトルの告知のみで詳細は一切明かされていなかった。その後本作のリリースにあたり収録曲の「MEMORY」を使用したミュージック・ビデオが制作されたほか、NHK衛星第2テレビジョンの特別番組『『BOØWY Anthology~幻のGIGが今よみがえる~』において当時のマネージャーやスタッフのインタビューが放送されるなどのプロモーション展開が行われた。

    本作はオリコンアルバムチャートにて初登場第1位[5]、登場週数27回で、売り上げ枚数は145.8万枚とミリオンセラーを達成した[2]。大々的な宣伝が行われた結果、売り上げ枚数は累計で217万枚となり[5]、BOØWYのアルバムの中で最大の売り上げ枚数となった。想定以上に売れたため、発売翌週には売り切れるCDショップが続出した。後に本作の拡大版という位置付けとなるベスト・アルバム『THIS BOØWY DRASTIC』(2007年)および『THIS BOØWY DRAMATIC』(2007年)が2作同時にリリースされた。2017年6月28日には35周年を記念して本作の紙ジャケット盤が限定復刻された[6]

    批評[編集]

    専門評論家によるレビュー
    レビュー・スコア
    出典評価
    CDジャーナル肯定的[7]
    音楽誌が書かないJポップ批評43肯定的[8]

    本作の収録曲に対して批評家たちからは肯定的な意見が挙げられている。音楽情報サイト『CDジャーナル』では、BOØWYが当時躍進していたヴィジュアル系バンドの音楽的ルーツであると主張、また本作には有名ではない楽曲も収録されていると指摘した上で、熱心なファンではなかったレビュアーがほぼすべての楽曲を既知であったことから、「このバンドの浸透力とポップさを再認識させられました」と評価している[7]。また、BOØWYが日本のバンドイメージを塗り替えた80年代を代表するバンドであると主張した上で、「彼らのエッセンスが詰まった、まさにバイブル的な内容」と評価したほか、最終公演となった「“LAST GIGS”」に近い選曲であることから「バンドの歴史に忠実なベスト盤といえる」とも評価している[7]。音楽誌『音楽誌が書かないJポップ批評43 21世紀のBOØWY伝説』において社会学者の永井純一は、BOØWY解散から10年間にわたり唯一のベスト・アルバムであった『“SINGLES”』の収録曲が1曲を除きすべて収録されているため同作よりもお得であると推薦したほか、代表曲のほぼすべてが収録されていることから「入門編にもってこいの1枚」であると肯定的に評価している[8]。しかし、3枚目のアルバム以降の楽曲のみ収録されていることから永井は本作も万能ではないと主張し、「熱心なファンはもの足りない印象を受けるかもしれない」と苦言を呈している[8]

    収録曲[編集]

    全編曲: 布袋寅泰
    #タイトル作詞作曲時間
    1.DREAMIN'布袋寅泰・松井五郎布袋寅泰
    2.ホンキー・トンキー・クレイジーBOØWYBOØWY
    3.BAD FEELING氷室京介高橋信布袋寅泰
    4.ハイウェイに乗る前に氷室京介・松井五郎氷室京介
    5.NO. NEW YORK深沢和明布袋寅泰
    6.ROUGE OF GRAY氷室京介布袋寅泰
    7.わがままジュリエット氷室京介氷室京介
    8.JUSTY氷室京介布袋寅泰
    9.IMAGE DOWN (LIVE)氷室京介布袋寅泰
    10.B・BLUE氷室京介布袋寅泰
    11.ONLY YOU氷室京介布袋寅泰
    12.BEAT SWEET氷室京介布袋寅泰
    13.WORKING MAN松井恒松布袋寅泰
    14.DRAMATIC? DRASTIC!高橋まこと布袋寅泰
    15.LONGER THAN FOREVER氷室京介布袋寅泰
    16.MARIONETTE氷室京介布袋寅泰
    17.PLASTIC BOMB氷室京介布袋寅泰
    18.MEMORY氷室京介布袋寅泰
    19.季節が君だけを変える氷室京介布袋寅泰
    20.CLOUDY HEART氷室京介氷室京介
    合計時間:

    楽曲解説[編集]

    1. DREAMIN'
      3rdアルバム『BOØWY』収録曲。
    2. ホンキー・トンキー・クレイジー
      1stシングル。
    3. BAD FEELING
      2ndシングル。3rdアルバム『BOØWY』の音源が収録されている。
    4. ハイウェイに乗る前に
      3rdアルバム『BOØWY』収録曲。
    5. NO. NEW YORK
      1stアルバム『MORAL』収録曲。2ndシングル「BAD FEELING」B面の音源が収録されている。
    6. ROUGE OF GRAY
      4thアルバム『JUST A HERO』収録曲。
    7. わがままジュリエット
      3rdシングル。
    8. JUSTY
      4thアルバム『JUST A HERO』収録曲。
    9. IMAGE DOWN (LIVE)
      1stアルバム『MORAL』収録曲。ライブアルバム『“GIGS” JUST A HERO TOUR 1986』の音源が収録されている。
    10. B・BLUE
      4thシングル。
    11. ONLY YOU
      5thシングル。
    12. BEAT SWEET
      5thアルバム『BEAT EMOTION』収録曲。
    13. WORKING MAN
      4thシングル「B・BLUE」のB面。
    14. DRAMATIC? DRASTIC!
      5thアルバム『BEAT EMOTION』収録曲。
    15. LONGER THAN FOREVER
      6thアルバム『PSYCHOPATH』収録曲。
    16. MARIONETTE
      6thシングル。6thアルバム『PSYCHOPATH』の音源が収録されている。
    17. PLASTIC BOMB
      6thアルバム『PSYCHOPATH』収録曲。
    18. MEMORY
      6thアルバム『PSYCHOPATH』収録曲。
    19. 季節が君だけを変える
      7thシングル。シングルバージョン。
    20. CLOUDY HEART
      3rdアルバム『BOØWY』収録曲。7thシングル「季節が君だけを変える」B面の音源が収録されている。

    スタッフ・クレジット[編集]

    • アルバムのブックレットに記載されたクレジットを参照[9]

    BOØWY[編集]

    スタッフ[編集]

    • 糟谷銑司 (IRc2 CORPORATION) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 土屋浩 (GYM the MANAGE) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 関口“ワンワン”光信 (TOY BOX PUBLISHERS) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 鈴木“ソンビ”祥紀 (GYM the MANAGE) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 子安次郎 (BBP) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 三宅彰 (BBP) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 鶴田正人 (BBP) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 小澤啓二 (BBP) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 西川直幸 (BBP) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 竹内康博 (BBP) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 江森みちる (BBP) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 阿部哲也 (BBP) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 渋谷高行(ユイ・ミュージック・パブリッシャーズ) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 宮野真一(ユイ・ミュージック・パブリッシャーズ) - "THIS BOØWY"スタッフ
    • 加藤正憲 - 写真撮影
    • 三浦麻旅子 - 写真撮影
    • 桑本正士 - 写真撮影
    • BORNEO ORANG-OUTANGS - アート・ディレクション
    • いちげたかゆき (BORNEO ORANG-OUTANGS) - デザイン
    • なるはしまさと (BORNEO ORANG-OUTANGS) - デザイン
    • BUN SADAKA (C60PROJECT) with 3D STUDIO MAX2 - CG
    • BBP - プロモーション

    リリース履歴[編集]

    No. リリース日 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考 出典
    1 1998年2月25日 東芝EMI/イーストワールド CD TOCT-10190 1位 初回限定盤は紙ジャケット仕様 [7][4]
    2 2017年6月28日 ユニバーサルミュージック UPCY-9688 - 紙ジャケット仕様の限定復刻盤 [10][11]

    脚注[編集]

    1. ^ BOΦWY/THIS BOΦWY(東芝EMI): 1998”. 国立国会図書館サーチ. 国立国会図書館. 2023年6月10日閲覧。
    2. ^ a b オリコンチャート・ブック アルバムチャート編 1999, p. 140.
    3. ^ B to Y 2004, p. 88- 「WORKS」より
    4. ^ a b BOΦWY/THIS BOOWY”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2023年6月10日閲覧。
    5. ^ a b B to Y 2004, p. 142- 「HISTORY」より
    6. ^ BOOWYデビュー35周年記念し過去7作品を紙ジャケ復刻”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2017年4月10日). 2023年6月10日閲覧。
    7. ^ a b c d BOφWY / THIS BOφWY”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2023年6月10日閲覧。
    8. ^ a b c 別冊宝島 2006, p. 108- 「アルバム・レヴュー番外編 ベスト、ライヴ、トリビュート&リミックス・アルバム」より
    9. ^ THIS BOØWY 1998, p. 21.
    10. ^ BOφWY / THIS BOφWY [紙ジャケット仕様] [限定]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2023年6月11日閲覧。
    11. ^ BOΦWY/THIS BOOWY<限定盤>”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2023年6月11日閲覧。

    参考文献[編集]

    • 『THIS BOØWY』(CDブックレット)BOØWY、東芝EMI、1998年、21頁。TOCT-10190。 
    • 『オリコンチャート・ブック アルバムチャート編 昭和62年-平成10年』オリコン、1999年7月26日、140頁。ISBN 9784871310468 
    • 『BOØWY B to Y THERE'S NO BEGINNING AND THE ENDS.宝島社、2004年9月20日、88頁。ISBN 9784796642408 
    • 「音楽誌が書かないJポップ批評43 21世紀のBOØWY伝説」『別冊宝島』第1322号、宝島社、2006年7月27日、108頁、ISBN 9784796653497 

    外部リンク[編集]