援護率

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援護率(えんごりつ、Run Support per Nine Innings)は、野球において投手がどれだけ打線の援護を受けたかを示す指標である。投手の登板中に味方打線が挙げた得点を、1試合相当(9イニング当たり)で表す[1]得点援護率(とくてんえんごりつ)ともいう[2]

投手は、味方打線が得点を挙げて、かつそれが失点を上回らなければ勝利投手になれず、逆にたとえ1失点で抑えたとしても味方打線の得点が0であれば敗戦投手になってしまう。このため、援護率は投手自身の能力を示す指標ではないにもかかわらず、投手の勝敗と密接に関連している[3]。投球のテンポが良い投手は、味方の野手が気持ちよく打てるので援護率が高くなるという説がある[2]が、このような相関関係は存在が実証されていない[1]

投手自身が直接実力を示す記録ではないため、長年この記録は計算されてこなかった。NPBでは2004年以降でしか計算されておらず、また公式記録としては扱われていない[2]

日本プロ野球[編集]

セ・リーグ最下位[編集]

各年度規定投球回到達投手

年度 名前 所属 援護率 防御率 勝利 敗戦
2004 福原忍 阪神タイガース 3.56 3.87 10 15
2005 三浦大輔 横浜ベイスターズ 3.15 2.52 12 9
2006 黒田博樹 広島東洋カープ 2.82 1.85 13 6
2007 大竹寛 広島東洋カープ 3.32 3.77 9 10
2008 大竹寛 広島東洋カープ 3.25 3.84 9 13
2009 前田健太 広島東洋カープ 3.28 3.36 8 14
2010 加賀繁 横浜ベイスターズ 2.47 3.66 3 12
2011 高崎健太郎 横浜ベイスターズ 2.20 3.45 5 15
2012 ジェイソン・スタンリッジ 阪神タイガース 1.98 2.69 7 12
2013 澤村拓一 読売ジャイアンツ 2.78 3.13 5 10
2014 岩田稔 阪神タイガース 2.71 2.54 9 8
2015 ランディ・メッセンジャー 阪神タイガース 2.25 2.97 9 12
2016 菅野智之 読売ジャイアンツ 2.92 2.01 9 6
2017 デービッド・ブキャナン 東京ヤクルトスワローズ 2.97 3.66 6 13
2018 東克樹 横浜ベイスターズ 3.52 2.45 11 5
2019 クリス・ジョンソン 広島東洋カープ 3.38 2.59 11 8
2020 青柳晃洋 阪神タイガース 2.79 3.36 7 9
2021 大野雄大 中日ドラゴンズ 2.65 2.95 7 11
2022 小笠原慎之介 中日ドラゴンズ 2.57 2.76 10 8

2005年の三浦、2006年の黒田、2016年の菅野はそれぞれその年の最優秀防御率投手である。

パ・リーグ最下位[編集]

各年度規定投球回到達投手

年度 名前 所属 援護率 防御率 勝利 敗戦
2006 久保康友 千葉ロッテマリーンズ 2.80 4.55 7 13
2007 朝井秀樹 東北楽天ゴールデンイーグルス 2.60 3.12 8 8
2008 ライアン・グリン 北海道日本ハムファイターズ 2.75 3.64 7 14
2009 渡辺俊介 千葉ロッテマリーンズ 2.55 4.05 3 13
2010 岩隈久志 東北楽天ゴールデンイーグルス 3.46 2.82 10 9
2011 武田勝 北海道日本ハムファイターズ 2.43 2.46 11 12
2012 木佐貫洋 オリックス・バファローズ 2.49 2.60 5 9
2013 金子千尋 オリックス・バファローズ 3.13 2.01 15 8
2014 涌井秀章 千葉ロッテマリーンズ 3.29 4.21 8 12
2015 則本昂大 東北楽天ゴールデンイーグルス 2.39 2.91 10 11
2016 西勇輝 オリックス・バファローズ 3.28 4.14 10 12
2017 二木康太 千葉ロッテマリーンズ 2.80 3.39 7 9
2018 西勇輝 オリックス・バファローズ 2.86 3.60 10 13
2019 山本由伸 オリックス・バファローズ 2.36 1.95 8 6
2020 山本由伸 オリックス・バファローズ 3.09 2.20 8 4
2021 田中将大 東北楽天ゴールデンイーグルス 2.16 3.01 4 9
2022 加藤貴之 北海道日本ハムファイターズ 2.37 2.01 8 7

2019年の山本はその年の最優秀防御率投手である。

セ・リーグ最上位[編集]

各年度規定投球回到達投手

年度 名前 所属 援護率 防御率 勝利 敗戦
2007 中田賢一 中日ドラゴンズ 5.76 3.59 14 8
2008 安藤優也 阪神タイガース 5.79 3.20 13 9
2009 セス・グライシンガー 読売ジャイアンツ 5.91 3.47 13 6
2010 内海哲也 読売ジャイアンツ 5.69 4.38 11 8
2011 吉見一起 中日ドラゴンズ 4.16 1.65 18 3
2012 D.J.ホールトン 読売ジャイアンツ 4.88 2.45 12 8
2013 野村祐輔 広島東洋カープ 5.56 3.74 12 6
2014 石川雅規 東京ヤクルトスワローズ 5.83 4.75 10 10
2015 石川雅規 東京ヤクルトスワローズ 4.68 3.31 13 9
2016 野村祐輔 広島東洋カープ 5.74 2.71 16 3
2017 大瀬良大地 広島東洋カープ 5.75 3.65 10 2
2018 クリス・ジョンソン 広島東洋カープ 5.44 3.11 11 5
2019 山口俊 読売ジャイアンツ 6.19 2.91 15 4
2020 西勇輝 阪神タイガース 5.18 2.26 11 5
2021 戸郷翔征 読売ジャイアンツ 5.24 4.27 9 8
2022 森下暢仁 広島東洋カープ 5.23 3.17 10 8

パ・リーグ最上位[編集]

各年度規定投球回到達投手

年度 名前 所属 援護率 防御率 勝利 敗戦
2007 成瀬善久 千葉ロッテマリーンズ 5.19 1.82 16 1
2008 岩隈久志 東北楽天ゴールデンイーグルス 5.66 1.87 21 4
2009 清水直行 千葉ロッテマリーンズ 5.64 4.42 6 7
2010 ビル・マーフィー 千葉ロッテマリーンズ 7.12 3.75 12 6
2011 ボビー・ケッペル 北海道日本ハムファイターズ 5.69 3.22 14 6
2012 牧田和久 埼玉西武ライオンズ 4.03 2.43 13 9
2013 田中将大 東北楽天ゴールデンイーグルス 6.08 1.27 24 0
2014 中田賢一 福岡ソフトバンクホークス 5.40 4.34 11 7
2015 十亀剣 埼玉西武ライオンズ 5.19 3.55 11 7
2016 和田毅 福岡ソフトバンクホークス 4.87 3.04 15 5
2017 金子千尋 オリックス・バファローズ 5.08 3.47 12 8
2018 多和田真三郎 埼玉西武ライオンズ 7.03 3.81 16 5
2019 高橋礼 福岡ソフトバンクホークス 5.45 3.34 12 6
2020 涌井秀章 東北楽天ゴールデンイーグルス 6.33 3.60 11 4
2021 小島和哉 千葉ロッテマリーンズ 4.41 3.76 10 4
松本航 埼玉西武ライオンズ 3.79 10 8
2022 宮城大弥 オリックス・バファローズ 4.35 3.16 11 8

2007年の成瀬、2008年の岩隈、2013年の田中はそれぞれその年の最優秀防御率投手である。

脚注[編集]